浦和レッズについて議論するページ

サッカーライター郡司聡さんが浦和レッズと対戦した選手たちへの取材をもとに「対戦相手から見た浦和レッズとは?」をテーマにした原稿を浦議で連載していただくことになりました!

 

▼清水の狙いどおりだった前半も興梠の個人技が誤算だった

勝ち点35の清水エスパルスを、勝ち点3差で追う浦和レッズが挑んだ“6ポイントゲーム”。結果は浦和の逆転勝ちだったが、負けた清水にとっては、良くも悪くも、ドウグラスの存在が結果に大きく影響を与えたと言っては大袈裟だろうか。

19分、二見宏志のロングスローのクリアボールを河井陽介がヘディングで落とすと、その先にはドウグラスが待ち構えていた。11得点とチーム内得点王をひた走るドウグラスが、冷静にファーストチャンスを沈めた。

河井をトップ下に配する[4-2-3-1]を採用した清水は、守備時に1トップのドウグラスと河合が横並びの2トップを形成。金子翔太と西澤健太の両サイドハーフと2トップで3バックを牽制しつつ、両サイドハーフは浦和のウイングバックも監視した。さらに青木拓矢とエヴェルトンのダブルボランチに対しては、ドウグラスと河合がポジションを下げながら監視を怠らず、浦和を窮屈な状況に追い込んでいく。

[4-4-2]の強固なブロックを組む清水を前に、エヴェルトンは「ボールを持っても相手がブロックを形成していて、突破することが難しかったですし、スペースもないことで右へ左へと動いてボールを引き出そうとしていた」と振り返る。ポゼッション率は高まっても、ボール回しの重心は後ろに重く、ボールは清水が形成するブロックの外を回ることが多かった。例えばビルドアップを武器とする岩波拓也は、前半の内容にストレスを感じていたという。
「前半はボールを回していてもストレスを感じることが多く、相手のサイドハーフが結構いい守備をしてきたので、意図したポゼッションをできずにいました」

後ろに重く、スローテンポな浦和の窮屈なビルドアップは「回させている感覚だったし、1点をリードしている状況まではプランどおりだった」と金子は振り返る。コンディション不良ながらも強行出場したドウグラスは、献身的な守備も披露。ワンチャンスで先制点まで決めたのだから、攻守両面で“エース”と呼ぶにふさわしい活躍だった。ところが、前半終了間際のワンプレーが、戦況を一変させてしまった。

前半のアディショナルタイムが1分と表示され、ハーフタイムも近づく中、左サイドの深い位置で金子からのヒールパスを受けたドウグラスが、ヒールでのリターンパスを選択する。しかし、ボールの行く先に金子はおらず、そこからボールを奪った浦和が反撃に転じ、右ウイングバックの橋岡大樹が興梠慎三へピンポイントクロスを供給すると、興梠が頭で同点ゴールを決めた。
「僕はキープしてほしかったのですが、時間も分かっていなかったみたいだし、体調不良というコンディションの問題もあったのか、キープする余力もなかったみたいです」

金子はドウグラスの判断ミスをそう言ってかばった上で、興梠の同点ヘッドを「脱帽ですね」と振り返った。金子が続ける。
「興梠選手が一枚も二枚も上手でした。たしかに嫌なボールの失い方でしたが、ウチも人数はそろっていましたから。昨年もあの形でやられているし、確実に興梠選手の動きを把握しているのに、やられている。やはり日本を代表するストライカーですよね」

“起死回生”とも言える前半終了間際の同点劇。清水の守護神・大久保択生は「前半終了間際のあの1失点が悔やまれます。追いつかれずに後半に入るのでは全然違いますし、終わらせ方はしっかりやっていかないといけない」と試合後に猛省していた。

 

▼指揮官は攻めろと指示するも裏目に出る

1-1のタイスコアで迎えた62分、篠田善之監督はドウグラスを交代させる決断を下した。さらに清水の指揮官はハーフタイムから「変えるかもしれない」と伝えていたというシステム変更も指示。竹内涼をアンカーに据え、途中出場のジュニオール・ドゥトラをトップに配置する[4-1-4-1]に形を変えた。

清水の[4-1-4-1]はチーム内の認識で言えば、“攻撃的シフト”。ドローで勝ち点1を持ち帰れば御の字とも言える状況にもかかわらず、清水はある種の勝負に出た。インサイドハーフにポジションを変えた金子は、監督のシステム変更の意図をこう咀嚼していた。
「浦和が後ろでスローにボールを回してくることに対して、ストレスを感じていたので、前からプレッシャーを掛けに行きたかったです。名古屋グランパスや横浜F・マリノスに対しては、前から行くことで勝ち点3を取れました。でもこのシステムはアンカーの横のスペースを空けてしまうことになる。引き分けという結果であれば浦和は痛い。ウチは引き分けでもオッケーではあるけど、少なからず前掛りになりました。前節・湘南ベルマーレ戦の大勝もありましたし、少し上の順位が見えた中で3ポイントに目がくらんだのかもしれません」

