コラム

『SNSを使ってユルい交流の場を作るのはどうでしょう?』コグレマサトさん編(ネタフル管理人)【山中伊知郎の浦和レッズ観客数復活計画】

2018年、山中伊知郎さんが「どうしたら浦和レッズの観客数は復活するのか?」をテーマに色々なレッズサポーターにインタビューする企画がスタートします!

第一回はコグレマサトさんです。

コグレマサトさん
1972年大宮で生まれ、幼稚園からは浦和で育つ。日本有数の情報ブログ「ネタフル」の管理人で、ブログ、Twitter、LINEなどに関する30冊あまりの著書も執筆。なぜかカナダ・アルバータ州ソーシャルメディア観光大使で、カルガリーの名誉市民でもある。

 

―――コグレさんと浦和レッズとの「出会い」について、まずお聞きしたいのですが。
もともとサッカーには興味はなくて、少年時代はソフトボールをやってました。
それが大学生の時にJリーグが始まって、地元にあるチームということで、応援するようになったのがキッカケです。
正直、「浦和」って、これといった特徴がなかったじゃないですか。だからあまり思い入れもなかったのが、やっと「浦和在住」のプライドを持てるようになりました。
ただ、しばらくは、駒場までは家から歩いて行けるのに、チケットがまったく取れませんでした。ですからナマ観戦はしていません。
ようやく年間シートが手に入ったのが1999年です。ご近所の不動産屋さんが譲ってくれたんです。バックスタンドのSA席の真ん中。
それからは、ホームの試合はほぼすべて行くようになりました。
最初のころは父とよく行ってました。その父が歳を取って行かなくなってからは、二人の息子が観戦仲間。その息子たちも、自分たちがサッカーを始めるようになって、見に来る時間がなくなりました。
ですから今は、私は「一人観戦」。去年、SA席から自由席に変えたのも、一人で気楽に見るのにちょうどいいかな、と思ったからです。

 

―――思い出の試合、というとどれになりますか?
2007年のACL決勝でしょう。その2週間前に母が亡くなり、そのショックもあって、行こうかどうしようか迷ったんです。でも結局、もし母が生きていたら「行ってきなさい」と背中を押してくれそうな気がして、足を運びました。
優勝が決まった瞬間は、SA指定席の観客も総立ちで、握手したり、ハグしたり、盛り上がってました。行ってよかったです。
もう一つが2000年の、J1復帰を決めた試合。ちょうど二人くらい挟んだ先の席に座っていた、40代くらいのベンチコートを着たオジサンが、決まった瞬間、男泣きしてました。とても人前で泣くような人には見えなかったのに。あれは印象的でした。

 

―――では、思い出深い選手といえば?
忘れられないのは永井選手です。貴公子みたいなルックスで、スラッとしていて、ドリブルが華麗で。あまりサッカー選手っぽくないのが、逆に魅力でした。永井選手のチャントも好きでした。
あと、なぜか記憶に残っているのが入団当時の野崎選手と矢島選手。試合中のプレイではありません。息子と大原に練習を見に行った時、入ったばかりの矢島選手と野崎選手が、練習後、二人で用具の片づけをしていたんです。それで息子に、
「新人は、ああいう仕事もするんだね」
と話したのをよく覚えています。

 

―――お仕事とレッズとのつながりは?
2003年までやっていたメルマガを休止して、ブログを始めたんです。並行してレッズのブログもやっていて、でもそれだとなかなか手が回らなくなったので、複数サイトではなしに、「ネタフル」のカテゴリーの一つとしてレッズのことも扱うようになりました。
2006年にリーグ優勝した頃は、「ネタフル」は、iPhoneとMacと浦和レッズのサイト、ってよく言われるようになってましたね。
観戦記や、選手の移籍情報も必ず入れてましたし、レッズマガジンにも連載コラムを持たせてもらいました。
今でも「ネタフル」の中のレッズ情報は継続しています。

 

―――さて、今回の本題です。近年、停滞というか、やや下降気味のレッズ戦観客動員数、どんな手を打てば回復できると思いますか?
それは、一番いいのは強くなることでしょう。さらに魅力的で、ワクワクさせてくれる試合をすること。当たり前かな。

 

正直、今年のチームには例年のような期待感がありません。いったいどういうサッカーをしたいのか? どの選手に注目して試合を見たらいいのか?とてもアイマイです。全体的にメリハリが感じられない。なぜクラブは、もっと魅力的な試合にするためにいい選手を連れて来たり、あまり動かなかったんでしょうか。

 

そうしたチーム力とは別に、動員数を増やす方法となると、いくつか提案があります。たとえば「外国人向け」の情報発信ももっと充実させること。
3月4日のホーム開幕戦で、埼スタ行きのシャトルバスに乗って驚いたんです。乗客の中に、レッズのレプリカを着ている中国人や韓国人のサポーターがいた。日本在住の人たちなのかもしれないですが、ACLなどを通じてレッズに興味を持っている割合はどんどん増えている気がするのです。
ですから、最低、英語、中国語、韓国語くらいで、「スタジアムへの行き方」「チケットの買い方」といった基本的な点も含めた案内はしっかりネット発信してほしいです。

 

他にはクラブとしてLINEもやってほしいですね。
レッズがやっているSNSアカウントは多いですが、ツイッターだとつい見過ごしてしまったりします。LINEで更新情報が届けば、見逃すこともありません。
公式アカウントだけでなく、たとえばレディアのアカウントなんてあってもいいんじゃないかな。ガチガチじゃなく、「スタジアムに来ている子供サポーターと一緒に写真撮ったよ!」とか、そういうものを投稿してもらうんです。サポーターとの「ユルい」交流の場にすればいい。
長く続けるんじゃなく、期間限定でもいいかもです。

 

直接は埼スタの動員数につながらないですが、レッズの試合が見られるお店マップを作るのも面白いかもしれない。浦和でもそういう店は『力』をはじめいくつかありますが、いざとなった時にどこでテレビ観戦できるか分からない人も少なくないと思います。ただ、浦和限定でなくやってみてもいい。

 

あと、路面電車計画も、もし現実になったら動員力アップに大きな効果をもたらします。463をうまく利用してアリーナ、駒場、埼スタを電車で結ぶ話です。今は、とにかく埼スタが浦和の市街地から離れ過ぎています。ナイトゲームが終わった後、飲みに行こうとしても帰りのバスは混むし、浦和美園の周辺にもいい場所はありません。
せめてもうちょっとアクセスは改善してほしいですね。

 

最後に、レッズをもっとよくするためには、僕としては、選手以上に「浦和レッズのために闘う」経営者が不可欠だと思います。親会社から派遣される人ではなく、サッカーに愛情を持った経営のプロ。

V・ファーレン長崎みたいに、すでに経営者として成功された方に来てもらうのが理想的かもしれませんね。

(取材日:2018年3月5日)