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非効率な30分と変えることができて掴んだ念願の勝利。 勝利した清水戦をレビュー!【浦ビュー】

今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。

 

J1第28節 レビュー
浦和レッズvs清水エスパルス 2-1。

 

リーグ戦でも勝ちました!
超超超久しぶりに勝ちました!

 

代表ウィークなので、のんびりと最後まで読み進めて頂けると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

〜スタメンと基本システム〜

 

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—浦和レッズ—
•ミッドウィークの広州戦からはファブリシオと武藤の入れ替わりのみ。
•リーグ戦では前節の鳥栖戦で欠場した興梠が復帰。

 

—清水エスパルス—
•前節負傷交代したヘナトは欠場。
•出場微妙情報が流れていたドウグラスはスタメン。
•ボランチに六平、右SHには金子が起用されました。

 

〜前半戦〜

 

〜コメントから考察する大槻監督の狙い〜

 

1番最初の浦和の攻撃は期待感を持たせる素晴らしいものだったと思います。

 

 

映像で見て頂いたように……

 

槙野→大輔先生→岩波と横に繋いでいき、運べるスペースがあったので岩波が運ぶドリブルを見せて、その間に興梠が清水のボランチの間に降りてきて岩波は興梠にパスを送ります。ダイレクトで興梠は青木へ落として、清水のボランチは興梠に食いついていたので、ボールを受けた青木には武藤への視界が開いていて、武藤へ縦パス。武藤は背中からマークを受けていたので、すぐに青木に戻して、青木もすぐにサイドから上がってきた槙野へパス。

 

ここでの注目ポイントは興梠がボランチの間の手前に降りて受けにきたこと。これは、完璧に清水のボランチの食いつきがちを狙っていると思われます。つまり、プレビューで言及したように、清水のボランチは食いつきがちなので、その手前で起点を作っておいて背後のライン間にスペースを作りたいと。

 

興梠がこれほど確実に降りてパスを受けるアクションを最初から見せるということは今季1度もなかったはずなので、大槻監督が清水を破壊させる狙いと今回のプレビューの狙いは同じ点に着目したのかなぁと想像させる1番最初の攻撃でした。

 

今回のレビューは大槻監督のコメントから考察していきます。

 

大槻監督の試合後のコメントです。

 

「試合前から準備していたのは、清水さんは、4-2-3-1の3のところ、サイドのところでウチの3バック(岩波、槙野)のところに必ず来ますよ、と。じゃあ、それをどう外していくかというところがカギだったんですけど、ちょっとうちのところでうまくできませんでした。興梠が少し孤立するような形で、武藤と長澤のところがうまく使えていなかった。」

 

とコメントしています。

 

まず大槻監督の準備したことと今回の試合の違いは、清水はドウグラスと河井は縦関係ではなく、4-4-2(4-2-4)の横関係の方が多かったと思います。

 

その違いがあったにせよ大槻監督が用意したことは…

 

“青木を最終ラインに降ろして4バック化したこと”

 

です。

 

この青木のアクションにより、浦和の最終ライン4枚に対して清水も前線4枚でガッチリとハマる形にはなりました。しかし、清水はそこまで前線からハメ込んで連動して奪うぞ!という守備をしないので、特に不利益は生じませんでした。

 

でも、中盤の選手が1人最終ラインに降りたということで、単純に前線の枚数が1人ずつ減ってしまい、後ろが重くなりました。ということで、興梠は自然と孤立しました。大槻監督も興梠が孤立したとコメントをしていますよね? 

 

噛み合わせだけで言うと、浦和の3CBに対して清水は2FWで優位に立てているので、青木を降ろすことはしない方が良かったと思います。常に青木を降ろして4バック化しているわけではなく3バックで保持しているときも一応ありました。

 

では、大槻監督のコメントを念頭に置いて様々な視点から見ていこうと思います。

 

・左右非対称なサイド

 

青木が降りて4バック化してからの状況についてです。今回は槙野と岩波の幅の取り方が違うことを切り取って見ていこうと思います。

 

・左SB槙野は目一杯サイドに開きました。

 

・右SBの岩波は目一杯サイドに開くことはせずに内側(ハーフスペース)よりにポジションを取っていました

 

まずは左サイドから言及してみようと思います。

 

(図1)

 

画像2

 

5分40秒のシーンです。

 

