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長澤に課せられたタスクの功罪 —勝ったからこそ浮かれることなく受け止めたい課題【浦ビュー】

2019年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。

 

2020 J1第4節 レビュー
浦和レッズvs鹿島アントラーズ 1-0。

 

開いて頂きありがとうございます。

 

今節・鹿島戦のプレビューは珍しい回でした。
いつも勝敗の所は予想できるはずがないのですが、今回は100%勝てると思っていたので、「浦和が勝つから大丈夫だよ」っていう要素や表現を散りばめた作品を提供しました。ひとまず勝ててハッピーです。

 

皆さんの拡散・宣伝のお陰で、毎回少なくとも2、3人は、対戦相手のサポーターから感想やお褒めの言葉を頂くのですが、鹿島サポーターからは来たことがなくて、悔しいのでプレビューでは #antlers までつけたのに、やっぱり感想は来ませんでした。

 

なので、今レビューは相手サポーターを意識しないで作成されたものです。宜しくお願いします。

 

では、始めましょう。

 

この試合のプレビューです。

 

 

 

—スタメンと基本システム—

 

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ー浦和レッズー
・前節から4人変更(青木、エヴェ、長澤、興梠)。
エヴェルトンは今季初スタメン。
4-4-2(5-3-2)
・ベンチに杉本、柴戸、マルティノス。

 

ー鹿島アントラーズー
・前節から2人変更(伊藤、永木)。
・新加入選手は5人
4-4-2
・ベンチに上田、遠藤、杉岡。

 

—前半戦—

 

☑️不安定なビルドアップを狙うのか?

 

ザーゴ新体制になり、後方から積極的にビルドアップを行い、ポゼッション志向になった鹿島。リーグ3位のボール保持率であることがその証拠です。しかし、運用が整理できておらず、配置は取れるが自陣から敵陣にどのように侵入していくのか?という点で、苦しんでいる状況で迎えたのが今節でした。

 

鹿島のビルドアップで、繋ぐときは基本的にプレビューで言及した通りでした。唯一の変更点に見えたのが、片方のサイドで押し込んだ時の反対サイドのSBは、いつもより少し後方に残っていました。それは恐らく、自分たちがカウンターを上手く止められていないことと、浦和のカウンターを警戒していたのではないかと思われます。

 

それ以外は基本的に下図通りだったので、どのような意図があってとかは省略!

 

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それに対して、浦和のプレッシングは過去2戦よりは意識していたように見えましたかね!

 

しかし、最初にGKスンテまでプレスに行った5分20秒では、綺麗に回避されて青木の脇を経由されて反対の和泉まで広げられるといった場面や13分40秒の和泉をファールで倒してしまった場面や後述する長澤の課されたタスクによって生じる問題点が浮き彫りになった場面など、興梠、レオナルドが敵陣で守備を開始したときは、序盤ではプレスが無効化される場面が多かったように思います最後をシュートまで持って行かせていないという点では非常に評価できますが。

 

私も鹿島のビルドアップの不安定さから、序盤戦では積極的にプレッシングに行くべきだと推していたので、上手くハマりませんでしたが、その姿勢は好感を持てました。しかし今後への不安も残りました。勝ったからこそ浮かれることなく受け止めたい課題だと思います。プレッシングは基本的にしないスタンスの今季なので、図にすることもせず、もう少し見守りたいので今回はこの程度で。

 

15分過ぎてからは浦和が吸収するために下がったので、鹿島も停滞してくれましたが、やはり今季は非保持、守備のチームなんだなぁと再認識することもできた試合でもありました。「積極的に吸収しよう!」

 

☑️長澤に課せられたタスク

 

試合前のスタメンの並びにサポーターはざわつきました。長澤がDF登録されていると。そのような事はないと思いつつも、一応保険をかけて、長澤をWBとして起用する意図について、試合前にこのようにツイートしました。

 

 

そして結果、長澤はブロック守備時はWB化して永戸を監視するタスクを与えられていました

 

鹿島の前線は6枚浦和の最後尾は4枚。いつものようにボランチにチャンネル間を埋めさせても5枚

 

