浦和レッズについて議論するページ

今年より町田ゼルビア、浦和レッズを中心に取材するライター郡司聡さんによる「対戦相手から見た浦和レッズ」というコラムシリーズが浦議でスタート!
第4回はJリーグ浦和vs磐田戦になります。

 


 

▼効果的だった川又の動き出し
前半をスコアレスで終えたゲームは、終わってみれば4-0。大差がついた結果となったが、試合後の会見で磐田の名波浩監督は、次のように試合を振り返った。

 

「立ち上がりから決定的なピンチのシーンもありましたけど,粘り強く守れていたと思います。その中で特に松浦と山田のところで起点もできましたし、フィニッシュまでのコンビネーションや背後の動き出しなど、多少時間が経ってからですけど、バリエーションが出てきたのかなと。前半の内容は非常に良かったと思っています。プランどおりに終わったと思っています」

 

敵地の埼玉スタジアムに乗り込んだ磐田は、浦和と同じシステムである[3-4-2-1]を採用。負傷者も少なくないチーム状況の中、“ミラーゲーム”を挑むことで勝機を見い出すプランだった。1トップの川又堅碁は3バックの背後を突く動きを繰り返し、浦和の最終ラインを押し下げることで2シャドーの松浦拓弥と山田大記が侵入するスペースを作り出そうしていた。12分には櫻内渚の縦パスをダブルボランチと最終ラインの間に生じたスペースで受けた松浦がフリーでボールを運んだ場面に象徴されるように、松浦が前を向いたフリーな状況でボールを受ける回数は、一度や二度ではなかった。

 

そしてプランどおりに事が進んでいた前半の磐田が創出したビッグチャンスは30分。川又が浦和の最終ラインの背後を突く動きで櫻内からのパスを引き出し、ポストワークから小川大貴へパスを落とすと、小川大は縦へ抜ける動きで浦和守備陣をかわしていく。そして小川大のクロスは一度阿部にクリアされたが、そのルーズボールを拾った山田が左足を強振。19番による強烈な左足のシュートは左ポストを直撃し、浦和としては最も肝を冷やす場面だった。

 

前半は浮いたポジションでボールを受ける回数が多かった松浦は「割りと間が空いていたのかなと思っているけど、ケンゴ(川又)が背後を突いて3バックがそれに引っ張られたことでスペースが生じていた」と振り返る。30分の絶好機を逃す形になった山田は「チャンスを決めていれば全然違った結果になったので、責任をすごく感じている」と猛省し、「良い時間帯に点を取れなかったことが一番の敗因かなと思う」と自責の念に駆られていた。結果的には、相手の出方も影響する格好で少々綻びが生じていた前半を無失点でしのいだことが、浦和の後半のゴールラッシュにつながっている。

 

▼ハーフタイムでの微修正
スコアレスで迎えたハーフタイム。阿部勇樹を中心とした最終ラインの選手たちは、前半に生じた綻びが致命傷になる前に微修正を施していたという。右CBの岩波拓也が、その修正点の一端をこう明かした。

 

「特に前半は浮いたポジションでボールを受けられてしまうことも多く、ハーフタイムには3バックが前に出ていこうと話し合った結果、前でボールを取ることも多くなりましたし、浮いたポジションにいる選手にボールが入ることもなくなったのかなと思います。いい守備ができたと思います」

 

3バックのラインを押し上げてコンパクトな陣形を構築し、3バック陣が前で奪う意識を高めて人にアプローチしやすい状況を作り出す。試合後、浦和の選手たちは阿部の繊細なラインコントロールによりコンパクトな陣形を構築できたことを賞賛していたが、特に後半はハーフタイムの微修正が奏功する形で磐田に効果的な攻撃の形を作らせていなかった。

 

