コラム

『悪い流れを止められなかったセレッソ戦 ゆく河の流れは絶えずして・・・』JリーグC大阪vs浦和【轡田哲朗のレッズレビュー】

▼8分で相手にほぼ勝利を確信させてしまう展開
基本的に、サッカーチームが先に2点を取ればその試合はかなりの確率で勝利に近づき、かなり拙いことをしても引き分けでは終われると考えるだろう。2-4で敗れた22日のセレッソ大阪戦は、開始8分で相手にそんな状況を作らせてしまった。

私たちのように記事を書くものや、またはファン・サポーター同士で話をするときにも、先のことを話題にするときは「予想」、「期待」、「願望」の順に現実的に、あるいは多少の悲観制を持って話すのではないだろうか。失点続きのリーグ戦が一度中断したとはいえ、このセレッソ戦を迎えるにあたって「まず無失点でいけるだろう」と言えば、かなり「願望」に近かっただろう。それでも、15日のボルシア・ドルトムント戦の前半が一つのキッカケになるのではないだろうかという「期待」は少なからずあった。押し込まれて、嫌な言い方をすればサンドバッグ状態の中でも、ラスト30メートルほどのところで簡単に相手を自由にしないプレーを見せることができていたからだ。

ところが、その期待はあっさりと霧散してしまった。最初の2点はゴールから5メートルもない距離から相手がプレッシャーを感じることなくシュートを打ったものであり、3点目はドリブルで運ぶ相手に対して誰も前に立つことがなく、狙いすましたシュートをフリーで放たれたもの。4点目もまた、ゴールから5メートルほどの地点で相手がトラップしてからシュートを放つという状況だった。




▼昨季のスタンダードが、良いプレーに見える状況
チーム全体を見ても、興梠慎三が「ドルトムント戦みたいに、自分がボランチに戻ってセンターバックにボールを持たせるのも良いと思ったけど、前から行けということだったので。それにしても、後ろが前についてきていないからハマる感じもなかった」と話したように、前を追わせるのに後ろが連動できていない。あるいは、誰かが片方のサイドに追っているのに、その先の選手が抜けてしまっていて一人目の追いがただの無駄になるという場面が多かった。

結果を見れば無失点で終わった後半のプレーの中で、何とも言えない気持ちになったのは後半18分のプレーだった。浦和の守備陣が一度後手を踏んだ展開からセレッソが右サイドから上げてきたクロスに対し、ニアサイドに飛び込んだ杉本健勇がフリーで合わせてヘディングシュートを放とうとした場面だ。失点も覚悟という場面だったが、後半から右ストッパーにポジションを変えていた遠藤航が、最後の最後、ギリギリのところで相手に体をぶつけてゴール方向へ体を捻らせずにシュートを枠外に押し出した。これを見た時に「良いプレーだ」とは思ったものの、少し時間が経って冷静になると「これが良いプレーに見えるほど今の状態は悪いのか」という思いになった。

なぜなら、これは昨季で言えばスタンダードなプレーだったからだ。本当を言えば、後手を踏むことなくバランスよく選手が配置されてクリア、または逆襲につなげられるのが一番いい。相手のボールの精度が高かったとしても、五分の状態で競り合える状況にあればそうそう失点しない。後手を踏んで、ゴール前の最後のところで体を張ることでギリギリ逃れるのは、最低限の応対だろう。それが、良く見えてしまう。それだけ、この日の前半は粘れていない、少なくとも相手に楽な状態のシュートを打たせないということができていないのが目立ったからだ。

▼中心選手の不調を認めつつ、起用するのはその選手たち
試合後にミハイロ・ペトロヴィッチ監督は「今のチーム状況を見ると、多くの中心選手の調子が上がらない状態が続いています。そこが今の我々の問題であると思います」と話した。

チームにとって、選手にはある程度の流動性が必要だと私は考えている。できる限り代えたくないポジションや選手が生まれるのは、その選手が示している価値だ。しかしながら、中心選手の調子が上がらない時にも起用の幅を持たせないことは、チームの中に澱みを生みかねない。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

方丈記の有名な一節だが、河の水である選手が流れて入れ替わっても、チームはその河であり続ける。しかし、流れなくなった河は池や沼となり、どうしても水は澱んでいってしまうし、最悪の場合は干上がる。一度流れてその場所を明け渡したとしても、循環してまた上流から澄んだ水になって流れてきてくれればいい。