上図は青木がボールを持ったときです。

 

①武藤が清水の2列目の手前まで降りてきてパスを受けにきました。

 

②武藤の動きに対して浦和の選手は特にポジション変化、移動することをしませんでした。

 

そもそも青木が降りなければ、武藤の動きを青木がして、武藤はライン間に留まることができているはずです。

 

それを上図のように中盤の選手を1人ずつ降ろしたので、興梠は孤立してしまっています。

 

それを解消するには・・・(図2)

 

(図2)

 

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青木が降りたので、槙野が四隅に留まっている必要はないので高い位置に取らせます。それに伴い、関根を内側に絞らせます。そうすることで、武藤が降りた動きに対しても採算が合うと思います。

 

では、どのように採算が合っていくのかを見ていこうと思います。

 

(図3)

 

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槙野が高い位置を取らせることのメリットは・・・

 

①金子の視野外にポジショニングできている

 

試合で見せた槙野のポジショニングだと金子は青木がボールを持っているときに青木も槙野も同時に視野に収めることができています。

 

それを(図3)のように槙野が高い位置を取ることによって、金子は青木と槙野を同時に視野に収めることができないので、どちらかに時間とスペースができます。つまり、金子に選択肢を与えることができています。

 

②エウシーニョにも選択肢を与えることができる

 

(図3)のように槙野が高い位置を取ることによって、エウシーニョの視野内に入ることができています。そして、内側に絞った関根の動きにもエウシーニョの視野には入っているはずなので、エウシーニョにも選択肢を与えることができています。どちらかにエウシーニョが意識的に動けば、青木は反対を突いたパスを送ればいいだけです。

 

関根が内側に絞るメリットは・・・

 

①エウシーニョに選択肢を与えることができる

 

槙野のメリット編の②と同じでエウシーニョに選択肢を与えることができています。多分、こういう動きをすればエウシーニョは関根側に動くので青木から高い位置を取った槙野へパスを送ってサイドから前進していくことが可能になります。

 

②興梠を孤立させない

 

槙野、関根も連動したポジショニング移動させる意味はここにあります。

 

武藤が降りた動きをしたとしたら、関根が内側に絞ることで興梠の孤立を防ぐことができます。

 

例えば、関根が内側に絞っていたら、興梠にポンと浮いたパスを送って胸トラップで落としたのを前向きな関根に預けられるというような前進だってイメージできます。

 

③六平にも選択肢を与えることができる

 

ボランチの六平は自分の背中に浦和の選手がいると分かったら、前に出ることを躊躇します。つまり、降りる動きをする武藤と一緒に動くことを躊躇します。

 

なので、青木から武藤のパスという最も安全なパスがフリーで入り、武藤は後ろからプレスを受けないので1発で前を向くことが可能になり、清水の1stプレスを越えることは実現しています。

 

しかし、プレビューで言及した通り清水のボランチは食いつきがちなので、武藤の動きに六平は食いつくはずです。そうなれば、内側に絞った関根に時間とスペースができていることに繋がるので、青木は浮いたボールで関根へ届けてあげればいいと思います。

 

降りた武藤の動きには六平が、内側に絞ってきた関根にはもう1人のボランチの竹内がスライドしてくるのは過去の試合の傾向としてありました。

 

しかし、そのときの反対サイドのSHがスライドできていないときが清水は多いです。特に今回の清水は4-2-4になることもあったので、その可能性は大いに秘めていました。

 

つまり、(図3)のように青木から反対のシャドーの長澤に斜めのロングパスを入れることもできるチャンスはあったはずです。

 

ということで、

 

・青木が最終ラインに降りることで前線の選手が減ってしまうことを感じさせない

 

・興梠が孤立してしまうことも感じさせない

 

・清水の食いつきがちな守備も利用できた

 

効果的な(図3)の前進を紹介しました。

 

しかし、実際の試合では・・・

 

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(図1)

 

しかし、実際の試合では・・・(図1)のようなもので、

 

①槙野にパスが入れば、金子は前向きにプレスができてしまう

 

②槙野から関根にパスが入ってもエウシーニョは直線的なボールで捕まえやすい

 

③六平は自分の背中に浦和の選手がいないので、武藤の降りる動きに躊躇なくついていける

 

④エウシーニョも金子も選択肢を与えられていなく、マーク1人だけを管理しておけばいい

 

