今年よりTwitterでスタートした「浦和レッズのプレビュー、レビュー」が面白いと話題となっている浦ビューさん。
その原稿を浦ビューさんに許可をいただき浦議に転載させていただきます。
ACL準々決勝 第2戦 レビュー
浦和レッズvs上海上港 1-1。
いつも読んで頂きありがとうございます。
今回も開いて頂きありがとうございます。
第1戦を2-2で折り返して、ホーム埼スタでの第2戦を1-1で終えて準決勝進出を決めました。次のラウンドに進むミッションを見事に完遂してくれて素晴らしいと思います。
今回も普段通りの作品作りを心がけます。
では、レビューを始めたいと思います。
〜スタメンと基本システム〜
—浦和レッズ—
•マウリシオの出場停止に大輔先生が起用。
•それ以外は第1戦と変わらず。
•武藤は2戦続けてベンチスタート。
—上海上港—
•フッキは出場停止。
•直近の山東戦で負傷したアフメドフが欠場。
•直近の山東戦で負傷した11番と28番はスタメン。
•第1戦ベンチだった個人的大注目のユーハイがスタメン起用。
•予想通りの4-3-3でスタートしました。
〜前半戦〜
・リスクを冒さない浦和vs超本気な上海
前日会見で大槻監督、興梠が「攻撃的に行く」「0-3で負けているつもりでやる」とコメントしていたので、とりあえず序盤は襲い掛かるように前から果敢に攻め込むのかなと想定していましたが、違うものになりました。
浦和は「リスクを冒さない」スタートを見せました。
具体的には、ボールを保持したら先ず・・・
①橋岡の空中戦の質的優位を全面に生かす
②興梠に収めさせる
③ファブリシオに背後を走らせる
主な「リスクを冒さない」ボール保持は以上の3点だったと思います。
一方で、上海は大槻監督の想定通り4-3-3。攻撃的プレッシングで2分には左IHのオスカルが列を上げて4-4-2を形成して岩波にプレスをかけたり(図1)、7分も同様に右IHの20番が列を上げて槙野にプレスをかけたりしました(図2)。
(図1)
(図2)
上海の攻撃的プレッシングに対する対抗策は前述した通りで、「リスクを冒さない」ことを選択し続けました。
橋岡に上手く渡っても、上海が素早いプレスバック等ですぐさま圧迫して奪い取るなど守備への意識を相当見せていました。90分は無理にしても試合に懸ける思いは存分に示していたように感じました。
では、映像で確認お願いします。
最後は時間が余ったので橋岡が頑張ったシーンを加えました!
No risk#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/7dMe1krEDI
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
次に上海のボール保持についてです。
上海には本当に驚かされました。
金曜日の山東戦やこれまで私が見てきた上海とは違い、ポジションをある程度固定させて相手を見ながら規律のあるプレーを強烈に見せたと思います。
先ずは、6:18です。
▶︎右CBから右SBへパス。浦和はそれに合わせて全体がスライドします。ボールホルダー の右SBにはファブリシオが出ました。
▶︎面白い現象は右SHの長澤が中央に絞って、アンカーを消しに出ていたことです。中盤が数的不利なので、どのように封じるかは肝でしたが、長澤がこんなことを見せました。右IHの20番は関根に流れつつ、左IHのオスカルは浮いた状況となりました。
▶︎ボールホルダー にしっかりとプレスに出れたファブリシオでしたが、若干緩い対応で中央を向かれてしまいました。そして、右WGの14番へラインを越えるパス。14番はスタートから幅を取るよりも内側に絞って槙野に影響を与えるポジショニングだったので、恐らく受ける前に槙野のマークを外して、このようにフリーになったのだと思います。槙野はついて行った方が良かったのかもしれません。映像に収まってないので判断しかねますが。
