サッカーライター郡司聡さんが浦和レッズと対戦した選手たちへの取材をもとに「対戦相手から見た浦和レッズとは?」をテーマにした原稿を浦議で連載していただくことになりました!
▼前半アディショナルタイム0分の理由
土壇場でのロングカウンターを決め切り、浦和レッズ戦の“ダブル”を飾った大分トリニータの片野坂知宏監督は、選手たちの奮闘を労うようにこう言った。
「強い気持ちを持って、勝利を目指し、最後まであきらめないチームがああいう形でご褒美をいただくのかなと思いました」
片野坂監督が率いる大分は、GKも絡めた丁寧なビルドアップをベースに構築されたチームスタイル。決して怯むことなくボールを動かす大分の選手たちは、相手の立ち位置を見て流麗にボジションを入れ替えながらボールを前に運び、相手を攻略してくる。前回対戦での浦和は、前からハメようと“鬼プレス”を敢行するも、柔軟なパスワークでアプローチを剥がされて、0-2の敗戦。前回対戦の反省を生かそうと、今回の浦和は無闇に前からアプローチを仕掛けず、ある程度、陣形をセットする形で大分のチームスタイルに勝負を挑んだ。しかし、前半に関しては大分の“人もボールも動く”パスワークを前に、浦和がチームとして機能しているとは言い難かった。最後尾のポジションから浮き球のパスを効果的に操り、浦和の守備組織の綻びを突いたGK高木駿がこう振り返る。
「ボランチも一人が前に出てきていましたし、思ったよりも前線は前から来る形でした。最近はなかった現象なのですが、相手のボランチが来る分、ウチのシャドーの周りのスペースが空いていたので、(2シャドーの)セイゴウ(小林成豪)とコヅ(小塚和季)ならギャップを使える。それでディフェンスが行き切れないところができていたので、そこに浮き球を入れていました」
前から来ればうまくいなして、相手のアプローチを剥がし、相手がセットした状態ならば、ボールを動かす過程で綻びを探り出し、時には奥深い位置まで長いボールを供給する。前半の決定機は13分のポスト直撃シュートに限られたが、「ボールの動かし方は安定していた」と片野坂監督が評したように、大分がポゼッションを高めながら時計の針を進めた。そのため、ボールがタッチラインをあまり割らずにアウト・オブ・プレーの時間が少なく、表示された前半のアディショナルタイムは0分。第4の審判員がボードを掲げた瞬間、メインスタンドからは驚きの声が挙がるほどだった。
「0-0の時間帯をなるべく長くしたかった」(片野坂監督)
▼監督冥利に尽きる展開へ
そんな敵将の思いとは裏腹に、後半は立ち上がりの時間帯を除いては、浦和が前から圧力を強めて、大分を自陣に釘付けにした。53分には最前線で無理の利く興梠慎三が反転から左足のシュート。フィニッシュはゴールの枠を外れたが、肝を冷やされた敵将は、興梠についてこう語っている。
「とにかく後ろの3選手には興梠くんを常に視野に入れておけと言っていました。スペースを突くタイミングもいいし、起点にもなれるし、ゴール前の危険なエリアにも入って来られる。やはりトップ・オブ・トップの選手だと思います。あのプレッシャーの中でも起点を作れるし、嫌なポジションを取り続けられる。ウチのFWにも見習ってほしいぐらいです。
僕が(大分の)強化スタッフの時に鳳翔高校での彼を見ていたのですが、『いい選手になったな』と思います。実はダメ元で獲りに行ったのですが、競合が鹿島(アントラーズ)だったので、無理でしたが…」
興梠が作り出したチャンスのあとも、ホームチームが攻勢を強める中、その軸を担ったのが、左サイド。3バックの左CB槙野智章や、右肩関節脱臼で途中交代した武藤雄樹に代わり、56分から出番を得たファブリシオだった。
「後半はファブリシオが間を取って、エヴェルトンが前に出る形で相手に押し込まれる状況になりました。特に槙野選手と小塚のところをどうするか。それは考えていました」(片野坂監督)
70分、片野坂監督は小塚に代えて、伊佐耕平を投入。「伊佐のスピードでかき回せれば」(片野坂監督)と戦況の挽回を試みたが、浦和の圧力は衰えず。また浦和の選手たちは大分のパスワークと“張り合う”かのように、敵陣でトライアングルを構築してボールを動かし、時には関根貴大やファブリシオらが個の力でこじ開けようとしていた。こうして“防戦一方”とも言っていい試合展開に押し込まれていた大分の選手たち。果たして、その時間帯における大分のメンタリティーは、どうだったのか。三竿雄斗はこう述懐する。