という感じだったので、効果的に前進することができませんでした。

 

 

次の章は右サイド岩波です。

 

〜セレッソ戦のレビューから…〜

 

セレッソ戦のレビューで言及したことを大槻監督は早速実践してくれました。

 

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相手のSHが岩波にプレスに出てきたときの前進の手段についてです。

 

セレッソ戦ではとにかくバックパス続きだったので、解決案なんていくらでもあるのにといううちのたった1つとして上図を提案しましたが、これを大槻監督は早速実践してくれました。

 

大槻監督のコメントを再度確認すると・・・

 

「清水さんは、4-2-3-1の3のところ、サイドのところでウチの3バック(岩波、槙野)のところに必ず来ますよ、と。じゃあ、それをどう外していくかというところがカギだったんですけど、ちょっとうちのところでうまくできませんでした。」です。

 

なので、大槻監督の想定としては、岩波にパスが入ったときに左SHの西澤が飛び出してプレスに出てくることを想定させていたようです。

 

じゃあ、パスを受けた岩波に西澤がプレスに出てきたときにどう前進していくのか?という点で上図のホワイトボードと同じことを大槻監督はさせた訳ですけど、再度確認してみます。

 

(1)岩波に西澤がプレスに出る→WBの橋岡が空くのでSB松原が先に動く

 

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浦和と清水ともに線Bと線Cに選手を置くならば・・・線Aを使ってしまえばいい(下図)。

 

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(2)岩波にプレスしない場合(清水の選手が線A、線Bにいるとき。)

 

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こうなったときはシンプルに・・・(下図)

 

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岩波が運ぶドリブルで運んでいくと、清水のSHはいつかのタイミングでボールホルダーの岩波にプレスしないといけなくなるので、運ばれるごとに選択肢を迫られます。浦和は橋岡が中間ポジションを取っておくことと中央にポジションを取っておけばクリーンに前進できます。

 

(3)清水のSHとSBを広げさせたい(線上Aと線上Cに置かせたい)

 

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上図は理想的すぎます。しかし、SHとSBの縦関係がこれほど安易な対応をするチームはほぼいません。

 

なので・・・(下図)。

 

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シャドーの長澤が松原を留めておくことで、西澤はプレスに出るのに松原は出られずに橋岡がフリーになり、岩波から大フリーの橋岡にパスを送れます。

 

このパターンは、オリヴェイラ体制でも大槻体制でも見られたことです。

 

しかし、今回はその逆でありホワイトボード図に辿り着きます(下図)。

 

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西澤が岩波にプレスに出たのに対して、橋岡が松原を留めたことにより清水の縦関係を広げて、線上Bに大きなスペースを作って、そのスペースに長澤が流れてパスを受けました。

 

これを今回の清水戦では積極的にやっていました。

 

この手段は実は広州戦でも2回やっていて、広州が単純に中盤2枚だからやったのかなと思って言及しませんでしたが、清水戦でハッキリクッキリと繰り返しやったので初言及してみました。

 

大槻体制では初めて意図的に取り組んだ前進の手段だったので、この現象が見られる前のセレッソ戦のレビューで先に提案できたということは、私もだいぶ大槻監督の考えることを理解できてきたのかなぁと思い自信になりました。

 

しかし、サイドに流れることをシャドーの長澤にやらせるのはどうかなという風には思いました。

 

私のホワイトボード図では安易な机上の空論ながらボランチの青木をサイドに流しています。

 

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でも、動き回ることを厭わない長澤にサイドに流させたいのであれば、長澤の本来のスペースである清水の2列目の背後にエヴェルトンか青木を走りこませておかないとサイドから良い前進にはならないと思います。

 

理由は、中央に人を置いておくことでサイドに流れて受けた長澤にプレスをかけるべきか、そのままのポジションを保って中央にいる選手のパスコースを消すべきかの選択肢を竹内に与えることができるからです。

 

躊躇なく長澤へプレスに出るのであれば、竹内の背後にポジションを移したエヴェルトン(青木)にパスをすればいいし、竹内が動かないのであれば長澤はどんどん中央へドリブルして恐怖を与えていけばいいんです。

 

実際に今回の試合では、長澤が流れる動きに竹内がしっかりとついていき、長澤に前を向かせないことをできています。

 

