▼数々の駆け引きを「触るだけ」で片づける男
浦和レッズは15日のリーグ第8節、清水エスパルス戦で2-1の勝利を収めた。その2得点は、前半のうちにいずれも興梠慎三がサイドからのクロスを決めたものだった。先制点は左サイドの菊池大介から、2点目は右サイドの橋岡大樹からのもの。決して長身でない興梠が見せたのは、スピードに乗った攻撃の中で勝負どころを上手に使うオフ・ザ・ボールの妙技だった。
まず1点目は、中央の長澤和輝に良い形でボールが入った時に、前にスペースがある菊池のところにグラウンダーの丁寧なボールが出た瞬間からだった。この時、興梠は1回全力スプリントで相手GKと最終ラインの間に入り込む素振りを見せる。それを感じた清水のニアサイド側のDFはゴール方向への足を速め、2人のセンターバックにギャップが生まれた。
そのタイミングで菊池が「ここにいるなっていう感じで上げた。ここに来るだろうと言うか」というダイレクトでのクロスを上げた。興梠は動きで“釣った”ニアサイドのDFより少し後ろ、ファーサイドから絞るDFの前のところに、これ以上ないタイミングで入り込んでシュートを決めた。体の向きも、タッチライン方向に向いてコントロールのしづらい角度にならず、ゴールに正対した合わせづらい角度にもならない絶妙なもの。まさに横からのボールに合わせるお手本通りというヘディングだった。
続く2点目は、橋岡が中央に入れるタイミングを計りながらドリブル突破をしている時の駆け引きだった。この時は、興梠は一度ファーサイド方向に逃げるようなアクションを起こし、橋岡のキックモーションと同時にニアサイドへ切れ込んでくる。清水のDFから見れば、視野から消える興梠を確認しようとしたその瞬間に目の前にマークすべき選手がいるという状況になるものだ。そして、クロスのスピードを利用して流すようなヘディングでファーサイドに決めている。
興梠本人は「どっちもピンポイントで上げてくれたので、触るだけだったしね」と事もなげに話したが、どちらも背の高さだけを武器にしているFWでは決められないような質の高いゴールだった。
橋岡は「練習を見ても、上から見ていても分かると思うんですけど、興梠さんはああいう入り方が本当にうまいので」と話したが、これは昨季にも遠藤航が話していたのと同じ言葉だった。キッカーから見て、空間に上げて合わせるボールは非常に難易度が高いが、極端に言えば興梠をマークしている相手DFの頭を目がけて上げれば良いクロスは蹴りやすい。今季はサイド攻撃を重視する戦術でスタートしたが、キッカーが余裕を持ってクロスを上げる部分の構築が全くできておらず、駆け引きのできない高さ勝負で分が悪い部分が顕著になってしまっていた。しかし、この日のようにキッカーに良い時間が与えられれば、175センチの興梠は10センチ近く高いセンターバックが相手でもゴールにつなげてくる。あらためて、興梠が持つ駆け引きの妙を堪能した2得点だった。
▼ハッキリと悪い部分を話した時は、よく当たる
その一方で、ゴールの喜びよりも長い時間を割いて興梠が話したのは、後半の戦い方と改善点についてだった。手元の公式記録では、浦和のシュート数は前半7本、後半3本であり、清水のシュート数は前半1本、後半6本だった。興梠自身も、後半はシュート0本に終わっている。
「前半みたいに間で受けて相手を疲れさせるようなことができればいいんだけど、後半は逆にやられた感じがあるし、もう少し落ち着いてボールを持つことが大切かなと。(前半は)間、間で受けられたし、それをひっくるめてのハードワークだと思うのでね」
大槻毅監督が後半15分に菊池を下げてアンドリュー・ナバウトを投入し、武藤を左のウイングバックに下げてからの時間は、縦に急ぎ過ぎる展開が顕著だった。長澤も「カウンターを仕掛けるのと、人数が足りない時はもう少しビルドアップをするのと使い分けられた方がいい」と話したが、縦に急ぎたがるナバウトを入れたことでボールの収まりどころが減った面がある。さらに、奪った後の2本、3本のパスに正確性を欠いたことで、押し込まれる結果になってしまった。
興梠は「最近、失点はするけど粘り強く守ってくれるので信頼はしていた」と話すものの、このままでは良くないとハッキリと口にしている。
「前半で2点取ったけど、後半はチャンスらしいチャンスもなかったから。1点は取られた中で後ろが耐えてくれているけど、それが長続きするかといえば絶対にしない。後半の戦い方を改善する必要がある」
昨年のこの時期、興梠はコンサドーレ札幌を相手に3-2の勝利をした時に「3点取ったけど、みんながゴールに貪欲になり過ぎていて良くない。これが続くと危ない」と苦言を呈していた。それはリーグ4連勝の4試合目だったのだが、その後の2試合をチームは無得点で連敗した。この選手はあまり浮かれることもなければ、断言するようなことも言わないのだが、時にこうやってハッキリと話す。そしてそれは、その後のチームを予言するかのように当たることが多い。
現在のチームは、大槻監督の暫定体制で結果を得ている。興梠が「誰が出るか分からないし、そういうモチベーションは良い方向にいっていると思いますよ」と話すような精神的なフレッシュさが勝利につながっている面は大きいだろう。一方で、その空気感だけでは解決しきれない後半の戦い方という課題は徐々にチームを脅かしている。その悪い予感を的中させないためにも、チームの中で解決策を形にしていきたいところだ。
※関連リンク
配置の優位性と4バック殺しの前半 後半の清水はなぜ浦和の嫌がることをしなかったのか【轡田哲朗ゲームレビュー/明治安田生命Jリーグ第7節清水戦】(浦レポ)
轡田哲朗
1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。
1 匿名の浦和サポ(IP:1.75.4.223 )
20年後、30年後に興梠はとこでどんな仕事をしているのだろう?
