浦和レッズについて議論するページ

サッカーライター郡司聡さんが浦和レッズと対戦した選手たちへの取材をもとに「対戦相手から見た浦和レッズとは?」をテーマにした原稿を浦議で連載していただくことになりました!

 

▼キャプテン槙野がエンド変更をした意味とは

「サッカーはメンタルスポーツ」

そうした格言があるように、サッカーという競技は、ピッチ上で戦う選手たちのメンタリティーが、ワンプレーの精度や結果に影響を与えるスポーツだ。特に残留の命運を左右するビッグマッチともなれば、その重圧は想像を絶する。それだけに、“精神的優位性”の確保は、勝ち点4差で迎えた“大一番”を制するために、重要なファクターの一つだった。例えば鳥栖戦でキャプテンマークを巻いた槙野智章は、そのためにできる限りのことを尽くそうと、キックオフ前にエンドの変更を選択している。

「このスタジアムでここ数年、いい結果を残せていなかったということ(※過去5シーズン・1勝2分2敗)と、前半よりも後半に運動量が落ちて、チームがバラバラになりつつある時に、一番監督の近いポジションで指示を聞いてみんなに伝えられるようにとしようと、僕なりに考えてエンドを変えました。またホームのチームがいつもと攻めている方向が違うと、なんとなく気持ちが悪いじゃないですか」

コートチェンジをさせられたサガン鳥栖の選手の中には、浦和としても何か流れを変えたいという思いがあったんだろうと推察する選手もいた。心理的な揺さぶりを掛けられる中で、鳥栖は序盤に痛恨の先制点を奪われている。

開始7分、西川周作のFKを橋岡大樹がファブリシオへつなぎ、ファブリシオは頭で武藤雄樹へ展開。最後は武藤が左足シュートで鳥栖ゴールを破った。立ち上がりからチャンスを作り、試合の入りが良かった鳥栖にとっては、相手にファーストチャンスを仕留められるなど、不意を突かれる格好となった。試合後、ボランチでフル出場した原川力は「大事な先制点を取られたことで試合が難しくなった」と振り返っている。

精神面で優位に立ち、余裕も出てきた浦和は守備時に[5-4]のブロックを構築して、鳥栖の攻撃に応戦。立ち上がりからミスが目立っていた岩波拓也も先制点をきっかけに復調し、前に強い3バックが鳥栖の攻撃を跳ね返していく。「相手のブロックの外でボールが動くだけで、窮屈な感じはしていた」と原川。そして浦和の1-0で迎えた29分、相手のクリアボールを回収した鈴木大輔が長澤和輝へつなぎ、中央の長澤が右サイドの橋岡へ展開すると、橋岡のクロスを長澤がアクロバティックなボレーシュートで追加点を叩き込んだ。

「失点はオープンになっていた時間帯でもあった」と原川が指摘したように、一つひとつの局面がルーズになることで鳥栖は二つの失点を食らった。前半を終えて、2-0。絶対的エース・興梠慎三の不在で苦戦も予想された浦和が、2点をリードして後半を迎えた。

 

▼敵将の狙い通りな展開へ

もちろん、2点のビハインドを背負っても、鳥栖はそれで気持ちが折れていたわけではない。「1点を取れれば状況は変わる」。原川はそう思っていたという。2点を追う後半突入を前に、敵将の金明輝監督は用兵で心理的駆け引きのカードを切ってきた。ベンチスタートだった豊田陽平を後半のスタートから投入し、徹底した“ロングボール攻勢”を仕掛けるプランに変更した。

「良くも悪くも、豊田を使うということは、彼のストロングポイントを生かすことになるので、それによって、相手が少し狙いを絞りやすいのかなと思っていました。またこうして切り札として取っておきたいという狙いもあったので、両面で準備をしてきました」

準備期間で浦和が“豊田対策”に取り組んでくることは想定できる。そのため、敵将の金明輝監督はスタートから豊田をターゲットマンとして活用する戦い方を選択せず、交代カードの切り札として、より彼のストロングポイントを短時間でエネルギッシュに活用し、相手を苦しめる策を採った。さらに鳥栖は前半の反省を生かし、選手たちの立ち位置も微修正。例えば右SBの原輝綺は攻撃時に、左CB槙野の前に立つことで「相手も動けなくなる」(原)と揺さぶりを掛けた。