なぜスムーズについて行けたのかと言うと、長澤の流れる動きに対して、竹内に選択肢を与えられるもう1人の選手が中央にいなかったからだと思います。

 

このシーンです。

 

 

長澤からは前進できていません。
またもや反対サイドの金子のスライドが微妙なのが大きな要因で、その隙を岩波がよく認知できていたので、武藤へ質の高いボールを届けられていい攻撃になっていますが、長澤からも前進できるように工夫されていないといけないはずです。

 

では、なぜ実際の試合では長澤が流れることになって、長澤の本来のポジションに移動する選手がいなかったかというと・・・

 

①青木は最終ラインに降りていたから

 

②エヴェルトンは清水の2FWを絞らせるために間に立っていたから

 

よって、下図のようになりました。

 

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後ろに極端に人数をかけて、サイドに極端に人数をかけていることが分かります。だから、結果的に興梠は孤立する。

 

前述したように青木が最終ラインに降りることはどちらかといえばマイナスです。それがこの視点でも響いています。

 

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 (図4)

 

(図4)の方が自然体で効果的だと思いませんか?

 

①1人のボランチ(青木)は清水の2FWを絞らせるために間に立っておく。

 

➁もう1人のボランチは(エヴェルトン)は長澤のポジションを埋める。

 

そうなることで長澤にパスが入ったときに・・・

 

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予め長澤がサイドに流れることが決まっているようだったので、青木もすぐにパスコース役になれるようにポジショニング取れたら、岩波からパスを受けた長澤には複数の選択肢が生まれますし・・・

 

二見が食いつきがちであることはプレビューで言及したので、それさえも利用できると思います(下図)

 

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エヴェルトンに二見が食いつけば、そのスペースに興梠へスルーパスを送れます。

 

これは、エヴェルトンが二見の前にポジションを取っておかないと実現できない話です。つまり、実際の試合で浦和がしたやり方だと現実的に難しいです。

 

では、そのほかの実際の映像です。

 

 

以上、青木が降りたところから1人ずつ後ろに重くなっていき、折角面白い前進をデザインできたのに繋がらなくなってしまったシーンを紹介しました。

 

今回は7パターンぐらいあるうちの1つがたまたま大槻監督と一致しただけなので、また大槻監督の思惑を読めるように沢山「見て、学んで、考えて」バックパスが多い試合になったときに言及できるようにしておきます。

 

もう一度最後に大槻監督のコメントです。

 

「試合前から準備していたのは、清水さんは、4-2-3-1の3のところ、サイドのところでウチの3バック(岩波、槙野)のところに必ず来ますよ、と。じゃあ、それをどう外していくかというところがカギだったんですけど、ちょっとうちのところでうまくできませんでした。興梠が少し孤立するような形で、武藤と長澤のところがうまく使えていなかった。」

 

最初に読んで頂いたときは「?」だった方も、私なりの解釈ですが、さまざまな視点から見ていくことで・・・

 

「なぜうまくできなくて」

 

「なぜ興梠が孤立して」

 

「なぜ武藤と長澤をうまく使えなかった」

 

のか理解できたのではないかと思います。

 

後ろに極端に人数をかけて、サイドに極端に人数をかけている。だから、結果的に興梠は孤立する。

 

配置を動かしてどうにかしようとする姿勢を見せましたが、とても非効率なものであり、清水相手ならもっと効果的なことができるのに・・・という感想の前半30分でした。

 

しかし、浦和的に助かったのが清水は奪い所をハッキリさせていなかったので、同じ4-4-2のセレッソやHonda FCであればハマってしまうところが、越えることができたり、GKや後ろに下げてビルドアップを構築し直そうとすることをほとんどしてこなかったので即時奪回することもできて、すぐ攻撃に戻れてボール保持する時間を作れたことで、ゾーン3まで侵入した回数も比較的多くなりました。

 

 

・清水の先制点

 

清水の先制点は”清水らしさ”全開だったと思います。浦和のFK流れからのクロスをGK大久保がキャッチして前方へ走るドウグラスへ。ドウグラスは競り合う関根を吹っ飛ばしてボックス内まで侵入してコーナーキック。そのコーナーキックのクリアがスローインに。そのスローインから二見のロングスローで最後はドウグラスがゴール。

 

情報過多になりすぎないようにしたかったので、二見のロングスローは落選させていたのですが、そのロングスローからやられてしまって二重にショックです。

 

