▼オリヴェイラ監督が高く評価する「才能」
浦和レッズは22日の天皇杯ラウンド16で東京ヴェルディと対戦し、1-0で辛くも勝利した。トーナメント戦であるから、より内容よりも結果に対する比重が高い。そうした意味では、勝利したこと自体がすでに合格ではあるものの、内容が素晴らしかったわけではなかった。
その中で、後半の残り15分と少しのタイミングで投入されたのが荻原拓也だった。興梠慎三との交代でピッチに入ると、ファブリシオを最前線に上げて左のシャドーに入った。ジュビロ磐田戦でもそうだったが、勝っているゲームで投入されるのが今の時点での荻原の起用法のようだ。
オリヴェイラ監督は、ベンチメンバーに対して明確なスタンスがある。それは「ゲームを決める選手だ」ということだ。それは何も、ゴールをするということだけではなく、勝っているゲームを勝ちのまま終わらせることもあると話した。
「点を取ることも守ることもあるが、ヴェルディ戦に関しては後者だった。30分から10分かもしれないが、スコアをキープする、あるいは逆転を狙うことを求めるのが交代選手だ。今、選手たちは、それをしてくれている。リザーブの選手は武器だ」
そうした中で荻原については「荻原は才能がある選手だと思います。サッカー選手に不可欠な才能を、彼は持っています。ただ、まだまだ若い選手ですので、1滴ずつ経験を与えるという形で、少しずつ試合に出て、そこで彼は経験を積んでいる状態です。今のところ、規律や戦術をしっかり守って、いい方向に向かっていると思いますので、これを続けることができれば、将来的にもレッズにとって重要な存在になれると思います」と言及している。
▼練習から見せる高い決定力
荻原は今の起用法の中で「得ているものは、『自信』ですね」と話した。
「自分の強みに対してのものが、起用のされ方だと思います。評価をされているのは嬉しいし、交代カードの切り方でも期待を持ってもらっていると感じます。ちょっとずつでも信頼を勝ち取りたいと思っています」
荻原は今季のスタート時点、堀孝史監督が4バックを基本に戦う構想の中では、左サイドバックがメインになると見られていたし、本人も「チャンスはあると思う」と話していた。しかし、実際にキャンプが始まってみれば攻撃的なプレーがよりプロのレベルでは通用することが見えた。沖縄県での1次キャンプの時点でトレーニングマッチでゴールを連発し、「オギ(荻原)の決定力は凄い。シュートが全部枠に行く」と先輩選手も舌を巻いた。
大原でのトレーニングでも、狭いグリッドの中に少ない人数が入るミニゲームでゴールを決める姿が目立つ。他を見れば、李忠成や長澤和輝といった途中出場の多い選手はしっかりとシュートを枠に飛ばしてゴールを決める姿があるが、荻原も全く遜色がない。本人も「試合とはまた違うものですよ」と前置きをした上で「シュートを打てば入るというイメージがあるし、勢いよくやりつつゴール前の選択も必要だけど、勢いがあれば当たっても入る」と、決定力に自信は持っている。
▼同期昇格の橋岡の存在も刺激に
荻原は同期に同じくユースから昇格した橋岡大樹がいるだけに、どうしても比較されやすい。本人も「それはあることですよね」と理解をしている。その上で「シーズンが始まる前の、力量が分かっていない時のイメージよりも試合に出られているとは思うけど、橋岡にも刺激を受けて、もっと試合に出ないといけないという思いは強いです。レギュラーになるのは簡単ではないけど、積み上げていきたい」と、2人で昇格したことの相乗効果を感じさせる言葉を残している。
オリヴェイラ監督が話すように、現在のリードをしている状況で前線に入れる起用法は、荻原の長所を生かしながら経験を与えるものになっていると言えるだろう。ファブリシオと比べれば、前残りせずに忠実に守備に戻る一方で、「チームの中でも負けない自信はある」という加速力を生かしたカウンターを仕掛けるスペースも広い。磐田戦ではそれがアシストにつながり、ヴェルディ戦ではあわや追加点というロングドリブルの仕掛けにつながった。
セットプレーのトレーニングを重視するオリヴェイラ監督だけに、仮想相手チームのキッカーとしてセットプレーを蹴る場面も多い。本来ならレギュラー組に入ることが目標ではあるが、彼の持つキックの精度や質をアピールする場があるという見方もできる。そして、左利きの荻原がいることはそのトレーニングの質を高めることにもつながる。昇格1年目としては、かなり有効な経験を積んでいると言えるのだろう。