広大なスペースなので14番は素早く前を向きます。
そして……
▶︎左サイドの11番へ展開しました。こちらのWGの11番はスタートから幅を取っています。11番は即座にオスカルへバックパスして橋岡をサイドに引っ張ります。
▶︎オスカルにはエヴェルトンが対応しました。長澤はアンカーに対応していたので、戻りきれてないのは当然です。
で、この写真は、もう数えきれないほど見てきた一瞬です。つまり、ここでオスカルが右足で蹴りやすい方に置いてクロスを上げる…と。
誰もがそう思いますが、まさかまさかの…。
▶︎左足でクロスを上げました。95%は右足でクロスを上げるので、本当に「まさか」だと思います。対応していたエヴェルトンは勿論、ボックス内で構えていた選手たちも。
だからという訳ではないですが、アルナウトヴィッチがフリーになって決められても仕方ないビッグチャンスを作られました。
「まさか」をやってくる辺りが、やっぱりオスカルの本気というかこの試合に懸ける想いを感じました。そして、エヴェルトンの消しているコースを見て左足を選択したはずなので、相手を見ながら最適な選択をできている証拠だと思います。
アルナウトヴィッチクラスの選手が外してはいけませんね。
上海の最終ラインからのビルドアップに長澤がアンカーを消しに絞るなど対策を見せましたが、ファブリシオ、槙野の緩い対応で前を向かれたり、フリーな選手を作られたり、青木のなんとなく感の寄せもあり、ピッチ全体を使おうとする上海に好きなように前進されて、最後はお得意の形+「まさか」のプレーを加えられて明確なビッグチャンスを作られました。
では、映像で確認お願いします。
① #urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/DD469ny1Sn
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
次は8:45の上海のゴールキックからです。
▶︎GKから左CBに繋いでスタートしました。
▶︎左CBから左SB個人的イチオシのユーハイへ。
▶︎ユーハイは運べる時は運ぶ選手です。そういうのもイチオシな理由です。
先ずここまで振り返ると、これは上海の試合を沢山観てきた人間の特権ですが、上海が足元から繋いでくる時のスタートは99%GKから見て左側からスタートさせます。浦和はそこまで前からハメに行きたいように見えませんでしたが、興梠は右側に立たせるぐらいはしても良かったかなと個人的には思います。今回は興梠は左側の先頭に立っていましたね。
次に長澤です。長澤は誰かを背中で消しているので内側(ハーフスペース)を立ち位置に左CBに徐々にプレスに出ていると思いきや、上海の選手は誰も長澤の背中で立ち位置を取っている選手がいませんでした。
「だったら、ユーハイを消しながらプレスに出れる立ち位置を取っても良かったのでは?」と思います。
更に、上海のSBには長澤か橋岡が管理するのがシステム上想定されることですが、橋岡は幅を取るWGの11番にピン留めされています。なので、この時点でSBがフリーになれる材料が揃っています。
更に更に長澤の後ろでエヴェルトンも重なるスペースをカバーしていていたのも気になります。
このように様々な要因がありますが、結果としては足元から繋いだ相手のゴールキックを1つ目を繋がれたのを許容したとしても、2つ目も安易にフリーな選手に送られてしまったのは、ちょっと考えられないエラーかなと思います。
結果的にSBのユーハイが大きく運んでからアルナウトヴィッチへ背後へ抜けださせるスルーパスを送りましたが、大輔先生がその手前でクリアして事なきを得ました。
ゴールキックのエラーに関してはセレッソ戦のレビューでたっぷりと触れる予定です。重要なセットプレーですからね!
