コラム

『蔚山現代をどこよりも徹底分析!』ACL浦和vs蔚山現代プレビュー【浦ビュー】

今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。

 

 

2019 ACL ROUND16 1st.Leg プレビュー
浦和レッズvs蔚山現代FC

 

いつも読んで頂きありがとうございます。

 

厳しいグループリーグを突破して迎えた決勝ラウンドの舞台です。ベスト16の相手はグループHを1位で通過した韓国の蔚山現代FCです。ACLでは対戦相手の情報が少ないので、是非このコンテンツを活用して欲しいと思います。そして1人でも多くの浦和サポーターに読んで欲しいです。

 

私が蔚山現代に出会ったのが約1ヶ月前で、毎日コツコツと今季の蔚山を一応全部振り返ってみました。メモしたものも尋常な量ではないです。しかし、今、前のめりにこれを読んで頂ける方にとって情報過多だと伝わって欲しいものも伝わらないので、結果的にはこれまでと比べてもシンプルで簡潔な作品がいいのではないかと思いました。

 

蔚山現代戦にかける”情熱”と前のめりな姿勢”は、他のコンテンツを超えるものしたい!を合言葉に、誰も得しない努力を1ヶ月コツコツ励んで作り上げたこの作品に少しの時間を割いて最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

 

西川選手、岩波選手お誕生日おめでとうございます。

 

では、プレビューを始めたいと思います。

 

目次
~蔚山現代の今季の成績~
~蔚山現代の最近のスタメン~
~主力選手の特徴~
~蔚山について知っておきたい12のこと~
~最大の要注意選手と注目選手~
さいごに

 

〜蔚山現代の今季の成績〜

 

リーグ戦11勝3分2敗 勝ち点33 2位(1位と同勝ち点)
27得点はリーグ2位。 11失点もリーグ2位。

 

浦和と同グループだった全北現代と勝ち点は同じで熾烈な首位争いを展開しています。

 

ACL
vsシドニー 0-0 (A)△
vs上海上港 1-0 (H)〇
vs川崎 1-0 (H)〇
vs川崎 2-2 (A)△
vsシドニー 1-0 (H)〇
vs上海上港 0-5 (A)⚫️

 

3勝2分1敗 勝ち点11 5得点 7失点。
•ホームでは全て1-0での勝利。
•最終節の上海戦は消化試合要素があったので、それを含まなければ5試合2失点の安定感。
4試合で完封試合

 

ちなみに浦和は…
3勝1分2敗 勝ち点10 9得点 4失点
•ホームでは2勝1敗。
3試合で完封試合
•6試合通して強固な守備を見せて、先制できた試合ではスイッチが入りゴール量産という傾向。

 

〜蔚山現代の最近のスタメン〜

 

3節前 vs大邸

 

2節前 vs済州

 

前節 vs浦項

 

基本システムは4-5-1か4-4-2です。
•4-5-1の中でも中盤の構成は三角形、逆三角形ともに使いこなしています。
•怪我や累積の影響もあり、直近2節は本来左SBの13番がセンターバック起用。監督は手応えありの様子。
2チーム分戦える戦力を保持していて、怪我の復帰組も増えてきています。

 

浦和戦での個人的なスタメンと配置予想↓↓↓

 

 

蔚山現代を追ってきた中で、浦和相手にどのメンバーやシステムで挑むのかを考えた結果、このスタメンとシステムに辿り着きました。
•13番は本職の左SBに戻すと予想。
•38番のブルタイスは川崎戦で負傷して、前節途中交代で復帰。メンバーには帯同して埼玉にはいるようなので、出れるならスタメンで使いたいと予想。
•ブルタイスがスタートから難しければ、4番カンミンスが出場か。
SBは人材豊富で誰が起用されるか未知数
•4-5-1の中盤の構成はアンカーではなくダブルボランチを採用すると予想。ただ試合中に変化を必ず加えます。

 

•交代は、後半スタート若しくは15分以内に、11番イグノが15番と交代して出場。蔚山の展開なら早めに42番ミックス・ディスケルドを代えて8番のファンイルスや10番のシンジンホウを投入。最後はFW18番ミンソッキュやリードしているなら守備的選手を加えると予想。

