コラム

『浦和レッズの未来が懸った一戦をレビュー』ACL浦和vs北京国安【浦ビュー】

今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。

 

2019 ACLグループリーグ最終節 レビュー
浦和レッズvs北京国安 3-0。

 

いつも読んで頂きありがとうございます。

 

“浦和レッズの未来が懸った一戦”と位置付けて挑んだ戦いに見事な勝利を収めてグループリーグを2位通過で突破しました。おめでとうございます。
久しぶりに勝利のレビューができますので多くの方に読んで頂けるのかなと期待をしながら、結果に囚われず1つの考えとして提供できればなと思いますので最後まで読んで頂けると嬉しいです。

 

では、レビューを始めたいと思います。

 

目次
~スタメンと基本システム~
~スタートの両チームの狙い~
~北京国安の苦しかった事情~
~チーム浦和の勝利~
~この試合最大のピンチから強まる劣勢~
~流れを変える大きな先制点~
~貴重な追加点~
~後半戦~
~北京国安目線の色々~
~決定的な3点目~

 

〜スタメンと基本システム〜

 

 

浦和は予想通りのスタメン。3-5-2でした。
北京国安は左SB4番の出場停止により15番のリューファンが起用。更に中盤の10番のシージエが欠場で26番のポンが起用。4-3-1-2でした。

 

〜スタートの両チームの狙い〜

両チームともにスタートから攻撃的に行きたい姿勢が見えました。その中で開始30秒に中盤の攻防で浦和が奪ったところから前進するために柏木へ送ったパスを6番ジョングオにファールで止められました。
北京国安もプレビューで言及した通り、相手の最初の攻撃の起点となる選手には大抵6番ジョングオが規制をかけるので、北京国安としても狙い通りの守備だったと思います。

 

序盤の浦和の攻撃で見られたのが右CB19番の背後を武藤が取ることです。

 

1分30秒のFKからや3分20秒のスローインから武藤は中央から左サイドへ流れてきて出し手の選手から右CB19番の背後でボールを受けていました。
比較的動かすことが難しいはずの右CB19番を動かさざる得ない状況を作れたことは少なからず北京国安を不安にさせたと思います。
実際に1分30秒からのシーンではボックス内で森脇がシュートを打つシーンまで繋がっているので浦和は行けるぞ!と精神面で落ち着けたはずです。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画①

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北京国安は非ボール保持時は4-3-3を形成して最前線2人を浦和の左右CBに当てて、トップ下のビエラを中央CBマウリシオに当てて前から規制したい姿勢を見せました。

 

反対サイドまで流れて起点となっていた武藤は今度は本職の場でチームの起点となり、4分33秒は大輔先生からの縦パスを武藤が降りて受ける。(菱形から紙飛行機型へ)

 

7分08秒は北京国安の攻撃を受け止めて興梠へ送ったところから北京国安の唯一の短所であった「攻め上がった後のSBの本来のポジションが空きがち」を狙うサイドに武藤がポジションを取っていて興梠からのパスを受けそうになりましたが、カットされました。

 

ここまで既に多数登場しているように武藤の躍動が目立つ立ち上がりとなりました。

 

一方で北京国安がボールを保持したときについて。

 

7分20秒のシーン。
浦和はかなりいいライン設定をしたと思います。
下がりすぎず、前から行きすぎず、コンパクトさを保ちながら」を意識していたと思います。
最も意識していたと思われる部分が最終ラインの背後です。(あとで紹介するデータにもそれは現れています。)

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画②

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そして、先ず消すところは中央であることが色濃くハッキリと明確に狙いが見えました。
更にWBもできる限り中盤と同じラインに立つことを意識していました。3-5-2をできる限り意識していました(13分06秒など)。それに加えて北京国安は本来の姿とは違い、SBを予め高い位置を取るプランを組んできたので浦和のWBと北京国安のSBが近い距離でマッチングしたので浦和目線で考えれば、捕まえやすかったと思います。そして、北京国安目線で考えれば、SBがスイッチ役となって相手陣内へ侵入して攻撃をするのが本来のリーグ戦や前回対戦では上手く機能していたはずなのに勿体ない気がしました。そして、良くない点が多かったと思います。
①SBをいつものように低い位置からスタートさせた方がビルドアップの経由地にもよりなれたはず
② ①をすることにより浦和のWBはもっと高い位置まで捕まえに来るかのかといえば、できなかったはず
③右SB38番のワンガンは特に前への推進力が魅力的すぎる選手で前回対戦は宇賀神を翻弄していた。予め自分の前へのスペースがないポジションより低い位置から初めてスイッチが入ったところから前へ出た方が自分の武器を発揮しやすかった
④何より北京国安は自分たちの陣地で相手が食いつくのを待つために多く最後尾に人数をかけてビルドアップをすることで勝ってきたチームのはず(少なくとも前回対戦ではそれで浦和を苦しめていた)。