チーム最後尾の大久保も「(システム変更は)攻めに重心を掛ける形でした。それが監督からの点を取りに行くというメッセージとして共有していました」と述懐する。しかし、指揮官の勝ち点3を希求したシステム変更は、結果的に裏目に出た。ドウグラスの交代は体調不良で致し方がない選択だったかもしれないが、エースの交代とシステム変更は、浦和に気持ちの余裕を持たせる格好となった。岩波が言う。
「体調不良という情報もあったので、90分はもたないだろうと。ゴールは決められましたが、もう少しいいパフォーマンスを発揮してくると思っている中で、逆にそうではなくて、こちらとしては助かりました。またドウグラスが交代してからはボールの収まりどころがなくなりましたし、相手を守備に回せる時間が増えることは分かっていました。その中で空いているスペースを使いながら攻める形を作れました」

清水にとっては、勝ち点3を奪いに行くプラン変更だったが、大久保は「前からハメやすくなったけど、逆に中盤が薄くなった」と振り返る。システム変更がチームのバランスを崩した感の否めない清水は73分、サイド攻撃がフィニッシュで完結せず、カウンターを食らうと、その過程で六平光成が青木をたまらずファウルで倒してしまう。そして直後の75分、長澤和輝によるFK崩れの展開から、相手のクリアボールを拾った橋岡が豪快に右足を一閃。結局、このファインゴールが決勝点となった。
「勝ち点1で終われる試合巧者にはなれなかった」と悔しい逆転負けを前に、そう言って金子は首を垂れた。ドウグラスの痛恨のワンプレーから浦和の同点ゴールが生まれたことで戦況が一変。1-1の状況でドウグラスを下げた清水は[4-1-4-1]へのシステム変更で勝負に出たものの、ドウグラスの不在が攻めに出る浦和に対してカウンターの恐怖を植え付けられず、清水は自滅する道に、自ら足を突っ込んでいく格好にもなった。

勝ち点3がマストとも言うべきビッグゲームで、浦和は相手のミスに付け込み、自滅していくアウェイチームを決して見逃さなかった。国内のJリーグでは影を潜めていた狡猾さが、“6ポイントゲーム”を制する原動力となった。

 

蹴球界のマルチロール・郡司聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド・刊)。

 

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  1. 1 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    慎三さんと橋岡のゴールに感謝❗

    このコメントに返信

    2019年10月09日 17:13

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:124.212.22.223 )

    慎三さんも怪我を抱えていて万全でないのにも関わらず、結果を出してくれた。
    ほんと脱帽、そして最高です!!

    このコメントに返信

    2019年10月09日 17:29

  3. 3 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    今度の月曜日
    レッズレディースで
    県立カシマサッカースタジアム行くけど
    前の日 鹿島vs.川崎
    鹿臭いの残ってる…

    このコメントに返信

    2019年10月09日 19:11

    • 3.1 匿名の浦和サポ(IP:134.180.7.234 )

      サポーターが他チーム下げとかするからチームに天罰が下ってると思うよ。
      そういうこと思っても書き込まないのが大人だぞ。

      2019年10月10日 08:57

  4. 4 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    ルヴァンカップ準決勝
    鹿島アントラーズ先制
    先月、準々決勝カシマ参戦
    悔しくなってきた…
    来月、たっぷり1000倍にしてお返しだ❗

    このコメントに返信

    2019年10月09日 19:19

  5. 5 分散投資、始めてみませんか(IP:160.248.23.27 )

    ドウグラスこけたら皆こけた
    大エースは大きなリターンをもたらしてくれる反面、抱えるリスクもまた大きい。

    このコメントに返信

    2019年10月09日 19:49

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:106.128.163.126 )

    つまりは自滅
    より多くの自滅をした方が負ける

    このコメントに返信

    2019年10月09日 20:00

  7. 7 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    ドウグラスのゴール無ければ
    痛すぎる失点…

    このコメントに返信

    2019年10月09日 20:57

  8. 8 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    鹿島アントラーズが負け❗
    気分良いわ

    このコメントに返信

    2019年10月10日 00:54

  9. 9 匿名の浦和サポ(IP:118.158.61.17 )

    ドウグラスのエースゆえの影響力の大きさは、まんまうちの興梠の話に被るよね。
    勝利できた直近2戦とその少し前から、ようやく興梠を生かしつつ周りも点を取ることが出来てきた。
    少しずつ健全なチーム状態になってきたことで、調子が上向いてきたのを実感している。
    油断はできないけど、残り試合一つずつ勝ち点を積み上げていこう!

    このコメントに返信

    2019年10月10日 01:44

  10. 10 匿名の浦和サポ(IP:126.33.38.152 )

    でもドウグラスはあれだけ決定力あって、守備もするのにレッズの獲得候補に入らなかったのかな?

    このコメントに返信

    2019年10月10日 09:25

    • 10.1 匿名の浦和サポ(IP:106.180.35.73 )

      内の無能フロントだよ。期待する方が無理。

      2019年10月10日 10:24

    • 10.2 匿名の浦和サポ(IP:106.160.57.55 )

      不整脈があるらしい。いつ離脱してもおかしくないからじゃないかな。

      2019年10月10日 14:16

  11. 11 匿名の浦和サポ(IP:106.128.126.40 )

    あと5年若ければ数億払っても獲得する価値あるわ、ドウグラスは
    不整脈だらなんだで不安定らしいけど、実力は抜きん出てる

    このコメントに返信

    2019年10月10日 12:57

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