 

以上、蔚山の傾向を踏まえて「浦和を倒すなら?」という目線で考えたときのメンバー選考について言及しました。

 

〜主力選手の特徴〜

 

ACL恒例の企画です。ACLは各選手の特徴や背番号すら分からないまま見ることがほとんどなので、是非このプレビューで試合を楽しく見られるように蔚山の個人にフォーカスして特徴を紹介していきます。

 

9番 ジュニオール・ネグラン
ブラジル国籍の助っ人ストライカー。リーグ戦では6得点、ACLでは2得点の活躍。スピードも収める力も決定力も抜群。傲慢さはなくチームプレーに徹しながらも、川崎戦では中央をドリブルでゴリゴリとこじ開けてゴールを決めるなどの瞬間的な強さは流石はブラジル人です。

 

•7番 キム・インソン
リーグ戦5得点、ACLでは2アシストの蔚山のエンジン的存在のSHの選手。蔚山の前線は多くがスピード感ある選手が多いですが、その中でも1番のドリブラーであり、前方へ動き出す選手です。浦和目線で言うと手を焼く選手でしょうね。私はミニ・ソンフンミンと見ていました。

 

•14番 キム・ボギョン
多くの方が知っているでしょう。大分やセレッソでプレー。昨季は柏レイソルでプレーするなどJリーグを知る2列目の選手です。Jリーグ当時からオールラウンダーで全てを器用にこなすイメージで、蔚山では複数のポジションをこなしドリブル、ラストパスには要注意な選手です。

 

•42番 ミックス・ディスケルド
2014年W杯の選出経験もあるアメリカ人の28歳の中盤。現在もマンチェスターシティのレンタル選手です。出し手としては異質な感覚を持ちセンスのあるパス、ゴールゲッターとしては2列目から飛び出す推進力も素晴らしいです。60分頃が交代の目安なのが特徴です。

 

•23番 キム・テファン
右SBがメインで一列前の右SHでもプレー可能な韓国人選手。リーグ戦では5アシストでアシスト王。1対1ドリブル成功率もリーグ1位です。クロスを上げさせたくない、オーバーラップさせたくない選手です。

 

•19番 パク・ヨンウ
2016年五輪の韓国代表選手であり、個人的には蔚山の心臓的な中盤の選手だと思っています。システムによりアンカーかダブルボランチのどちらかに起用されます。相手を見ながらポジショニングができ、チャンスメイクもできファーストディフェンスでもチームを支える存在だと思います。

 

•33番 パク・チュホ
こちらもJリーグではお馴染みの左SBの選手。ジュビロや鹿島でプレー。マインツでは岡崎慎司とプレー。順調にキャリアアップしてドルトムントにも所属経験あり。守備の競り合いの成功率はチーム1位で、やはりKリーグレベルでは上々の存在感があります。ACLでは1試合のみの出場で浦和戦に出るかは不透明。

 

•13番 イ・ミョンジェ
ACLでは5試合出場してパクチュホを凌駕している左SBの選手。パクチュホよりクロス回数や縦パスの回数は多い選手です。直近2試合はCB起用。セットプレーのキッカーを務めるだけあってロングボールの質も素晴らしいです。新潟に在籍経験あり。

 

•15番 イ・ドンギョン
東京五輪の出場を目指すU-23韓国代表10番をつける22歳の左利きのSH。キムボギョンと似ているイメージです。キックに自信を持っているようで積極的にロングシュートに挑戦します。ロングパス、ドリブル等々各分野でセンスがあり今後が楽しみな選手です。

 

11番 イ・グノ
こちらも多くの方が知っているでしょう。ジュビロ、ガンバでプレー経験があり、浦和相手にもゴール経験のある韓国のレジェンド的選手です。フルでの出場は難しいようですが、後半スタートから出場させるなど監督の信頼は厚いです。大事な試合ではベテランが力を発揮する。浦和としては悪夢再びは許したくない選手です。

 

•8番 ファン・イルス
怪我で序盤戦は出場できませんでしたが、5月中旬から復帰した韓国人SH。メチャクチャ速いです!!ドリブルでの加速力に凄さがあり、本来は主力級の選手のようなので、浦和戦ではスタメンもあり得ますが、後半から出てくると非常に厄介なアタッカーだと思います。7番より速いかもしれません。ちなみに2017年浦和が大逆転した済州戦で彼はスタメン出場しています。