調子の上がらない中心選手を抑えてまで起用しようと思わせる選手がトレーニングの時点でいないというのが、ペトロヴィッチ監督の判断なのだろう。しかし、この厳しい状況のチームにあって、ピッチでその悔しさを味わい続ける選手と、そのピッチにも立っていない選手たちにハッキリと分断されてしまう状況が果たしてプラスに働き、現状の打破につながるのだろうか。

動画:【公式】ハイライト:セレッソ大阪vs浦和レッズ 明治安田生命J1リーグ 第22節 2017/7/22

※関連リンク
苦悩の西川周作 スーパーセーブが減ったその原因はどこに【轡田哲朗レッズレビュー/明治安田生命Jリーグ第22節C大阪戦】(浦レポ)


轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。

  1. それでも(IP:49.98.86.4 )

    まだ見放したくない。
    もう一試合だけ、信じてみる。
    今回のような試合なら、今シーズンはもう行かない。

    2017年07月24日 02:27

コメント

  1. 1 それでも(IP:49.98.86.4 )

    まだ見放したくない。
    もう一試合だけ、信じてみる。
    今回のような試合なら、今シーズンはもう行かない。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 02:27

  2. 2 匿名(IP:219.167.141.204 )

    お花畑だね。
    こういう信者がいる限り浦和お花畑レッズは安泰です。
    いい加減、勝負の世界の領域に浦和はいないことをわかった方がいいよ!

    このコメントに返信

    2017年07月24日 03:09

  3. 3 匿名(IP:27.143.73.181 )

    選手のコンディションと言うよりシステム的欠陥なんじゃないの。
    中盤に柏木しか居ないからショートカウンターで圧倒的不利な状況を作られんでしょう。
    このパターンで何失点してるやら。
    そして選手は失点を恐れてボールに飛び込めずボールウォッチャーにっている。
    ミシャを好き嫌いを別にしてここまで落ちたチームを同一監督が立て直すのは不可能だと判断するのが妥当だと思う。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 04:59

  4. 4 匿名(IP:219.105.5.196 )

    誰が誰に付いているのだね。それだけ全員がカカシ状態ではないか。守備の練習はしない?基本的な決まりごともないではないか。みっともない。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 06:32

  5. 5 匿名(IP:121.118.214.104 )

    2
    お花畑?
    こいつもミシャの選手起用批判してるじゃん。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 06:50

  6. 6 匿名(IP:36.12.60.44 )

    リニューアルはいいけどコメント消えてるね

    このコメントに返信

    2017年07月24日 06:52

  7. 8 匿名(IP:182.250.248.42 )

    森脇、槙野、阿部を外す勇気がなければ、状況変わらない。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 07:09

  8. 9 匿名(IP:101.55.158.236 )

    上西の言う通り。
    クラブは責任取らないの?

    このコメントに返信

    2017年07月24日 07:09

  9. 10 匿名(IP:110.165.149.18 )

    特殊なサッカーだから中心選手は替えにくいなんていうのはただの言い訳と言うか無能の告白。
    かつてトルシエ監督は「代表チーム」の「4年」で、『DFリーダーが大会初戦で負傷退場』しても問題ないチームを作った。
    翻ってペトロビッチ監督は「クラブチーム」で「6年」かけても、複数の特定選手に極度に依存するチームしか作れてない。
    まぁ、控えの選手を試すことも信じることも出来ないチキン監督だからしょうがないけどねぇ。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 07:30

  10. 11 匿名(IP:1.75.212.252 )

    頼むから名古屋と同じ道を歩かないでくれ

    このコメントに返信

    2017年07月24日 07:53

  11. 12 匿名(IP:126.234.5.31 )

    主力の不調は控えにとってはチャンスの筈だが、チャンスを与えない起用が問題なんだよ。
    かつてのギドは近藤や細貝を積極的に起用した。
    だが今はなんだ?
    自分が広島から引っ張ってきた選手ばかり使って結果が出ていないではないか。
    これでは確執が出るのも当たり前だし、応援する方も呆れるばかりだ。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 08:13

  12. 13 名無しさん(IP:182.250.241.94 )

    ここまで不振が続き、かつ原因がはっきりしていると、もうJ1の有力日本人選手は浦和に移籍しなくなる。

    来年、ペトロビッチ体制で補強出来る選手は、広島で少し指導した水本だけ。

    守備の補強をしましたとフロント満足げ、みたいな結末は勘弁してね。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 09:19

  13. 14 匿名(IP:219.105.5.193 )

    13
    >来年、ペトロビッチ体制で補~
    100%ありえないことを言って下手な擁護する手法に変わっってきたのかな?

