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普段通りの浦和vs奇策を打った広州の前半90分をレビュー【浦ビュー】

今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。

 

ACL準決勝 第1戦 レビュー
浦和レッズvs広州恒大 2-0。

 

いつも読んで頂きありがとうございます。
今回も開いて頂きありがとうございます。

 

勝ちました!勝ちました!
90分の試合で2-0の勝利!
180分の戦いであることは認識していますが、超超超久しぶりに勝利のレビューを書くことができるので、両チームの準備、90分の試合、第2戦について言及していこうと思います。

 

98%の浦和サポーターの方がこの試合を録画しておいて、削除することなく永久保存版にしていると思います。

 

なので、より時間を詳細に載せているので、これを読みながら又は、読んだ後に再度試合を見て頂き、この作品を読んで良かったなぁと思って頂くことができれば嬉しいです。

 

早送りとか巻き戻しとかいつもよりしやすいと思うので、前半は時系列ではなく分野別です。

 

では、レビューを始めたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

~スタメンと基本システム~

 

 

画像11

 

—浦和レッズ—
•直近の鳥栖戦からは最前線が興梠に変更したのみ。
•上海戦の第2戦と全く同じスタメン。

 

—広州恒大—
•直近の武漢戦からは5人の変更。
•今コンテンツ大注目選手として挙げていた17番ヤン・リーユーはベンチ。
•更に7番のシーハオもまさかのベンチ。
•システムは驚きの5バックの5-2-3(5-4-1)でした。

 

散々煽って大注目選手として挙げていた17番と7番がベンチスタート。今コンテンツの信用が落ちそうになったので、「普段しないことをしたから、0-2で負けたんだよ!」とカンナバーロ監督に舌を出して言ってやりたい気持ちです。

 

ということで、
浦和はいつもに近い形、広州は奇策を打ったスタメンとシステムになりました。

 

~前半戦~

 

浦和ボール保持時:広州非ボール保持時

 

画像1

 

(図1)

 

浦和のボール保持時の配置は上図のようでした。

 

①広州前線3枚に対して青木が降りて4バック化で数的優位を確保。

 

②エヴェルトンはエウケソンとパウリーニョの間、手前と顔を覗かせながら2人に影響を与えるポジショニング。

 

③2シャドーのファブリシオと長澤は広州の2ボランチの脇に立つ。

 

④関根、橋岡は早めに高い位置を取り、広州のWBをピン留め。

 

スタメン表を見たときに広州は非ボール保持時5-4-1かな?という風に見えましたが、それよりも挑戦的な5-2-3を用意してきました。

 

そして、大槻監督は5-2-3の相手に対するオーソドックスな優位の作り方を用意してきました。3枚であれば青木が降りることは自然なことですし、最もウィークとなるボランチの脇に人を置いておくことも定石通りだと思います。

 

開始はタリスカが槙野を意識するような守り方だったので、ファブリシオがメインで降りながら浦和の左サイドから前進していくような姿勢が見られました。

 

1分15秒のシーンに(図1)の形を初めて作りました。

 

更に1分41秒のシーンは、西川からのスローイングを受けた槙野がタリスカのプレスを受けながらも大きな運ぶドリブルで前進していきました。そのときに青木は槙野が出たスペースをカバー。

 

2分25秒のシーンでは、(図1)を作ってから左CB化した青木がボールを持った時に、タリスカが槙野を消す対応したので、青木は冷静にファブリシオに縦パスを通して前進しました。

 

その流れからの2分45秒も右SB化した岩波から長澤がボランチの脇で受けました。

 

4分45秒のシーンも(図1)の形そのままエヴェルトンがパウリーニョとエウケソンの間でパスを受けた流れから左CB化して槙野にパス。槙野は冷静にボランチの脇に立つファブリシオへ冷静にパス。ファブリシオはスイッチするように関根へパス。関根は中央に視野を確保した向きでトラップできたので、興梠に斜めのパス。

 

興梠に対して中央CBは寄せることをしないで早めに下がったので、興梠ならそういうことも含め認知できてて、より最適な選択ができたとは思いました。

 

興梠からダイレクトのパスを受けた長澤のトラップの向きも個人的には選択肢を減らしてしまったかなとは思います。映像で見て頂ければ分かると思いますが、長澤の身体の向きは左サイドしか見れない向きだったので、広く大きく攻めたいなら反対サイドに広大なスペースがありましたし、興梠にパスが入ったときに離れる動きをすれば、反対サイドで一気に数的優位でゴール前に一気に迫ることができたシーンになっていたと思います。

