気がつけば、最後にコラムを書いてから、もう2年以上が経ちました。お久しぶりです。浦和を愛するみなさん、ごきげんいかがですか?
浦議から依頼を頂き、改めて月1ペースでコラムを書くことになりました。マッチコラムではないので、戦術以外にもさまざまなテーマに手を出そうと思います。
▼印象的だった鹿島戦の会見でのやり取り
パキッときめたオールバック。スーツ、シャツ、ベスト。ジャージで指揮を執らない。モウリーニョやベンゲルのように、威厳が漂う佇まい。
その一方、派手なアクションは、ユルゲン・クロップのようでもある。ゴール裏のサポーターへガッツポーズし、煽り、時には諌め、一緒に戦っている連帯感を作り出す。
ツカミは成功だ。劇場を自己プロデュースした大槻毅は、浦和サポーターに愛される監督像をよく理解していた。
また、これまで記者会見に何度か出たが、大槻毅は結果を出せる側の監督だと思った。
「つっけんどん」なのだ。
サービス精神がない。というか、見せない。相手の質問に一生懸命に答えようと、しない。
体感的な尺度でしかないが、良い人がサッカー監督をやると、だいたい失敗する。
良い人というか、「人の好さ」が前面に出てしまう人。相手の意図を汲み取り、不十分な質問であっても「そうですね」と補完し、波長を合わせて、質問し切れていないことまで丁寧に答えてくれる。そんな「空気に合わせる人」「好感の持てる人」が、トップチームのサッカー監督をやると、だいたい失敗する。具体的な名前は出さないけれど。
逆に、どういうタイプが成功するのか。
相手を緊張させる人。そこにいるだけで、ピリッと緊張感が漂い、背筋を伸ばさざるを得ない人。サービス精神を出さない。相手の土俵で迎合しない。下に向かって手を差し伸べない。それは監督に限らず、リーダーには少なからず求められる資質だ。ましてプライドと自己顕示欲の塊である、サッカー選手という猛者軍団を率いるなら。
どこまで意図しているのかはわからないが、大槻監督もまた、記者の質問に迎合せず、聞き手を緊張させる返しをする。
鹿島戦の記者会見では、マウリシオをハーフタイムで下げた理由は怪我なのか、別の狙いがあったのかと質問されたが、「少し負傷をしたので代えただけ」と、たった一言で回答を終えた。
もう少し詳しく説明があってもいい。「少し負傷」とは、どの程度なのか。いつからなのか。マウリシオは「少し負傷」で下げられる選手なのか。そもそも本職DFが誰もベンチに入っておらず、逆にサイドプレーヤーは宇賀神と山中亮輔の両方がそろっている。橋岡大樹をセンターバックに移した采配は、初めから想定していたのではないか。特に4-4-2で人に付く傾向が強い鹿島に対して、サイドでウイングの攻撃性を高める采配を。
もちろん、「少し負傷」は真実だろう。ただ、前半に橋岡の右サイドで攻撃が詰まっていたこと、さらにベンチメンバーの顔ぶれを踏まえても、予め想定された意図を感じる交代だ。そこにマウリシオの負傷が「重なった」とも見える。少なくとも、「なにか他の狙いがあったのか?」との記者の問いに対しては、イエスだろう。サービス精神があれば、もう少し詳しく説明しているはず。
しかし、余計なことは言わない。ペラペラ喋らない。「少し負傷」で済む質問だったから。
「サッカー監督はときに政治家のように振る舞わなければならない」
これはミハイロ・ペトロヴィッチの言葉だが、大槻監督にもその様子は見られる。監督の判断というのは、たいていは総合的だ。多くの要因が絡み合った上で、メリット、デメリットを勘案し、ベターな決断を下す。理由は一つではない。
だが、いくつか考えられる要因のうち、マウリシオの立場を守るために必要なことは説明し、それ以外は何も話さない。あまり詳しく話すと、橋岡個人へのダメ出しにもつながるし、そんな雰囲気を作ってもチームのためにならない。自分も信頼を損なう。
言っても構わないこと、公に言ってチームのためになること。それだけを真実として話す。それがサッと出来る大槻監督は、選手に信頼されるし、結果を出せる側の監督だろうと思う。
▼セカンドシーズンへの課題
また、選手からの信頼という意味では、分析型という監督スタイルも功を奏している。
対戦相手を分析し、ウィークポイントを突く。このタイプの監督は、チームが結果を出したとき、より一層の信頼を得る。なぜなら、「監督の言ったとおりだ!」と選手が実感しやすいからだ。
