コラム

『谷口が「強さを感じた」と認める浦和のストロングポイントとは?』Jリーグ浦和vs川崎【郡司聡の対戦相手から見た浦和レッズ】

今年より町田ゼルビア、浦和レッズを中心に取材するライター郡司聡さんによる「対戦相手から見た浦和レッズ」というコラムシリーズが浦議でスタート!
第3回はJリーグ浦和vs川崎戦になります。

 


 

▼想定外だった早めの失点
試合後のミックスゾーンに現れた川崎のボランチ・守田英正は、開口一番にこう言った。

 

「引いて守られることは分かっていた」

 

川崎のパスワークに対しては、スペースを消すことが有効な手段とはいえ、“オリヴェイラ・レッズ”がもはや守備の強度が増したチームであることは、周知の事実である。それだけに開始7分で興梠慎三が奪った先制点は、「早い時間帯での失点が痛かった」という守田の言葉を借りるまでもなく、試合の趨勢を決することにつながった。

 

遠藤航がベルギーに渡って以降、3バックの右CBを務めている岩波拓也は、自身のストロングポイントであるフィードを生かそうと、相手CB谷口彰悟のポジショニングの甘さを見抜いた上で右サイドの前方スペースへ走る武藤雄樹に長い距離の縦パスを通した。そして右サイドを突いた武藤によるグラウンダーのクロスを、最後は「ループしか選択肢がなかった」という興梠が冷静にゴールへ沈めた。「判断を迷って、それが失点につながった。完全にミスなので、申し訳ないというか安い失点をしてしまった」。失点に絡んだ谷口はそう振り返っている。

 

浦和の事前のプランは、ポゼッションこそ相手に譲っても、強固な守備ブロックを築き、相手のアタッキングエリアのスペースを埋めて、川崎のパスワークを窮屈な方向に追い込むこと。早い時間帯での先制点は、川崎の[4-2-3-1]に対して、守備時には[5-3-2]で守る浦和のプランがハマりやすい展開を生んだ。左SBの車屋紳太郎は「相手も5バック気味になって、ブロックを固めてきたし、1失点目がもったいなかった」と述懐する。

 

しかし、川崎にまったく決定機がなかったわけではない。例えば、37分には奈良竜樹からの一発のパスで小林に決定機を作られると、守護神・西川周作のファインセーブでしのいだ。さらに1-0で迎えた66分。橋岡大樹のパスミスを小林に拾われる展開から作られたGK西川との1対1の場面は、再び守護神がシュートを足に当ててゴールを割らせなかった。

 

▼ダブルという結果に繋がった浦和のプレー
先週末の湘南戦が台風12号の影響で中止となっていた川崎に対して、中3日の連戦を戦っていた後半の浦和は、コンディションの差が少なからず影響し、ブロックを構築してスペースを消そうにも、少しずつ綻びが生じた。しかし、ボールロストなど多少の綻びはオリヴェイラ体制で植えつけられているスピーディーなネガティブ・トランジションでそれを最小限に食い止め、中盤の守備の強度が落ちれば、武藤に代えて阿部勇樹を投入し、3ボランチ気味の布陣で守備の強度を維持した。そして、橋岡のパスミスに象徴されるように、選手個人のパフォーマンス低下が顕著になれば、選手交代などベンチワークで手当てを施し、最後の最後で水漏れが生じれば、守護神が立ちはだかっている。

 

現在のゲームマネジメントの軸は、守備から試合のリズムを構築し、攻撃面では相手に生じた隙を逃さず、セットプレーを絡めてゴールを陥れていることに尽きる。さらに刻一刻と変化する戦況に対しては、ピッチ上の選手やオリヴェイラ監督を中心としたベンチワークが、的確に対応することで大きな問題点として表出する前に試合を終えている。確かに今節の川崎戦は「(敗戦は)自分の責任だと思う」と話したエース小林の不発が、試合結果に影響を及ぼした側面は否めない。それでも、1-0で終わらず、土壇場に李忠成が魂のこもったドリブルでPKを獲得し、2点目を奪ってまで勝ち切ったことの価値は、計り知れないだろう。

 

CBの谷口は、悔しそうな表情を浮かべながらこう語った。

 

「ゲーム自体は球際や切り替えの部分でバタバタして自分たちの流れに持っていけなかった。球際や切り替えの部分で浦和は力があったし、そこに浦和の強さを感じた。“ダブル”は正直悔しいですね」

 

昨季のリーグ王者を震え上がらせる会心の勝利は、“オリヴェイラ・レッズ”が変革の道を着実に突き進んでいることを印象付ける結果となった。

 