 

以上の点が挙げられます。
結果、SBが高い位置を取ったのも影響してか前へ攻め急いだ感がありました。

 

12分に立ち上がりに負傷してしまった柏木に代えて長澤を投入しました。山中との関係は良好だった12分だったので悔しい交代だったと思います。

 

15分20秒のシーンは、お互いが良くできていましたが、浦和が更に上回ったシーンです。

 

西川からのロングパスに森脇、武藤と繋がって武藤が中央で前を向けたのに対して北京国安は6番と26番が素早くスライドして前進させるパスを送られないようにポジショニングを修正しました。そのように対応された武藤は横パスで長澤へパス。すぐに山中へパス。そのパスの移動中に武藤は動きを止めずに斜めに走り続けて山中に対峙する右SBの背後で武藤がスルーパスを受けました。

 

動きを止めないこと。

 

動き続けることが効果的とは限りませんが、この試合においての武藤と長澤の共通点はここで、エネルギーの使い方が本当に上手でした。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画③

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〜北京国安の苦しかった事情〜

17分に北京国安もアクシデントにより、6番ジョングオに代えて9番ユーニンを投入しました。

 

ピッチで何が起きたのかだけをレビューすればいいのですが、せっかく良いチームなので北京国安の苦しかった事情について言及します。

 

先ずは前回対戦ではスタメンとして出場していた中盤の8番は長期の離脱?で今回は出られませんでした。また、直近のリーグ戦までは出場していた中盤の10番のシージエが怪我で日本には連れてきていないと前日の会見で判明しました。そして、6番のジョングオが17分で交代。北京国安は外国籍選手に依存しているチームではなく中国人の選手、特にプレビューで動画見て頂いた通り10番のシージエは外国籍選手に負けない素晴らしい選手でした。3人の中国人の主力中盤が使えなくなったので前線の選手である9番ユーニンを使うしかなかった事情が北京国安にはありました。スタートの4-3-1-2(4-3–3)からレナトアウグストをボランチに置いた4-2-3-1に変更しました。

 

結論から言うと6番の負傷交代が結果にかなりの影響を与えたと思います。6番の相手の攻撃の出口を最初に潰してくれる守備力が失ったことも誤算でしたが、通常なら中国人の優秀な中盤がバランサー役となっていたからこそレナトアウグストとビエラが中央にサイドに自由にポジションを移りながら攻撃を作れていたのにレナトアウグストがボランチとして中央に固定化するしかなかったことが北京国安の攻撃に迫力がなかったことの大きな要因だと思います。

 

で。試合に戻ります。

 

〜チーム浦和の勝利〜

21分。
北京国安のCKの時の対応で浦和レッズ分析担当の流石さを感じました。

 

リーグ戦での北京国安は両CBの2番と19番に合わせるCKが多い傾向のチームでした。
その2人に誰をマークさせるかなと見ていましたが2番には槙野。19番には大輔先生がついてました。
バカンプという存在がいるので初見の人にとってはバカンプに1番強い選手を当てた方がいいのでは?と思いがちなところを浦和レッズ分析担当はしっかりと要点を抑えて危ない2人に安心の2人をマークさせておいてバカンプにはなんと青木をつけさせました。結果的に危ないと思ったCKは1度もなかったのでチーム浦和で勝ち取った成果だと思います。

 

〜この試合最大のピンチから強まる劣勢〜

しかし、22分40秒からこの試合最大のピンチを迎えました。

 

最終的にはバカンプと西川の1対1になったシーンです。

 

ちょっと詳細に言及してみます。

 

➤長澤が右SBに規制をかけて右CBへバックパスさせたところからです。今は右CBがボールホルダーです。

 