 

結局、長澤のところで停滞してしまい、広州も下がってしまって決定機に繋げることはできませんでした。

 

しかし、(図1)の形から、いかに1stプレスをクリーンに前進することが大切であるかは分かるような素敵な前進を途中まで見せました。

 

7分20秒も自然と意図的に青木が降りて、エヴェルトンもシャドーも全体が(図1)の形をスムーズにポジションんを整えてから前進を試みました。

 

そして、先制点のシーンはまさに(図1)のからです。

 

ハーフタイムのときにツイートしたものが一連の流れの大凡になるのかなと思います。

 

 

 

大輔先生は鳥栖戦でもそうですが、外側の選手の状況をよく見えているなという印象です。遠い方も見ながら近いタリスカの先に動く動作を見たうえで1つ飛ばした槙野にパスを出した、とても賢いプレーでした。

 

キックオフからやっている形から点数を取れたので、最後のゴールの入り方も含めて今季1番のベストゴールではないかと思います。

 

24分50秒も青木が降りてきての(図1)を作りました。タリスカが槙野を明確に消していたので、青木がボールを持った時に前に運ぶスペースがあったので、運んだらエウケソンに倒されてファールとなりました。そのFKを青木がすぐに初めて広州の背後にロングパスを放り込んだのを興梠が反のして、広州の最終ラインの背後を取れて、広州の帰陣が早かったので一度停滞しましたが、長澤に預けて、最後は橋岡にスルーパスを送って、あのゴールラインスレスレの際どい橋岡のシュートシーンとなりました。

 

27分20秒は西川も関わりました。このシーンは大輔先生視点で褒めたいですね。

 

浦和がゾーン2で広州の攻撃を防いでから回避とリセットの意味を込めて、西川まで下げたところからです。

 

岩波が西川に下げた瞬間に大輔先生はすぐにポジションを取り直しました。それが西川のほぼ真横。このポジショニングに影響を受けたのが左WGにポジションを移していたタリスカで、先制点のシーンを含めて先に動いてくれる癖があって、今回もそんな感じで西川がボールを持っているときにタリスカは大輔先生に先に動いてくれたので、西川には長澤への視界が開けて素晴らしいパスを送りました。図に直すと(下図)のような感じです。

 

画像2

 

大輔先生にとってはしてやったりの前線だったと思いますよ。もしも、タリスカが長澤の方に意識が行っていれば、大輔先生は西川からパスを受けてフリーな岩波へとつなげて・・・という感じに外から前進すればいいだけです。それをタリスカの優先順位のミスで中央から前進することができたので、してやったりの大輔教授です。

 

そして、西川から長澤に入ったパスから最終的にシュートシーンまで作りました(下図)

 

画像3

 

長澤の大きな運ぶドリブルから・・・

 

長澤→エヴェルトン→ファブリシオ→興梠→青木→関根までダイレクトを混ぜながらスムーズに広げていき、最後はグラウンダーのクロスをエヴェルトンが合わせましたが枠外となりました。

 

ファブリシオの受ける位置もボランチの脇でした。あとは、広州が釣りだされたのをカバーするために中央に中央に絞られたのを逆らうようにサイドにサイドに広げるという理想的な感じで期待感のある関根まで届けられたと思います。

 

もしも、エヴェルトンのゴールが入っていたとしたら、個人的にはタリスカの対応を失点の大きな原因として挙げると思います。それほど、前線の最初の選手のプレスは大切ということです。逆に考えれば、最初のプレスをどのように越えて前進させるのかが大切なのかも分かります。なので、この一連の流れは、大輔先生の素早いポジションを取ったところから明確な決定機を作り出したといっても過言ではないぐらい1つのポジショニングが大きなものをもたらしたシーンとなったと思います。

 

以上、(図1)を基本とした浦和の前半の自陣からのビルドアップについて言及していきました。今回厳選して言及したのは8個でしたが、もっと多く(図1)の形から前進を試みています。

 

試合を観た通り、ボランチの脇はバンバン突くことができていましたね!記憶が正しければ、今季、浦和に対して5-2-3で戦ってきたのはアウェイのブリーラム戦だけです。ブリーラム戦もバンバンとボランチの脇を突いて振り回して前半に2点取った、オリヴェイラ体制では珍しいほどパスが回った試合と話題になった試合以来だったと思います。

 

・カンナバーロ監督の意図は?