なので、中央封鎖している浦和にとって、下図のように左右に振られすぎると、いつかは刺されるというような事を推測していましたが、永戸が高い位置を取れば、長澤が最終ラインまで下がるというタスクを与えたことで、左右に振られても小さなスライドで対応、素早く制限をかけることができるようになりました(下図2枚)。後述しますが、要は春の宿題のテストは、予想もできなっかた対策で合格しようと挑んできた大槻監督でした。

 

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※プレビューで推測したやられたくない展開

 

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※実際の試合

 

しかし、メリットがあればデメリットがある。
長澤が永戸に吸収されたことによって、
CB町田が空きやすくなりました。

 

そのデメリットを開始早々に利用されたのは、
不安を感じました(下図)

 

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⇧レオ、興梠が連動して横パスを繋がせて、興梠としては長澤に前へ出てきてもらって同数でハメに来て欲しかったよう(オレンジ矢印)でしたが、長澤の視線は前方ではなく、永戸に向けられていました。なので、町田はフリーで持ち運べることができ、前進されてしまいました。

 

ブロック守備時では長澤をWBにして、プレッシング時では4-4-2を維持して興梠に連動して欲しかったのだと、コーチからの叫び声で読み取れました。

 

そのブロック守備も最初は危うかったです(下図)

 

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⇧長澤が最終ラインに下がって5-3-1-1のように。永木から空いた町田にパスが入り、青木、エヴェルトンが長澤の分を埋めなければならないのでスライドしますが、中盤3枚なので通されやすく、2人の間を通過するパスが染野に入りました(➁)→染野からボックス内へ和泉を走らせるスルーパス(③)で侵入しました。最後は何とか防げましたが、浦和が用意してきた鹿島対策のデメリットの部分を明確に突かれた形でチャンスを作られてしまいました。

 

大槻監督は町田に持たせて永戸を未然に抑える方を選択したので、鹿島としては、もう少しこのような状況を意図的に作れたら良かった気がしますが、その後はそれほど町田からの効果的なパスは見られませんでした。

 

逆にその直後の10分30秒では、大外の三竿から対角に永戸という鹿島の再現性のあるサイドチェンジが行われましたが、長澤が戻ることになっていたので、しっかりと対応してミスを誘発させてゴールキックにする守備ができました。参考例としては完璧なので、確認することをお勧めします。

 

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☑️鹿島のウィークから攻略していく

 

1列目の守備が機能していないので、後ろの選手が徐々に負債を抱えることになり、縦スライドが得意ではない永戸の時には何十苦にもなりながら対応を迫られて、前進されているとプレビューで書きましたが、その鹿島の左サイドを浦和は序盤から効果的に使うことができていました。

 

最初は4分20秒のシーン

 

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⇧青木が流れの中でCB間に降りるデンへパス→鹿島は枚数を揃えて和泉が出てくる→橋岡へ→永戸が出てくる→長澤へパス。というのが繋がらずスローインになりましたが、繋がっていて上手く長澤が縦に抜けられれば、ボックス内は同数で勝負できたという場面を作れました。

 

次もまた鹿島の脆弱な
右サイドを崩した37分30秒のシーン(下図)

 

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青木が降りる→デンへパス→和泉が出てくる橋岡へパス→永戸が出てくるワンツーで永戸を越える(③④)→クロスはオフサイド。

 

やはり永戸の縦スライドが遅れてしまうというのは、この試合でもハッキリと際立っていました。

 

浦和にとっては、相手が出てきたら空く、出てきたら空くを利用して、鹿島の弱いサイドから同じような現象で越えて崩そうとしたのは、大槻監督から狙いを持たされていたのではないかと推測します。

 

26分15秒私の夢が正夢になりそうだったシーン(下図)

 

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※夢

 

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※実際の試合

 

幅を取った選手に送れれば、鹿島のライン間は広がることは分かりきっていたので、汰木にとって斜めのパスコースが生まれました→興梠へ斜めのパス(➁)→インナーラップしてきた山中へ流す(③)クロス合わず。

 

夢に似せて図は作っていないよ!」ってことを実際の26分15秒のシーンを確認してみて下さい。桑原さんの「ヤマナカ、ヤマナカ~」は聞けなかったですが、近いような現象は起こせていたので作っておいて良かったです!