「後半は自分たちの意図した形でボールを動かせなかったですが、ノリ(鈴木義宜)も含めて3バックで粘ればなかなか点は取られないので、攻め込まれる中でも抑えようという気持ちではいました。自分の中では、浦和はカウンターを食らいやすいイメージ。思い切って前に出て行けば、相手もついてこられないと思ったので、行ける時はガンガン行こうと最後に迷わず行きました」
0-0で迎えた90分、ファブリシオとエヴェルトンが強烈な右足シュートを浴びせたが、大分はGK高木のファインセーブでしのぐと、耐えに耐えてきた大分に最後の最後でビッグチャンスが訪れた。
93+3分だった。自陣の低い位置でセカンドボールを拾った大分がロングカウンターを発動。進撃する中で浦和に阻まれそうな場面はあったものの、ボールに関わる選手が執念で食らいついて可能性をつなぎ、最後は三竿のクロスを後藤がファーサイドから頭で叩き込んだ。殊勲の後藤が言う。
「攻撃の回数はあまり多くなかったので、1本のチャンスをモノにできればと思っていた中で最後の最後にカウンターのチャンスが来ました。クロスは裏に来るだろうと、信じて入れました」
歓喜に包まれた大分ゴール裏を除き、失望感に包まれていた埼玉スタジアム。敵将は「0-0の拮抗した展開にしようと思っていたし、点を取られたらほかのプランもありました」と不敵に語った。そして、記者会見後の囲み取材では「選手のおかげです」という言葉を何度も繰り返している。
J3時代から4シーズンをかけて構築してきた自分たちのスタイルを表現し、相手に押し込まれた時間帯は粘り強い守備でしのいで、最後に勝負のカウンターで勝ち切った“片野坂トリニータ”。事前に練っていた“プランB”発動の機会こそなかったが、最後の最後で浦和をうっちゃったゲームは、片野坂監督にとって、“監督冥利に尽きる”試合でもあった。
蹴球界のマルチロール・郡司聡
編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド・刊)。
1 匿名の浦和サポ(IP:175.132.137.183 )
ひと昔前は浦和がビルドアップ自慢なチームだったが、、、もう見る影もなくなってしまった。
今ではカウンターサッカーなのかポゼッションサッカーなのかそれともハイブリッドサッカーなのか、チームが目指すサッカーが全く見えず監督と選手がフィールド上で迷子になってしまっている。
相手に合わせず自分達の明確な形を持てって!
相手に合わせたサッカーをしているから主導権を握られ失点をするし得点パターンも無いんだよ。
そして信じるサッカーもないから選手は自信を失い迷いながら走りそして最後は運まで失う、それが今の浦和。
2019年10月22日 14:18
1.1 匿名の浦和サポ(IP:126.113.32.122 )
大槻監督の基本プランが「運動量(根性)でなんとかする」ですからね
ボール保持が得意なチーム相手には散々走らされて後半失点する
もうちょい戦術が仕込める監督の方が良いんだけどなー
2019年10月22日 15:39
1.2 匿名の浦和サポ(IP:118.158.61.17 )
大槻さんは試合後のコメント追ってればわかるけど、
「基本的には前からプレスをハメたい」
「それだけじゃ体力持たないから、しっかり自分達でボールを握る時は握りたい」
って方針はあるんだよ。
ただ、相手によっては前からプレス行っても組織的なパスワークで振り回されたり、自分達でボール盛ってても組織的な崩しまで至ってないのが現状。
いったん織部の方針を叩き込まれた後だから、なかなかそこからの軌道修正を図れてないのは監督も選手も同じだと思うんだけどね。
フロントに至ってはそもそも「勝つサッカー」っていうどれが正解かわからない軌道だった上に、おまけに「2冠」と「若手育成」を加えた螺旋軌道にしてくれたけど!
2019年10月22日 23:39
2 匿名の浦和サポ(IP:111.89.72.118 )
基本戦術が見えない個で突破するしかない単発サッカーじゃ勝ち続けるのはムリ。早く監督交代するべき。大槻さんのサッカーって何?
