『アウェイゴールの怖さを理解している人達が集結していた埼スタ』ACL浦和vs広州恒大【山中伊知郎の素人目線2019】

▼ACLは南ゴール裏も雰囲気が違う

南側自由席も、普段の平日夜の客層とは、だいぶ違っていた。

いわゆる「おひとりさま」が少なく、２、３人くらいの小グループが多いのだ。しかも年齢層は、さすがに子供は少な目ながら、老若男女がみんな揃ってる。私のすぐ前の席にいたのは20代らしき若者二人組で、横を見たら70代とおぼしき夫婦らしき人たち。後ろには

やはり若い女性三人組。

いわゆるレッズ・サポの男性が埼スタ初めての女性を連れてくる、といったカップルっぽい人たちはあまり目につかず、とにかく「浦和レッズが好きで来ている」人たちが集まっている。

またそれがよくわかるのが、選手入場。いつもに比べて、立っている人、旗を振ってる人が多い。さすがにキックオフになると南側はみんな座るものの、雰囲気としては、いつもよりも「レッズサポ」色が強い。

さすがにきょうの試合は、リーグ戦で下位を低迷するわ、天皇杯でアマチュアに負けるわ、でうっ積鬱ためまくりのレッズ好きたちが、それを発散したくて来ている空気がよくわかる。

私だって、さすがに天皇杯、あそこで負けると思ってなかったので、「準々決勝くらいから行きゃいいや」とあの試合は見てなかった。

 

▼リーグ戦にこの流れをどう繋げていくか

大したもんだ。平日夜のACL準決勝で３万人集めるのだから。

レッズ側も大したもんだが、広州恒大側がまた驚く。サポーター席はほぼ満員の上に、アッパーにも入ってる。コンコースとか歩いてたら、とにかく中国語があっちこっちで飛び交ってる。「国際化」って点じゃ、こんなストレートで単純明快な「国際化」もないだろう。

私は試合開始45分前くらいに埼スタ前に着いたのだが、なぜかその中国人サポーターたちが長い列を作ってた。理由はわからない。

一応、南側の上の方はけっこう空いてて、通路沿いの席には座れた。

その南側が最も沸いたのが、なぜか得点が決まったシーン以上に、広州側のゴールが決まったと思われた直後に、オフサイドでノーゴールになったシーン。

もうみんな「アウエーゴール」の大切さを知っているから、ガッカリのあとの救われた喜びがドアーッ！という感じで爆発してしまったのだ。そらそうだ。２－１なら、広州で０－１でも逆転されちゃう。「アウエーゴールだけは許すなよ」とヒヤヒヤしてる最中の出来事だったのだから。

まったく、この「アウエーゴール」システムこそ、ACLの興奮を支える最大の要素だ。２点取ったこと以上に、１点もとられなかったのは実に大きい。

しかし、その２点の両方が、今年はたして見たことがあったか、と記憶がないくらいのビューティフルゴール。

なんで、ACLに限って、こんなにいい試合するんだろう？パスもよく回っていて、DFもガッチリ固まっていて。というか、なぜリーグ戦で、こんな試合ができないんだろう？

わかんないなぁ。サッカーやってるのは変わらないはずなのに。

次の広州戦も注目ながら、心配なのが６日の清水戦。きょうみたいな試合してくれればいいが、リーグ戦になると、手足が委縮して恐る恐る闘ってるみたいになるから安心できないのだ。

 

山中伊知郎

昭和29年生まれ。93年のＪリーグ開幕時から、シーズンチケットでレッズを見続けている。職業はライター。山中企画という会社を作って、自分が制作費を投下して本も出版している。なんと今年９月には、まとめて３冊を出版。まずは、歌手でお笑い芸人のタブレット純を著者にした『タブレット純のＧＳ（グループサウンズ）聖地純礼』。続いては、［腸のオーソリティ］で東洋医学医師・田中保郎の『「ひきこもり」は、腸で治す!?』、もう一冊が佐賀県武雄の医師・清水正彦の『ご先祖様菌』。　すでに９月上旬に出した『ＧＳ聖地純礼』は、滑り出し好調で増刷。他の２冊も、まずまずの出足だ。