 

相手基準のマンツーマン対応がほとんどだった鹿島に対して、使いたいスペースにいて欲しくない相手がいるなら、影響を与えてどかして、他の選手が使うといった連続でゴール前に迫ってくれればなぁと推測していましたが、紹介したシーンたちのように意図を感じる前進ができていた一方で、脆弱すぎる鹿島の守備に対してシュートで終わる機会(枠内0本)を中々作れなかったというのは、そのときは心配していました。

 

☑️鹿島のプレッシングを回避する事ができず

 

鹿島は積極的なプレッシングで浦和に制限をかけにきました(下図)。

 

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※浦和「ビルドアップ」vs鹿島「プレッシング」

 

・鹿島のプレス隊は5人(後方は5人)。
・ボランチが縦関係になり、永木がプレス隊に加入で浦和のボランチ1人にマーク。
・もう1人のボランチは和泉が監視。
・山中が内側に絞ってきたら、染野も絞る。
・浦和はいつも通り前線は5枚置くので、鹿島は後ろを同数(5-5)で守る事を受け入れた形になりました。
・その分、プレス隊も同数でハメることができたので、鹿島がプレッシングをハメに来たときの浦和の回避方法は、絶対前向きでフリーな西川まで下げて、前線へ蹴りこむという形が多かったです。鹿島の狙い通りだったという見方もできます。

 

浦和【ボール保持1回あたりの平均パス数】
湘南戦・・・3.6本
マリノス戦・・2.2本
仙台戦・・・4.9本
鹿島戦・・2.7本(前半3.1本)

 

 

ー後半戦ー

 

☑️セットプレーから先制ゴール

 

 

セットプレーからエヴェルトンの先制ゴールが決まりました。
汰木のカットインのドリブルで仕掛けたのを倒されて得たFKでした。
倒した広瀬が、三竿と挟み込めていたのに、どうしてあんなに荒いプレーを選択してしまったのか?だけが気になります。

 

浦和は今季セットプレーから初ゴールでした。
エヴェルトン良かったね!!!

 

☑️同レーンに立つことの狙いとは?

 

SBとSH、特に山中と汰木は原則とは異なり、同じレーンに立ってオーバーラップしたり、縦関係で近い距離になっていることが、今回は多かった気がしています。その狙いを個人的に考えると、鹿島がほぼマンツーマンだったからではないかと考えています。角度のついた関係性、斜めのパスコースを創出できる関係性は相手に影響を与えられますが、鹿島の場合だとマンツーマンなので、べったり対応されたらどの距離感や角度で立っていてもくっつかれています。それが近い距離間やオーバーラップで回り込んだりすることで、「マークを引き渡すのか?」みたいな選択肢を突き付けて、結果的に相手2人の連携が上手くいかず、ボールホルダーの選手が自由になれればなぁ!などを期待していたのではないかというのが1つ目の考え。

 

2つ目の考えは、内内となっている訳ではなくて、外外の関係性なので、自分たち(SBとSH)が広がることで、相手も勝手についてきて広がってくれるので、興梠やレオナルドたちに中央で広いスペースを与えてあげられるから(下図)使いたいスペースを自分たちが操作して釣りだして、そのスペースを作り出し使う。マンツーマン色が強い相手にはそれが効果的です。昨季まで浦和がされていたように。

 

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原則があっての例外。例外があっての原則なので、今回のがとてもうまく機能していたとは思いませんが、相手の特徴に合わせて変えられる点はポジティブでした。

 

☑️春の宿題のテスト日

 

大外からのクロス対応、大外でクロスを上げさせない環境が春の宿題で、明確にそこからボールが送られてくると分かりきった相手が、ようやく現れたので、勝手にテスト日とさせてもらいましたが、今回は合格でいいのではないでしょうか。とりあえず、この試合だけはクロスから失点するなーと祈っていて、後半の2/3の時間ぐらいは、テストを受けていた感じでしたが、無失点でクリアできたことは大満足です。

 

・クロスを受けた回数は全24回
・合わせられた回数は5回
・最大警戒・永戸のクロス全8回/成功率13%
今季最多のクロス回数で、今季最低の成功率。

 

・被シュート数は6本/枠内は0本
・鹿島のゴール期待値は0.43。浦和の対戦相手で今季初めて1.0を下回る(ちなみに浦和は1.02)。

 

前述したように長澤がWB化して鹿島対策をしたことや山中が引き出されたときにボランチではなく関根が埋めにいくといった、これまでとは違った点も見られたので、今後もコンパクトに中央封鎖することが原則として、相手の特徴や狙い所に合わせて柔軟に対応できたら堅いチームになれるだろうなぁと期待を持てました。1つの生き物のように動くことが大切なので、また1人変わっただけで、崩れてしまうようでは、勝ち点積めなくなっちゃうので、完成度を高めていきましょう!

