『久しぶりの出島を見て感じたこと』天皇杯 浦和vs富山【山中伊知郎の素人目線2021】

■いつもの客層とは違った天皇杯

たぶん駒場は一年ぶりだ。そもそも最近だと、年一回くらいが通例になっている。

もちろん思い出はむちゃくちゃ多い。J2落ちが決まった時の福田のゴールや、翌年の土橋のゴールは、実際にここで間近で見ているわけで。

ま、そんなオッサンの昔話をしても仕方ないが、とにかく自転車で駒場に行くまでの間、しょうもないことが、次々と頭に浮かんでくる。途中の「花月(北)」の信号が赤が青に変わるまで、やたら時間かかったり。

ただ、忘れてたこともいろいろある。たとえば東口と西口の違いを全く覚えてなかったりとか。私の取った席は西側の立ち見席。しかし自転車を止めたのが東口側で、入り口で、「あ、逆側だな」とスタジアムのまわりを一回りしてようやく西口側にたどりついたが、あとで歩いたら、その西と東はコンコースでつながってたんだな。

夕方になっても汗ばむくらいの気候で、これでちょっと疲れた。で、一句、

夏めいて　　西へ東へ　　汗まみれ

指定された立見席に着いたのが６時半ころ。何より、それまでの埼スタでの試合と、観客層がまったく違うのに驚かされる。

だいたい今までの埼スタ南側ゴール裏といえば、REX CLUBのダイヤモンド会員とかが中心だから、どちらかというと私も含めて「ソロ活オジサン」系が多い。ところが、ダイヤモンド会員優先とか、そういうシバりのないきょうは、若者も多いし女性も多い。たぶん2019年以前の北側ゴール裏に紛れ込んじゃったような感覚なのだ。

 

■対戦相手のサポーターの大事さを感じる

さすがに声での応援はほぼ自制されているものの、試合開始とともに、拍手の迫力は強烈で、おりおり、東側のサポーターと呼応して、フルボリュームになる。

先発メンバー発表で、カターレ側のGKが西部と聞いて「オオオーッ!」となる。そうだ、まだ、やってたんだ！　と改めて気付く。確か2000年のJ１復帰の時、彼はレッズのGKやってたから、いわば「駒場を知る男」なのだ。

まさかこんなところで再会するとは。昔の同級生と、偶然、昔、通学路にしていた電車の中で会ってしまった感覚かな。もちろん向こうはまったく覚えてなくて、こっちだけが一方的に意識するみたいなもんだけど。まったく西部とは・・・。

思いがけず　　駒場で西部と　　同窓会

あと、先発メンバー発表で気になったところといえば、場内アナウンスのテイストが、いつもとまったく違ったことかな。普段のDJ風に対して、きょうのはまるで結婚式の司会みたいだった。さすが天皇杯。

それにしても、立見席で立ったままの90分は、やはりシンドい。私が年取ってるからだけでなく、周囲でも、試合中、若い人たちが何人も途中で席の段差のところに座り込んでいた。座ってしまうと前方が見えないわけで、まわりの観客の拍手が大きくなったりした途端、「どうした？」とばかりに立ちあがる。その拍子に、足元に置いていたペットボトルを蹴飛ばして下の席の方に落ちて転がった光景を、一度見た。

ペットボトル　　蹴ったら落ちる　　立見席

試合は、カターレの善戦というか、単なる決勝への通過点であるレッズと、ジャイアントキリングを狙うカターレとのモチベーションの違いがはっきり出て来た内容だった。

カターレも、ただ引いて守るんじゃなく、積極的にボールとりに来てたし、点も取りに来てた。しかも、ユンカーにボールが行かないように、そのまわりをキッチリと固めていた。少ないながら、アウエー席には富山サポーターもいて、レッズサポの大拍手にかき消されながら、要所要所で拍手の応援を繰り広げている。その様子がちょっと「けなげ」で、相手がレッズでなかったら、カターレの方を応援したくなっちゃうくらい。

アウエーサポは、試合を盛り上げるための大事な一要素なのを、改めて感じる。

アウエーの　　サポの拍手で　　ホッコリと

このままスコアレスドローで、最後はPK戦負けもあるか、とヒヤヒヤしていたら、ようやくユンカーの一撃で1-0の辛勝。家に帰ってニュース見たらマリノスもFC東京も負けたのを知り、番狂わせの多いサッカーのデンジャラスを再認識。まあ、その仲間にならずによかった。

次の13日、ルヴァンカップの神戸戦もまた駒場の立見席。今度はダイヤモンド会員優先の試合なので、また観客席の顔ぶれは「ソロ活オジサン」中心に戻るか。年寄りには疲れるよ。

 

よかったら、これを読んでいる方でも、コメント欄にどしどし「レッズ川柳」、投稿してみてください。シーズンオフになったら、本当に川柳句会でもやりましょう。

 

動画：『浦和レッズ川柳』で4月の試合を振り返る

 

山中伊知郎

1993年のJリーグ開幕から、レッズの年間シート席をもっている。 山中企画という「ひとり出版社」を作って活動中。昨年10月、『タブレット純のムードコーラス聖地純礼』という本を出した。今までどこも出していなかった「ムードコーラス」の歴史を克明に追った本で、マヒナスターズ、東京ロマンチカなどメジャーなグループから、誰も知らないようなマイナーグループまで続々登場。今年は４月に、東洋医学医師で腸のオーソリティでもある田中保郎さんの『腸を診る医学　　コロナに必要なのは東洋医学の「調整力」!?』という本を出した。どんどん形を変えていくコロナウイルス対策としては、ワクチンに頼るだけでなく、東洋医学を使ってウイルスとの「共存」をはかるべき、といった内容だ。