➤右CBから左CBへパスを送ります。
それと同時に武藤が寄せます。武藤はサイドへ誘導させたいような寄せ方をします。

 

左サイドにいる左SBへパスを出して欲しいという試合を通じて見られた守備対応をこのシーンでも行いました。しかし。

 

➤流石は年俸4億円の韓国人選手。武藤の思惑の逆を突き中央に身体の向きを向けます。

 

➤そして右CBへリターンパスを送りました。

 

ここで浦和的にエラーが起きていると思います。
先ずは、武藤の思惑は物凄く分かります。
この試合を通じてほとんどのシーンで武藤は矢印を示してプレスをかけてくれていたので後ろの選手が守りやすかったです。このシーンでもサイドへ誘導させるよと特に森脇に向けて矢印を示していました。

 

上の写真で見ても武藤が右手を挙げてごめん、ごめんと森脇に合図を送っていました。

 

個人的にはこのシーンにおいてはサイドへ誘導させるためには興梠との共有も必要だったと思います。

 

戻って、左CBに武藤が寄せているこの写真から。

 

興梠は5番のレナトアウグストにエヴェルトンは26番の選手を監視しているように見えます。これ自体も悪くはないです。

 

ただ、武藤がサイドに誘導させたいという目標に向けて自分一人では達成できないということです。
つまり、サイドへパスを出させたいなら中央を防いでないと難しいということです。

 

そしてこのシーンにおいてそれを実現する術があったはずだと思います。

 

それは、
①興梠を右CBへ監視させるポジショニングに移動する。
②レナトアウグストは恐らく武藤が背中で消せている。
③エヴェルトンは26番への監視はそのままで一応レナトアウグストにも警戒できるポジションに移動する。

 

この3つを行えていれば、実際に起きたシーンは起きていないと思います。

 

あとは、右利きの左CBなので、右から来たボールに対して中央側へトラップしやすいことを理解して、更に膨らむように武藤自身が右CBへリターンパスさせないような切り方ができればサイドに誘導できたのかなと思います。

 

まぁ、誰も悪くない部分なのに何故ここについて言及しているかといえばこの後にピンチを迎えたからです。

 

右CBへリターンパスを受けた後から続きを見てみましょう。

 

▶︎興梠がレナトアウグストのマークを放棄して右CBへプレスに出ました。ここまでハッキリとは前線からプレスに出ていませんでしたが、ここで出ました。しかし、プレビューで言及した通り、食いついてくれるこそが北京国安の狙いです。

 

▶︎興梠の背後へレナトアウグストへ届けるパスを送ります。エヴェルトンが26番のマークを放棄して追います。

 

▶︎しかし既に後手を踏んでいるので追いつけずにレナトアウグストはパスを送ります。

 

▶︎青木と長澤のライン間に素晴らしく立っていたビエラにパスが入りました。ポジショニングの良さが光ります。浦和は間延び感が出ていますよね。

 

▶︎ビエラはワンタッチしてから最終ラインの背後へスルーパスを送りました。マウリシオがビエラに釣り出されました。

 

▶︎そして、SH(WG)として山中と槙野の間をポジショニングすることを意識していたバカンプがお得意の最終ラインの背後へ抜け出しました。

 

▶︎チームとして背後を注意するような守備がここまでの20分で出来ていたので、その効果が西川に。
かなり前からスルーパスが出てくることを予測したポジショニングとなっています。最終的にはこの西川の読みと判断が正解でした。そして、ナイスセーブでした。

 

一連の流れを振り返りますと北京国安にとっては、相手が食いついてきてくれたら前進して相手陣内へ侵入したら一気にスイッチを入れてゴールを目指すというチームなので、浦和が食いついてきてくれて良かったなと思う攻撃でした。

 

一方で浦和は、武藤がちゃんと守備の矢印を示してくれたところを外されてからの後手後手の対応でシュートまで運ばれました。興梠が右CBへ寄せるタイミングはこれで良かったのか? それに対してのエヴェルトンの反応は? もっと前線に合わせてラインを高く上げるべきだった? と、様々考えられることがあると思います。

 

北京国安の狙い通りの攻撃を浦和の守備から作ってしまったという点においては悪い守備対応だったと思います。だだ、狙いの意図は強烈に理解できるのであとは全員同じ絵が描けることが大切ですね。