よく知られていなかった大槻監督が、これほど存在感を高めることができたのは、劇場演出に成功したことに加えて、監督の手腕を早期に認めさせられる『分析型』であったことも、その一因だろう。
しかし、その早熟の大槻レッズが、然るべくして躓いたのが、横浜FM戦ではないか。相手のウィークポイントを突くこと、後半勝負のゲームプランを遂行することに意識が引っ張られ、受け身になりすぎた。選手自身も押し返す決断が出来ないまま、横浜FMの勢いに押し切られてしまった。監督主導のリアクション型では、限界が見えるような負け方だ。
劇場型+分析型で、悪くないスタートを切った。だが、今後の伸びしろはどこにあるのか。このチームが普遍的に持てる強みは何なのか? ミシャサッカーであれば、極めてわかりやすい質問だったが、大槻レッズの場合、この問いへの答えは難しい。まだ見えない。横浜FM戦は誤審の話題が大きかったが、チーム作りとしては一つの分水嶺というか、階段を登るための試合になるのではないか。
そして、このタイミングで関根貴大が帰ってきたのは大きい。関根は1人で試合の流れを変え、チームに勢いを付けるアグレッシブさを持っている。リアクション型の限界が見え始めた大槻レッズにとって、主体的にアクションを起こせる関根が帰還したことは、何より大きな補強だ。タイミングが良すぎるほど。
大槻監督は“もっている”のだろうか。いや、むしろ関根が帰ってくることを、最初から織り込んで、再び監督の座に就いたのだろうか。いずれにせよ、大槻レッズのセカンドシーズンにおいて、関根は間違いなくキープレーヤーだ。
今後はどうなるか。劇場は盛り上がりやすいが、白けたらおしまい。相手を分析してハメる手法も、目先の勝ち点は取れても、持続的な成長は弱い。“持続的な成長”は、大槻レッズの、というか、浦和レッズの大きな課題になりそう。
清水 英斗
サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。
1 匿名の浦和サポ(IP:1.66.98.1 )
横浜F・マリノス、処分甘すぎる(怒)
2019年08月02日 22:43
1.1 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.65 )
マリノス側に何ら処分が科せられないなんてありえない。
今後、アウェイゴール裏にホームサポーターが雪崩れ込んでもクラブが処分される事がないと言う悪式事例を作ってしまったね。
クラブによって処分が科せらせられる度合いか違うのは、ホント運営は腐ってるよ。
2019年08月03日 06:07
2 匿名の浦和サポ(IP:1.66.98.1 )
暑い名古屋へ
明後日、向かいます❗
2019年08月02日 22:47
2.1 匿名の浦和サポ(IP:223.218.182.84 )
うちのホームゲームですよ。
2019年08月03日 00:46
3 匿名の浦和サポ(IP:1.66.98.1 )
お土産の勝ち点3
後押しして来ます❗
2019年08月02日 22:47
4 匿名の浦和サポ(IP:202.215.165.133 )
まぁ次うちがやらかした時軽くなりゃ何でもいいや
福田が一緒にコーチをやったとき
大槻監督の分析は量が多すぎて
監督に読むの疲れるからこんなにいらないといわれたそうで
そもそも分析の専門家なんだよね
今の選手たちは組長の分析で取ったわけだ
まぁ組長の思いどうりに人事がいっている限らないけど
2019年08月02日 23:02
5 匿名の浦和サポ(IP:58.93.124.41 )
清水さん、すげー洞察力だな。
2019年08月02日 23:02
6 匿名の浦和サポ(IP:202.215.165.133 )
しみっちょ関根はヨーロッパで組長が説得して連れてきたんだよ
2019年08月02日 23:03
7 匿名の浦和サポ(IP:27.121.13.5 )
『パキッときめたオールバック。スーツ、シャツ、ベスト。ジャージで指揮を執らない。』
ってさ、つい最近よ、このスタイルに戻ったの。
復帰戦の6/1の川崎戦から約1カ月以上、オールバックではあったけど、雨のせいかずーとジャージだったから。
ベストまでちゃんと着るようになったのは、古巣の仙台戦からだから。
この清水さんって人、レッズの試合を全部観てないでしょ?