    このコメントに返信

    2017年07月24日 10:53

  14. 16 匿名(IP:202.212.77.51 )

    監督も選手もフロントも流れていくけど、そこにチームとしての社訓みたいなものがしっかりあれば全然問題ないと思うんだけど、行き当たりばったりのような気がするんだよね。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 11:19

  15. 17 匿名(IP:182.251.240.34 )

    もう正直いくらも勝てないと思う
    選手達のあの動きの悪さは、精神的に来ちゃってないか?

    このコメントに返信

    2017年07月24日 11:32

  16. 18 匿名(IP:61.45.112.15 )

    ドルト相手だとボールを奪いにつめることできるけど なぜセレッソ相手だとできないのか?
    さがるだけのディフェンスは意味ないしGKの邪魔になるだけ

    このコメントに返信

    2017年07月24日 12:15

  17. 20 匿名(IP:210.168.242.49 )

    負けても許させるドルトだったから気持ちにゆとりをもって試合に入れた。
    負けたらアウトの桜だったから緊迫感漂うガチガチな試合への入りだった。
    西川、槙野、森脇は固すぎ、柏木は傍観者だった。
    これは技術やシステムの問題では無いでしょう。
    次節はお休みさせてあげてください。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 13:24

  18. 21 匿名(IP:1.75.1.139 )

    残り5節までにとりあえず勝ち点40は絶対取っとかないとまずいぞ。残り5節の相手は全部強い

    このコメントに返信

    2017年07月24日 13:26

  19. 22 匿名(IP:1.75.234.123 )

    なんか初年度みたいだね。
    この守備の崩壊の仕方。
    オフトやオジェックで硬い守備を構築したのも今は昔か。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 13:34

  20. 23 匿名(IP:1.75.1.139 )

    西川のミドルの弱さは何なんだろうな
    確かに寄せなかった味方も悪いがあれ止められないコースじゃないだろ。フリーキックといいミドルといいエリア外のシュートに弱すぎるだろ

    このコメントに返信

    2017年07月24日 13:36

  21. 24 匿名(IP:118.19.94.46 )

    中心固定選手が調子悪いの出して、監督さん何か楽しみが有るのかな?

    このコメントに返信

    2017年07月24日 16:10

  22. 25 名無しさん(IP:182.250.241.30 )

    誰が監督になっても、今年の巻き返しは厳しいんだから、もう堀さんでいいのにね。

    ペトロビッチ監督がいなくなって、見慣れた堀さんが監督なら、やる気のない選手は露骨にダラダラする様になる。

    来年の戦力見極めにもうってつけだよ。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 19:54

  23. 27 匿名(IP:182.250.241.78 )

    ラファが守備しなさ過ぎ。興梠、武藤、ズラがいい。
    阿部やばいと思う。ドルト戦の長澤良かったから、使えば良いのに。

    このコメントに返信

    2017年07月24日 21:25

  24. 28 匿名(IP:163.49.203.221 )

    要はもうこの監督じゃ無理ってはっきりしたって事でしょ。
    結局いくらやっても、前がかりにいくか引くかって、みんなで意思統一できない。常に葛藤、矛盾をかかえてる。
    メンバー選びから采配、コメントすべて何年も同じ事の繰り返しでまったく成長が見られない。
    彼のスタイルに合わないという事で多くの選手達がレッズを去らなければいけなかった。
    リーグ優勝はできない。売りは上位にいる事。それができないなら自らが去る。それが道理では。

    このコメントに返信

    2017年07月25日 02:31

  25. 29 匿名(IP:116.70.241.21 )

    遠藤ボランチ希望、槙野森脇攻撃希望、那須ベンチ。実質DFのいないんだからね。

    このコメントに返信

    2017年07月25日 03:19

  26. 30 匿名(IP:219.105.5.191 )

    30
    引くという選択枝(戦術)などないのだよ。ドルト戦でも選手が言っているのだからね。「前へ行けなかった」と。

    このコメントに返信

    2017年07月25日 04:57

  27. 31 匿名(IP:126.186.243.93 )

    守備を個の力で建て直したくても、坪井、イリッチ、加賀に逃げられて本職DFが誰も居ない。
    柏木のところに長澤、森脇のところに遠藤、センターに那須で凌ぐしかない。

    このコメントに返信

    2017年07月25日 09:17

  28. 32 匿名(IP:220.221.115.140 )

    攻撃ならボールを貰ってからドリブルなどの個の力で得点できるが、
    守備を個の力で立て直すことなんてできない。

    このコメントに返信

    2017年07月25日 16:59

コメントを書き込む