②#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/NME631nuu0
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
次は9:15です。
▶︎状況はゴールキックからではありませんが、同じくGKのスローイングから左CBに繋いだところからです。
▶︎橋岡は攻め上がった後の流れだったので、前からSBのユーハイを捕まえています。長澤は今回も徐々にプレスをかけていきます。
しかし……
▶︎長澤と橋岡のラインをぶった切って縦パスを送ります。
▶︎そこにはオスカルがいました。
ここまで振り返ると、長澤は誰を意識しながら徐々にプレスをかけているのかが今回も疑問です。で、今回も長澤とエヴェルトンのカバーするエリアは被りすぎているように思います。
上海目線で言うと、オスカルは流石の立ち位置だったと思います。で、オスカルが内側に効果的な立ち位置を取っても、そこまで届けられないのがこれまでの上海の最終ラインでしたが、左CBの5番はよくここを通す判断したなと驚きました。
▶︎素晴らしい位置で受けたオスカルは素早く前を向き、11番へ広げました。そこには岩波が対応しました。11番のトラップが乱れてすぐに岩波がクリアしました。
オスカルの武器を最大限に生かすなら、オスカルがパスを受けて前を向いた瞬間に11番は中央に向かって斜めにランニングして岩波を引っ張り出して、オスカルにサイドの前のスペースを作ってあげたりするともっと怖い攻撃ができたかもしれませんね。11番に岩波はついていかずにオスカルに出てきたら、11番にタイミングよくスルーパスを送って、反対サイドと合流して最終局面へ…という状況を作れば良かったと思います。
結果的に11番のトラップが大きくなりすぐに岩波にクリアされました。
ちなみに浦和は必ず片方のWBは最終ラインに残しておくことを原則としていました。なので、反対サイドも一応数的優位を保っています。この辺りも「リスクを冒さない」うちの一端だと思います。
③#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/Q16HbfGcBx
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
更に10:00です。
▶︎反対サイドから展開してパスを受けた右CBに対してファブリシオがプレスに出ます。外へ限定するような切り方と詰め方だったと思います。
なので……
▶︎SBにパスをしたので、関根が出てきました。タイミング的にも良い方だったと思います。
しかし……
▶︎ほぼ両利きのSB4番はダイレクトで前線へ送りました。
拡大するとこんな感じに…
▶︎14番が槙野を留めてその手前のスペースをアルナウトヴィッチに提供しました。これは中々高度なプレーだったと思います。
▶︎収めたアルナウトヴィッチはダイレクトで前線に送ってからすぐに次のアクションを開始して関根の先手を取った4番SBへ流し込むスルーパスを送りました。
▶︎そして、上海らしく早めのクロス。槙野が手前で何とかクリアしました。”上海らしく”なく工夫を加えてもう一つ深いところまで侵入してみても面白かったと思います。浦和は大輔先生が完全に釣り出されていたり崩れていたので。
では、映像で確認お願いします。
④#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/eF9Xwwnla4
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
15分付近で長澤とファブリシオのサイドがチェンジ。上海も11番と14番のWGをチェンジしました。
今度は16:45です。
▶︎上海の最終ラインのビルドアップ。右→左へ展開していきます。左CBがパスを受けたときに、その後を予測して右SHにポジションを移したファブリシオがアクションを起こします。
それは…
自分の背中にいるオスカルのマークの受け渡しです。
そして……
▶︎左SBのユーハイにパスが出た瞬間にモーレツなプレスをかけました。
▶︎ファブリシオの受け渡しを橋岡が担いました。
橋岡の動きを認知していたのか、最初から決めていたのかは読めませんが、ファブリシオに的確なプレスをかけられたユーハイは大きく蹴り込みました。
しかし……
▶︎ユーハイのロングパスは岩波の背後を取った14番に渡りました。
前述したように上海はWGをポジションチェンジしましたが、絞ったり張るところはサイド変わっても変えてなく、14番は中央に絞り、11番はサイドに張っています。
で、ユーハイは最終ラインで唯一質の高いキックを蹴れる選手なので、岩波と14番の状況を見て「送れる!」と思って狙って蹴ったことがなんとなく推測できました。
更に遠い、怖い方を見ることができている。
いやぁ〜素晴らしいですね〜ユーハイ選手!