何より、ドウグラスに落とした河井の落ち着きが見事だと思います。

 

浦和としては、ロングスローの対応がどうというよりも清水は1発を狙っているチームなので、ゴール前では何が起きても仕方ないからできるだけ入らせないようにした方が良くて、開始15分は結構できていたと思いますが、久しぶりにゴール前に迫られたのを決められちゃったという感じなので、勝てないチームあるあるのような失点となりました。

 

あとは福田さんが指摘された通り、オフサイドがないスローインなのにあの陣形で良かったのか?ということもそうですし、コーナーキックとは飛んでくる場所や距離が限りなく限定されるので、最も飛んでくる可能性のあるニアサイドの1番手前がコーナーキックと同じ興梠で良かったのかなという疑問はあります。

 

結構的に興梠が弾き返すことができずに後ろにボールが流れてしまっているので「それで良かったのかなぁ?」と失点したからこそ気づけた部分となりました。

 

 

~30分頃の興梠と武藤の会話~

 

では、先ほどの大槻監督のコメントの続きを見て更に考察してみます。

 

「興梠が少し孤立するような形で、武藤と長澤のところがうまく使えていなかったので、その立ち位置を試合中に変えられればいいなと思っていたところで、前半30分過ぎに、慎三と武藤が自分たちであそこを変えたり、1列降りてきたりしたというところで、ボールが握れるようになったと思っています。外からも言いましたけど、それを彼らが中で機転をきかせてやってくれたことで、前半の最後に握れるようになって、ワイドのところから少しボールを握れるような形になりました。」とコメントしています。

 

確かに興梠と武藤は深く話していたような話していなかったような記憶は曖昧ですが、2人は少し変えるよう話し合ったようです。

 

でも、前半30分ごろから大きく変わったことは、青木が最終ラインに降りることをしなくなったことだと思います。

 

つまり、青木とエヴェルトンを所謂本来のポジションである清水のボランチの手前付近にポジショニングさせました。それによって、長澤と武藤は青木とエヴェルトンがいる分、安易に降りてくることをせずに清水のライン間で待つことができたので、清水の選手たちはボールホルダーにプレス行きづらくなり、ラインが明確に下がっていきました。なので、大輔先生たちの持てる場所が徐々に高くなりゴールに近づいたので、浦和が押し込んでいる風になっていきました。

 

31分のシーンです。

 

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▶︎大輔先生から岩波へのパス。

 

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▶︎岩波に対して青木、橋岡が選択肢になれていると思います。青木は最終ラインにいれば実現してないですし、橋岡も中間ポジションに立つように意識していると思います。

 

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▶︎岩波は青木へパス。青木はプレスが来たことを認知してすぐに岩波へリターンパス。

 

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▶︎そのときの清水の最終ラインです。ラインは破綻しきっているほど揃っていません。

 

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▶︎岩波から破綻している背後へ抜け出した武藤へロングパス送りましたが少し通らずでした。

 

4バック化していたら、恐らく武藤はライン間の手前まで降りてきて近づいてきていたでしょう。
そうなれば、上図のように背後へ抜け出す選手もいなかったでしょう。

 

極端な例だと34分もとても良いシーンだと思いました。

 

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▶︎槙野から大輔先生へパス。そのときに岩波のポジションはなんと西澤の脇にいます。

 

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▶︎岩波は西澤に影響を与えるように回り込みます。

 

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▶︎岩波のボランチ的なポジショニングに自然と竹内が食いついてきました。食いついてくるんですよ、こういう動きに。

 

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▶︎竹内はどんどん食いついきます。

 

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▶︎ライン間に留まっていた長澤が顔を出してあげて大輔先生から縦パスを受けました。

 

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▶︎長澤はすぐに前を向きました。そのとき金子は竹内が動かされた分スライドできていませんね。こういうのがあるんです、清水は。

 

なので……

 

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▶︎パスは長澤から武藤。武藤から関根へと広がっていきました。

 

プレビューで言及していたことはまさにこれで、これを鬼のように続けていれば凄い楽だったんですけどね。

 

・中央のライン間はどのチームより簡単に通せる相手。

 

・清水のボランチの手前で食いつかせるように人をおけば良かった。

 

・食いつかせた背後にシャドー、興梠と置いておけばライン間を越えるパスを簡単に通せる。

 

