コラム

『4番の脇を狙え』ACL全北vs浦和プレビュー【浦ビュー】

今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
今回、浦ビューさんに許可をいただき、そのプレビュー&レビューを転載させていただきます。

 

ACLのグループリーグで最も肝となる第3節、第4節の同クラブとの連戦。ホームでの第3節では0-1の敗戦。ホームでの敗戦により、今回の敵地韓国では勝ち点1ではなく勝ち点3をより求めなければならない状況となり迎えたこの試合。このコンテンツを始めてから、初の対戦相手が2回目の試合のプレビューとなりました。更に前回の対戦は2週間前です。伝えられる情報、新たな情報が限られてしまいますが、韓国には応援に行けない分、少しでも浦和レッズに関われるように、私はこのプレビューを心を込めて作ることで試合を待ちたいと思いますので最後まで読んで頂けると嬉しいです。

 

では、プレビューを始めましょう。

((動画3つupしてますが、いつもと違う手法で実験してるので見れない方いたらpcで見てみてください。))

 

ホームでの前回対戦のレビューです。
https://note.mu/pepmisha/n/n9c1e2ccf0154
90分見返すのは大変だと思うので、こんな試合だったなぁと簡単に振り返る為に読んで頂ければ光栄です。

 

▼目次
・浦和と対戦後の全北現代
・暴かれた全北現代の短所
・スローインからの得点はデザインされたものだったのか?
・忘れてはならないカウンターの怖さ
・全北の強さ
・さいごに
・浦議さん

 

▼浦和と対戦後の全北現代
ACL第3節で浦和と対戦後の全北現代の経過を確認してみます。

 

4/13 アウェイ 済州戦 1-0◯ (リーグ戦)

4/17 ホーム FC安養戦 0-1● (カップ戦)

4/20 アウェイ サンム戦 3-0◯ (リーグ戦)

 

リーグ戦では連勝しており、ようやく首位に浮上しました。一方でカップ戦はまさかの2部チームに敗戦です。全北は全ての試合でスタメンを変更して継続して同じメンバーを送り出しません。層の厚さがあり、誰が出ても勝てるチーム作りをしている証拠だと思います。ただ、カップ戦では28番を除いて普段起用されない選手を使った中での敗戦ですので、浦和戦に向けてショックは少ないと思います。

今節は前回の浦和戦を参考にしたスタメンを起用してくると予想します。ただ、4日前のサンム戦では、最前線にイ・ドングクを起用しているので、39歳のレジェンドを連戦で起用するかは微妙で9番キム・シンウクを起用する可能性が高いと思います。
2人の最前線を併用している全北なのですが、やっと分かりやすい例えが見つかりました。
そうです。スパーズの2人のイメージです。
ファーストチョイス20番 イ・ドングクがケイン。
セカンドチョイス9番キム・シンウクがジョレンテ。
20番は長身で決定力も併せ持ちますが、収めたりチャンスメイクもできる選手です。
9番は飛び抜けて長身で198cm。単純な高さでは圧倒的に相手を上回れますが、チャンスメイク面では20番に劣ります。お互いに最高の武器を持っている選手なので警戒すべきなのは変わりません。
更には右SBも序列は25番の方が高かったのですが、35番が最近は起用され始めています。他には中盤には5番の起用が濃厚ですが、14番の起用も考えられます。SHの選手で27番も控えていて、この選手は何故ベンチに甘んじいてるのか考えるほど中々良い選手です。第3節の前の試合でも日本での移動距離を考慮してか重要な選手を温存していることから、ある程度固定化され始めたメンバー選考ですが、スタメン発表されるまで人選は読めません。

 

一方で浦和の帯同メンバーも写真等である程度は把握できましたが、ハッキリとしたスタメンは読めず。
対相手に対してのメンバー選考ではなく前節の試合が良ければそのまま継続で、コンディション重視の人選なのであまり相手を意識することなくスタメンを用意してくると思います。
浦和はボールを7割持たれてサッカーをした感覚のない中での連戦となる上に韓国での試合での序盤の入りにはいつも以上に真剣に入らないとマズイですね。

 

▼暴かれた全北現代の短所
全北と直近に対戦したサンムが浦和レッズに勝つ道しるべを示してくれたと思います。結果は3-0で全北の大勝でしたが、試合内容は決してサンムも悪くありませんでした。守備からのボールを奪ってポジティブトランジション(守攻の切り替え)からの攻撃に移行するスムーズさやある一点の狙いを徹底的に突き続けた前進の仕方はそこに大きな問題を抱える浦和にとっては参考になるべき全北対策だと思ったので言及してみます。

 

サンムが常に突き続けたのは…..
4番アンカーの脇!!です。

 