 

試合中にさまざまポジションが入れ替わりますが、形式的なシステム表記に直すと広州が5-2-3(3-4-3)で戦った試合は今季1.5試合だけでした。だから、私がそれをプレビューで予測できるはずがありません。

 

では、なぜ重要な一戦で普段通りのシステムで臨まなかったのか。そして、それは浦和に対してどうだったのか考えてみようと思います。

 

①失点したくなかったから最終ラインの人数を増やしたかった?

 

やりなれた4バックから5バックにするということは、まずは容易に最終ラインの人数を増やしたかったことが思いつきます。実際にWBは守備的な2人ということもあって上下動させるよりも後ろに撤退していました。

 

②広州の対応は浦和にとって良かったのか?

 

浦和のボール保持に対しては「前に!前に!」が効果抜群と常々言ってますが、中盤を2枚にしてしまうのは良くなかったと思います。浦和がもしも、青木を降ろさずに3枚のままで前進を試みようとしたら、もっと広州前線3枚は制限やプレスの強度もあげられたはずです。そうさせずに青木を降ろして優位を確保させた大槻監督がお見事なのですが、前述したように前半1分から浦和はその形を作っていて、広州は前線3枚の脇を間をバンバンパスを通されて、バンバンボランチの脇で起点を作られたので、「これはまずい!」と思って、スタメンのキャラクター的にも準備したものがあるので4バックに戻すことは無理にしても、5-3-2にするとか、個人的にはスタメンを見て5バックだろうと見当ついたときに超ドン引きすると思っていたので、浦和の自陣では守備しないっていうのを決めて5-4-1で下がっちゃうとか、何か改善しないといけないぐらい決壊していたと思います。さらには先制された後も具体的には変えずだったので、カンナバーロ監督の采配は完璧完全圧倒的に間違いだったと個人的には思います。

 

さらに、青木が降りて4枚で優位を確保されたにしても、広州は前線3枚で奪えないにしても上手く外回りにパスを回すぐらいはできたはずです。しかし、前述した部分も含めてエウケソン、タリスカが先に動いてしまうことが多く、2人は浦和の後ろの選手を、サイドの選手を優先的に消すことのほうが多かったので、浦和は前方の選手、中央の選手にパスをすることができました。そういう守り方や優先順位もありだと思います。でもね、最終ライン5枚にして、中盤は異質な2枚にしているチームの前線の選手がやるべき対応ではないです。絶対間違いです。それを試合中に変えさせなかったカンナバーロ監督も絶対に間違いです。後半は流石に直ってましたが、1つ目の2分05秒のシーンで矯正するべきでした。

 

だから、浦和にとっては苦手な「前に!前に!」の守備対応を発動できそうな人数のかけ方でしたが、すべてが効果的ではない方に傾いてしまったということだと思います。そして、それを浦和が完璧に利用できていたと思います。

 

第2戦がなければ前半のうちに叩きのめすことはできたと思います。そこは失点をしないことも考慮しないといけない難しさもありました。

 

浦和非ボール保持:広州ボール保持

 

大槻監督のACL第1戦は、蔚山戦ではホームにもかかわらず”待ち”の5-4-1で後ろに撤退した守備。上海戦では開始3分での槙野の先制点+アウェイで後ろに撤退した守備。

 

という感じだったので、浦和がボール保持する試合になるとは想定できていましたが、非ボール保持になるとある程度後ろに撤退したところから守備を始めるのかなと想定していました。

 

しかし、大槻監督が用意したものは違いました。

 

前線からハメに行く「前に!前に!」の姿勢でした。

 

一方の広州のボール保持は、浦和のように青木を降ろして優位を確保してズレを作ることなど目立った工夫を見せなかったので、浦和はマンマーク気味に目の前の選手に集中することができました。特にファブリシオは素晴らしかったですね!プレスするタイミング、コースの限定の仕方、背中も意識できている。興梠と2シャドーによって外回り中心にパスが回るようになっていきました。

 

広州は、起点となって欲しいWBの人選もカンナバーロ監督は間違いました。特に左WBで起用された5番の選択は本当にあり得ません。

 

・中国代表のCB。
・リーグ戦での主戦場は右SBの右利き。
・彼には素晴らしい推進力と突破できる攻撃力がある。

 