ということで、前半序盤は上海の方が自分たちでボールを持ってプレーしようとする姿勢が見えました。
フッキが出場停止の為、チームでプレーしようとする心意気が伝わってきました。ボールを持つことを恐れずに誰かに依存することなく戦おうとする姿勢で中国籍選手たちは戦っていたと思います。なので、前半戦オスカルが大きく目立たなくてもチームとして効果的な作りをできていたと思います。
試合中は浦和目線で熱く熱くなってますけども、帰宅して再度映像で振り返ってみると、やっぱり26試合ほど今季の上海を見てきているので、そういう姿勢が中国籍選手から感じられたので、感動、心が震えるような気持ちになりました。
それでも、セレッソやマリノスや鳥栖や大分の方が戦術的に作り込まれているというか基準を作ってプレーできているチームなので、Jリーグファンにとっては、規律のあるチームと見なすことはできないのですが、今季最高のものを前半序盤の上海は披露したと思います。
浦和は前日コメントが全うなプランだったとしたら、失敗だと思いますが、恐らく表向きの見せかけコメントで、先ずは守備から試合に入ったので、ある程度ボールを保持されても良かったのだと思います。
でも、長澤選手の意図が読めない守備の立ち位置や緩い対応の連続で前述したようにこれだけ沢山の面白い効果的な前進をされたことは”結果0点”で済んだから良かったですが、もっと規律のあるチームだったら、軽々突かれていたと思います。鳥栖とか鳥栖とか鳥栖とか…。
長澤とファブリシオの左右のポジションはすぐに元に戻りました。
24分に駒井的な20番が負傷で15番と交代しました。15番はリーグ戦13試合、そのうち多くが途中出場、ACLもスタメンは2試合と決して序列の高い選手ではありませんが、アフメドフアウト、20番アウトの北京国安戦を思い出させるような連続負傷となり投入されました。結局、15番は印象的なプレーを残していないと思うので、そういう部分も浦和が味方につけましたね。
前半20分過ぎからは浦和の方が押し込む時間が続きます。しかし、ある程度守りの時間と上海は割り切っていたように見えましたし、浦和もサイドからなんとかしようという姿勢は見えましたが、人数をかけてボールホルダー中心を守る上海に明確な決定機までは作れず時間は推移していきました。
しかし、浦和が徐々に効果的な攻撃を見せ始めます。
先ずは33:15です。
上海は15番を投入してからか分かりませんが、途中から守備のやり方を変えました。
最初はIHを上げて4-4-2で攻撃的プレッシングをかけていましたが、途中からはそのままの4-3-3。
浦和の左右CBにはWGが見る形になり、浦和のボランチにIHを当てました。
このシーンでは上海の対応と4-3-3のデメリットを生かした前進がみられました。
▶︎橋岡スローインから岩波へ。
▶︎岩波から斜めのパスを送ります。
▶︎ファブリシオがアンカーの脇まで降りてきて受けました。右CBを釣り出しに成功しました。
▶︎シンプルにこちらもフリーな関根へ落として…
▶︎ファブリシオによって釣り出された右CBのスペースを興梠が突き、背後を取り、関根もタイミングよく送りましたが、惜しくもオフサイド。
でも、相手の対応や立ち位置を見て、変化をつけたファブリシオは流石だなぁと感じました。岩波もです。
更に34:25です。
▶︎アルナウトヴィッチの3度追いに回避の連続で西川へ下げました。
▶︎上海の管理の状況は先程図に記載した通りです。
•ボランチにはIH。
•左右CBにはWG。
▶︎西川は平面でも見えているところは見えていて、こう守ってきたら必ず空くWBの関根へ送りました。
そして…
▶︎関根はプレスバックに遭いましたが、アンカーの脇に立つファブリシオへパスが入りました。
▶︎ファブリシオはアンカーとSBにサンドされそうでしたが、フリーなエヴェルトンへ届けました。
「え?なんで、エヴェルトンはフリーなの?」となります。
▶︎少し戻って、この時点では管理通りオスカルが対応していました。
しかし……
▶︎西川→関根へのロングパスが入った途端にボールホルダーへギュッと寄ってきました。しかし、寄ったのも虚しく関根→ファブリシオ→エヴェルトンと綺麗に外されてしまったので、エヴェルトンはフリーとなりました。
▶︎そして、エヴェルトンは更にフリーな橋岡へ広げました。
最後は長澤の枠内のシュートを中国代表GKである1番がビッグセーブで防ぎました。
全体が間延びしたことをいいことにアンカー周辺に空間を作り出して、そこを突いてから、フリーな選手へと次々に繋がって、明確な決定機を作りました。
「明確な決定機には必ずその手前に大きな要因がある!」と言わんばかりの超効果的な前進を見せました。
この2つのシーンに両方絡んでいるのはファブリシオ。ファブリシオがこの試合好感を持たれた理由が良く分かりますね!