このシーンは、ボランチの手前で食いつかせたのが岩波だったので極端な例でしたけど、青木とかエヴェルトンが普通にそれを継続的にやってあげれば良かったと思えるシーンだと思います。

 

武藤と興梠の会話から2人が何かを変えたということは前半からは見えなく、1番変わったのは青木で、青木が変わったので1人ずつ前に置くことができた。

 

つまり、清水に対してようやく効果的なポジションバランスを保つことができたのが良くなった要因だと思います。

 

良い方に風向きが変わると40分のようにゾーン2で清水のパスを引っかけたところから橋岡から武藤へ決定的なスルーパスでGK止めなければゴールという明確な決定機まで作ることができました。

 

 

このシーンはGK大久保のロングキックからだったので、お互いにいいポジションバランスではなかった思いますけど、ちゃんと前向きにプレーできていた橋岡がいて、ボールを持っている橋岡に対して背後に抜ける武藤がいて、武藤は二見の内側(死角)から背後に抜け出している点など、ショートカウンターを完結させるには相応しい材料が揃っていたので、GK大久保がナイスセーブだったという評価になると思います。

 

という経過を辿って前半ギリギリに同点に追いつくことができました。

 

清水はちゃんと前半をクローズさせられるチャンスがありましたし、審判も時間が過ぎていたのでクローズさせられるチャンスがありました。しかし、どちらともオープンにしてくれたので、間延びしたオープンな展開からゴールが決まりました。結局、ボールをいくらボール保持しても得点の前振りはこんな感じからなのかぁと思ってしまう面もありますが、そんなことは言っておられません。

 

プレビューからの視点だと、二見はやっぱり釣られたなというゴールだと思います。篠田監督も個人名を挙げて興梠を警戒していて、その意識があるのであれば二見としては、ファンソッコが興梠についてようが優先順位としては中央が先だと思うのですが、橋岡にパスが出てからは一度も自分の背中を直視することをしなかったので、2CB間にスペースができているように私には見えます。興梠をサンドして「中央は無理だ。外に流れよう。」と思わせるぐらい窮屈にできていれば、橋岡との意図は合わなかったかもしれませんよね!

 

橋岡はなんとなく蹴ったとコメントしていますが、なんとなくであの質を蹴れるならこれからのアシスト量産を期待しています笑。

 

興梠の一連の所作についてはスペシャルな専門家たちが各方面で解説してくれているので、私が言える能力はありませんね。

 

 

あとは関根のコメントにもあったように我慢していればいつかは崩れるという点で、清水は他のチームより崩れやすいことは分かっていたので、効果的に進められていないなと思いながらもとりあえずボール保持し続けられたことは良かったことだと思います。

 

・非ボール保持に関して

 

浦和の非ボール保持は、時間としてはいつも以上に少なかったのですが、スタートのプレスとしては、興梠が方向を示してあげてシャドーが続いて、清水のSBにはWBが捕まえに行く、広州戦で自信を深めた「前に!前に!」姿勢で規制をかけにいきました。

 

プレビューで言及した通り、実際の試合を見て頂ければ分かる通り、清水はそこまでビルドアップは仕込まれていないので、浦和が引っかけることもできましたし、最大の手段であるドウグラスに放り込んできたロングボールにも上手く対応できていたと思います。

 

清水は1度だけ槙野に対して2vs1を作ってボックス内に侵入しようかというところまで作れたシーンもありました。

 

 

でも、武藤が試合後にそこまで守備に関しては苦労しなかったとコメントしているように「残留争いしているから1点ぐらい取られるさぁ」の1点を取られたのみで終えることができました。

 

~後半戦~

 

・後半序盤

 

メンバー変更はなし。

 

後半も大槻監督のコメントから考察していきます。

 

「後半に入る前に『意図的に、こういうふうにしたら外れるんじゃないの?』という話をして、彼らが外してくれたことで、だいぶできるようになりました。ただ、清水さんも4-1-4-1に変えてワイドに2枚立たせてきたので、そこでウチの数が合わなくなったところで後半が始まって、彼らが60分くらいまでボールを握った後に、我々がボールを握るようになって、少しまた戻ったかな、という流れだったと思います。中でいろいろな思惑があったところに対して選手も対応してくれたと思っています。」

 