橋岡対策に左で起用させたとコメントしていましたが、5番の持っている本来の力を発揮させないようなポジションでした。

 

そして、浦和が前から姿勢の守備で、5番にパスが入ったときには橋岡がすぐにプレスをかけにきたので、時間とスペースは与えらませんでした。不慣れなポジションなのに橋岡の守備の強度を越えろと言われても絶対無理です。なので、停滞ポイントになっていました。

 

反対の右WB25番は5番より攻撃面では相当落ちる選手です。この選手が本来左サイドの選手なので、25番に攻撃的なことは求めないで5番を普通通り右サイドに置いてあげれば、もう少しうまくできたと思います。

 

そして、何よりも全体的に不慣れな距離間と全体の配置で、繋ごうとする意思を示してはいましたが、ボックス内どころかゾーン3にもほとんど侵入することができませんでした。

 

再び浦和目線に戻すと、前姿勢な守備はずっとやってきていることで、最近は4-4-2の相手が多く出づらい状況を作られていましたが、今回は工夫をしてこないミラーゲームになったので、興梠からスタートさせてファブリシオ、長澤と続き、橋岡、関根も躊躇なく行けました。

 

いくら前線にクオリティのある選手を揃えていても、浦和がこの試合最も機能したことで話をすれば、1stプレスをいかにクリーンに越えていくことかが広州には決壊していたので、単純に前線の選手も輝くことができませんでした。加えて、ラインを高くコンパクトに保って前線3枚にパスが入ればすぐにアタックできるようにできていたのも、広州の守備とは質が違いました。その要因には大輔先生の存在が大きかったとみんな話しています。

 

蔚山戦と上海戦から学んだのか、広州に最適だと思ったからそうしたのかは分かりませんが、大槻監督が用意したものは勇敢さとこの試合の広州に対しては、効果抜群でした。

 

・槙野のオフサイド取り損ない

 

10分40秒のシーンで槙野がみんなとラインを揃えることができていませんでした。

 

10分40秒は右サイド深くまで運ばれて橋岡が対峙したので、突破することができずに斜め後ろの中央に戻しました。そのときボックス内の浦和の選手たちは一気にラインを上げてボックスの外に出たのですが、槙野のみラインを上げることはせずにマークするタリスカの後ろに居残っていました。

 

どっちが正しくて悪いということはないと思いますが、みんなで合わせていった方がいいと思いますよ。それができないのであれば、無理に急にラインを上げることはしない方がいいと思います。

 

ちょっと第2戦に向けて違和を感じたので言及しておきました。

 

•橋岡大樹

 

橋岡ファンの方はお手数かけますが、
5分10秒、16分20秒、後半ですが63分18秒のシーンは必見です。

 

パスを受けるための準備、出し手の為のコース作り、向いている身体の向きは絶賛です。

 

特に16分20秒のシーンは、ミシャ時代を彷彿とする流れるようなパスとツイッターで動画がアップされていましたが、その大きな一端となっていたのは、橋岡がパスカットして、前述した一連の流れ橋岡の所作から興梠に斜めのパスが入ったところからでした。

 

 

前半は分野に分けて言及していきました。両チームのボール保持と非ボール保持の構図は後半を見る上でも基本線は変わりません。変化があれば言及していきます。

 

後半戦は時系列で言及していきます。

 

~後半戦~

 

両チームともメンバーもシステムも変更なし。
タリスカとパウリーニョは左右を戻しました。

 

後半の開始も浦和の非ボール保持時は、勢いよく「前に!前に!」の姿勢で開始5分だけでもサイドに誘導して橋岡や関根ファブリシオが囲い込んでショートカウンターを2度発動する攻撃を見せるなど、1-0の状況でも変えることはしませんでした。

 

変化があったのは広州で、51分40秒にゾーン2のビルドアップ時にタリスカが深く降りてきてボールを触りに来ました。リーグ戦では普段の光景ですが、この試合では51分にしてこれほどハッキリなのは初めてだと思います。

 

更に52分40秒もタリスカが留まることなく動き回って、それに合わせて味方も動いて、エウケソンが大輔先生を留めた脇でパウリーニョが抜け出そうとする少し惜しいシーンも作りました。

 

更に更に55分10秒は、浦和の押し込んだ攻撃を防いだところから16番が1発でエウケソンにつける縦パスを送ってから、サイドに走る左WB5番に広げて、深くまで攻め込むなど、前半よりは広州も迫力を出していて、手応えを掴めそうなところまでは来ていました。