 

では、動画で確認してみましょう。
2019ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画④

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その後のプレーでも武藤がサイドへ誘導させて森脇が5バックではなく中盤のラインにいることでSBへパスが出ればすぐに寄せられる好循環な守備の仕組みは作れていました。試合を通してです。
北京国安は本来の左SBの4番リーレイの出場停止が相当響いてます。(結果のデータから先に言うと前回対戦で左SBの4番のパスを受けた回数から今回の左SBの15番のパスを受けた回数は約半分に減っています。
これは武藤が誘導に失敗したと言うより、15番に対しての信頼と森脇が常に近くにいたことにより出しづらかったことが要因だと思います。北京国安の左サイドからのチャンス割合は前回対戦に比べて25%も減少しています。)

 

それでも、前述の決定的なチャンスを作ったところから北京国安が攻勢を強めました。

 

29分12秒は、あってはならない最終ラインの統率ミスでオフサイドを取り損ない、渡っていれば絶体絶命のロングパスを左CBから左SH(WG)へ送られましたが西川まで流れてくれました。

 

更に32分32秒は、ゾーン2で右SBにWB山中ではなく中盤の長澤が寄せたところからズレを作られて中央のビエラにパスが送られたのに対して青木がプレスに出ました。更にその前のプレーでエヴェルトンはまさかの反対サイドに居残ったままだったので、中盤の3人が中盤を空洞化にしてしまい、ビエラの伝家の宝刀アウトサイドから中盤空洞のスペースに侵入してきたレナトアウグストへパスが出ました。一気にドリブルでボックス手前まで運ばれてピンチを迎えました。このシーンが終わった後に青木がエヴェルトンに何故中央にいなかったんだと言ってましたね。中盤の鎖が完全に解けていた良くないシーンです。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑤

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〜流れを変える大きな先制点〜

流れは北京国安でしたが、浦和が先制に成功しました。

➤浦和が最終ラインからビルドアップを始めたところからです。

 

➤北京国安は1トップでファーストプレスをかけるのでマウリシオと槙野で数的優位を確保しているので大輔先生は自分が高い位置を取っても大丈夫と判断してサイドに開きます。そして、黄丸で囲んでる20番に対して大輔先生とエヴェルトンに挟み込んで選択肢を与えました。止めました。

 

➤ボランチの26番がエヴェルトンへパスを防ぐために先に動いて規制をかけます。ここでエヴェルトンに出せば四方に北京国安がいるのでグッと囲まれそうです。26番の背後に武藤がいます。流石。

 

相手がそうするなら、その逆を突けばいい。
マウリシオは運ぶドリブルから密集させて長澤へパスを送りました。

 

➤武藤は今ここです。マウリシオからのパスを受けられませんでしたが、武藤は動きを止めません。

 

➤前を向いた長澤に対して北京国安のボランチ2人も前進させないような守備対応をできていました。

 

相手がそうするなら、逆を突けばいい。
長澤はターンしてから斜め後ろの青木へパスを送りました。

 

➤レナトアウグストは本来のポジションから離れて釣りだされた格好となりました。そして、動きを止めなかった武藤がそのライン間へ顔を出しました。北京国安的にはバカンプがスライドすることができたのかなと思います。実際にリーグ戦では中盤は横に圧縮して中央から消すことが優先されていたので、バカンプにそのタスクを背負わせないといけない事情が苦しかったですかね。

 

➤そして青木から武藤へパスが入りました。そして、ワンタッチで前を向きました。そして、右CBが前向きに重心をかけてきたので…

 

➤斜め前の長澤へパスを送りました。
長澤のシュートまでのモーションも最高でした。
シュートを打つと最初から決めているので、これほどスムーズな動きができるんでしょうね。最後は自分のシュートを打てる角度にボールを置きシュートを打ちました。

 

動きを止めなかった武藤、「相手がそうするなら、その逆を突けばいい」を2回、北京国安の誤算、長澤のポジショニングの良さと決定力が含んだ先制点でした。

 

では、動画で確認してみましょう。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑥

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〜貴重な追加点〜

1-0では、多くのサポーターが安心の点差ではなかったと思います。その意味で前半のうちに2点目を前半に挙げられたことが本当に大きかったのではないでしょうか。しかも、素晴らしいゴールから。

