浦和レッズについて議論するページ

今年より町田ゼルビア、浦和レッズを中心に取材するライター郡司聡さんによる「対戦相手から見た浦和レッズ」というコラムシリーズが浦議でスタート!
第12回はJリーグ浦和vsFC東京戦になります。

 


▼研究されつつある浦和
今季の開幕戦の“リターンマッチ”となったリーグ最終節。チームの指揮権が当時の堀孝史監督からオズワルド・オリヴェイラ監督に移った浦和レッズのチームの特徴について、ダブルボランチの一角を務めた橋本拳人はこう話していた。

 

「以前ほど後ろからつないでこないし、前から良いプレッシャーをかけると、放り込んでくる形が多い。ただ浦和相手に隙を見せると、その隙を突かれてしまうことは分かっていた」

 

オリヴェイラ監督率いる浦和は、遅攻やコンビネーションプレーで相手を崩す形をそれほど得意としておらず、むしろ相手に主導権を奪われながらも、狡猾に相手の隙を突くことで復調してきたチームだ。オリヴェイラ体制発足から約8カ月が経過し、どのJ1チームも浦和のチームスタイルは熟知しつつある。例えば、前節の対戦相手である湘南ベルマーレのように、“あえて持たせて鋭いカウンターを仕掛ける形”を浦和相手に標榜するチームもある中で、今節の浦和は、オリヴェイラ・レッズのチームスタイルを集約したようなゲームを披露した。

 

開始2分、出場停止明けの柏木陽介が中盤の中央でボールロストし、大森晃太郎にゲームファーストシュートを食らった。このようにゲームの入りが決して良いとは言えなかった浦和だったが、9分に早速、ストロングポイントの一つであるセットプレーで青赤の隙を突いた。柏木のCKに李忠成がヘッドで合わせて先制点を奪取。李のマーカー役だった橋本は「個人として反省しないといけない場面だった」と振り返る。

 

▼隙を見つけて得点を重ねる
1-0で迎えた後半は、開始20秒で失点したものの、失点直後の48分には萩原拓也が左サイドで倒されて獲得したFKから、柏木がクイックリスタートを発動。「ゴール前に走り出している中で陽介さんと目が合った」という柴戸海がヘディングで勝ち越し点を奪っている。自分のテリトリーである右サイドを、クイックリスタートで突かれた室屋成は「簡単にボールを渡してはいけないし、追いついてすぐの時間帯だったのに、相手のほうがしたたかだった。僕たちにはまだまだ甘さがある」とうなだれた。

 

そして試合を決定づける3点目は、GK西川周作のロングフィードが出発点となった。ハイボールを競り合ったアンドリュー・ナバウトに対して、森重真人は寄せ切れず、ナバウトが頭で落としたボールに対しても、太田宏介の反応が遅れたことでナバウトに李へ絶好のパスを通された。

 

「押し込んでいる時こそ集中してしのがないといけないと感じたし、もったいない失点だった」

 

そう橋本は話したが、もはや“後の祭り”だった。

「テンションも落ちずに最後まで戦った」(長谷川健太監督)FC東京は、試合を通じてチャンスを量産したものの、2得点が精いっぱい。90分の中でわずかな隙を見せては、そこを狡猾に突かれる形で3失点を喫したことが致命傷となった。日本代表の室屋は「自分たちのミスからの失点が多く、防げる失点だったので、もったいないゲームをしてしまった」と振り返る。

 

ミッドウィークの5日に控える天皇杯準決勝・鹿島アントラーズ戦を見据え、オリヴェイラ監督は興梠慎三らを温存。出場停止明けの柏木や負傷から復帰した青木拓矢の“試運転”を済ませた上で、鹿島戦を迎えられることもポジティブな材料だろう。さらにリーグ戦で出場機会が少なかった李やナバウト、そしてプロ初ゴールを決めた柴戸を含め、代わりに出番を得た選手たちが躍動。チームの競争力を高める“伏兵たち”が基軸となるチームスタイルを忠実に表現した上で勝ち切った意義は大きい。その意味でもリーグ最終戦は、価値ある勝利となったに違いない。

 

※過去記事(最新5件)
『相手の術中に嵌ってしまった浦和。その狙いとは?』Jリーグ湘南vs浦和
『狙われていた武藤。宮本監督の策略をコメントで振り返る』Jリーグ浦和vsG大阪
『鳥栖・原川のコメントで振り返る浦和の勝因』天皇杯 浦和vs鳥栖
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蹴球界のマルチロール・郡司聡

30代後半の茶髪編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。

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