こうして後半の鳥栖は、豊田をターゲットにしたロングボールで相手を押し込み、セカンドボールを回収して二次攻撃を仕掛けていく。55分には安庸佑を右サイドハーフに投入。守備力に難のある関根貴大をディフェンスに回させることで相手の反撃の機会を削ぎ、浦和のブロックディフェンスに綻びを生じさせようとした。敵陣でプレーする時間が長くなれば、あとは「反撃の1点は早い時間帯のほうがいい」(原川)。そして69分、鳥栖にとって絶好のチャンスが訪れた。

右サイドで直接FKのチャンスを得た鳥栖は、原川がゴール前に睨みを利かせる。壁に立つ3選手は関根、武藤、長澤と「壁の選手のチョイスを見ても(身長が)小さかった」(原川)。右足の直接FKで西川のニアサイドを射抜いた原川は、「壁の選手を見て、直接狙うことを決めた」と振り返る。壁に立つ選手の選択が相手選手を勇気づけるなど、浦和はあまりにもディテールが甘かった。

1-2となれば、心理状態は追いかける者が完全に上に立つ。「前半はビルドアップで縦にボールを入れても失うことが多かったけど、後半の相手は揺さぶるだけで間が空いてきた」(原川)。縦に、横に、そしてスペースを使いながら揺さぶってきた鳥栖に対して、浦和は後手に回る。こうして2-1で迎えた74分、セットプレー崩れの展開から小野裕二、豊田とボールがつながり、豊田がポストワークで落としたボールを金崎夢生が沈めて同点に。そして82分、途中出場の安庸佑が右サイドを破り、イサック・クエンカが逆転弾を決めた。

ところが、残留争いを占う大一番は、鳥栖の逆転でストーリーが完結しなかった。終盤は槙野をトップに上げて、“スクランブル態勢”で攻め立てた浦和が、攻撃参加を自重していた青木拓矢のミドルシュートからCKを獲得。直後の90+5分、CK崩れの展開からPKを獲得し、3日前の天皇杯・ホンダFC戦でPKを止められていた杉本健勇が名誉挽回のPKを決めて、試合は終わった。
「イサック(クエンカ)、(豊田)陽平さん、(金崎)夢生くんなど、みんなの存在によっていろいろな駆け引きが生まれてくる」(原川)

特徴が異なる豊富な手駒を使い、心理的駆け引きも駆使しながら、金明輝監督が率いる鳥栖は、浦和を相手に一度は逆転劇を演じた。しかし、結果は3-3で勝ち切れず。試合後の敵将はこう言っていた。
「当然そういうもったいない失点をしているチームだからこそ、この順位にいる」

たしかに残留争いの大一番は、最後まで結末が見えない熱戦だった。ところが、J1への生き残りを懸ける両者が、白熱の攻防を展開できたと手放しで喜べるだろうか。2点のリードを逆転まで持ち込まれた浦和も然り、3-2で勝ち切れなかった鳥栖もそうだが、3-3の乱戦は、下位に低迷する両チームの現在地を、浮き彫りにする結果だったに過ぎない。

 

蹴球界のマルチロール・郡司聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド・刊)。

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  1. 2 指定席住人(IP:49.98.149.94 )

    試合前日
    公式記者会見
    大槻毅監督と関根
    アウェイゴール取られないよう
    頼むぞ❗
    参戦します

    このコメントに返信

    2019年10月01日 16:49

  2. 3 指定席住人(IP:49.98.149.94 )

    阿部ちゃんと荻原
    ベンチ入りしてください

    このコメントに返信

    2019年10月01日 16:58

  3. 4 南ゴール裏住人(IP:49.98.149.94 )

    待ってろ❗
    カンナバーロ、タリスカ、パウリーニョ、エウケソン

    このコメントに返信

    2019年10月01日 17:50

    • 4.1 匿名の浦和サポ(IP:111.239.182.164 )

      学習して
      痴呆か?

      2019年10月01日 20:58

  4. 6 匿名の浦和サポ(IP:116.67.154.252 )

    そういえば悪夢の2014年33節もコートチェンジしていたような。
    あれはどっちの選択だったんだろう?槙野は覚えてなかったんだろうか

    このコメントに返信

    2019年10月01日 18:43

    • 6.1 匿名の浦和サポ(IP:202.74.253.42 )

      コートチェンジへの批判?
      俺は正しい選択だったと思うね。
      分が悪いあのスタジアムで、可能性があるできることはすべてやる。
      とうぜんだよね。

      君はどんな状況でも現状維持派?