 

北京国安が押し込んでユーニンがロングシュートを打ちましたが、味方に当たって跳ね返ってしまいそのボールを浦和が回収して長澤に繋がったところからです。

 

ここは誰もが長澤に称賛を送るしかない素晴らしいプレーでしたね。

 

長澤のファーストコントロールから最初の一歩目が完璧でレナトアウグストの前に身体を入れて、レナトアウグストも自分が負けるはずないと思ってたはずなのでファールでは止めなかった、というよりもファールで止めることも難しいコースに長澤に入られました。

 

そして、長澤のドリブルコースも良かったと思います。北京国安の唯一の短所である「攻撃した時の本来のSBのポジションが空きがち」を狙って、右SBの攻め上がりを突く位置にドリブルしていきました。
右SB38番ワンガンは一生懸命プレスバックする気配はなく、終いには出ていないボールに対してスローインだとアピールすることしかなく、完全に対応が悪かったです。

 

完全に振り切った長澤を右CBが対応しますが、長澤の内側に侵入するスピードに追いつけずに交わされました。

 

そして、ボックス内では先ず、興梠が左SBを完全に自分に引き込ませる動きをしました。興梠としては、森脇をフリーにしたい狙いがあったと思います。その森脇は大外で大フリーとなっていました。カウンター的な攻撃にも関わらず、ここに森脇がいるということが本当に素晴らしいですね。

 

しかし、長澤は手前の武藤にパスを送りました。
武藤の意図とは少し違うようで思い通りのシュートではなかったと思いますが、興梠が引き連れていた左SBに当たってコースが変わってくれてゴールに吸い込まれました。

 

長澤の交わすドリブルがゴールの最も大きな要因だと思いますが、ゴール前でやるべき選手たちがしっかりとアクションを起こせていたことにも称賛を送りたいですね。

 

では、動画で確認してみましょう。

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑦

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2-0とリードを広げて前半を終えました。

 

〜後半戦〜

両チームともに、浦和が追加点を挙げて以降に浦和は非ボール保持時5-4-1(3-6-1)に変更、北京国安はレナトアウグストを2CB間の間に入れてビルドアップを構築する機会を増やしていましたが、後半になってより明確にそのように互いに変更しました。

 

46分53秒は山中の最強のクロスから武藤には是非決めて欲しかったヘディングシュート。

 

47分38秒からは、名古屋戦では泥まみれと表現した最終ラインからの前進がこの試合は改善されたところから武藤のシュートまで完結したシーンを作りました。 ちょっと詳細に言及してみます。

 

▶︎西川がボールホルダーのところからです。

 

▶︎名古屋戦とは違い、ポジションをすぐに修正してサイドに大きく開きました。

 

▶︎そして西川からのパスを槙野が受けました。バカンプとの距離を広げておいたので、周囲を冷静に認知できましたし、次に渡す選手の時間も作れました。

 

▶︎山中が降りてパスを受けました。北京国安の右SBも最初は一緒に追ってましたが、ここまでついていくのは辞めたので、フリーで受けられました。

 

▶︎青木が近寄ることでエヴェルトンをフリーにしてパスコースを確保してあげました。

 

▶︎そしてエヴェルトンにパスが通りました。

 

▶︎長澤、興梠が最終ラインを下げさせるために前方に走り引っ張る。

 

▶︎最終ラインを引っ張ったことにより、山中が浮いたので…

 

▶︎最終ラインを引っ張っていたのでライン間は拡大中。

 

▶︎山中から武藤へ対角のパス。そして、シュート。シュートは大きく外れました。

 

西川から始めたビルドアップでしっかりとしたポジションバランスからスタートをできていたので、良い攻撃が作れたというシーンだと思います。
誰かの為にパスコースを作ってあげたり、相手に影響を与えてあげる動きなどなど。当たり前のことを当たり前に行うことの重要性を感じました。

 

では、動画で確認してみましょう。

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑧

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そして、後半からも変わらず49分55秒、51分32秒と明確にサイドへ誘導させるようにプレスをかける対応をする武藤。矢印を示してくれるので本当に後ろの選手は狙いをつけやすかったと思います。

 