2019年08月02日 23:30
7.1 匿名の浦和サポ(IP:27.121.13.5 )
それとその時気になったのは、仙台の監督さんと大槻さんのコメントの喋り方が良く似てた事。
ただ、その時は大槻さんは今ほど具体的なコメントを言ってなく避けてた感じのに対し、
仙台の監督さんは戦術的な事、選手の事など、そこまで言っていいの?と思う程具体的に話てた。
最近はようやく大槻さんも具体的にコメントをチラホラ言うようになったけど。
2019年08月02日 23:45
7.2 匿名の浦和サポ(IP:202.215.165.133 )
大槻監督は仙台のコーチもやってたことあるしね
2019年08月03日 00:35
8 匿名の浦和サポ(IP:219.105.109.22 )
マジで移籍情報なんもないけど、平気?
2019年08月03日 06:48
8.1 匿名の浦和サポ(IP:49.98.157.111 )
なかなかいないのかパトリックみたいなタイプそれとも現状で良しとまさかそれはないとは思うが
2019年08月03日 06:56
9 匿名の浦和サポ(IP:123.255.135.116 )
勝てばいいではなくて、芯から強くなりたいね。今までが外側の強さだけだったから
2019年08月03日 07:01
10 あああ(IP:180.47.176.78 )
清水のコラム読む価値無し
2019年08月03日 07:47
10.1 匿名の浦和サポ(IP:39.111.175.16 )
同感。
浦ビューが掲載されてから、戦術的な事は書けなくなって、
今回みたいなしょうもない(サッカーの本質とは関係ない)事しか書けなくなった。
多分今回が最後の掲載でしょう。。
2019年08月03日 09:23
11 匿名の浦和サポ(IP:118.241.63.24 )
これ以上を望むなら、というか優勝を望むなら
メンバーを入れ替えていくしかないが、入れ替えるメンツがいない。
2019年08月03日 09:42
12 匿名の浦和サポ(IP:111.239.154.143 )
根拠が主観的なところがあるけど、監督の振る舞いを分析するのは面白い視点だと思った。山中なんとかよりは面白いね。
2019年08月03日 10:32
12.1 匿名の浦和サポ(IP:182.167.131.76 )
比較相手が問題外かと。
2019年08月03日 11:58
13 ドリス(IP:123.255.135.177 )
おいおい早く補強してくれよな。
まさかパトリック獲れなくて、「他の選手は見ていませんでした」はやめてくれよな。
その場合だったら、パトリックは来る気満々で、レッズが断ったらしいじゃん。それはドアホ。
それに大槻もそうだよ。会見であんなに夏の補強を期待させるような発言したのは、「フロントの指示でした」ではないだろうな。こんなサポを愚弄したフロントは見たことないよ。
2019年08月03日 12:27
14 ドリス(IP:123.255.135.177 )
今思えば、オリベイラさんも可哀そうだよな。
シーズン前、ボランチと司令塔タイプのブラジル人選手2人の獲得を目指していたらしいけど、結局取れたのは柏木タイプのエヴェルトンだけ。もう一人はどうした????
えっ、、、まさかのフロントが監督の要望に応えられない、、、信じられません、、、
その結果、、、結果は付いてこず。オリベイラさんもフロントの協力を得られずして、このチームを去ったんだから、可哀そう。それに退任時にコメントがなかったのも【喧嘩別れ】したんだよ。きっとね。
2019年08月03日 12:35
14.1 匿名の浦和サポ(IP:119.224.172.249 )
ほんとその通り。オジェックで懲りてるはずなのに。
うちのフロントが他チームのフロントと明白な違いは継続力の無さ。
成績不振になれば、サポから不満がでてすぐ揺らいでしまう。
変わる監督によって浦和レッズの全部がすべてがぶれてしまう。
どういうサッカーを目指すか、全く将来的な建設ビジョンがない。
鹿島や広島は監督変わっても中身はぶれてない。
そこが本当に強いチームの第一歩だと思う。
フロントがしっかり気持ちもたないと
2019年08月04日 09:39
15 正々堂々。(IP:211.1.73.166 )
善い経営者は、何をやっても、良い結果は出る。
悪い経営者は、何をやっても、良い結果は出ない。
「勝ちたい」という想いの強い指導者に良い結果は付いてゆく。
「勝ちたい」という想いが強ければ、強いほど、なにからなにまで、強靭になってゆく。
「勝ちたい」という想いが弱いだけじゃね?
2019年08月22日 15:39
汰木康也が同じドリブラー関根貴大との共存を目指して、この夏に掛ける思いと...
今季最高の〇〇。守備の安定から生まれる好循環で質の高い鹿島戦に。