こうして後半開始から浦和が磐田の攻勢を削ぎ、相手を敵陣に押し込む中で迎えた55分、浦和がついに先制した。浦和は左サイドから右サイドへボールを動かす中で、右ウイングバックの森脇が斜めにグラウンダーのクロスを入れると、相手DFがはじいたボールに反応した青木拓矢が右足を強振。そしてGKカミンスキーがはじいたこぼれ球を、ファブリシオが左足で蹴り込み、浦和が先制に成功した。そして追加点は61分。中央でボールを受けた武藤雄樹がドリブルで一人を剥がし、局面の優位性を作ると、武藤の縦パスを受けたファブリシオが2点目を奪った。

 

夏場の連戦で2点のビハインドを背負った磐田のダメージは大きく、「3失点目からは自分たちで崩れてしまった」(松浦)アウェイチームは、試合終盤にCKとカウンターから脆くも失点を重ねた。やはりアウェイチームの視点に立てば、プランどおりにゲームを運べた前半に先手を奪えなかったことが致命傷となった。磐田側の敗因は、ドイツでのプレー経験もある山田の次の言葉に集約されるだろう。

 

「(前半と比べて後半は)攻守の切り替えやそのスピード感が落ちてしまった。後半に張りがなくなるのは、この夏場のゲームでは仕方がないこと。前半のピンチを守備陣が防いでくれた中で良い時間帯に点を取れなかったことが一番の敗因になった」

 

“ミラーゲーム”を挑んできた磐田に対して、“ミラーゲーム”の攻略法を熟知している浦和が、その経験値を生かして相手を凌駕した場面は、2点目の得点シーンなど、それほど多くはなかった。むしろ磐田を4点差で葬った試合は、タラレバがタブーとはいえ、一つ間違えれば、違った方向に結果が転がっていただろう。試合後、奇しくも宇賀神友弥が開口一番に発した「紙一重」というその言葉が、最も試合を形容するにふさわしいフレーズだった。

 

※過去記事
・『甲府選手のコメントから見えてくる浦和レッズの強さと弱さ』ルヴァン杯 浦和vs甲府
『名古屋の選手達が「怖い」と言った攻撃の形とは?』Jリーグ浦和vs名古屋
『谷口が「強さを感じた」と認める浦和のストロングポイントとは?』Jリーグ浦和vs川崎

 


蹴球界のマルチロール・郡司聡

30代後半の茶髪編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。

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  1. 1 名無し(IP:182.250.243.37 )

    しっかりと分析をすると、勝因、敗因があるんですね。選手の個人技、運不運もあるでしょうがお見事です!

    このコメントに返信

    2018年08月18日 13:06

  2. 2 ちー(IP:126.247.69.84 )

    つか、あんなどフリーを外した3番がいうな。

    このコメントに返信

    2018年08月18日 16:22

    • 2.1 匿名の浦和サポ(IP:1.72.9.198 )

      今まで打ってなかったんだし打つようになったこと評価しなよアンチさん

      2018年08月18日 19:55

    • 2.2 匿名の浦和サポ(IP:60.46.148.227 )

      元気のおかぶを奪うような右からのカットインシュートがまた見たい!

      2018年08月18日 20:05

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:1.79.86.10 )

    レッズ専属チアってあるんですか?
    今、知った
    埼スタ・レッズ戦にチアいらないが

    このコメントに返信

    2018年08月18日 20:35

  4. 4 匿名の浦和サポ(IP:114.150.11.34 )

    本文と関係なくてすみません。何気に伊藤涼太郎が点を取ってますね。このまま覚醒してオリンピックに行って欲しいです

    このコメントに返信

    2018年08月18日 20:40

  5. 5 匿名の浦和サポ(IP:126.2.165.60 )

    そんな前半、磐田に攻められてたか?そうでもなかったような気がするんだけど。

    このコメントに返信

    2018年08月19日 00:05

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:36.2.196.205 )

    オリベの厳しい練習でスタミナがついたから後半の点につながった
    磐田は前半のサッカーを後半スタミナ切れでできなくなったってこと

    いい加減イエローの累積じゃなく
    選手の調子でローテーションしろや

    結果は出てるぞ

    このコメントに返信

    2018年08月19日 00:55

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