 

最後はマルティノスを投入してWBとして起用。ボックス内を固めるなら、橋岡にWBにスライドさせて、CBにマウリシオを投入するのかなーと推測していましたが、フレッシュな選手に受け手を封じさせるより、出し手を封じさせることを選択

 

試合は1-0で今季初の完封勝利
埼スタでは2戦連続無失点
リーグ最多勝ち点10で2位

 

ー総括ー

 

3連戦を終えて、私たちとしても、どのような起用がされて、どのような幅のある戦い方があって、ポジティブな要素、ネガティブな要素を見られて、情報を集められたので、今後より中身の詰まった内容をお届けられる気がしています。4局面を全て埋めて強みにすることができれば最高ですが、それほど簡単に構築できないし、連戦が続くので尚更難しいですが、1番の強みの局面で詰まった/悪循環になったときに、他の局面でカバーできなくなったら泥沼に落ちそうなので、もう少し満遍なく埋める必要性はあると思います。マリノス戦では全力でブロック守備で耐え凌いで、鹿島戦もその局面で崩れなかったから。一方で、仙台戦の失点は、最も不安定だった序盤は、どこで詰まっていたのか。今は上手く勝ち点に反映できていますが、私が思うに今回の3連戦で、最も勝利に相応しい内容だったのがマリノス戦ですが、実際にはその試合は勝ち点1で、他の2戦が勝ち点3ということで、内容と結果がカッチリハマり切ったとは言えない部分はあるので、それがシーズン最後まで続けられればいいですが、内容は良かったのにポイントを取れなかったという試合も絶対出てくるので、勝っているからこそ、見つけられた課題は早いうちから上積みをしておきたいところです。

第2クールはFC東京、柏レイソルと質で襲い掛かってくるチーム、鹿島や仙台よりもより洗練されたビルドアップ、守備ができる横浜FCといった3連戦です。

 

・さいごに

 

今回のレビューでプレビューの内容を積極的に盛り込めることができたのは、プレビューの質が良かったからかなぁと久しぶりに手応えを感じられました。少し強引にプレビューを使用した感はありますが、約1週間で8本目のNote投稿という事で、少しブレーキを踏ませてもらう為に、簡易的な内容にさせてもらいました。ご了承ください。

 

来週からも引き続き読んで頂けると嬉しいです。

 

面白ければリツイートで拡散、引用リツイートで感想して頂けると幸いです。

 

読んで頂きありがとうございました!!!

 

 

浦ビュー

初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ura_view17

 

コメント

  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:126.227.140.74 )

    まじでなんで勝ってんのか分からんけど、ちゃんと見る人が見たら勝つべくして勝ってるんやな
    ええことや

    このコメントに返信

    2020年07月13日 12:30

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:1.75.245.188 )

    公式戦4連敗1ゴールの鹿島に勝ってもな。強い鹿島に勝ちたい。

    このコメントに返信

    2020年07月13日 14:07

    • 2.1 匿名の浦和サポ(IP:49.98.163.85 )

      下位チームに取りこぼししないのは大事な事だよ

      2020年07月15日 02:42

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:49.98.216.87 )

    粘り強く守り、零封して勝てたのは大きい
    こういう試合、勝ち点をを積み重ねていってほしい

    このコメントに返信

    2020年07月13日 15:36

  4. 5 匿名の浦和サポ(IP:27.83.174.119 )

    浦ビューさん、ありがとう。
    長澤がDF登録された意味がよく判りました。
    鹿島は浦ビューさんを分析で雇えば、最下位を抜け出せるのでは・・・

    このコメントに返信

    2020年07月13日 20:51

  5. 6 匿名の浦和サポ(IP:49.98.147.9 )

    浦ビューさんの解説は相変わらずためになる。ありがとうございます。

    このコメントに返信

    2020年07月16日 02:57