 

•10番 シン・ジンホウ
19番、42番とともに中盤を支える安定感のある韓国人MF。守備の競り合いに強く、スルーパスやロングパスの精度が高いというデータを残しています。

 

•21番 オ•スンフン
京都と徳島で合計4シーズン活躍し続けた蔚山現代の絶対的ゴールキーパー。失点数は少なく、足元の技術もある選手ですが、Jリーグで活躍するクソンユンやチョソンリョンと比べられると実力は劣ると思います。

 

•監督 キム・ドフン
現役時代は神戸で大活躍した選手。蔚山での指揮は3シーズン目に突入。川崎戦の公式インタビューを見ましたが、論理的で賢い指導者である印象を受けました。

 

以上、主力的な選手を紹介しました。まだまだ紹介しておいた方が良いかと思いましたが、多すぎても情報が混乱すると思いましたので、12名を紹介しました。

 

〜蔚山について知っておきたい12のこと〜

 

①”結局”はカウンターでの攻撃が最も脅威

 

Kリーグは縦に早くゴール前での攻防が多いというのが印象としてあります。グループリーグで対戦した全北現代はまさにそのようなチームでした。
では、蔚山現代はどのようなチームなの?って見始めたときに、ボール保持時に最終ラインから足元で繋いで前進するプレーを多く披露していました。確かにキックオフの仕方も2通りあって、1つは下げたボールを浮かしてドカンと前へ放り込むタイプと、もう1つは前に放り込まずに繋ぐタイプです。そう考えると、本来抱いているKリーグのイメージとは少し肌合いが違うチームなのではないかと思いました。

 

しかし、試合を重ねて追っていくうちにゴールシーンやチャンスシーンの傾向を見ると、足元から繋いで前進して相手のブロックを崩しにかかることよりも、相手の攻撃をパスカット等々で奪ったところからのカウンターで一気にゴール前に迫っていることの方が効果的なチームでした。

 

更には蔚山現代のボール保持率はKリーグの中でも12チーム中8位の48.8%というデータでした。

 

私が最初に見た試合がたまたま凄いボール保持率が高かったという訳ですが、48.8%というデータでも最終ラインから繋いで前進させたいという狙いは、他の試合からも感じました。

 

ただ、ゴールを果たすという目的に対しての手段の中で、”結局”最も脅威な手段は、相手からボールを奪ったところからのカウンターです。

 

浦和目線で考えると、不用意な失い方、失ってはならないスペースでミスは蔚山は見逃してくれません。

 

②プレスの位置、強度は高くはない

 

4-4-2又は4-5-1が基本システムの蔚山ですが、非ボール保持時は高い位置からプレスに出ること、数的同数でハメにくることなどはしてこないと思います。当然、試合の入りや負けているときや横パスが続けば積極的にプレスに出てきますが、基本的にはプレッシャーを感じるほどの強度では来ないと思います。来たとしても、チームとしてではなく牽制のような単発的なプレスだと思います。他のKリーグのチームに比べて相手陣地でのリカバリーが少なかったり、奪う位置は後ろ側であることから、浦和目線から考えると、特にホームでの第1戦はボールを握り、相手陣地に侵入することはできると思います。ただ、最近の試合では前から出ることもトライしているようなので監督が「ACLの第1戦のアウェイ」と考えたときにどのようなプランを用意するのか見てみたいと思います。

 

インターセプトの回数はリーグで8位の回数。しかし、その回数をJリーグのデータに当てはめると4位の成績になります。(リーグも違い各チームの特徴が違うので参考程度にしかなりませんが。)

 

自陣地に攻め込ませてから奪い、広大な相手の最終ラインのスペースをスルーパスで前線の味方へ通す。これが最も脅威なので、浦和はボールを保持しながらも常に後方のマネージメントは必要ですね。

 

③蔚山現代と全北現代が強い理由は決定力

 

