コラム

浦和レッズの進化が止まらない!後半戦のキーワードは『3バック対策』だ【清水英斗さん浦和レッズコラム】

今シーズンより清水英斗さんの浦和レッズ試合コラムが復活します!

 

■レッズサポーターの期待感がいつもと違う

消化試合数にバラつきはあるが、2021年のJ1前半戦を終え、浦和は6位につけている。昨季は10位、一昨季は14位に低迷。今季はリカルド・ロドリゲスを新監督に迎えて再出発を図るシーズンだった。それを踏まえれば、前半戦の6位は上々だ。

何より、今季はファンやサポーターの空気が変わった。純粋に、浦和レッズに期待する人が増えた。コロナ禍のため、それを観客動員数で定量的に計ることは出来ないが、ポジティブな空気はひしひしと伝わる。

なぜ、空気が変わったのか。

今季の浦和は、意図的に戦術を組み立てる様子が見えるため、伸びしろに期待しやすいのはある。また、クラブがキャスパー・ユンカーや酒井宏樹、西大伍、江坂任などの名選手を積極的に補強しているのも、熱を高める大きな要因だろう。

それ以外で個人的に決定的だと思うのは、第6節の川崎戦だ。未だ無敗の絶対王者に0-5でボロ負けを喫した後、サポーターのブーイングが渦巻くスタジアムを、リカルド・ロドリゲスは選手と共に一周した。「何よりもチームの責任者が矢面に立つことが必要。こういう時だからこそ、近くにいるべきだと思った」との言。

この男気、真摯な姿勢が、浦和サポーターの心をわしづかみにした。「これは信頼できる監督が来たぞ!」と誰もが思ったはず。その後、続く7節の鹿島戦からチームは3連勝。ここでリカルド・ロドリゲスの地盤は固まった。

 

■ゼロトップと、ユンカーシステム

起点となった鹿島戦では、新戦術にもトライしている。武藤雄樹をゼロトップに置き、前線に空けたスペースを使って連動する新システムだ。明本考浩を飛び出し役として左サイドへ移し、右サイドバックには負傷で出遅れた西大伍が、満を持して登場。このゼロトップ布陣がゲーム支配力を高め、浦和は勝ち点を積み上げた。

しかし、この形も徐々に通じなくなる。相手に割り切って守備を固められると、ゼロトップの動きをしても、スペースが空きづらくなる。ワンパターンでは辛い。また、ゼロトップの4-1-4-1で、一度ハマった武田英寿が負傷離脱するなど、選手が揃わないことも災いした。10節のC大阪戦、12節の福岡戦では0-1、0-2と、ボールを持ちながらも攻め切れず、ノーゴールで敗れた。

そんな頃、チームが再びつまずき始めた5月初旬、颯爽とチームに現れたのが、キャスパー・ユンカーである。

この明確なフィニッシュを備えた点取り屋に合わせ、浦和は各選手がプレーすることで、アタッキングサードを攻め切る形がハッキリと見えてきた。13節の仙台戦は2-0、14節のG大阪戦は3-0、15節の神戸戦は2-0と、明らかに得点力が増している。

ユンカー加入後の変化を示す象徴的な選手は、田中達也だ。ゴール前のポジショニングが良く、クロスから得点できるユンカーが入ったことで、サイド突破とクロスに持ち味のある田中が出場機会を増やした。また、ゼロトップの解体に伴い、飛び出し役だった明本は、左サイドバックに新境地を見出す。このコンバートもハマった。

ゼロトップといい、ユンカーシステムといい、リカルド・ロドリゲスは現有選手の特性を生かし、システムのパズルを組み立てるのが巧い。それは試合中の采配にも見られる。この監督が修正を施した後は、がらりとゲーム内容が変わる。昨季は後半になればなるほど、選手が代われば代わるほど、内容が悪くなったが、今季は違う。修正がしっかりと利く。チーム全体がうまく回っている証拠だろう。

 

■後半戦の鍵は、3バック対策

もっとも、監督の戦術パズルが巧すぎるが故に、最近は戦術の修正が飲水タイム待ちになるきらいもあり、それは若干気がかり。徐々に解決するしかない。

また、5月から無敵を誇ったユンカーシステムも、最近は詰まり気味だ。相手に特徴を分析され、苦戦する試合が増えた。ユンカーの得点ペースは下がり、小泉も徹底マークに遭っている。リカルド・ロドリゲスのパズルは、選手の特徴がピタッとはまるだけに、その形が選手の個に依存しがちで、相手に読み切られると弱い。そこをピッチ内で乗り切れるほどの柔軟性は、まだ無いようだ。