清水が4-1-4-1に変更したのは、ドウグラスを代えた62分以降からだったと思うので、単純に試合後で記憶が曖昧だったのか、公式サイトの入力ミスなのか定かではありませんが、後半開始の15分は前半に比べて清水が浦和自陣でボールを持つ時間を作れたのはその通りだったと思います。

 

55分にゾーン2での奪い合いに勝ったところから西澤がボックス内で明確な決定機を作ったり、ボール保持時に作り直せるところでは頑張って作り直してタイミングを外して縦パスを入れたりと意識的にボールを保持しようとする姿勢が見えました。

 

一方の浦和のボール保持に関しては、興梠と武藤の前半30分頃の会話がようやく読み取れるようになりました。

 

やっぱり、4バック化させないことが肝でした。

 

青木とエヴェルトンが所謂本来のポジションにいることで、自然と長澤と武藤は清水の2列目の背後をスタートポジションにできてたので、清水の最終ラインとボランチに影響を与えることができたことに繋がりました。

 

そんな感じに好循環を生んで、浦和が最終ラインでボール保持しているときに興梠が頻繁に降りる動きを見せていました。

 

この興梠のアクションは完璧に清水の最終ライン又はボランチの食いつきがちの傾向を狙っていたものだと思います。興梠に食いついてくれたら、武藤と長澤は背後を狙えるポジションに立つことができているので、岩波とかからロングパス出ることを興梠は狙って武藤に「お前はライン間にいとけ」みたいなことを伝えたと想像しました。

 

後半序盤は、想像以上に清水が前がかりに奪いにくる守備とオープンな展開を許容するような入り方をしたので、その差し引きで浦和も中央から攻める機会が数回作れました。

 

そして、62分にドウグラスはドゥトラと代わり、ここから4-1-4-1に確実に変わっていると思います。

 

このシステム変更について篠田監督は…
攻撃的に行くための変更だった」とコメントしています。

 

一方の浦和も武藤を代えて杉本を早い時間帯に投入しました。

 

子の早めの交代の意図は、外が空き始めるので関根や橋岡のクロスに杉本、若しくは杉本のマークが厳しい隙を狙って興梠という蔚山戦パターンのゴールを狙うだったでしょう。的確な交代だったと思います。

 

交代直後に生まれた疑惑のシーンも、あれは明確なハンドですが、ハンドに至るまでの経緯としては、松原が安易に中央を向かせたことと二見が長澤の動きに釣られたことにより、橋岡に侵入を許して、他の選手がカバーしてズレてズレてで最後に橋岡があそこまで侵入できているシーンを作れているので、やっぱり清水の守備は常に危うさを潜めていました。

 

清水が4-1-4-1で確実に最前線は1枚だったので、今度こそ青木を降ろして、周りもそれに続く正しいポジショニングを取れば、完璧に清水を磔の刑にすることができた可能性もありましたが、特に浦和は変えずに攻撃を続けました。

 

そのような状況が続いて74分に橋岡のゴールが決まりました。

 

広州の2失点目ほど安易なクリアではないですけど、流れとしてはあの関根のゴールと同じで、浦和のセットプレーを1度クリアしてから、もう一回放り込んできたのもギリギリヘディングで跳ね返すだけになって橋岡に渡してくれて、最後は素晴らしいシュートで完結できたと。

 

本当に良いゴールですね!
多分、それだけです。

 

 

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得点後に阿部ちゃんを投入してからの浦和は「ビッグピンチはご愛嬌、最後は帳尻防ぎますシフト」でACLの必勝パターンに舵を切り、失点しないことを第一に試合を進めました。

 

ドウグラスがいない清水は鄭大世、川本と攻撃的な選手を投入してメッセージを送りましたが、やっぱり攻撃の手数が少ない分、15分〜20分ぐらい残されていたにもかかわらず、ゴールへの姿勢は分かるけど、どうやって攻めるかみたいなものは見せれなかったと思います。

 

そして、山雅戦や湘南戦や鳥栖戦では果たせなかったリードを守りきり念願の勝利を収めました。

 

•総括

 

青木が降りて4バック化していた時は「後ろに重く、サイドに重く」で効果的なボール保持することをできていなかったと思います。でも、それを止めてからはボール保持して押し込むこともできるようになったと思います。

 

清水を見たときに青木を降ろすことを私目線で言うとさせないですけど、万が一させたとしたら、ちゃんと槙野にSBとして高い位置を取らせることはさせていると思います。ずっと7月の鹿島戦とかでもそうですけど、どうも相手が4-4-2のときの4バック化の作り、槙野があのポジションを取らせ続けることの意味を理解できません。