では、2本続けて映像を見て頂きたいと思います。
脇。#urawareds #浦ビュー pic.twitter.com/t7dHThClig
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
(実は27分ごろに大輔先生からの縦パスで興梠が気持ちよくアンカーの脇で受けたシーンがありました。今回は割愛しましたが、その辺りから流れは来ていたと思います。)
そして、歓喜の瞬間が37:50から訪れます!
浦和の右からのスローインを受けた岩波が低い位置に降りていた反対サイドの関根へサイドチェンジ。関根へは右WGの11番が対応しますが、前進させることを規制することはなくズルズルズルズル関根は前に運べました。結果、前に運ばせすぎたのですが、上海の守備はこういうところがあります。
運ぶドリブルにはズルズル。
かわすドリブルには足で。が多いです。
関根に対して安易に飛び込めなかったから、ズルズル行かれてしまったのが最も11番の心境に近いと思いますが、深くまで運べた関根は角度を変えてクロス。それを誘い出してスペースを創出してマークを外した興梠様が合わせてゴール。
右SB周辺で飛びついてくるような浦和の選手も見受けられなかったので、関根に対して2vs1で挟み込めるだけの余裕があったと思うので、ボールホルダー に1vs1の状況を作らせなければ良かったかもしれませんね。これまでの37分間はできていましたし。
あとは、関根に対応したのがWGの11番。FWをやったり、中盤もやったりする器用な選手ですが、基本的には守備が上手な選手ではありません。でも、システム上WBには11番が行かないといけないことが多く、関根の巧みさを存分に褒めますが、若干軽かったかなと思いました。20数分頃にも青木がオフサイドになったものの背後を抜け出したシーンの対応も11番の守備からでしたし。まぁ、得点シーンなので色々な視点から話せますが、関根が間髪入れずに思い切ってクロスを上げたことが素晴らしいということですね。興梠様に関してはもう言えません。。。
徐々に流れを掴みかけていた中で先制点を決めました。
ゴール#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/1KWxjHCt3g
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
上海は先制されてすぐに非ボール保持時の対応を4-4-2に戻したと思います。オスカルとアルナウトヴィッチの2枚で前へ前へ出していたと思います。失点には直接影響はしませんでしたが、アンカーの脇を突かれていたことは明白だったのですぐに切り替えたのでしょう。
先制点後は引かずに更に前への圧力を強めて前半序盤より比べ物にならないぐらい「前へ前へ」の意識で数回チャンスを作りましたが得点には至らず。
前半を1-0で折り返しました。
〜後半戦〜
明確に2点を取らなければいけないと勝ち上がれないペレイラ監督はシステムを変更しました。
ボール保持時は3-4-2-1で、非ボール保持時はWBを早めに撤退させる5-4-1にしました(左WBに11番)。
無闇に前に出て2失点目を失うと万事休すなので、システムを最も信頼している形に戻して、守る時は守るというスタンスで勝負に出ました。
上海は最終ラインが3枚のビルドアップスタートになったので、興梠長澤ファブリシオがそのまま3人でハメればいいのでハメやすく45:55は早速上海が最終ラインのビルドアップからあわや大ピンチのエラーを起こしました。
しかし、後半序盤戦は浦和がボールを保持して上海自陣でのプレー時間が長くなりました。
それは恐らく浦和相手に最もやってはいけない早々に撤退してブロックを敷くことを上海がやってしまったからだと思います。岩波と槙野には広大な時間とスペースが与えられて、青木、エヴェルトンがサポート役に回って規制のかからない状況で余裕を持ってボールを回せました。
更に上海もいつも通りの上海に戻ってきてカオスな感じになり、連続した連動も前半より減り、フリーな岩波や大輔先生たちから良いパスが入りました。
押し込む回数を増やしましたが、浦和は得点を挙げきることができませんでした。後半のチャンスシーンと前半のファブリシオが絡んだチャンスシーンは種類の違うチャンスシーンだと言う認識が良いかもしれませんね。私は前半の前からハメにきた相手を外して作り出したチャンスシーンの方が好きですが、相手のプレスのかけ方や強度を比べても後半の方が難易度は低かったと思います。どっちにしろ得点シーンにはなっていないので、残念なんですけども。
