浦和レッズについて議論するページ

サッカーライター郡司聡さんが浦和レッズと対戦した選手たちへの取材をもとに「対戦相手から見た浦和レッズとは?」をテーマにした原稿を浦議で連載していただくことになりました!

 

▼怪我からの復帰が多かった鹿島に好都合な前半

3日前にサンフレッチェ広島とのアウェイゲームを戦った浦和レッズに対して、鹿島アントラーズは8日間、公式戦の試合間隔が空いたため、レオ・シルバや三竿健斗、伊藤翔ら、けが人が復帰。1シーズン制では2009年以来となるリーグタイトル獲得に向けて、陣容が整いつつあった。

さらに首位を走る鹿島は、このまま残り5ゲームを全勝で飾ればリーグタイトルに手が届く。そのため、大岩剛監督は「毎試合が決勝戦」と選手たちにハッパを掛けていた。

負傷明けの伊藤と2トップを組んだ土居聖真は、残留争いの渦中にある浦和の出方を次のように感じていたという。
「アウェイでもあったため、最悪勝ち点1でも良いと思っているのか、後ろに重たかったですし、ボランチもマンツーマン気味にマークに来ていました。3バックも全然上がってこなかったですし、焦れずに戦って先制できれば、相手も慌ててくるだろうなと思っていました」

中2日での連戦を強いられた浦和は直近の広島戦から先発メンバー5人を入れ替えた。2シャドーの一角には柏木陽介が起用されたため、守備に重心を置きながらも、その分、必殺のセットプレーで仕留める力は増していた。相手との力関係や日程上のハンディを鑑みれば、妥当な出方と言えるかもしれない。

けが人が復帰し、公式戦での“試運転”の側面が強い鹿島の立場に立てば、浦和のそうした出方は好都合でもあった。左SBが本職ではない町田浩樹は、4分に対面の橋岡大樹にパスを引っ掛けてボールロスト。直後の7分にもサイドチェンジのパスをファブリシオにかっさらわれるなど、不安定だった。しかし、チーム全体が後ろに重たい浦和は、いざ相手のミス絡みでボールを奪っても、攻守転換のスタート位置が低く、ポジティブ・トランジションのスピード感も思うように上がらない。さらにトップに入った鹿島の伊藤は「背後に走れば、浦和のディフェンスも下がる」と裏抜けを意識的に繰り返し、浦和の最終ラインに背後の恐怖を植え付けていたことも、浦和の最終ラインが重たくなる遠因にもなった。

こうして鹿島は12分、三竿のパスを背後で受けた土居がGK福島春樹を強襲し、決定機を創出。右サイドハーフの遠藤康もスペースでボールを受けてフィニッシュまで持ち込んだ。ところがシュートの精度が低く、先制点奪取には至らず。「前半に点を取れていればもっと楽な試合運びをできた」と伊藤が振り返ったように、鹿島も低調な浦和に“お付き合い”する形でゴール前の精度を欠き、0-0のまま後半へと折り返した。

 

▼チームの成熟度の差が出た後半

迎えたハーフタイム。浦和の出方を踏まえた上で、鹿島の大岩剛監督は選手たちに浦和のウイークポイントを突くことを指示した。この日の浦和の“泣き所”は、CBとウイングバックの間の背後のスペース。後半の鹿島はサイドハーフとSBがポジションチェンジも交えながら、そのスペースを徹底的に突く姿勢を示した。

こうして0-0で推移したゲームの決勝点は、終盤の72分に狙っていた形から生まれた。伊藤が槙野智章の背後へ抜け出して永木亮太からのパスを引き出し、起点を創出。伊藤がサイドを駆け上がってきた永木へリターンパスを供給し、永木はボックス内のスペースに進入したセルジーニョへ展開する。こうしてゴール前での混戦を作り出した鹿島はサイドに浦和守備陣を揺さぶる中で、土居がフィニッシュ。GK福島がはじいたボールを、セルジーニョが右足でゴールの天井を居抜き、ようやく鹿島が先制点を奪った。ゴールシーンに絡んだ伊藤が言う。
「大岩監督にあそこを使えと言われていました。監督やりましたよ!と。浦和がヤス(遠藤)やショウマ(土居)についていく形になってできる裏のスペースを、シンプルに使っていこうという指示がある中でのゴールでした。監督の采配ズバリといったところでしょうか」