中盤省略して背後へのロングパスを多用することが軸でもなく、ボールを保持して秩序を作り相手を動かしながら攻撃をすることが軸でもなく、縦に早く攻めることが軸でもなく、各選手の武器を生かした即興性で、それぞれの手段を均等に使いながら攻撃をしているイメージでいいと思います。

 

では何故、蔚山というクラブは結果を残せて勝ち点を積めているの?って聞かれたときに、計16試合の蔚山のリーグ戦を見て最も感じたことは、相手に比べてシュートがちゃんと枠に飛んでいます。Kリーグの傾向としてボックス外からのロングシュートの回数はJリーグに比べて圧倒的に多いと思います。蔚山も例外ではなく15番や14番を筆頭にボックス外から積極的にロングシュートを打ってくるチームです。

 

シュートを枠内に打った割合は、44%でリーグ1位。そして、2位が42%で全北現代。40%越えのチームはこの2チームのみです。Jリーグに置き換えても40%越えは清水エスパルス1チームのみです。

 

つまり、色々なスタイルがあって、ゴールする為に様々な手段で攻撃するけれども、結局はシュートを枠に飛ばさないとゴールは生まれないという当たり前のことを他のチームよりも当たり前に蔚山現代と全北現代は行なっているので、得点も多く、勝ち点も多く積み上げているんだと思いました。これが強さなのでしょうね。

 

④中央攻撃からチャンスを生む

 

①の”結局”カウンターが最も脅威編③の決定力編と重なる話題になりますが、蔚山のチャンスシーンは、中央攻撃からが多いというデータになっています。Jリーグでは中央からの攻撃の方が多い割合のチームは中々少ないのではないでしょうか。では、何故そのようなデータになっているかといえば、①で言及した通り、「これはチャンスシーンだ〜」と言える前を振り返ると相手がボールを失い、ポジションバランスが悪い状況に陥っていて、蔚山がカウンターで前進できているので中央から攻めることができています。更には③で言及したロングシュートです。ロングシュートを打つエリアは流石に中央のボックス幅がほとんどです。サイドからは打ちません笑。

 

この2大要因によって、蔚山現代は中央から多くのチャンスを作っています。
だからといってサイドを疎かにして良い訳ではなく、右SBにはKリーグアシスト王の23番左SHにはドリブラーが起用されるはずなので、当然警戒は必要です。ただ、ドリブルで深く抉って侵入するというシーンはあまり見られませんでしたね。

 

⑤両SHは90%試合中にサイドを入れ替える

 

これは面白いです。
蔚山現代の特異な点だと思います。
題名通り、4-5-1(4-4-2)システムの中で、両SHは試合中に90%試合途中で左SHの選手が右に、右SHの選手が左にポジションを入れ替えています。入れ替わる1番多いタイミングが開始して10〜15分です。どちらかに得点が生まれたら変わったり、ハーフタイムで変わったり、選手交代で変わったりなどなどです。

 

1試合で4回ぐらい左右入れ替えることも多々あります

 

更には4-5-1システムのときはトップ下に14番キムボギョンが起用されることが多いのですが、14番キムボギョンも両SHともにこなせるので、両SHとトップ下の3人で不気味に入れ替わる試合も数回ありました。

 

流れ上とか、相手を動かすためにポジションチェンジすることはどこのチームでもあることですが、左右のSHが頻繁に変わるということは、あまり聞かないですね。それは、蔚山の攻撃陣が左右どちらともこなせる器用さがあることと、前述の通り、自分たちの形はコレだ!というハッキリしたものはないので、誰がどこで出てもある程度機能するチーム作りになっています。

 

この情報を知っておくのと知らないのとでは大きな違いがあると思います。

 

具体例を挙げると7番は右利きの選手ですが、スタートは左SHで起用されることが多いです。15番は左利きの選手ですが、右SHでスタートは起用されることが多いです。なので、相手からすればカットインを主に気をつければいい守備対応になりますが、何の前触れもなくいきなり左右入れ替わり、右利きの7番が右SH、左足の15番が左SHとなっていることを気づかずに対応してしまい、間違った対応をしてしまう可能性もあると思います。それほど映像で見る限りは自然に入れ替わっています。

 