言ってみれば4-3-3のアンカーを採用するシステムの非ボール保持の弱点となるアンカーの脇ですが、この試合においてのサンムの徹底ぶりは凄まじかったです。試合を見てても、「ほーらまた脇。ほーらまた脇。」と心でずっと呟いてました。
結果的に0点に抑えられたのが残念で効果はなかったのでは?と思ってしまうかもしれませんが、前進の約束事が定まっておらず、即興性によるカウンターでゴール前に迫ろうとしている浦和にとっては、とりあえずボールを奪ったらアンカーの脇に前進するパスを入れてから攻撃を始める!という約束事が1つでもあれば、興梠や武藤の非ボール保持時のポジショニングも定まりますし、全北も修正しなければならない状況に追い込めると思います。

全北はボール保持時は、前述のように4-3-3ですが、非ボール保持時、特に自陣地でブロックを形成する時は、4-4-2になっていました。
つまり、4-3-3から4-4-2へと若干数人ポジションを移しているのですが、その隙もサンムは上手に突いてゴール前に迫ろうとしていました。
具体的には4番のアンカーが中央からやや左寄りにスライドして4番と同じラインに右IHの28番が並ぶ形でダブルボランチを形成してアンカー採用のシステムの短所を隠すようにしています。
なので、浦和目線で考えればボールを奪ってから全北が4-3-3から4-4-2に移行する前にプレスを回避しつつ、アンカーの脇を意図的に経由してからゴール前に迫る機会を増やせればゴールゲットできる確率は高いように思います。
サンムは確実にその短所を理解して突き続けていました。しかし、最後はサンムでは全北を崩すことができませんでした。浦和なら必ずやり続けれれば、全北を崩壊させることができると期待しています。

 

→2019 ACL 第4節 全北現代戦プレビュー動画(1)
https://note.mu/api/v2/attachments/download/ea187e72dfe513cab114a3fc4383fa09

 

赤チームがサンムです。白チームが全北です。丸で囲まれている選手が全部4番のアンカーの選手です。

 

また前回の対戦で浦和が他の試合に比べてボールを前進できていた理由に武藤が4-4-2の左SHの外側からパスを受けたところから相手を引きつけてからのチャンスが多かったので、左WBの山中を浮かす意味でも手数をかけて右サイドから攻撃を繰り返してみても良いかなと思います。

 

▼スローインからの得点はデザインされたものだったのか?
第3節全北戦のレビューをupした後に、私は決勝点となったシーンをロングボールでこぼれたセカンドボールを拾ってからのゴールが多い全北の典型的なゴールパターンだと紹介しましたが、ある方からその前のスローインからデザインされていたと思ったという意見を頂きました。

 

そう思ったので、全北の今季のスローインを大追跡しました。どこまでをデザインしているかの基準は曖昧ですが、同じシーンを作り出せていればチームの狙いとしてデザインしたスローインと認定します。

 

・クイックスタート
・ロングスロー
・斜め前
・先制点のシーンのもの

 

主に全北のスローインはこんな始まりです。スローインになった時に早く始められるなら始めたい。
それが叶わない時にロングスローは他のチームよりSBのスロワーの影響か多用しています。
あとは、シンプルにマークの攻防が激しい前へスローインをしてしまうかです。
残念ながら、先制点のシーンのように斜め前に投げようとしてキャンセルして手前の選手に送るスタートは一度もありませんでした。
なので、チームとしてスローインの時のデザインではなく、あの瞬間スロワーの25番が起点を効かして始めたスローインだと思います。

 

第3節を振り返ると前半ロングスローを何度か投げていて先制点のシーンの時も25番がロングスローのようなフリをしていたので浦和は引いてしまいのちに受ける選手の監視役だった青木選手も引いてしまいました。そして、手前の選手がフリーになっていて、投げる→落とす→放り込むとシンプルにゴール前に迫っていたわけです。
放り込まれた後のシーンは4対3と数的優位を確保できていたのですが、
(1)マウリシオが釣り出された後の槙野のカバーリングもしくは、岩波と森脇のスライド
(2)ボールウォッチャーで得点者32番を最後まで誰も監視できていなかった

 

視点を変えれば、様々な考えがあると思うのですが、個人的にこう見えました。
意見を頂いてから改めて振り返ってみると全北の典型的なゴールではありますが、全北の緻密さと浦和の許してはならない隙と守備対応の浅はかさが出てしまった部分なのかなと思いました。

 

→2019 ACL 第4節 全北現代戦プレビュー動画(2)
https://note.mu/api/v2/attachments/download/064f2a78bf1896dc95d7523bbaf89969

 

▼忘れてはならないカウンターの怖さ
前回の対戦は0-1の結果でしたが、結果以上に浦和がゲームをコントロールしていたこと、結果以上に全北が決定機を逃しすぎたというような試合であったと思います。浦和は久し振りに相手陣内でボールを保持できた喜びか、奪われた後の規制やネガティブトランジションの遅さが露呈して簡潔にゴール前へと前半に1回、後半に3回カウンターを許しています。シュートを打った選手をフリーにしている状況も見ると後は全北次第の状況を作られてしまっています。
浦和がどのようなゲームプランで入るかは分かりませんが、常に頭に入れておかないと怖いですね。
サンム戦でも間延びした相手を突いて中央からブチ抜いてゴールを決めています。要注意ですね。