セットプレー以外ではなかなか攻め手を見い出せず、先に失点した浦和は74分、ファブリシオに代えて、興梠慎三を投入。興梠を杉本健勇との2トップで起用し、柏木はトップ下へポジションを移して戦況打破を試みた。しかし、浦和の配置転換に対して、鹿島も即座に対応策を施す。大岩監督はボランチの三竿に対して、「CBの前で構えて、セカンドボールを拾ったり、スペースを埋めたり、CBをフォローする動き」を指示。試合を1-0でクローズさせる役割を託された三竿は「相手が2トップとトップ下になって、マークがハッキリしたことで逆に守りやすくなった」と振り返る。84分に永木を突き飛ばし、退場処分を受けた大槻監督の用兵もさしたる効果を生まず。鹿島が1-0で残留争いに苦しむ浦和を退けた。

けが人が復帰し、リーグ制覇への“ラストスパート”を切りたい鹿島は、決して本調子ではなかった。それでも戦況に応じた状況判断と指揮官の指示を具現化し、僅差ながらも勝ち切ってみせた。

けがから復帰した選手もいたことで選手個々のコンディションにバラつきがあり、チームとしてもルーズな部分が散見された鹿島の隙を突き、浦和としては勝ち点1でも持ち帰りたい試合だった。しかし、それも叶わず、失意のまま、カシマサッカースタジアムを後にしている。久しぶりに公式戦のピッチに立った柏木が言う。
「失点をどうこう言うよりも、チームとしての成熟度の差なのかなと」

チームを率いる大槻監督は、分析家の指揮官らしく、1試合ごとのゲームコディネートに重きを置きながら試合に臨んでいる。そのため、誰が出てもクオリティーが落ちないような“チームビルディング”を遂行しているとは言い難い。連戦を考慮し、メンバーを入れ替えて臨んだ鹿島戦は、一つも勝ち点を奪えなかったように、“付け焼き刃”のチーム力で“常勝軍団”を倒せるほど、鹿島はヤワな相手ではなかった。

 

蹴球界のマルチロール・郡司聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド・刊)。

 

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  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:106.130.45.216 )

    底力の差だろ。強いチームは悪いなりでも1-0で勝つことが出来る。勝ちきる、守りきる。この差が大きいんだよ。ユヴェントスが有名だ。

    このコメントに返信

    2019年11月04日 15:30

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:106.130.45.216 )

    底力の差だろ。強いチームは悪いなりでも1-0で勝つことが出来る。勝ちきる、守りきる。この差が大きいんだよ。ユヴェントスが有名だ。

    このコメントに返信

    2019年11月04日 15:30

  3. 4 匿名の浦和サポ(IP:124.140.186.201 )

    ああ、やっぱり。腑に落ちたリポートです。
    底力の差もあるけど、
    レッズDF陣の弱み(特に疲れてくる後半)がしっかり分析され、
    大岩監督の指示で狙われていたんですね。
    DFの補強ポイントを、再確認できた感じ。

    このコメントに返信

    2019年11月04日 17:29

    • 4.1 匿名の浦和サポ(IP:211.15.235.105 )

      DFの補強ポイントというよりは、WBの裏のスペースのケアを、DF個人任せではなくて組織としてどう対処するかだと思うんですよね。浦和は攻守にわたって組織的に連動した動きがイマイチ。鹿島はできている。そこが、柏木の言う成熟度の差であり、底力の差なのではないでしょうか。

      2019年11月04日 17:44

    • 4.2 匿名の浦和サポ(IP:218.231.254.28 )

      むしろ浦和DF陣の強みを逆手に取ってるんだと思う。
      同じよう形でラインを崩されるのを繰り返せば、鹿島に限らずどこだって狙ってくる。指揮官に修正能力が足りないだけでないかな。

      2019年11月05日 02:09

  4. 5 匿名の浦和サポ(IP:1.72.7.148 )

    後ろに重たい割に失点するのが大槻さんの浦和だよね

    このコメントに返信

    2019年11月04日 18:12

  5. 6 匿名の浦和サポ(IP:124.140.186.201 )

    5・1さん 5です。
    ご指摘、了解です。
    私は、車谷が来てくれていたらな、とか
    4バックなら、とか
    ついつい余計なことを考えてしまいました。笑

    このコメントに返信

    2019年11月04日 18:14

    • 6.1 匿名の浦和サポ(IP:27.94.24.163 )

      あひるの空の空くんのことですか?