 

一方で浦和のボール保持は少し変化がありました。

 

53分50秒の岩波から関根への大きなロングパスや中盤でいい形で奪った後など、ボール保持すれば前の選手に送る、攻め急ぐことが多く、前半とは違い、後ろの選手に下げてやり直すことをしない後半15分でした。

 

180分の戦いで”結果”が2-0で勝っているので、まぁそれでも良かったんじゃない?という評価にもなりますが、個人的には前半できていたことは積極的に後半でも続けた方が良くて、特に広州も変えていなかったようなので、前半と同じようなチャンスを作ることができたと思います。

 

・後半初めて作った途端に・・・

 

66分にファブリシオに代えて武藤が投入された直後の66分40秒に、後半になって始めて青木を降ろして4バック化させました。

 

西川→大輔先生→フリーとなった岩波→狭いスペースの長澤に縦パスを通しました。広州は長澤に対して、後半になってから厳しく行くようになっていて、今回もHV以外にWBが橋岡のマークを捨てて挟み込んできました。なので、長澤はフリーになって前へ走り込んだ橋岡にスルーパスしてあげて、最後は投入したての武藤が枠内のシュートを打ちましたが、GKに弾かれました。

 

後半初めて4バック化させて数的優位を確保した状況で前進を試みた途端に明確な決定機を作りました。

 

だから、後半序盤からでもやった方が良くて、なぜそうさせなかったのかは分からないのですが、この90分で浦和が最も機能していたとき、広州が最も機能しなかったときはこの配置になったときでした。

 

・関根の追加点

 

失点しないという点では試合巧者でしたが、前半に比べて広州の力強さにも押され始めて、いつものパターンになるかもしれないと思った矢先の関根の追加点でした。

 

関根の素晴らしさは言うまでもないですし、私が語る必要もないですね。

 

広州目線で言うと、武藤からのコーナーキックをしっかりと跳ね返して、ショートコーナー対策として置いていた16番にこぼれましたが、その16番のクリアが余りにも軽率でした。そのクリアは「深く高く大きく」するべきでした。しかし、関根に絶妙のラストパスを提供してしまいました。

 

ミスを突き合うスポーツ。
相手のミスを関根のスーパーゴールで完結させました。

 

・7番投入とシステム変更からの変化

 

まさかの2点リードを許したカンナバーロ監督は、80分に左WBの25番に代えて、注目選手の1人である7番のシーハオを投入しました。

 

交代に伴い、システムを4-3-3に変更しました。
ようやく、ようやく、本来の姿に戻しました。

 

・投入された7番シーハオは左WG
・中盤の構成は16番がアンカー、パウリーニョとタリスカがインサイドハーフ。
・橋岡要員として不慣れな左WBに起用された5番が本来の右SBにコンバートされました。

 

そして、7番シーハオは投入されて早速ボールを受けてエヴェルトンを独力でかわして実力の片鱗を見せました。

 

更に83分は一度はゴールネットを揺らしたものの、オフサイドで取り消しになったシーンを迎えました。

 

これもシステム変更と7番の投入がめちゃくちゃ影響していると思います。

 

では、丁寧に一連の流れを追っていきます。

 

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▶︎タリスカが降りてビルドアップに参加したところからでした。

 

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▶︎タリスカからSBにパス。それに対して橋岡がプレス。

 

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そのときの3CBに対して広州は4枚(3FW +IHパウリーニョ )。

 

29番ガオリンは中央にスペースを作るためにサイドに流れて岩波を引っ張りました。

 

そして……

 

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▶︎SBから再びタリスカがパスを受けました。

 

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▶︎タリスカからパウリーニョへ縦パス。

このとき、大輔先生に対してパウリーニョと7番で2vs1を作り出しています。

 

29番ガオリンが岩波を引っ張っていたのもだいぶ効いています。

 

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▶︎大輔先生はボールホルダーのパウリーニョに寄せに行くのは当然で、パウリーニョはしっかりと7番を認知していて流し込むラストパスを送りました。

 

そして、7番がゴールネットを揺らしましたが、これがオフサイドでした。

 

これはオフサイドですし、判定を覆して正しいジャッチをした審判団には感謝です。しかし浦和にとっては、”取りに行ったオフサイド”ではなく、”取ってくれたオフサイド”であり、明確な決定機を作られていますから、オフサイドになったことを手放しで喜んでいる場合ではありません。