      2019年10月02日 07:40

  5. 7 匿名の浦和サポ(IP:118.0.249.252 )

    スミマセン。ACLとリーグ優勝しか星を着けないのは何故ですか?選手にしたらどんなタイトルでも優勝って嬉しいし、ユニホームに付ける優勝の星って価値あると思う。
    一番、星が多いチームが良い例だと思う。
    オファーして良い選手が来て活躍するし…
    根本的な土台が違うから?
    ACLとは勿論。Jに生き残らないと意味無いし…

    このコメントに返信

    2019年10月01日 19:37

    • 7.1 匿名の浦和サポ(IP:211.15.235.105 )

      アジアチャンピオンの称号と、年間34試合を戦ってのリーグチャンピオンの称号の価値は重いからじゃないですかね。もちろん、リーグカップと天皇杯に価値がないと言っているのではなく(特に、天皇杯は天皇陛下が下賜される名誉ですからね)、Jリーグのチームとしてのタイトルの重みを考えたら、アジアチャンピオン>リーグチャンピオン>天皇杯>リーグカップと考えるのが自然でしょう。言い方は良くないかもしれませんが、リーグカップは湘南でも取れますもんね。
      星をガンバのようにやたらめったら付けたら、逆に見苦しいと思います。私は今のままでよいと思います。

      2019年10月01日 20:26

    • 7.2 匿名の浦和サポ(IP:210.232.14.169 )

      ルヴァン杯と天皇杯は優勝しても「CHAMPION」ではく、「WINNER」。
      レッズは、「CHAMPION」の数だけ星をつける。
      だから、星をつけるのはリーグとACLとCWC。

      2019年10月01日 20:49

    • 7.3 匿名の浦和サポ(IP:118.0.249.252 )

      確かにルヴァンの時も電工掲示板はWINNERでした💡

      価値ある星!
      返信頂きありがとうございます。

      2019年10月03日 22:11

  6. 8 匿名の浦和サポ(IP:60.142.16.247 )

    パワープレーするなら杉本じゃなくてマウリシオだしてくれYo。杉本競り勝てないしマウリシオなら競り勝てる。

    このコメントに返信

    2019年10月01日 19:53

    • 8.1 匿名の浦和サポ(IP:211.15.235.105 )

      パワープレーする以前に、本職の守備でのポカが多すぎる。Honda戦でも2失点に絡んでいる。まぁ、外国人相手には良いかもしれんけど…

      2019年10月01日 20:29

  7. 9 指定席住人(IP:49.98.149.94 )

    3度目のアジアチャンピオンへ
    『戻るべき場所へ 這い上がれ浦和』
    180分
    やってやろうぜ

    このコメントに返信

    2019年10月01日 19:57

  8. 11 匿名の浦和サポ(IP:118.158.61.17 )

    大槻さんの後半の修正力のなさが叩かれ気味だけど、前半良い傾向が多いのは事前準備やスカウティングがハマってる証左でもあるよね。
    それだけにいい加減、プランB、Cを用意して勝ち切る、逃げ切る試合を見せてくれ。監督も選手も。。。
    前半悪いチームは後半よくなっても引き分けがやっとになりがち。
    前半良いチームは後半も良ければ勝ちに近づきやすいんだから。ほんとにたのんます!

    このコメントに返信

    2019年10月02日 00:25

  9. 12 匿名の浦和サポ(IP:103.5.140.158 )

    早く勝ち点3取りたい。11月には鹿島川崎広島東京のガチ勢との厳しい戦いが待ってる。最終戦で大阪との降格決定戦はやりたくない。

    このコメントに返信

    2019年10月02日 07:34

    • 12.1 匿名の浦和サポ(IP:202.74.253.42 )

      あーぁ
      やる前からガチガチじゃん。
      もっと肩の力抜いて、平常心でいようよ。
      もちろん危機感はあるけど緊張して実力を出し切れたことはないからな。
      最悪入れ替え戦で勝ちゃーいいんだろ!!くらいに腹くくってみなよ。
      緊張はその時でいいよ。

      2019年10月02日 07:44

    • 12.2 匿名の浦和サポ(IP:103.5.140.158 )

      今シーズン目の前で何回ゴールを決められたことか。マイナス思考と悪い過去の映像が頭から

      2019年10月02日 07:53

  10. 14 菱形の応援団より(IP:27.137.39.177 )

    戦法や選手の活用を外野がアレコレ言っても届かないし。それは現場が都度ベストと思ってやってるのだから仕方ない。
    ただ、補強を含めたチームに浦和スピリットを強く持って闘いに望んでる様子が見えない様に思える。J2だって厳しいよ!

    このコメントに返信

    2019年10月05日 22:14

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