長年レッズを追いかけ続けるサッカーライター島崎英純さん、ミスターレッズ福田正博さんが浦和レッズについて熱く提言を行う「浦研プラス」。
今回、浦研編集部の許可を頂き、有料記事の一部を転載させて頂きます。
【コラム】公式戦3試合を終えて、新チームの傾向と目指すスタイルを考察(浦研プラス)
3-4-2-1に見える意図
AFCアジア・チャンピオンズリーグ・ノックアウトステージ・ラウンド16第1戦の浦和レッズvs蔚山現代。改めて、大槻毅監督はスカウティングを駆使して戦術、戦略を練るタイプの指揮官なんだなと認識した。
システムは過去のJリーグ第14節・川崎フロンターレ戦、同第15節・サガン鳥栖戦と同じく3-4-2-1を採用。これは大槻監督自身も語っているように現有戦力が最もストロングポイントを発揮しやすいシステムだと捉えられている。
分かりやすいアクションでは前線トライアングルの近接、ストッパーのオーバーラップ、ダイアゴナルパスの多用などで、これはオズワルド・オリヴェイラ監督体制時には奨励されなかったもの。いわゆるリスク軽減の名目で、これによって前体制では守備の強化が進み、天皇杯制覇などの成果を得た。一方で、オリヴェイラ監督体制では守備に比重を置くチームバランスが影響して攻撃がパワーダウンしてジレンマに陥った。そこで大槻監督は攻守バランスの見直しを行ったわけだが、今度は攻守転換の際の陣形不備が露呈して失点が増えた。3試合でいずれもシャットアウトゲームがなかったのがその証左で、バランス調整に苦慮している跡が見える。
蔚山戦では前線からのプレス&チェイスを若干控えたが、この点は修正点のひとつだろう。また2戦連続で先発した柴戸海をベンチに回してエヴェルトンと青木拓矢でダブルボランチを組ませ、局面への“食いつき”を自重した点も前回からの変化だった。個人的には局面強度を高められさえすればボールオリエンテッドなプレーも効果を発揮すると思うが、現状では局面へのアプローチ意欲が特定個人に限られ、チーム全体の共通認識として機能していない。また蔚山はカウンターアクションに秀でていて、安易なプレスワークで防御網を突破されると致命的なピンチに直面してしまうと考えられた。鳥栖戦ではサイドに人数を割いた中で相手にパスワークされて中央からカウンターを浴びるシーンが多々あった。そのために今回はボールサイドへの寄せを若干緩めてリスクを回避したのだろう。
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