 

で、経過を辿っていたように、この決定機は7番投入と本来のシステムに戻した直後に訪れた決定機なので、「後半90分はこれを最初からしてくるんだよ?」ということなので、ちょっとゾワっとした想いになります。

 

中盤の枚数を増やしてきて、明確な決定機を作られて危機を感じた大槻監督は判定が覆った直後の85分に長澤に代えて阿部ちゃんを投入して、「無失点で終われ!」とメッセージを送りました。

 

一方の広州も86分に満を持して17番のヤン・リーユーを投入しました。

 

直後の87分には本来の右サイドに戻してもらった中国のセルヒオ・ラモスの5番が、蘇ったように関根の逆をつき、投入された17番らと複数の選手が細かくパスを繋いで前進していきました。

 

5番がこれだけできるよ!と宣伝になるようなシーンでしたし、普段したこともない左に置いておくより絶対に右サイドに5番は置いておくべきだったと後悔するシーンにカンナバーロ監督はなったはずです。

 

5番が本来の右サイドに戻ったこと、17番ヤン・リーユーが右WGに投入されたことにより、そこを警戒して大槻監督は最後の交代カードを関根に代えて宇賀神の選択をしました。

 

試合は2-0で終了。
前半の第1戦を満足のいく結果で終えました。

 

•総括

 

カンナバーロ監督が用意したものが大失敗であることは前述した通りです。

 

一方で浦和の選手たちは「広州は4バックなのでサイドを上手く使いたい」みたいなコメントを事前にしているので、多分、大槻監督たちも5バックで来ることは私たちと同じでスタメン表を見た1時間前の同じタイミングで一緒に驚いたはずです。というか、そうであって欲しい。 しかし、試合後の会見で大槻監督は「想定内」とコメントしており、どのタイミングが想定内なのかは分かりませんが、試合当日よりも前に5バック来ることを想定できていたとしたら、ちょっとプロフェッショナルすぎて今後のモチベーション下がります。。。

 

でも、大舞台に緊張することせずに広州の短所となるものを明確に突けたことは、チームとしての事前の準備と選手たちが力を発揮できるよう方角を示していたことは明白な事実なので、浦和レッズ勝ってくれて本当にありがとうです。

 

でも、まだ前半の90分を終えたばかり。

 

第2戦のプレビューでもきっと同じことを言及しますが、7番が投入されて本来の4-3-3にシステムを戻してからはオフサイド判定を中心に決定機を作っています。

 

第2戦はアウェイで2-0で勝っているから、守って守って守りきるぞ〜と考えるならば、それはちょっと危ない気がします。

 

だって、今回の試合も2-0になって、3点目を奪いに行くよりアウェイゴールを取られせない方に舵を切って守りに入ったのに7番の投入とシステム変更で紙一重の大ピンチをすぐさま作られているんですから。

 

だから、安易に後ろにドン引きすれば勝ちきれる試合にはならないはずです。

 

別にここで広州を擁護しても何も得はないですが、広州の攻撃でのポテンシャルに関してはあんなものではないです。で、本当に繰り返しになって鬱陶しいですが、7番が投入された途端に変化を起こせています。

 

上海の外国籍選手は自分たちが輝けるかにフォーカスされているチームですが、広州の外国籍選手は、中国選手に活かされ生きている感じがあります。

 

それがこの試合の両WBは、本職SBの選手で、攻撃では外国籍選手を活かすことができていませんでした。

 

しかし、本来の両翼は7番シーハオと17番ヤン・リーユーです。彼らは間違いなく第2戦スタメンです。
そして、システムも戻すはずです。

 

第2戦のホームチームがいかに有利であるかはどのアジアクラブよりも浦和が知っているはずです。私が言うまでもなく、誰1人安心している浦和サポーターがいないのが、ACLを戦ってきた経験値の高さだと思うのですが、2-0で折り返したことを是非是非是非不安なものではなく大アドバンテージだと思って強気な姿勢で臨んでほしいと思います。

 

•さいごに

 

鹿島戦のレビューより投げ銭システムを採用しています。完全無料公開した最後に全てに100円をつけさせて頂いてます。今回の作品が面白いと思って頂いた方は是非前のめりに! 完全無料公開して最後に100円をつけている理由は下記の記事で30秒で読めます。