※過去記事
・『甲府選手のコメントから見えてくる浦和レッズの強さと弱さ』ルヴァン杯 浦和vs甲府
『名古屋の選手達が「怖い」と言った攻撃の形とは?』Jリーグ浦和vs名古屋

 


蹴球界のマルチロール・郡司聡

30代後半の茶髪編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。

コメント

  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:126.236.204.68 )

    小林の最初のチャンスはハンドでしょ
    思いっきり左腕に当たってたけど

    このコメントに返信

    2018年08月04日 15:16

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:126.233.21.113 )

    大丈夫だ谷口くん。
    決して安い失点とは思ってない。

    むしろ興梠のゴールはお金払って観る価値のあるゴールだ。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 16:52

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:14.9.43.128 )

    ポゼッションしてこないチーム相手にはどうか。ブロックを敷いてくる相手を
    どう崩すか。明日はそこに注目してみます。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 17:17

  4. 4 匿名の浦和サポ(IP:49.98.10.17 )

    これからの成長や上積みをみる楽しみがある。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 18:29

  5. 5 匿名の浦和サポ(IP:126.242.167.93 )

    やっぱり彼女がいい女だと余裕あるな

    このコメントに返信

    2018年08月04日 18:50

    • 5.1 匿名の浦和サポ(IP:60.115.99.177 )

      本当に羨ましいですよね。。。

      2018年08月04日 22:47

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:182.251.247.35 )

    強固な守備ブロックだって。何回小林悠に決定機を与えたんだよ。ポゼッションも圧倒的に川崎で決定機の多さも川崎。決めるところを決められなかった小林悠の責任だろ。ファブリシオに仕事させなければ怖くない。自分ならマンマークを徹底的にするよ。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 19:02

    • 6.1 匿名の浦和サポ(IP:110.132.30.68 )

      自分なら、って。。。

      2018年08月04日 20:25

    • 6.2 匿名の浦和サポ(IP:49.98.173.115 )

      自分ならって、相当自分のディフェンスに自信がおありなのですね。

      2018年08月04日 21:24

    • 6.3 匿名の浦和サポ(IP:27.94.44.12 )

      要するに、アンチの遠吠えですね。分かります。

      2018年08月04日 22:21

    • 6.4 匿名の浦和サポ(IP:182.251.247.49 )

      相手の監督に置き換えてる事もわからないのか。どうしようもないな。もっと現実に目を向けたら?この程度の浦和サポじゃ無理かw w

      2018年08月04日 22:41

    • 6.5 匿名の浦和サポ(IP:126.233.21.113 )

      こういう奴にかぎって
      セットプレーでマーク外すんだよな〜

      2018年08月05日 00:02

  7. 7 匿名の浦和サポ(IP:122.134.186.120 )

    安い失点って、DFの常套句だよなぁ。
    言い訳なのか…、諌めなのか…。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 20:34

  8. 8 匿名の浦和サポ(IP:182.251.247.49 )

    何にも考えずただボーと観てるだけの連中なんだろう
    。アンチの遠吠えだって。頭大丈夫ですか。可哀想に
    。ケンカ売られても逃げる事しか考えられないんだろ
    。情けない男w w

    このコメントに返信

    2018年08月04日 22:59

  9. 9 匿名の浦和サポ(IP:182.251.247.49 )

    自分が困ると逃げ出すサポだろ。何が熱狂的サポだ。
    あんまり笑わせるなよ。

    このコメントに返信

    2018年08月04日 23:25

  10. 10 匿名の浦和サポ(IP:126.236.194.124 )

    ケンカすれば熱狂的だとは思わないな。
    みんな浦和という看板を背負って戦っているけれど、熱狂的を考え違いしていると思うよ?たぶん、みんな96年とかに気づいてる。
    クラブに迷惑かけちゃいけません。そういうひとは浦和の敵だし、埼玉の恥だと思うね。

    このコメントに返信

    2018年08月05日 01:02

    • 10.1 匿名の浦和サポ(IP:60.98.229.34 )

      そうそう。ウルトラスっていうのは、あくまで、いつでも、どこでも、浦和レッズを最優先にして応援している方々のことで、そういう方を熱狂的と呼ぶのだと僕も思ってます。僕が憧れるウルトラスはそういう方々です。
      浦和のためだったら犯罪も怖くないと思ってる人は、サポーターではなくチームに迷惑をかける犯罪者ですよね。

      2018年08月05日 07:40

    • 10.2 匿名の浦和サポ(IP:126.152.71.201 )

      サポーターとフーリガンは違います。
      熱くなったからって、浦和レッズのユニ着て暴れる輩は、いらない。
      海外の悪いこと真似しても仕方ない。
      家族みんなで楽しく過ごせるスタジアム、これだけは、Jリーグが世界にリードし、発信する側になれるものなんだから。

      2018年08月05日 14:53