なので見る側としては、代わったんだな〜程度でもいいのですが、浦和の選手からすれば、ちゃんと背番号を覚えておかないと蔚山の特異な点が落とし穴になるかもしれませんよ。(7番と14番は目立つオレンジのシューズを履いているのが目印です。)

 

余りにも入れ替わるので、コレは面白い!と思い言及させて頂きました。

 

⑥9番から始まるゴールへの近道

 

ここでは、蔚山の得意なことについて言及してみます。

 

恐らく最前線には9番のジュニオール•ネグランが起用されると思います。

 

蔚山の唯一と言ってもいい再現性のある攻撃パターンとして、

 

「9番に収めさせておいて……○○」

 

というパターンが2つあります。

 

1つ目が、9番に収めさせておいて、9番に対して追い越す味方、落としをサポートできる味方を作り、9番が落としたパスを受けた味方がダイレクトで追い越した味方へ届けるというパターン。

 

2つ目が、9番に収めさせておいて、9番とスイッチングして前向きな選手がボールを引き取り、相手のラインを越えるというパターン。

 

守備側からすれば、ゴールにへそを向けているより、ゴールに背を向けている方が、強く寄せることができると思います。しかし、9番のジュニオール•ネグランはいい意味でゴールに背を向けているときの方が脅威となっています。9番にとってゴールに背を向けて受けるときは、守備者が自分に強く寄せてくれる分、自分が収めて奪われることさえしなければ、他にスペースが広がり、味方のサポートも素晴らしい連携と共有でゴール前に迫ることは可能だと考えているはずです。器用なブラジル人ストライカーです。

 

9番と対峙するのは食いつきがち、1発で対応しがちなマウリシオになると思います。恐らくマウリシオ的に「自分がここは潰せる!」と思った以上に9番を潰すことは難しく、しっかり繋がれたり、スイッチングによって他の選手がマウリシオを越えていくことでゴール前まで迫ってくることができると思います。埼スタでの第1戦の失点の鍵を握るのはマウリシオだと思います。2019ACLでのインターセプトランキング第4位のマウリシオに大きな期待をしたいと思います。当然ながら、マウリシオのみの負担ではなく、収めさせない、パスを入れさせない、入ったとしても危ないところは消すなどチームとして負担を背負い、守ることが1番です。

 

更には9番を追い越して2列目から飛び出してくるのが、42番のミックス・ディスケルド、7番のキム•インソンなど前への推進力が抜群で止めることが難しい選手らが揃い踏みなので、余計に「9番に収めさせておいて…〇〇」は要警戒なのです

 

⑦スルー大好き蔚山現代

 

蔚山現代のゴールシーンやチャンスシーンを見ると、スルーが頻繁に行われています。

 

スルーを決断した選手は、その次に味方がいることが認知できているからする訳なので、チームとして同じ絵が描けている証拠だと思います。スルーは相手を1発で欺く、騙すことができる有効な攻撃の1つの手段なので、マークする相手の寄せる距離を考えながらプレーした方がいいと思います。とは言うものの、スルーを怖々しながら守る訳にもいかないので、ディフェンスは強く寄せた方がいいと思いますが、「スルー大好き蔚山現代」を頭の片隅に置いとくことは無駄な情報ではないと思います。

 

⑧浦和の勝機も中央から?

 

蔚山にとっての自陣に下がったゾーン1での守備対応についてです。

 

川崎戦や上海戦などの強豪相手に対策として見られた守備対応なのですが、4-4-2で守るときに両SHは、ボール状況関係なく、先に動いて大外にポジショニングする相手をマーク(ケア)していました。

 

横幅を4人で管理する中でどこを守り、どこを捨てるかという話ですが、4-4-2で守るチームは、中央にはスペースを与えたくないから、SHを中央に絞らせてと考えるチームが多くですが、蔚山は自分たちにとって、左サイドで攻撃を仕掛けられても、右SHは絞ることなく、反対サイドの大外にいる相手をケアしています。ブロックの手前の中央で持たれてもSHは大外をケアしています。見方によっては6バック化とも言えると思います。

 

なので劇的に、SHとDM間は広く中央にスペースは生まれています。

 

SHが大外をケアしている分、SBはサイドに釣り出される機会が少なくなるので、最終ラインの4枚は中央で鎖をしっかり繋がれていて、深いところまでは侵入させない、ボックス内に人数をかけておくことは他のチームよりできていると思います。