 

 

今回も読んで頂きありがとうございました。
面白ければリツイート等々で拡散、宣伝して頂けると嬉しいです。感想もお待ちしております。

 

 

 

浦ビュー

初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ura_view17

 

コメント

  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:211.3.215.74 )

    浦ビューさんは広州5バックを予想できなくて悔しかったようですが、コラムを拝見させて頂いてる身としてはその5バック採用がどれほどカンナバーロ監督が浦和を警戒していたかを垣間見れて試合を存分に楽しめました。
    相手をリスペクトしすぎてはいけないとはオシムさんの言葉だったかと思いますが今回実感しました。

    このコメントに返信

    2019年10月08日 09:44

  2. 3 匿名の浦和サポ(IP:218.231.110.13 )

    さすがに広州がキックオフから5バックを採用することは想定外でも、試合展開に応じてどこかで5バックを採用することは十分想定できていたので問題なく対応できたってことでないのかな。前半の流れみたら後半開始から4バックに変えてくるかもと思ったけど、カンナバーロ監督が動くのが思ったより遅かったな。
    オフサイドで救われたシーンは、橋岡が3バックの左WBに対峙する感覚を引きずったまま4バックの左SBにまでプレスをかけてしまった結果、橋岡が空けたスペースにガオリンが流れて岩波が引き出され、岩波と鈴木の間に生じたギャップを上手く使われてしまったかと。キックオフから4バックできてくれるのであればそのあたりのズレは心配いらないのでは。
    ただ、第2戦で4-3-3にしてウェイシーハオとヤン リーユーが両サイドに張ることで橋岡と関根の両WBが引かされたら、5バックで押し込まれる時間が長くなりそう。アンカー横のスペースをうまく利用して攻略し、早々に先制のアウェイゴールを奪って相手の戦意を喪失させたい。

    このコメントに返信

    2019年10月08日 12:26

  3. 4 匿名の浦和サポ(IP:218.231.110.13 )

    思えばDFライン付近まで降りてビルドアップするタリスカに長澤がアプローチに行ったとこからズレが生じてたのかな。誰がタリスカを見るべきだったのか、この辺の対策は第2戦までにきっちりしてくれると思う。

    このコメントに返信

    2019年10月08日 12:54

  4. 5 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    ファブリシオ、ファブリシオ、オー マタドール

    このコメントに返信

    2019年10月08日 13:01

  5. 6 匿名の浦和サポ(IP:1.66.101.137 )

    広州恒大の7番はあの時間入りフォーメーション変更したからあそこまで活きたのだと思う。
    あれで先発していたら浦和もそれな入りの対応が出来ていたと思うし、あそこまで脅威にはならなかったでしょう。
    たから第二戦は先発してくれた方が浦和にとって良いと思うね。

    このコメントに返信

    2019年10月08日 13:04

  6. 7 指定席住人(IP:49.98.130.97 )

    残りのリーグ戦
    ファブリシオのゴールとスペシウム光線
    たくさん観たい❗
    ファブリシオ、ファブリシオ、 オー マタドール

    このコメントに返信

    2019年10月08日 17:06

  7. 8 匿名の浦和サポ(IP:49.97.107.138 )

    最近の浦和の流れを考えるとアウェイで逆転負けだが

    このコメントに返信

    2019年10月08日 19:24

  8. 9 匿名の浦和サポ(IP:1.66.101.160 )

    ここまで的確に捉えているのは凄いですわ…
    第2戦は左宇賀神右関根でもいいと思うけど、最近の橋岡は目を見張るものがあるから悩ましいね。

    このコメントに返信

    2019年10月08日 19:57

  9. 10 匿名の浦和サポ(IP:126.182.144.69 )

    やっぱりなんか広州が勝手に崩壊してくれた感じよね

    このコメントに返信

    2019年10月08日 20:37

  10. 11 匿名の浦和サポ(IP:27.94.49.152 )

    アウェーは難しい試合になると思うので、頑張ってほしい!現地に行けないですがBSで応援します。

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    2019年10月08日 21:28

  11. 13 ルーレット?(IP:211.1.73.166 )

    武蔵浦和の百均で、ファブが、キャーキャー言うおばちゃん達に囲まれて、
    軽い身のこなしで、おばちゃん達をすり抜けていた。
    あの、すり抜けを期待する。

    このコメントに返信

    2019年10月21日 14:40

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