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日々雑感ー慈愛の人、ミシャ【浦研プラス】

長年レッズを追いかけ続けるサッカーライター島崎英純さん、ミスターレッズ福田正博さんが浦和レッズについて熱く提言を行う「浦研プラス」
今回、浦研編集部の許可を頂き、無料記事の一部を転載させて頂きます。



【コラム】日々雑感ー慈愛の人、ミシャ(浦研プラス)

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▼溢れる情熱を抑えられない

 情熱家であることを包み隠さない、正直な人物だった。初めて出会った2012シーズンの宮崎キャンプでインタビュー取材に臨んだとき、クラブ広報が事前に「30分程度でお願いします」と申し渡したのに、溢れる感情を抑え切れずに2時間以上も熱弁を振るってくれた。浦和レッズはもう一度立ち上がる。前年度に残留争いを強いられたチームを復活させるんだと、彼は私に熱情をぶつけてくれた。「自陣からボールポゼッションすることに意味はある?」と問い質すと、「それは私のサッカーを見て、君が結論を出してくれ。GKからボールを繋いで相手ゴールを強襲する。誰もがやらなかったスタイルで、私たちのチームは頂点を目指す」と言い切った。その眼光はどこまでも鋭かった。

 戦略家だった。チームスタイルは斬新に一言。特殊なシステムを用い、選手には攻撃的に戦い続けることの尊さを説いた。初めての対外試合で湘南ベルマーレに5-1で完勝したゲームでは、全ての得点がサイドからのクロスを経由した。指揮官は独自のメソッドで得点を挙げる道筋を示し、選手たちはチーム結成から僅か10日で確信を得た。

 究極のロマンチストだった。『サッカーは楽しむもの』と語り、結果を求めつつ理想をも追う高尚な姿勢を崩さなかった。

「サッカーはスペクタルなものです。スタジアムに多くの観衆が詰めかける空間でなければならない。いかに良い内容をお互いに求め、それを観る者が楽しむか。それがサッカーの醍醐味です。その中ではもちろん勝敗が付きまとうわけですが、内容を見せた上で結果を得る方が、一層喜びが増す。時には負けることもあります。ただ、その中でも何かの夢を与えることはできる。サッカーは今後、そのような方向へ向かうと思います。つまらない内容のサッカーをして負ければもちろん批判を受けます。しかし良い内容の試合をすれば、その評価を正当に得られる時代になる」

 選手に一定の自由を与える反面、主力を固定化して序列を築く傾向があると揶揄された。しかし彼の根底に各選手に対する感情の差異はない。チーム最年少の伊藤涼太郎がひとりで用具の後片付けをしていたら、烈火の如く怒り出して自ら作業を手伝い、「涼太郎もお前らと同じ、ひとりのサッカー選手なんだぞ!」と叱責したシーンが目に焼き付いている。それぞれの立場を尊重し、道理を貫く。それが彼の挟持だった。

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