 

この守備対応をするときもあれば、全員がボールサイドにスライドする一般的な守り方をすることもあります。対戦相手によって変化はつけています。

 

ただ3–4–2-1でWBが存在する浦和相手なので、もしかすると、言及したような守備対応を行うかもしれません。そのような対応をされたときに、浦和がどう攻撃するのか。1番に考えられるのは、まぁ、中央から攻められるなら、それに越したことはない!ということで、中央からぶち抜く姿勢を通常の試合よりも意識を強めてみても面白いと思います。

 

更に6バック化と表現するならば、6-2の2の脇のスペースをできる限り深い位置に作りたい!と考えると、蔚山のラインを下げさせることができれば、それは可能になると思います。なので、サイドから攻めてSBがサイドに釣りださざる得ない状況を作り、サイド深くまで侵入することによって、蔚山のラインを下げさせた上で、斜め後ろにクロスを送れば、深いところで6-2の2の脇のスペースは作れると思います。

 

結果的に通常の試合同様に様々な工夫をしなければ、ゴールには辿り着けないのですが、蔚山の傾向として以上のことが考えられますので、ACL2失点の固い守備陣を壊す1つの考え方として捉えて頂けると嬉しいです。そして、蔚山が浦和に対してどのような守備対応をするのかは注目してみてみたいと思います。

 

⑨4-5-1ならば……

 

蔚山は試合によって、展開や状況に応じて4-4-2と4-5-1(アンカー型、ダブルボランチ型)を使い分けます。蔚山が4-5-1のアンカー型で守るならば、アンカーの脇のスペースは突きやすくなっています。試合を見ても他のチームも意識的にそのスペースから攻撃を繰り返していました。

 

確かに⑧で4-4-2について長文言及しましたが、埼スタでの第1戦のスタートは、4-5-1のダブルボランチ型の可能性が高いかもしれないと予想しています。そうなると、SHが大外をケアして6バック化の守備対応をしたとしても、中央に3枚なので4-4-2に比べると中央ぶち抜きは難しくなります。しかし、その分、浦和の最終ラインには、時間とスペースが生まれるので、最後尾からアクションを起こすことも面白いのではないかと思います。

 

蔚山の1トップ時のコースの切り方の傾向として見られるのが、サイドチェンジされることを嫌った切り方をしていました。つまり、中央CBが左CBへ横パスを送ったときに、蔚山の1トップは、ボールホルダーの左CBに対して中央CBへのパスコースを完全に消した限定の仕方をしていました。なので、左CBにとっては前に運ぶスペースが広がっていることになります。

 

そのコースの切り方を見ると、前に運ばれることよりもサイドを安易に変えられることの方が嫌なんだと思いました。

 

浦和がポジションを変えずに3-2-4-1で前進を試みて、蔚山が4-5-1だとすれば攻撃の鍵を握るのは左右のCBだと思います。

 

⑩川崎と鳥栖を最低限封じることができたから大丈夫

 

一応、最終ラインスタートで足元から繋いで前進させる際の特徴について言及しておきます。

 

中盤19番のパク・ヨンウが相手のシステムの噛み合わせをみて2CB間に降りて数的優位を確保したり、インサイドハーフ42番のミックス・ディスケルドがライン間ではなく時間とスペースが作りやすいSBのポジションまで降りてビルドアップを構築することは見られます。SBはリスクを負わないポジショニングで後方でサポートに入ります。で、やはり、出し手としては42番ミックス・ディスケルド、受け手としては9番ジュニオール・ネグランが助っ人外国人だけあって一番警戒するべき選手です。蔚山よりも川崎や鳥栖の方が足元から前進させるためのポジショニングやデザインの質は高いです。なので、ボールを持たれることにそれほど危機感を持つ必要はないはずです。それよりも、連動なく中途半端に出てしまい自ら蔚山にスペースを与えることの方が危機感です。大槻体制になり、前線からプレスに出ることに取り組み始めているので、蔚山戦でも基本的には前へ前へと出ると予想されます。蔚山の失点傾向も自分たちの繋ぎのミスからのカウンター失点なので、連続した連動を行うことができれば、十分にゴールは狙えると思います。