東京五輪でJリーグが中断する間、浦和は新たな変化が求められている。

キーワードは、「3バック対策」だ。

最近の浦和は、18節の湘南戦といい、22節の大分戦といい、3バックで球際に激しく来るチームに苦戦する傾向が見えてきた。なぜ、3バックに弱いのか? 今季の浦和は5レーンを分割したポジショナルな攻撃を仕掛け、4バック相手には隙間を突くコンビネーションを見せている。しかし、相手が3バック、あるいは撤退時に5バックとなる場合は、5レーンを最初から人に埋められてしまうため、向上させてきたポジショナル戦術の効果が薄くなる。

全体的な配置だけでは、攻撃の優位性を取れないので、5バック相手には局面を破っていく必要がある。その鍵を握るのが、新加入の江坂任、酒井宏樹、ショルツになりそうだが、個人的にはもう一人、興梠慎三に注目している。

思い返せば、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の時代、浦和は5バックの相手を攻略するのを、むしろ得意としていた。どちらかと言えば、4-4-2で高い位置からプレスに来るチームのほうが苦手で、5バックの相手には押し込んで、攻め切って、勝ち切ることが出来ていた。

思い出してほしい。その要因は何だったのか。

まずは両サイドに、1対1で縦に仕掛けられる関根貴大、駒井善成がいたこと。そして、彼らにサイドを任せ、中央はKLM(興梠、李忠成、武藤)という、クロスに対して抜群の入り方ができる3人がいたこと。さらに森脇良太のように、5バックに対して後方から6人目でオーバーラップする選手もいた。5バックを崩す手段が、てんこ盛りだった。

もう一つは、最前線の興梠のクオリティーだ。5バックで構える相手に、5レーンを埋めて攻撃を繰り出せば、各所が1対1になる。となれば、一番ゴールに近いところで入れ替わってしまえば、即ビッグチャンスだ。その入れ替わりの能力が、興梠は極めて高い。相手が5バックのときこそ、最前線で起用したい選手だ。

それに合わせ、ユンカーをセカンドトップに下げてもいい。小泉も一列下げ、江坂を起用すれば、KJE(興梠、ユンカー、江坂)がクロスに入って行く形も、迫力満点だ。

一方、サイドから「縦に」仕掛けるドリブラーは、当時ほどの専門家がいないので、小泉や西と絡みつつ、連係で出て行くスタイルになるか。また、森脇のように6人目で後方からオーバーラップする選手は……酒井宏樹? それも面白い。

後半戦は最初から、札幌、鳥栖、広島、湘南など、3バックとの対戦が多く組まれている。初陣型、ゼロトップ、ユンカーシステムときて、次は? リカルド・ロドリゲス、3バックをぶち破る『第4のパズル』は、どんな絵になるのか。

再開が待ち遠しい。

 

 

清水 英斗(しみず・ひでと)
サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

コメント

  1. 2 匿名の浦和サポ(IP:133.106.34.56 )

    大人のプレーをしたいとか言って一対一の勝負をしない関根が大人になって自分の仕事をすれば解決ですね

    このコメントに返信

    2021年07月21日 22:16

  2. 3 匿名の浦和サポ(IP:60.158.114.98 )

    引く相手の対策はしっかりやってほしい。ここを攻略できるかどうかで上位進出が決まる。下位チームを取りこぼさないようにするのはマスト!

    このコメントに返信

    2021年07月21日 23:16

  3. 4 匿名の浦和サポ(IP:36.14.116.40 )

    清水さんはホントよく浦和を見てますね。
    思うに今後の課題はサイドアタッカーだと思う。
    関根も汰木も自らアクションを起こす事が少なく縦を切られると何もできない。
    サイドで起点を作るリカルドサッカーではここが攻撃を停滞させる最大の要因でしょう。
    縦を切られたらカットインや周りの選手と連携しワンタッチで抜け出すなど切られたらそれなりのアクションを起こして行かないとのこの停滞感は変わらないと思う。
    サイドアタッカーのバックパス、これが少なくなって来た時に浦和はもう一段階上のレベルのチームになるのだと思う。

    このコメントに返信

    2021年07月22日 06:16

  4. 5 匿名の浦和サポ(IP:49.98.157.24 )

    杉本健勇、移籍の噂の件
    平川の引退試合終わってから
    オフィシャル発表かなぁ?

    このコメントに返信

    2021年07月22日 07:16

  5. 6 匿名の浦和サポ(IP:122.222.182.191 )

    現状だと352かな?
    槙野・デン(ショルツ)・岩波
    明本・柴戸・小泉・西・酒井
    ユンカー・興梠
    なんかしっくりくるな

    このコメントに返信

    2021年07月22日 14:57

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