      2019年11月04日 18:41

    • 6.2 匿名の浦和サポ(IP:124.140.186.201 )

      訂正=車谷→車屋(汗)

      2019年11月04日 20:25

  6. 7 匿名の浦和サポ(IP:49.96.34.137 )

    後ろに重たい状況を90分続けたら、大抵どこかで破綻しますよね。セットプレーとかミスがらみででうまく先制できなければね。
    後ろが重くても2、3人でどうにかしてしまうFWがいればそれもいいんですけどねぇ。

    このコメントに返信

    2019年11月04日 18:54

    • 7.1 匿名の浦和サポ(IP:59.166.158.85 )

      そこで、ワシントンとエメルソンですよ。

      2019年11月04日 23:00

  7. 8 匿名の浦和サポ(IP:106.133.58.109 )

    転売行為ヤフオクID kankaku2010

    このコメントに返信

    2019年11月04日 19:12

  8. 9 匿名の浦和サポ(IP:126.35.109.235 )

    もはや3バックは限界に来ているのでは?そろそろミシャ時代の3バックともお別れし、4バックが出来るメンバーと若手への切替が必要だと思うよ。
    残念だが、3バック全盛時に活躍してくれた槙野や森脇、宇賀神などのDFや西川も今季放出で良いと思う。
    もう彼らベテランに1億近く払う価値は無いし、コスパ悪くてクラブも払えないでしょ。

    このコメントに返信

    2019年11月04日 19:29

    • 9.1 匿名の浦和サポ(IP:202.74.253.41 )

      広島、札幌は上なんだよね。
      3バックの限界って具体的に何?
      4バックの優位性って何?
      システムだけの問題じゃないでしょ。

      2019年11月05日 07:47

  9. 10 匿名の浦和サポ(IP:126.33.89.146 )

    今季の中心メンバーだった青木、武藤の離脱は大きい。
    その代わりに戻ってきたベテランの阿部、柏木がチームを良くしてくれると期待してます!

    このコメントに返信

    2019年11月04日 20:28

  10. 11 匿名の浦和サポ(IP:175.132.137.183 )

    この試合は鹿島中9日で浦和は中2日と日程的なハンディがあり過ぎる。
    それに力関係からも勝敗は試合前から決まっていたと言っても過言ではない。
    その中でも浦和は内容的に奮起していたし柏木と福島が違いを見せ今後計算出来ると分かった事が収穫でしょう。
    そしてこの時期は後ろを振り返り修正なんてするより、前で向いてプラス思考で進むことが何よりも大事だと思う。
    浦義のコラムもそんな雰囲気でお願いしたい。

    このコメントに返信

    2019年11月05日 06:13

  11. 12 匿名の浦和サポ(IP:111.89.79.18 )

    札幌はダビド・シルバ獲りだってさ。日本一のサポーターを持つ浦和はどんどん取り残されていくよ。金をけちってるからどんどん衰退していくね。三菱には本当に期待できない。大将が批判するのもわかるよ。

    このコメントに返信

    2019年11月05日 07:20

    • 12.1 匿名の浦和サポ(IP:202.74.253.41 )

      33歳使い物になるの?

      2019年11月05日 07:40

    • 12.2 匿名の浦和サポ(IP:1.75.210.58 )

      スター選手は見たいが国内でスター選手を獲得しているチームは軒並み低調なんだよね。
      要は戦術度外視で獲得したり、チームがスター選手の個性に負けて全体のバランスを崩すんだと思う。
      本当に必要な外国人選手はスター選手ではなくラファや他のチームだがレオシルバなどチームに馴染み確実に勝利に貢献出来る選手だと思う。
      客寄せパンダはもうJリーグでは通用しないよ。

      2019年11月05日 07:51

    • 12.3 匿名の浦和サポ(IP:219.114.117.144 )

      >33歳使い物になるの?

      え?俺、使い物にならない?(by 慎三)

      2019年11月05日 12:52

  12. 13 匿名の浦和サポ(IP:1.72.0.89 )

    フロント「ケチってないぞ。柏木槙野西川杉本に1億ずつ払ってるんだぞ。」

    このコメントに返信

    2019年11月05日 07:44

  13. 14 匿名の浦和サポ(IP:49.98.153.249 )

    じゃあ、金はあるけど人脈がない。

    このコメントに返信

    2019年11月05日 17:18

  14. 15 南ゴール裏住人(IP:133.202.111.203 )

    鹿島は来週の川崎戦へのケガ人復帰調整で戦ってましたね。

    このコメントに返信

    2019年11月05日 21:59

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