 

一方で、オープンな展開はしたくないと大槻監督や選手たちからコメント出ていましたが、今季のACLや鳥栖戦を見てもオープンな展開からの方が浦和のリズム、ゴールが生まれています。ACLでの戦いでオープンな展開の方が強いJクラブは稀な存在だと思います。選手たちは、コントロールして試合を進めたいようですが、個人的にはオープンな展開になることが今季の浦和にとって悪いことではないと思います。オープンな展開に強い蔚山と殴り合ってどうなるのかも興味として見てみたい気はします。。。

 

⑪フリーキックはゴールチャンス

 

この部分は、試合を見ながら感じた個人的な意見ですが、蔚山現代の被フリーキックについてです。

 

ボックス内の味方へ合わせる系のフリーキックでは、かなりの頻度で合わせられて枠に飛ばされていました。CKはしっかり守れていたのですが、フリーキックになると極端に相手に合わせられていたんです。右SBで起用される23番はファールの数がリーグトップクラスでもあり、蔚山現代自体もファール数がリーグトップクラスなので、ゴール前のサイドからファールを獲得して、槙野が合わせて決めちゃうなんて理想図を想像してしまいました。

 

見る側としてはフリーキックになったときは、いつも以上に期待膨らませて、立ち上がる準備をしてもオッケーかなと思います笑。

 

⑫ACLグループリーグでの両チームのデータ

 

両チームともグループリーグで対戦した3チームの相手が違うので、参考程度にしかなりませんが、さまざまなデータにおいて浦和と蔚山は近い数字となっていました。グループリーグ32チームの中で各部門で順位がズラーと出ていましたが、ほとんど浦和と蔚山は近い順位、数字でした。具体的に数字を載せたところで、順位も14位と16位と伝えたところで、イメージつきにくいものが多かったので今回は避けます。

 

ACLでの浦和の戦い方に似ているというのがデータを伝えるよりも理解しやすいポイントなのかなと思います。

 

以上、蔚山現代について知っておきたいことを12項目に分けて言及してみました。

 

それぞれのサッカーに対する価値観や哲学があると思いますが、個人的には蔚山現代よりも同時期に追っていた川崎や鳥栖や北京国安の方が、面白く好みのサッカーをしている上に、浦和にとっては勝つのに苦労する相手だろうなという視点で見てきました。

 

なので個人的に蔚山現代は、川崎や鳥栖、更には北京国安よりも倒すことが難しい相手ではないと思います。

 

それでも、それでも、それでも、
状況関係なく伏線もなくゴールを決めてしまう、内容に捉われずに勝ってしまっているという強さが、”結果”として残せてしまうチームなんですよね、蔚山は。

 

これまでのKリーグとは少し肌合いが違うチームでありながら、勝ち切る強さは抜群に持っている蔚山現代。難しくてしんどい試合になると思います。浦和がどのような狙いを持って蔚山に仕掛けるのか楽しみですし、この1ヶ月我が子のように見てきた蔚山が埼スタでどのような狙いを持つのか、そして、飲み込まれていくのかも見てみたいと思います。先ずは、圧倒的なホーム感でリードを奪う第1戦にして欲しいですね。

 

~最大の要注意選手と注目選手~

 

個人にフォーカスすることは好みませんが、蔚山現代の注目選手は、15番のイ・ドンギョンとスタメンもしくは後半からの途中出場の8番ファン・イルスです。15番イ・ドンギョンは東京五輪世代と若く最近ノリノリでもあり、結果もついてきている選手です。8番ファン・イルスは速いです、浦和の苦手分野の選手です。助っ人外国人が見どころなのはみんな知ってると思うので、韓国人選手を挙げるならばこの2人に注目してみたいと思います。

 

浦和の注目選手は、大槻監督がスタメンはいない!練習で良かった選手、相手に最適な選手を起用すると言及している限り、事前に注目選手を述べることは良くないことですね。ただ特別に挙げるならば、毎試合武藤の出来が浦和の結果に左右する、蔚山現代戦では、マウリシオの出来が結果に左右すると思ってますので、この2人を注目選手に挙げてみます。

 