浦和に末永く関わってくれることを願うよ。
2018年04月16日 19:27
1.1 匿名の浦和サポ(IP:1.75.4.223 )
在籍年数はまだ鹿>だが、ゴール数はもはや圧倒的に>鹿だ。
浦和のエース。
(昔は大嫌いだったよ!)
2018年04月16日 19:45
1.2 匿名の浦和サポ(IP:126.197.46.160 )
俺も鹿島の興梠は大嫌いだった。レッズにとって一番嫌らしい選手だったからね。今じゃ一番好きなリスペクト出来る選手です。小笠原は今でも純粋に大嫌いですが(笑)
2018年04月16日 21:15
1.3 匿名の浦和サポ(IP:1.72.1.252 )
興梠は引退後は浦和のもとで働くって言ってましたよ!
2018年04月16日 21:19
1.4 匿名の浦和サポ(IP:126.199.139.137 )
鹿島の時、同じく大嫌いすぎてブーイングもたくさんしてた!!
今は無くてはならない存在!!
2018年04月16日 21:23
1.5 匿名の浦和サポ(IP:182.20.244.37 )
いまは髭もよく似合うし、男前だ!(笑)
2018年04月16日 22:37
2 匿名の浦和サポ(IP:1.75.2.79 )
20年後、30年後の興梠慎三
レッズのフロント
2018年04月16日 19:35
3 匿名の浦和サポ(IP:1.75.2.79 )
興梠慎三
浦和のエース
2018年04月16日 19:36
4 匿名の浦和サポ(IP:182.167.56.160 )
長続きか、、、。例えば夏場に同じようにやってられるかとか。ラファマネーの活用、必須ですね。
2018年04月16日 19:42
5 匿名の浦和サポ(IP:126.199.142.197 )
ナバウトじゃなくて、マルちゃんの方がよかったんかな
2018年04月16日 20:11
6 匿名の浦和サポ(IP:118.0.8.113 )
慎三ってほんと、天才的なうまさを持っているよな。でもって、大衆受けしようとする広島組とは違って、おのれの行くべき道を行くって感じで、無駄口叩かず、ほんと、職人的というか、玄人ザムライってかんじだな。動きも無駄に動いて疲れるより、ビシッと一発キメル的な感じだし。
今までは、慎三に良いクロス挙げる選手がいなかったけど、今回、橋岡なんかが出てきて、楽しみが増えたよ。慎三の真骨頂は意表を突いた動きやパスで相手を翻弄してゴールするところだけど、若手がそれについてくれば、まだまだ今年も期待するぞ。
2018年04月16日 20:20
6.1 匿名の浦和サポ(IP:182.251.252.1 )
興梠のシュートってなんか痺れる
2018年04月16日 20:41
6.2 匿名の浦和サポ(IP:110.66.125.225 )
「大衆受け」もまた一般層からの認知と集客には必要で、各選手はそれぞれの役割を判り合ってうまく分担していると思うのだが。。
思い入れを感じる片側を持ち上げるのは全然良いことと思うのだけど、なぜ同時にもう片側を下げる必要があるのだろうか??