という感じで、焦れている間に浦和の連携ミスをオスカルが突き、一気にドリブルで運んで押し下げることに成功しました。
そこから得た右のスローインからオスカルがクロスを上げて1度目は遭わなかったものの、今度は反対サイドからあのユーハイがクロスを上げて4番のワンシェンチャオが決めました。
プレビューを読んで頂いた方は「うぁ〜やっぱりこれか〜」という得点だったと思います。大外ではありませんが「斜め45度からのクロス」からのゴールとなりました。
防ぐことは中々難しかったと思います。
1度目のクロスは未だしも2つ目のクロス対応だったので。
アルナウトヴィッチに岩波と大輔先生の2人で管理していることも理解できますし、槙野も14番を管理していました。唯一はユーハイがクロスを上げるチョット前まで後にゴールを決める4番に青木が最も近かったですが、6番の選手がボックス手前にいたので、ボランチの心境としてはそっちに釣られるのは当然だと思いますが、「上海って何を1番してくるかな?」ということを理解していたらボックス内を先ずは確認して、自分の斜め後ろにフリーになりそうな4番がいることを認知してマークできていれば良かったとは思います。しかし、まぁこんなことを瞬時に判断することは難しいですから何とも言えません。関根は1度目のクロスを上げさせないように奮闘していた選手ですから、最後よくあそこまで絞ってきたなということで責めることはできません(下図参考)。
1度目のクロスがダメでもすぐに切り替えて2度目のクロスを上げる選手に対して、横、手前、奥といるべきところに素早くポジションを取れた上海が一枚上手というゴールでしたね!
ユーハイも安易にアルナウトヴィッチではなく、よく奥のフリーな選手を選択しましたね!
非常に嫌な時間帯に上海が1-1にしました。
では、映像で確認お願いします。
https://twitter.com/ura_view17/status/1174424709934415872?s=21
1-1キックオフ直後に橋岡が強烈なシュートを見せるなど興梠が以前コメントしていた「守りに入ると浦和は勝てない」を体現する攻めな姿勢を見せて流れを再度浦和のものにしました。
65分に6番に代えて2番を投入。前への推進力がある左WBを投入してペレイラ監督は前への圧力をかけようとしました。左WBだった11番は中盤にコンバートされました。
その後は明らかに中盤の運動量が落ちた上海は非ボール保持時の守備を放棄する場面も増えて浦和がボックス内でシュートを打つシーンも出てきました。
興梠様の背後への抜け出しからのシュート、抜け出せないなら冷静に収めて上海を押し下げる時間を作ると本当に興梠様が最前線で最高の輝きを放っていました。
では、後半の興梠様の映像をまとめてみてみたいと思います。
歴史。#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/12jk8iL2IP
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
上海は72分に5番に代えて右WBの23番を投入。それまで右WBだった2番を右CBに起用しました。浦和に置き換えると山中が投入されるから宇賀神が左CBにコンバートされるような感じです。
それに伴い3-5-2に変更しました。
アルナウトヴィッチと14番が2トップを組んだように見えました。非ボール保持になると14番は後ろに下がりプレスバックに奮闘するなどいつもは序列が低いのにボロボロなチーム事情により、仕事量が多くなりました。
77分にはエヴェルトンに代えて柴戸を投入しました。柴戸の身振りを見ると「3!」としていたので、5-3-2に変更して上海の変更に併せてミラーゲームにするのかなと見えましたが、ファブリシオは特に変わらずのポジションだったので、実際のところは分からないです。
最後はオスカルが最終ラインに降りたり、サイドに流れたりとお得意の時間とスペースを与えられたところから受けることをして、80:00に最も頼りにしている大外からのクロスを強引に繰り出しますが、合わず。
〜大槻監督の大勝負、そして…〜
82分に関根に代えて阿部ちゃんを投入します。
阿部ちゃんを投入したら、もう守りきるシフトに移行することは試合前から決まっていたそうです。
阿部ちゃんが投入されるなら、ボランチかシャドーと変えるでしょうと誰もが思ったはずです。
しかし、大槻監督の交代はなんと関根。
そして、大勝負の柴戸を左WB。
過去にWB経験あったと思いますが凄い采配だなぁと思いました。
恐らく、大外斜め45度からのクロスをはじめとするボックス内に放り込んでくることを想定して、大外を上背の低い関根ではなく、180cmとまぁ戦えそうな上背の柴戸を大外に構えさせたかったのでしょう。