~蔚山現代今季のゴールシーンと失点シーン~

 

では、この作品の終わりに蔚山現代の今季の得点シーンと失点シーンの映像を見て締めたいと思います。これまでに言及したことが、ほとんど詰まっているので、時間のある方は数回見て頂くと、プレビューの内容とリンクして蔚山に対して理解が進むと思います。

 

 

 

 

 

さいごに

 

 

180分の前半の90分とはいえ、2016年ではソウル相手にホームで1-0で折り返しながら、アウェイで敗退しているので、浦和の最大の武器である”ホーム感”で必ず勝つだけではなく、大きなアドバンテージを得て欲しいと思います。再びACLの埼スタの雰囲気に立ち会えるのが今からワクワクします。

 

 

読んで頂いた方の受け取り方次第ではありますが、自分のできる限りの工夫で満足のいく作品を提供できたと思います。この作品が、読んで頂いた方にとって、試合を楽しむ上での1つの視点となれていたら最高の喜びです。

 

 

そして、今回はACLなので面白さに関係なく読んで頂いた方全員にTwitter上でリツイートや引用リツイート等々で **#浦ビュー** とつけて拡散、宣伝して頂けると嬉しいです。

 

 

長文読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

浦ビュー

初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ux1JmiTaYbsMArM

 

コメント

  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:111.239.177.28 )

    詳しい情報ありがとうございます。

    このコメントに返信

    2019年06月18日 13:54

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:1.75.213.80 )

    明日6月19日(水)参戦します❗
    日本国旗、日の丸 持参したい
    クラブへ申請してません
    新規です
    持参ダメですか?

    このコメントに返信

    2019年06月18日 13:59

    • 2.1 たか(IP:126.247.145.116 )

      国旗は、事前申請不要ですよ

      2019年06月18日 17:04

    • 2.2 匿名の浦和サポ(IP:153.169.145.115 )

      本来なら旭日旗も問題ないんだけどな。

      2019年06月18日 19:49

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:219.16.6.156 )

    日本でのプレー経験ある奴結構いるなぁ〜

    このコメントに返信

    2019年06月18日 18:59

  4. 4 匿名の浦和サポ(IP:1.75.240.150 )

    明日6月19日(水)
    平日、ナイトゲーム、雨予報
    vs.韓国が相手
    燃える❗
    ジャパニーズ オンリー
    韓国消えろ❗

    このコメントに返信

    2019年06月18日 19:23

    • 4.1 匿名の浦和サポ(IP:60.46.149.193 )

      だから!
      この変な日本語の短文改行小僧は他サポだから(3回目)

      2019年06月18日 23:13

  5. 5 匿名の浦和サポ(IP:27.94.49.152 )

    強そう~進化が問われますね

    このコメントに返信

    2019年06月18日 21:41

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:112.70.23.210 )

    2対0で勝とう。
    さて、スタメンは?

    このコメントに返信

    2019年06月18日 21:45

  7. 7 匿名の浦和サポ(IP:126.197.7.35 )

    鹿島勝ったから、続くぞ!
    そして、準々決勝か準決勝でアジアの舞台で鹿狩りだ!

    このコメントに返信

    2019年06月18日 21:47

  8. 8 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.78 )

    イ グノ
    ガンバ大阪時代、結構やられたからな…
    キム ドフンが監督か

    このコメントに返信

    2019年06月18日 22:00

  9. 9 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.78 )

    地震、怖いな
    もし、試合参戦中
    地震発生
    どうする?

    このコメントに返信

    2019年06月18日 22:46

  10. 11 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.78 )

    蔚山現代の選手、スタッフ
    地震怖い
    韓国へ帰る
    言うんじゃない

    このコメントに返信

    2019年06月18日 23:14

  11. 12 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.78 )

    昨日の昼、嫌な雲とカラスの異常行動見た
    昨晩 山形、新潟で地震…
    埼玉スタジアム2002
    耐震性、大丈夫?

    このコメントに返信

    2019年06月19日 00:40

  12. 13 匿名の浦和サポ(IP:1.75.237.78 )

    がんばろう山形、新潟、北陸
    浦和レッズの勝ち点3を❗

    このコメントに返信

    2019年06月19日 00:49

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