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好ゲームを展開してなお届かなかった勝ち点3 当初求めたバランスはここにあるか【轡田哲朗レッズレビュー/J第22節 横浜FM戦】(浦レポ)
(Report by 轡田哲朗)
大きなメンバー変更はなかったが「1試合やった効果」が出た
浦和レッズは8月6日にリーグ戦の22試合目、横浜F・マリノスとのホームゲームを0-0で引き分けた。対戦相手の振る舞いが影響を与えるのがサッカーという競技であるにせよ、J1の中でも屈指の力を持つマリノスを相手に正面からぶつかるようなサッカーを展開して、そのうえで勝利が近いと感じさせるゲームをすることができた。ただし、勝ち点1にとどまったことはマリノスとの勝ち点6差が詰まらなかったことを意味する。ヴィッセル神戸が横浜FCに敗れるという順位表を見ればかなり意外な結果があったことで、彼らとの勝ち点差は6に詰まった。とはいえ、マチェイ・スコルジャ監督による「まだタイトルのことを夢見ながら、勝利を目指し戦う状況でした」という表現、つまりリーグタイトルのことを見ればギリギリのところで可能性を残したものの、勝ち点差を詰める大きなチャンスを逃したと言わざるを得ないのも現実だろう。
このゲームのスタメンには早川隼平とホセ・カンテが入ったが、彼らを除くと8月2日の天皇杯4回戦、名古屋グランパス戦と同じメンバーだった。正直なところ、もう少し入れ替えがあるかなと思っていたのはプレビューにも記したとおりだったけれども、大久保智明などが「名古屋戦に比べてコンディションは良かった」など、オフ明けの公式戦を1試合やったことのプラス要素の方が中3日のデメリットを上回った部分を話していたところもあった。前線に関しては、マチェイさんは関根貴大と興梠慎三の2人を早川とカンテの2人と45分ずつシェアするのはある程度のプランにあったことを話していたので、そのあたりは疲労度のチェックなどを丁寧に行った要素になるのだろう。

相手の武器であるエウベルをうまく抑え込んだ右サイド
試合が始まってからしばらくして、攻守ともに浦和の右サイドがポイントになる展開になった。というのも、マリノスの左ウイングにいるエウベルはJ1でも明らかに違いを作れるレベルの選手であり、左センターバックのエドゥアルドの前が空きがちになることもあって、そちら側にボールが運ばれてくることが多くなった。安居海渡は「そちらに追い込もうとしていたわけではない」と話していたので、これはマリノスの事情だろう。大久保は酒井宏樹とのコミュニケーションの中で「センターバック(エドゥアルド)から直接いいボールを(エウベルに)入れさせないように」するところからのスタートで入ったという。

マリノスは左サイドバックの永戸やアンデルソン・ロペスが、エウベルがサイドに開くことによってスペースのできる内側に潜り込んでくるし、守備の原則として開いたエウベルに酒井が対応すると誰かが内側を埋めないといけない。こうなった時は伊藤敦樹が内側を埋めて、大久保がボランチの位置にスライドすることになる。ただ、この日は大久保がダウンして外側を埋める対応の割合を増やしていた。大久保は「そんなにエウベル選手もスピードを上げてこなかったというか、上げられなかったのかわからないですけど、僕が戻るのを待っていてくれたので、ちょっとやりやすかった」と話していたけれども、内側を埋めている状態を作れたこともその要因にあったかもしれない。結局、マリノスのケヴィン・マスカット監督は前後半ともに途中でエウベルを逆サイドに持っていく変更をしているので、マリノスのストロングポイントを1つ封殺することには成功した試合だった。
サイドバックが大外に出ていく回数が増えていくと、ボランチがサイドバックとセンターバックの間を埋める回数が増えた結果として中央のミドルシュートを打てるゾーンに配置できる選手が減ることで危ない場面も増えてくる。とはいえ、サイドハーフがサイドバックの外側をカバーすることを頑張る回数が多くなれば攻撃の時に出ていくパワーを失ってしまうので、そこは主導権や攻撃回数の多さ、攻め込まれる前に前で守れる回数の多さが関わってくる。このゲームはそれも含めて上手く回すことができたので、「うまく守れているけどジリ貧」に陥ったわけではなかった。
右からうまく前進する攻撃でチャンスを作った
また、攻撃の時も右サイドはうまく機能した。アレクサンダー・ショルツが「今日は内側を切られていたので、外側から攻撃をしました。(酒井)宏樹をここ最近よりも少し高めに設定した。そこに素晴らしいクオリティーがあるので」と話していたが、その結果としてできた構図はエウベルの裏側に潜り込んだ酒井をうまく使うことで、右の数的優位を手にすることだった。浦和はショルツがエウベルの方向に運べるので、その誘導からエウベルの背後を取ることができた。その後にエウベルはそんなに頑張らないので、永戸の周辺には浦和が数的優位を作ることができる。
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