2018年04月16日 22:07
6.3 匿名の浦和サポ(IP:118.0.8.113 )
広島組を持ち上げたい気持ちは理解できるが、下げてはいない。むしろ「大衆受け」を必要としながらも下げていると断定してしまうところに、問題がある気がする。
逆に自身が自分も気が付かないうちに「大衆受け」を潜在的にうしろめたい、よくないことだと思っているところがあるんじゃないのかな?もっといえば、そんな意見が、もっと「大衆受け」の選手を下げてしまう結果につながってしまうともおもうのだが。。。
2018年04月17日 00:29
6.4 匿名の浦和サポ(IP:126.253.67.15 )
6.2では元広島組(そもそもこのワード自体個人的にはナンセンスだと思う)を持ち上げてないですし、6のあなたの文章は元広島組を下げてる内容だと思いますよ、
文章だけみると、ね、
2018年04月17日 19:10
6.5 匿名の浦和サポ(IP:219.183.150.5 )
>>6.4
6みたいな人って「広島からの移籍」ってワードに反応するタイプなんだろうね。
とりあえず批判しとけば間違いない、みたいな。
興梠の良さを色々書いているところは共感できるのに後味が悪くなる。
興梠をダシにして批判するってのがイヤラシイ。
2018年04月17日 23:28
7 匿名の浦和サポ(IP:182.251.253.40 )
神戸戦の前半みたいにショートパスしやすい距離で中盤で三角形が作れてなかった
ボランチが下がってセンターバックとの距離が近く両方にプレスがかかる低い位置でのボール回しになってた
トップ下の柏木とボランチとの距離も長いしフリーになれず相手につかれてる状況なので苦し紛れに前のスペースに蹴りだして取られるが続いた
流石にあれだけボール持たれると苦しい
2018年04月16日 20:59
7.1 匿名の浦和サポ(IP:27.143.73.181 )
パスコースは前半と同じ様に各選手取っていたよ。
劣勢になったのは清水がトップ下の2名が高いポジションを取り逆に三角形を作られその上前線からのプレスがキツくなったのが原因だと思う。
あと対応力の問題と後半早々に足が止まる体力の無さも影響したかな。
チームに戦術が無いとは言わないが明確な戦術が無くハイプレスサッカーは無駄走りが増え疲れますからね。
2018年04月17日 05:41
8 匿名の浦和サポ(IP:1.75.2.79 )
何としても
興梠慎三に得点王❗
2018年04月16日 21:05
9 匿名の浦和サポ(IP:222.150.212.251 )
サッカーセンスの塊みたいな選手だよな。
2018年04月16日 21:37
10 何っていったって浦和(IP:221.170.191.104 )
なぜか慎三君のコメントいつも心に刺さる。
2018年04月16日 22:58
11 匿名の浦和サポ(IP:14.12.33.0 )
興梠は分析担当とかよさそうじゃない?
監督はあんまり寡黙な人には向かないから
2018年04月16日 23:31
12 匿名の浦和サポ(IP:124.208.111.200 )
都築も今の戦い方は長続きしないって言ってた
2018年04月16日 23:32
13 匿名の浦和サポ(IP:183.74.207.197 )
興梠さん好きなのは同意
ただ浦和サポの硬派マンセー(チャラ男ヘイト)は、異常
少年ジャンプに毒され育ったお年寄りが多いのかな
2018年04月17日 11:29
14 匿名の浦和サポ(IP:1.75.246.125 )
言葉でカッコいいこと言うより試合で全力で戦ってくれるのが1番嬉しいよ。
2018年04月17日 12:52
15 匿名の浦和サポ(IP:182.251.247.15 )
3412で役割をはっきりしたサッカーはオフト時代を思い出す。
2018年04月17日 18:31
16 匿名の浦和サポ(IP:49.98.148.56 )
荒らし認定されてコメント全削除されちゃったア◯タくんはどうせまた削除されちゃうんだから諦めなさい。
2018年04月19日 01:09
17 匿名の浦和サポ(IP:219.105.5.207 )
↑deguchiとやらが意見主張ナッシングの中身皆無でそこらじゅう荒らしてるけど、昔論破されまくったことがトラウマになってる病らしいよ。
2018年04月19日 04:49
マッチデープログラムに掲載された大槻監督の言葉が『すごくグッと来る』と話...
『宇賀神が全体練習に復帰』『ナバウトが日本代表へエール』など【浦和レッズ...
【テキスト実況】J1リーグ第16節「アルビレックス新潟vs浦和レッズ」
【テキスト実況】J1リーグ第17節「浦和レッズvsFC東京」
【議論はコチラ】J1リーグ第16節「アルビレックス新潟vs浦和レッズ」
『ヨーロッパではだいたい契約が6月末までありますので、この期間での移籍が難しいケースも多く出てくると思います』スコルジャ監督会見
【速報】グスタフソンが練習に合流!
【テキスト実況】J1リーグ第11節「浦和レッズvs横浜F・マリノス」
【テキスト実況】J1リーグ第16節「アルビレックス新潟vs浦和レッズ」
【テキスト実況】J1リーグ第17節「浦和レッズvsFC東京」
【議論はコチラ】J1リーグ第11節「浦和レッズvs横浜F・マリノス」
【テキスト実況】J1リーグ第15節「浦和レッズvsガンバ大阪」