 

▼全北の強さ
全北現代の試合を見てて強く感じたのは、クロスからのピンポイントでよくシュートまで持っていけるなぁというところです。クロス精度が高いのは勿論、ボックス内でポジショニングする選手もいいです。特にリカルドロペスは蹴る力が強いのか、サイド際や態勢が悪かったとしても非常に精度の高いピンポイントに合わせたい選手にクロスが送られているシーンを見て、ありきたりな部分ですが上手だなぁと思ってしまいました。浦和は恐らく3(5)バックシステムを採用すると思います。4バックに比べてクロスボールでの責任の所在は個人的には曖昧になると考えているので、20番だとしても9番だとしても槙野ーマウリシオ間、マウリシオー森脇間に意図的に立ってピンポイントなクロスボールを待ち受けますので警戒です。
基本的に9番だとクロスボールが入ると勝てないので、クロスを上げさせない徹底も必要かもしれませんね。

 

→2019 ACL 第4節 全北現代戦プレビュー動画③
https://note.mu/api/v2/attachments/download/8ca80857e80431830a58266482c465c4

 

▼さいごに
リーグとACLの2冠を目指す浦和にとっては、この試合で勝ち点を積み上げられなければ相当苦しくなってしまいます。大一番の試合でしょう。
その大一番にふさわしいプレビュー作りができればなと思いましたので、書き終えた今、ある程度満足して頂ける内容になったと思っています。あとは、受け取って頂く皆さんが少しでも試合を見る上で1つの視点として楽しんでくれたらプレビューの作り手として最高の喜びです。

 

▼浦議さん
今回よりあの浦議さんと連携して転載して頂けるようになったので、初めてこのコンテンツを見て頂いた方もいるかと思います。このコンテンツは結果に囚われずのレビュー、特定の選手だけを称賛、非難するコンテンツではなく、あくまでチーム単位でのピッチ上で行われている現象についてを言及していくコンテンツです。また、私は何百万人もいる浦和サポーターの1つの視点を提供しているだけですので、試合前や試合後に浦和サポーター内でピッチ上の議論がより深まる一端としてこのコンテンツを活用して頂ければ幸いです。心を込めて毎試合upしますので、是非毎試合読んでいただけると嬉しいです。宜しくお願い致します。

 

面白ければ、リツイートや引用リツイート等々Twitter上で、 #浦ビュー とつけて呟いて宣伝拡散お願いします。(いいね!ではなくできる限りリツイートでお願いします。)

 

長文ありがとうございました。

 

浦ビュー

初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ux1JmiTaYbsMArM

コメント

  1. 2 匿名の浦和サポ(IP:175.132.137.183 )

    素晴らしい解説だと思います。
    でも、戦術解説を長い文章にされるとどうしても最後まで読む気になれないのです。
    ですのでもう少し短い文章でスポット的に解説してもらうと助かります。

    このコメントに返信

    2019年04月24日 05:33

    • 2.1 匿名の浦和サポ(IP:219.114.117.144 )

      読んでいるうちに慣れるのでは?
      この文章は長いけど、内容がしっかりしているので読み切れる。

      2019年04月24日 12:43

  2. 3 匿名の浦和サポ(IP:119.224.173.195 )

    面白すぎるだろこの記事。無料で観れてるのがありがたい

    このコメントに返信

    2019年04月24日 08:42

  3. 4 匿名の浦和サポ(IP:119.224.173.195 )

    ぶっちゃけ100円ぐらい払ってもいいぐらいの記事

    このコメントに返信

    2019年04月24日 08:43

  4. 5 匿名の浦和サポ(IP:183.74.206.182 )

    これ毎試合読めるのは凄いわ。ぶっちゃけ浦レポより金払いたくなる

    このコメントに返信

    2019年04月24日 09:36

    • 6.1 匿名の浦和サポ(IP:114.160.176.194 )

      いいね💛したかったけど、せっかくの22ポチでした。もったいないくて。

      2019年04月24日 20:35

  5. 7 心を整えるレッズサポ(IP:114.166.144.37 )

    浦和はブロックをきっちり敷き、相手にボールを持たせる
    相手がクロスを上げる
    はじき返して、そのリバウンド(?)を確実に拾う
    その時には相手のアンカーの脇のスペースにエベルトン&柏木が居る
    そこにスピーディにボールを入れる
    さらに高い位置に居る興梠にボールを預ける
    シュートorはじき返されても武藤が押し込む
    後半25分に選手交代・柏木→阿部
    無失点でゲームをクローズする。

    ここまでイメージできる素晴らしいテキストでした。
    ありがとうございます。

    このコメントに返信

    2019年04月24日 15:07

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