2019年10月22日 17:16
3 匿名の浦和サポ(IP:126.233.143.29 )
堀さんには感謝してるけど、同じように大槻さんでACL取ったとして来季契約更新は勘弁してほしい。堀さんときのにのまえになる。監督も外人選手もリセットして浦和のサッカーを土台から作ってくれる人を連れてきてほしい
2019年10月22日 17:54
3.1 匿名の浦和サポ(IP:118.241.63.24 )
土台作りという点は全く賛成しないが、
ACLで結果を出す。Jリーグでは全くダメというところは堀さんと同じだから、
学習能力のあるフロントなら分かっていると信じたいところだが、
残念ながら修三くんだからなー。
2019年10月22日 18:03
3.2 ウラワ(IP:126.141.225.86 )
にのまえじゃなくてにのまい
2019年10月22日 19:19
3.3 ウラワ(IP:124.45.162.86 )
おい名前勝手に使うなや
2019年10月22日 23:40
4 匿名の浦和サポ(IP:1.75.1.191 )
大槻さんにヒント。
攻撃のトライアングル、守備のトライアングルが出来てない。フォーメーションなんて概念に過ぎない。
ボールが入った時に、相手にボールが渡った時にトライアングルが描けてるか、これが大事。
1つ目のトライアングルのその次のトライアングルがチームとして描けてたら今の浦和でも強くなれる。
ただし、1人でもトライアングルを作る事をサボればそこで途切れる。いかに落とし込むかが大槻さんの仕事。
2019年10月22日 18:01
4.1 匿名の浦和サポ(IP:153.170.93.0 )
トライアングルとかはどのバスケ等でも基本ですが、今のJもそうですが一昔前のサッカーで通用しないですよ。
サッカーは1年でガラッと変わりますから。
ミシャの場合は独特な戦術あったから勝ててただけですから。
今トライアングルを重視してるチームなんか無いですよ。
2019年10月23日 07:33
5 匿名の浦和サポ(IP:1.75.1.191 )
来季も大槻さんに期待してます。
2019年10月22日 18:02
6 匿名の浦和サポ(IP:126.200.35.197 )
柱谷哲二みたいに気合いと根性で何とかしようとして戦術が無いから勝てないんじゃないのか?
2019年10月22日 19:24
7 匿名の浦和サポ(IP:106.133.59.61 )
問題の本質は、ミシャを切ることでなく、メンバー固定を続けるミシャに対してフロントが面と向かって物申すことをしなかったのが今の凋落ぶりでは?
強化部?あるのか知らないけど、今の状況に何か提言してるのか?それに対するフォローまで(補強補充含めて)してるのか?
組織的な問題ですよ。機能不全なんです。今の浦和は。
2019年10月22日 19:49
7.1 匿名の浦和サポ(IP:1.75.233.152 )
大体のチームがメンバーを固定してんだけどね。だから、強いチームでも世代交代に苦しむ。浦和は方向性も一貫してないから、立て直しも上手くいかないよね。まぁ上手くいってるのも鹿島くらいだと思うけど。
2019年10月23日 08:15
8 匿名の浦和サポ(IP:122.16.238.47 )
今日の深夜(日付変わった後)、アルヒラルの準決勝第2戦が日テレジータスで放送されるそうな。
そこまで放送するのか。視る人いる?
2019年10月22日 20:00
9 匿名の浦和サポ(IP:49.98.168.190 )
7番がルール違反な動きってどーいうこと?
2019年10月22日 20:46
9.1 匿名の浦和サポ(IP:118.158.61.17 )
中国「フィジカル強くてガツガツ削ってきてうちの選手たちが嫌がってるから止めさせろ!」
と翻訳してみた。
2019年10月22日 23:41
10 匿名の浦和サポ(IP:180.29.25.45 )
押し返して押し込む所までは良かったんだけどね。最後の所はメンタルの問題。オリヴェイラの時だったら土壇場でこちらが一点取っていたと思う。戦術は微妙だったけど、何としてでも、って選手に思わせる手腕は見事だったし、そこは受け継いで欲しかった。ミシャの時もだけど、良かった点を引き継げないのは残念極まりない。
2019年10月22日 23:23
10.1 匿名の浦和サポ(IP:118.158.61.17 )
何かにつけて「織部なら~」と言い出すのには賛同できないけど、
「良かった点を引き継げないのは残念極まりない。」
というのは全面同意。
この長期に渡る迷走があるから、俺は監督や選手より先にフロントを非難する。
2019年10月22日 23:49
11 匿名の浦和サポ(IP:126.233.143.29 )
ACL優勝とCWC参加賞金でヴェンゲル招集
2019年10月23日 00:57
12 匿名の浦和サポ(IP:58.138.46.136 )
監督によってコロコロサッカーが変わるからこうなるのでは。
今の名古屋とかいい例。
チームにサッカーの基本的な形があって、それに合った選手を集めるのが基本。
過去の実績とかネームバリューで集めるのでは個人技頼みのサッカーになるのは当然。
2019年10月23日 06:44
13 匿名の浦和サポ(IP:1.66.98.67 )
アルヒラルか
2019年10月23日 07:24
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