〜北京国安目線の色々〜

この試合通じて、北京国安の前線に送るロングパスは淡白だったと思います。プレビューで北京国安の良さは相手に影響を与えられるユーニンがいてバカンプが生きていると言及していましたが、この試合では誰かが浦和最終ライン陣に影響を与えてから背後のパスを送るというシーンがなく常に出し手と受け手の2人のみの関係だったので点と点でピッタリと合わない限りは浦和は動かされていないので守りやすかったと思います。

 

そして、唯一ユーニンが槙野に影響を与えたところからレナトアウグストに背後を取られせたのが59分19秒のシーンにありました。これは、北京国安良かったと思います。

 

あとは、60分〜68分くらいの間、レナトアウグストとビエラを中心に中央からライン間を通すパスを何度か通して前進しましたが、動かされることなく迎え撃つ守備なら3人のCBは天下一品なので縦に前に強く潰すことに成功していました。

 

69分に北京国安は20番に代えて29番を投入しました。20番はプレビュー時に神トラップをする選手と紹介していましたが、実はそれほど脅威を感じる選手とは思っていなく、スタメンに9番のユーニンではなく20番が起用されたことにはラッキーだと思いました。更にはこの試合を見てもわかりましたが、20番より29番の方が効果的な選手でした。残念ながら浦和のDF陣を翻弄できるだけの実力は持っていませんでした。

 

それは、バカンプも同じです。
背後を取らせれば、前を走らせればバカンプはトップクラスの選手ですが、自分で交わすこと、仕掛けることに関してはそれほど脅威ではないので槙野レベルの選手には敵いませんでした。

 

〜決定的な3点目〜

80分に浦和がグループリーグ突破を決定づける3点目を奪いました。

 

西川からのロングパスを興梠がサイドで起点となり、中央の武藤へパス。北京国安はレナトアウグストが本来のポジションではないので中央が崩壊気味になっていていました。武藤から山中へと展開。山中からボックス脇を取るスルーパスを武藤が要求して送られる。武藤がダイレクトで左足でマイナスへクロスを送り興梠がダイレクトで左足でゴールへ突き刺しました。

 

武藤が深さを取ったことがゴールの決め手だと思います。プレビューでは、浦和がマイナスのクロスには気をつけて欲しいと言及しましたが、まさに反対で浦和がマイナスのクロスから得点を挙げました。右CBは武藤に釣り出されているので左CBとしてもあのスペースにボールが渡るのと興梠に先にポジショニングされるともう諦めるしかありません。興梠と武藤の関係性については素人では語れません。凄すぎました。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑨

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試合は3-0で浦和レッズが勝利しました。

 

〜ジョナタンビエラ〜

魔法をかける選手である北京国安21番ジョナタンビエラ選手。この試合のビエラ十八番のアウトサイドでのパス集を動画でまとめましたので興味のある方は是非クリックを。

 

2019 ACL最終節 北京国安戦 レビュー動画⑩

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〜データから見る前回対戦との変化〜

前回対戦はシュートを1本も打てずによく負けなかったなという印象が残った試合。今回は、3-0と結果圧勝した試合。 というイメージが概ねの意見でしょうか。

 

今回は様々なデータを比較してみます。

 

浦和のボール支配率は前回は33%、今回が34%
▶︎変化はありませんでした。

 

平均フォーメーションラインの浦和は前回に比べて今回の方が前半は8メートルも低く後半は1メートル低い結果でした。
▶︎大きく変わったのは前半ですね。この結果から背後を警戒していたことが分かります。前回対戦は北京国安の思惑通りに食いついてしまったので何度も大ピンチを迎えた前半だったので、今回は背後を優先的に消したい結果だと思います。

 

一方で北京国安の平均フォーメーションラインは前回に比べて今回の方が前半は7メートルも高く、後半は4メートル低い結果でした。
▶︎浦和が8メートル低かったので7メートル高くなったんでしょうね。しかし、北京国安の本来の姿は後ろで相手が食いついてきたところを背後で狙うチームなのでこのデータから北京国安が上手くいっていなかったと分かります。もう少し辛抱強く後ろで食いついてくれるのを待ってみたら変わったかもしれませんね。

 

ボールロスの回数は、驚きの変化を遂げています。名古屋戦のボールロストは107回、前回対戦のボールロストはな、な、なんと126回

 