それと阿部ちゃんを投入する=守りきるシフトへの移行というメッセージを送り込むのは今!というタイミングが来たので、関根→宇賀神の交代を辞めて、関根→阿部ちゃんの交代に代えたのだと推測します。
大勝負に出た大槻監督でしたが、84分に浦和から見て右サイドから上海がクロスを上げてきたときに、11番が柴戸に影響を与えて中央に絞った動きに柴戸も釣られてしまい、大外の23番を一瞬だけフリーにしてしまい、まさかのピンチを迎えましたがCKに逃れました。
確実に11番は23番をフリーする為のランニングでしたし、ちょっと怖すぎました。でも、最後の最後で守れればいいや!精神で柴戸もすぐに切り替えてCKに逃げれたので良いことにしておきます。
では、本日最後の映像です。
https://twitter.com/ura_view17/status/1174425378665840640?s=21
85分に何故か2戦連続スタメン外の武藤がファブリシオに代わって投入されました。
最後は特に危ないシーンを作られることはありませんでしが、時間はとてもとてもとても長く感じました。
そして、試合終了。
浦和レッズが準決勝に進出しました。
~ありがとう ユーハイ~
この2ヶ月半個人的に楽しませてもらったユーハイ。浦和が次のラウンドに進めたから呑気にお別れできますが、本当にグッドプレーヤーでした。
Yu Hai!#urawareds#浦ビュー pic.twitter.com/gDOquX4Xnx
— 浦ビュー (@ura_view17) 2019年9月18日
〜総括〜
ペレイラ監督が試合後のインタビューで
「前半の20分のうちはすごくいいプレスをかけられて、もともと戦略を練った通りにプレーが進んだのですごくよかったんですけど、試合が進むにつれて相手のペースに飲まれていって、相手がどんどん押し込んでくる形になりました。」とコメントしました。
ペレイラ監督のコメントは今、全部作り終わった後が初見なのですが、前半20分という表現も概ね言及した通りになっていると思うので、私的には良かったかなぁと。
更には20分以降、浦和ペースになった理由を
•20番の負傷交代
•浦和が上手くギャップを突いてきた
•興梠が素晴らしかった
というような旨をコメントしています。
負傷交代は仕方ないとして、浦和が上手くギャップを突いてきたのはファブリシオがアンカーの脇を突いた事かなと思います。興梠が素晴らしいのは皆んな知っています。
ハーフタイムに修正した事も述べましたし、1-1になった後に私は今回述べませんでしたが、セットプレーで浦和の自信を奪うことができて、最後まで1つになって戦うことはできていたとコメントしています。
これほど沢山話してくれて、作る前に読んでおけばもっと良い作品になったと若干後悔していますが、とても分かりやすく試合を分析してくれて本当のプロフェッショナルを感じます。
浦和の内容もペレイラ監督が話した通りだったと思います。
しかし、西川のコメントを見ると…
どのような意識で試合に入ったのかという質問に対して…
「監督からもとにかく前に行くぞ!と15分相手に隙を与えずに力強く前に行くぞと指示があって、それをうまく自分たちの中で意思統一して、今日はできたのではないかなと思います。」とコメントしています。
まぁ、結果ね、結果、最初の15〜20分を1失点も与えていないけど、「前に行くぞ!」で前に行けていたかというと前には行けてなかったと思います。
「点は取られないぞ!」の視点ならパーフェクトですが、「前に行くぞ!」の視点なら「う〜ん」という感じです。
ボールを持ったら、とりあえず「橋岡!」「背後!」ということが「前に行くぞ!」だとしたら、橋岡や背後を狙うことはしていましたが、そこから何かしたかといえば特にはなかったと思いますので。
更には前からハメられずに明確な決定機をアルナウトヴィッチに作られているので。
で、今回は西川のコメントをピックアップしましたが、概ねみんな同じコメントしています。
「前半序盤戦論争」は私のレビューでは、ペレイラ監督のコメントの方が近かったのかなという感じになりました。まぁ、サッカーの見方は様々なので正解不正解はないと思うのでどっちでも良いのですが、読んで頂いように前半序盤戦を「浦和が良くできていた」風には書いてないので、今回は浦和の選手とは相違だったなぁというだけのことです。
20分以降は浦和が押し込めた事は同意見ですし、上海が守備のやり方を変えてきたのを見事にファブリシオを中心に突けていた流れのままに先制点を奪えたので、「しっかりと守って先手を取れた」という前半の総括でもいいのかな!いいのかな?
