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成功体験と言える勝利、同点ゴールに関わるあれこれは少し整理を【轡田哲朗レッズレビュー/J第17節 FC東京戦】(浦レポ)
(Report by 轡田哲朗)
西川とグスタフソンが復帰し、荻原と大久保もスタメンに
浦和レッズは5月17日にリーグ戦の17試合目でFC東京と対戦し、3-2で勝利した。2回もリードを許す苦しい展開だったものの、それを追いついて逆転したのは素晴らしかった。特に2-2の同点とした後に、そこに甘んじることなく3点目を奪ったことこそ成功体験と言えるだろう。
このゲームに、西川周作とサミュエル・グスタフソンが復帰することができた。両者とも存在感を発揮することができたし、久々のスタメンになった荻原拓也は一時期より頭の中で整理されていた感はあった。今季の初スタメンになった大久保智明も、彼を使う場合の良さはピッチ上に現れていたと言えるだろう。

今回の2失点は、どちらもやれることがありそうだった
FC東京は予想通りに左肩上がりの3バックのような形になっていて、それによって予想された形が先制点になったPKの場面に出たのは何とも言えないものがあった。
浦和は松尾佑介を最前線に置くのをベースにしながらも、ここ数試合はマテウス・サヴィオがフリーロールして松尾が左に流れ、結果的にゼロトップ風味になることが増えている。この辺はマチェイ・スコルジャ監督も「ワントップとしての(松尾)佑介が相手に分析をされていて、あまり相手がスペースを与えてくれないという状況がありました。それが最も大きな理由です」と話している。ただ、その副産物として一列目の守備にサヴィオが入る時の怪しさが出ることが少なからずあるのと、サヴィオと松尾の位置が試合中に変化することで切り替えの瞬間に自分が隊列の中でどの役割を果たすべきかの「アドリブ」がズレてしまう場面もみられる。
FC東京はエンリケ・トレヴィザンが前方に進出してきて、サヴィオがちょっとイージーに持ち上がりを許してしまった。そこで遠藤と場所を入れ替えていたものの、開いた俵積田にボールが入る。FC東京がここに人数を掛けて手厚く攻めるのは想定内で、安居海渡も早い段階で石原広教とダニーロ・ボザの間を埋める構えを見せてた。

ただ、大久保がサミュエル・グスタフソンと安居を結ぶラインよりも前に残っていた場所を遠藤に使われてしまったのは良くなかった。最終的に安居が遠藤を避けられなかった、あるいは利用されてしまったのが直接的なPKの原因になったものの、久々のスタメンだった大久保の試合勘に問題があったのかは分からないが、ここはもったいなかった。
また、2失点目は交代を行った直後に発生していた。負傷明けのグスタフソンをある程度の時間で下げるのは自然な采配だが、渡邊凌磨を一列下げた判断はあまり良くなかったように見える。交代直後から相手ボールでも渡邊がトップ下のままのように高い位置にいることが多かったし、安居もまたこの場面では何を狙っていたのか分からない前へのお出かけをして、そこから崩れてしまった。マチェイさんの好みは別にして、現実的にこの2人の組み合わせは厳しいように見える。
もっとも、マチェイさんは3点を取って逆転したメンタリティーの素晴らしさを称えつつも「失点の場面は避けることができたのかなと思います」と話していて、失点から割と時間なく渡邊を下げたので、同じような認識をしたのかもしれないが。
大久保の良さが出た1点目、対応を上回る何かを模索しているのは伝わる
もちろん、サヴィオのゼロトップっぽさに効果がないわけではなく、それは大久保の良さとともに1点目によく表れていたと思う。この場面のスタートはグスタフソンの読みの良さで、マルセロ・ヒアンがポストプレーで味方に戻したボールを奪い取ったところだった。
大久保がうまく浮いた位置でボールを受けて、この時もサヴィオが中央でフラッとしていて松尾が開いている。大久保がドリブルでスルスルと持ち運んだのが良かったし、荻原拓也が一気にアンダーラップを仕掛けることで松尾に楽な状況を作ったのも、それが出来上がってからボールを渡したのも良かった。
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