 

それをシンプルに青木が本来のポジションに戻ってくれると、自然と3CBは中央に集結して、3人で最後尾で回していても今回の清水戦に関しては「危ない」とか「引っかかった」というシーンはなかったと思います。

 

折角右サイドでは、面白いことを取り入れ始めたのに、左サイドでも槙野のキャラクターを生かした面白いやり方を取り入れたらいいのにって、思うんですけどね。

 

なぜ青木が降りたのに対して、槙野があそこなのか。噛み合わせを大切にしている大槻監督の意図を真剣に聞いてみたいですね。

 

試合後の浦和の選手たちのコメントからも

 

「相手の守備がとてもよくて・・・」というようなコメントがありましたが、客観的にみると鳥栖は浦和が中盤省略したので実力が表れなかったとして、セレッソやHonda FCに比べても食いつきすぎや後手を踏んでいる場面、空いている部分が多かったです。でも、浦和の選手からそういうコメントを聞かれるということはいかに自分たちで自分たちの首を絞めていたかが分かります。

 

素直に喜べないのかと多方面から怒られそうですけど、個人的に非効率だと思っていることを言っておかないと本当にヤバくなったときに順序立てて問題点を言及できなくなってしまいますし、改善してくれたときにも言及できるようにしていたいので、折角勝利の余韻に浸りたくて今回開いてくれた方には少し不快だったかもしれません。

 

でも、非効率的だったことを変えてから2得点、0失点で勝利を収めているので、試合中に改善できて良かったという前向きな評価もできます。

 

変えずに続けていたら負けていたかもしれません。

 

清水目線でいうと、最も狙っている流れから最も得点してほしい選手が早い時間帯に決めれて理想的な展開に持ち込んだと思います。

 

浦和相手には「前に!前に!」が効果抜群なのですが、ちょっといつもの清水の試合に比べると前かがりにハメに行く姿勢を見せなかったと思います。折角、浦和が非効率だったので最初の30分でもう一点ぐらい取れるチャンスは……2つぐらいありましたよね?

 

更によく考えると前半30分非効率な浦和でしたけど、バックパスが多発していたわけではないし、安易なミスは数多く誘発させた訳ではなかったと思います。

 

基本的に中央を入らせないような守備だったと思いますけど、もっと的確に突けるチームは今のJリーグには沢山いるので、清水もやっぱり改善する部分は多いと思います。

 

清水は浦和の当面のライバルであることは変わらないです。

 

・岩波&橋岡

 

ポジティブなことを述べて終わりにします。

 

岩波と橋岡のパスを受ける一連の所作は改善したと思います。

 

岩波はセレッソ戦のレビューでうっとうしいほど言及したので、セレッソ戦の岩波基準と比較すると改善しているように見えただけかもしれません。

 

橋岡に関しては広州戦で良かった3つのシーンを挙げましたが、清水戦でも継続して出来るようになっていて、橋岡はいつ改善するんだろうなぁとこの1年半ずっと見ていたので、9月〜10月で明らかに変わっていることは確認できています。

 

1ゴール1アシストの結果と同じぐらいWBとして必要なスキルを橋岡は身に付けようとしています。

 

予想屋ではないので勝敗どうこういうのは普段控えているのですが、この試合は勝てると断言したプレビューだったので、先制されたときはカンナバーロ監督、17番のときに続いて信用が落ちる・・・と色んな心配しましたけど、最後は勝てて良かったです。

 

とりあえず全てを忘れて頭をクリーンにしたいと思うところですが、昨日も今日も多分明日もアルヒラルの試合を見続ける代表ウィーク期間になると思います。

 

また大分戦のプレビューからよろしくお願いします。

 

•さいごに

 

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今回も読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

 

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コメント

  1. 2 匿名の浦和サポ(IP:126.35.193.27 )

    関根はカットインからのシュートを磨けば、縦への突破もよりしやすくなるよね。
    広州戦のミドル打てるんだし、右利きの左サイドだから、もっとカットインして欲しい。シュートで終われば、カウンターのリスクも少ないし、こぼれ球やDFに当たって何か起きるかもさされないし。

    このコメントに返信

    2019年10月11日 13:27

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