そして、今回は83回でした。
▶︎前回対戦より43回も減っています。
低い位置からのボールロストが特に減っていました。最終ラインからポジションバランスが良かった証拠だと思います。

 

パス本数は、前回が299回で、今回は259回
パスを繋いでる印象はなかったので少ないと思っていましたが、前回対戦より少ないのは驚きでした。今回の259回という数字は神戸戦の次にパス本数が少なく、名古屋戦よりも少ない回数でした。

 

北京国安に視点を移せば、パスの受け手が前回は5人が高い数字を出していましたが、今回は3人。起点になれる選手が少なかったことと、浦和が的を絞りやすかったというデータになると思います。

 

シュートとかボックスの侵入回数が前回より増えていることは当然だと思います。

 

以上、様々なデータを見ていきました。
印象論でしか語れないことをデータで見てみると考えに整理がつきやすいですね。今回はライン設定を「下げすぎず、上げすぎず、コンパクトさを意識して中央と背後を消す」ということを徹底していたことが大きな要因だと思います。更に最前線の武藤と興梠が後ろの選手にも分かりやすく守備の矢印を示してくれたことと、できる限りWBが中盤のラインに留まったことが特に前半は効果的でした。
それでは、ダメな試合も出てくると思いますが、先ずは、 この試合の感覚をベースに持っておくことは重要かもしれませんね。

 

さいごに

またACLのプレビューができることに喜びを感じています。蔚山現代FC1ヶ月かけてゆっくり学びたいと思います。また読んで頂けるような作品に心がけます。
次回は5月6試合目となるリーグ戦の広島戦です。
できれば金曜?いや、土曜日になると思いますがupします。是非読んで頂けると嬉しいです。

 

長文ありがとうございました。

 

面白ければTwitterでリツイートや引用リツイート等々で #浦ビュー とつけて拡散、宣伝して頂けると嬉しいです。

 

 

浦ビュー

初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ux1JmiTaYbsMArM

 

コメント

  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:126.35.131.198 )

    長澤のプレー。
    2点目取る前のレナトアウグストに競り勝ってドリブルで運んだシーン。

    以前の彼ならあそこでファールを貰いにいってた気がする。
    でも耐えて運んだ。
    100点満点だよ!!

    このコメントに返信

    2019年05月23日 08:32

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:153.150.76.64 )

    こんなこと言ったら失礼なんだろうけど
    レナトアウグストとのデュエルも柏木だったらまず勝ててなかったって考えるとなあ

    このコメントに返信

    2019年05月23日 09:24

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:49.239.68.172 )

    本当にこの方のプレビュー、レビューは凄い。現地でもプレビュー見ながら、試合みてた。次も楽しみです。
    あとこの方のレビューみてて大輔先生のプレーが好きになったわ。

    このコメントに返信

    2019年05月23日 10:01

  4. 4 匿名の浦和サポ(IP:106.133.98.1 )

    こけてんじゃねーよの賜物でしたね。

    長澤は前を向くプレーさえスムーズにできればより身体の強さが活きるので、引き続きポジショニングや受け方を極めていってほしいです。

    このコメントに返信

    2019年05月23日 10:27

  5. 5 匿名の浦和サポ(IP:126.35.10.152 )

    すげぇわかりやすい
    勉強になるわ

    このコメントに返信

    2019年05月23日 11:16

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:219.111.52.127 )

    最後の動画のジョナタンビエラのアウトサイドでのパスはポンテを思い出させるプレーだった。
    懐かしくも思うし欲しい選手だとも思ってしまった。

    プレビューは今回もとても面白かった。
    特に3人目、4人目の動きが浦和にも出てきたなと感じたし武藤の調子が上がってきているのはうれしかった。

    このコメントに返信

    2019年05月23日 11:41

  7. 7 匿名の浦和サポ(IP:153.156.37.17 )

    プレビュー読んで臨んでいたので、左CBから右CBに戻すのに興梠が釣り出された時、思わずヤバいと思ったら、プレビュー通り北京の攻撃のスイッチが入り西川が左足ではじくピンチへと繋がった。それに気付いた自分を少しスゲーと思ったけど、本当はプレビューが凄かった。

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    2019年05月23日 21:48

  8. 8 匿名の浦和サポ(IP:118.151.184.156 )

    武藤の賢さが良く分かった。

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    2019年05月24日 08:44