後半は最もやってはいけないことを浦和にやってしまった上海でしたが、浦和が決められないうちに同点に追いついてしまったのは流石だなと。でも、最後を抑え切れたのは、ACLの経験値が高い選手が揃っているから乗り切れたという考えもありますが、柴戸の大勝負や阿部ちゃんの投入がプランとして用意されていたり、大槻監督の采配によるところを今回は大いに評価してあげて欲しいかなという想いです。
まぁ、でもこの試合を乗り切れたかといって鳥栖戦に勝つ確率が上がったかといえば180度別問題の話で、本当に鳥栖は規律のあるチームで、ちゃんとしているチームなので、大槻監督には再度ちゃんとしたものを作って頂かないという想いはあります。
いつものレビューを手抜きにしているわけではありませんが、今回は真面目に作りました。恐らく普段読まない方も読んでくれそうな試合になったので。
準決勝は広州恒大に決まりましたね!
またACLらしい作品を作りたいと思います。読んで頂けると嬉しいです。
後回しにしていたセレッソ戦のレビューは近日中にアップします。過去にないほどロングロングな作品ですが、多分良い作品になります。そちらも読んで欲しいです。
•さいごに
鹿島戦のレビューより投げ銭システムを採用しています。完全無料公開した最後に全てに100円をつけさせて頂いてます。今回の作品が面白いと思って頂いた方は是非前のめりに! 完全無料公開して最後に100円をつけている理由は下記の記事で30秒で読めます。
今回も読んで頂きありがとうございました。
面白ければリツイート等々で拡散、宣伝して頂けると嬉しいです。感想もお待ちしております。
浦ビュー
初めて浦和レッズを見た方にも読みやすく分かりやすい内容にしつつ、長く浦和レッズを応援して頂いてる方にも満足して頂ける内容を目標に2019年より浦和レッズの公式戦のプレビューとレビューをTwitter上でスタート。
Twitter:@ura_view17
1 匿名の浦和サポ(IP:126.245.222.72 )
鈴木が真ん中に入る事で3バックもコミュニケーション取りやすそうだった。
マウリも対人強いし好きだけど
バランス取るためにも鈴木を使ってほしいな〜
2019年09月19日 08:49
2 匿名の浦和サポ(IP:111.89.72.118 )
ためになる分析だと思うのですが、自分の理解力がないせいか、頭に入りません。皆さんはどうやって理解されていますか?最初の布陣をノートに書き、それで確認しながら、とか。
2019年09月20日 05:14
2.1 匿名の浦和サポ(IP:49.239.64.123 )
コメントが少ないと言うのがつまりそういう事なのだ。
2019年09月20日 08:48
3 匿名の浦和サポ(IP:27.94.49.152 )
これは分析ではなく、ウンチクだ。自分のサッカー部時代の監督は分かりやすく指導してくれました。
2019年09月22日 00:52
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