全体の年齢層が上がる中で、間違いなく将来の浦和を担うべき才能を見せている荻原。その能力を高めるべく起用法を考えている監督の下で、ステップ・バイ・ステップの成長を続ける姿を楽しみにしたい。
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轡田哲朗
1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。
1 匿名の浦和サポ(IP:222.4.59.101 )
シャドーやWBの序列ではマルティノスや菊池よりも上だと思うし、守備に不安はあるがそもそも2人とも守備力無いからだったらがむしゃらさで優ってる荻原のが見ていても楽しい
何よりも磐田戦でのプレイでチームメイト、特にファブリシオからの信頼得たのかこの試合では彼に気に入られていた気もします
浦和サポが好きなドリブラーが少なくなったこのチームで今後の成長を1番期待してます
2018年08月25日 04:05
2 匿名の浦和サポ(IP:1.79.89.139 )
オリヴェイラは荻原を育てるという意味もあるだろうが単純に流れを変えれるドリブラーで戦力として考えているのでしょうね。
このまま行けば橋岡と共に東京五輪も夢じゃないレベルで更にその上を目指せる選手だと思う。
2018年08月25日 06:08
3 匿名の浦和サポ(IP:180.28.205.20 )
監督はオギーに試合の流れの中…特に後半の足も心も疲弊してくる時間帯に、チームに勇気と推進力を与える存在として起用しているらしい。
そういう役目、責任を背負ってピッチに飛び出して行くオギーの成長には本当に期待している…。
でも、ベンチメンバーからそういう役目として送り出されるのがオギーなら、マルは一体どういうシチュエーションで投入されるんだろう…
2018年08月25日 07:20
3.1 匿名の浦和サポ(IP:218.231.212.139 )
前線に故障者が出ないかぎりマルティノスの出場機会はほぼ無いのでは。長澤が復帰して、森脇の負傷が問題なければ、連戦が終わった9月はベンチ入すら難しそう。
2018年08月25日 11:08
3.2 匿名の浦和サポ(IP:126.148.71.157 )
確かに、どうすればマルティノスが活躍するのか、イメージが湧かない。外国籍の補強選手って、普通は「このポジションでこういう役割で」というのを明確なはずなんだけど、それがない。厳しいよね。
2018年08月26日 15:09
4 匿名の浦和サポ(IP:182.249.244.12 )
シュートが全て枠にいくだけで先輩も舌を巻くってどんだけ低レベルなんだよ。
2018年08月25日 10:29
5 匿名の浦和サポ(IP:218.231.212.139 )
WBとしての序列が菊池より上なら、清水戦では菊池でなく荻原が先発してたはず。先発から90分プレーする前提では現状菊池よりも信頼感が低いか、もしくはWB要員として考えてないのだろう。
積極的にゴールを狙う姿勢やシュート精度の高さを考えれば、シャドーで起用を続けてほしいね。
2018年08月25日 10:46
6 匿名の浦和サポ(IP:60.113.24.10 )
単純に「先発していないから信頼が低い」というものではない気もしますが。
荻原の良さは一瞬の瞬発力とスピード、そしてドリブルを仕掛ける積極性。オリヴェイラとしては、先発はバランスの取れる菊池を、相手の足の止まった後半に荻原を使った方が、チームとして、個人として彼を活かせると思ったんじゃないの?
まぁポジションの適性としては、私もシャドーで輝く彼を見たい!
2018年08月25日 13:06
7 匿名の浦和サポ(IP:49.98.137.224 )
荻原は今迄日本にはないタイプの選手になるだろうな
2018年08月25日 13:07
8 匿名の浦和サポ(IP:1.75.198.92 )
明日の名古屋戦の使われ方でオギの方向性がわかるよ。
2018年08月25日 16:26
9 匿名の浦和サポ(IP:126.148.71.157 )
荻原、橋岡の成長、ファブリシオの活躍などを鑑みると、今オフは、オリヴェイラ就任以前に獲得した選手の整理が進むだろうな。
2018年08月26日 15:15
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