サッカーライター郡司聡さんが浦和レッズと対戦した選手たちへの取材をもとに「対戦相手から見た浦和レッズとは?」をテーマにした原稿を浦議で連載していただくことになりました!
▼反町監督の想定外だった浦和の攻め
今村義朗主審によるコイントスが終わると、キックオフを控えた選手たちが左から右、右から左へと移動していく。試合前、ゲームキャプテンに指名された守護神の守田達弥は、コイントスの結果、エンドを選択する権利を得た場合、入れ替えるように反町康治監督から指示されていたという。
「その意図は監督に聞いてください」
指揮官の真意を伝えられていないという守田は明言を避けたが、すでに試合前から、松本山雅FCの指揮官は、少しでもチームが精神的な面で相手よりも優位に立てるように、工夫を施した。
「この独特な埼スタの雰囲気の中、浦和のサポーターからブーイングを浴びることもあるだろうけど、逆にそれをわれわれのエネルギーに変えて戦っていこう!」
試合前、そう言って松本の指揮官は、選手たちを送り出したという。
いざ試合が始まると、反町監督は「どう変わったか。それはちょっと言えない」と触れた上で、「あれ?こんな感じなんだ」と浦和の出方に対して、面を食らったと試合後の会見で正直に吐露した。
松本戦の浦和レッズは、ダブルボランチの一角に阿部勇樹が入っていた効果もあったのだろう。ビルドアップの際、左右のCBである槙野智章と橋岡大樹がワイドの高い位置を取り、阿部が最終ラインまで降りて、3バック中央の森脇良太とともに“4枚回し”を敢行。両ウイングバックも高い位置に張り出し、1トップ2シャドーとともに“5トップ”のような形となるため、中盤には柴戸海一人が布陣する陣形が敷かれた。浦和で一時代を築いた“ミシャ式”として、お馴染みの光景だが、敵将にとっては、「中盤に大きなスペースがある」(反町監督)状況に見えた。
可変システムによるビルドアップを採用した浦和は19分、サイドで数的優位を築ける“アドバンテージ”を生かし、森脇の縦パスを宇賀神友弥がフリック。右サイドを駆け上がった橋岡がグラウンダーで折り返すと、ファブリシオが冷静に右足シュートを沈めて、浦和が先手を奪った。
▼町田投入で流れは松本へ
リーグ戦で浦和相手に勝ったことがない松本にとって、早い時間帯に先制点を献上することは痛恨だった。それでも、25分のピンチを守田のファインセーブでしのぐと、松本の選手たちはこれ以上追加点を食らわなければ、十分にチャンスがあると踏んでいた。守護神の守田はこう言った。
「浦和は絶対に足が止まってくると思っていたし、自分たちのほうが走れる。さらに失点をせずに我慢して戦えば、必ず流れが来るかなと思っていた」
テクニカルエリアで戦況を見つめながら采配を振るった反町監督も、0-1のまま、時計の針が推移すれば十分に勝算があると思っていた。思い描いたプランは、後半20分に町田也真人を投入し、システムを[3-4-2-1]から[3-5-2]にスイッチして、中盤の広大なスペースを突くこと。前線を2トップにして、相手の最終ラインを牽制しつつ、アンカーであるパウリーニョの前にポジションを取ったセルジーニョと町田の2枚が、「ボランチと最終ラインのスペースをうまくコントロールする」(反町監督)ことを狙っていた。
一方で、64分に大事をとってピッチを退いた浦和のキャプテン・柏木陽介は、敵将が攻めに出るための“スイッチ”として目論んでいた65分以降という時間帯について、こう捉えていた。
「外からチームを見ていて、特に勝っている状況ではあの時間帯から落ちてくる。だから大槻さんとしても、もう少し、あと10分ぐらいは僕に出てほしかったと思います」
キャプテンが指摘する“魔の時間帯”に突入した浦和は、まんまと敵の術中にハマっていく。
65分、藤田息吹に代わって投入された町田は、「間が空いているので、そこで持ち味を出してほしい」(反町監督)との指示を受け、中盤の空いたスペースでボールを引き出し、「パスを出して動いてを繰り返しながら」チームのリズムを構築していく。こうして迎えた75分、中盤のスペースでボールを運んだ町田は「もう少しゴールに向かって仕掛けていきたかった」自らの思いを封印し、「(高橋)諒に最後の仕事をさせてほうがいい」と判断。高橋へのパスを選択し、高橋がゴール前の阪野豊史に対して、“ピンポイントクロス”を供給すると、阪野が森脇との空中戦を制して、まずは同点に追いついた。
そして83分、右サイドでのスローインに対して、“アラート不足”だった浦和の隙を突き、町田が永井へ展開。最後は永井のクロスを高橋がダイレクトボレーで沈めて松本が逆転に成功している。
表示された後半のアディショナルタイムは5分。目論見どおり、試合を進められた反町監督は、試合終了が近づくにつれて、テクニカルエリアを左右に行ったり来たりしながら落ち着かない様子を見せていた。しかし、勝利を告げるホイッスルが鳴ると、意外にも冷静に勝利の味を噛み締めた。
「たぶん、浦和さんはACLを見据えてメンバーを少し代えてきたので、最後の時間帯を含めてラッキーだった部分はあると思います。決してわれわれが良かったわけではなく、向こうが少しゲームフィーリングなどで落ちたところを、われわれが突くことができたというだけです。われわれが特別、スーパーなことをしたわけではないというふうには思っています」
試合後の会見で敵将は遠慮がちにそう語ったが、試合前の時点から、元五輪代表監督は少しでも勝利の可能性を高めるためのプランを練り、いざ試合が始まれば、戦況に応じた用兵を駆使して見事に勝ち切った。
なお、前述の「あれ?こんな感じなんだ」と、反町監督が面を食らった浦和の出方には「良くも悪くも」という注釈がついている。敵将を惑わせた浦和の出方は、先制点奪取までが限界であり、中盤に広大なスペースがあるという隙が生まれていた段階で、敵将の眼には、勝利への道筋が見えていたに等しい。
蹴球界のマルチロール・郡司聡
編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクションを経て、2007年にサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部に勤務。その後、2014年夏にフリーランスに転身。現在は浦和レッズ、FC町田ゼルビアを定点観測しながら、編集業・ライター業に従事している。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド・刊)。
1 匿名の浦和サポ(IP:49.98.149.111 )
走れないミシャサッカーと
決めきれないミシャサッカーは
完全に下に見られたものです
2019年08月27日 12:45
2 匿名の浦和サポ(IP:126.245.141.241 )
ミシャが浦和を立て直したのは事実
でも今の落ち込みもミシャサッカーに半端に頼りすぎたが故の反動
もっと優勝できるチームになるためにも、この苦しい時期を乗り越え、ミシャサッカーから抜け出してほしい
2019年08月27日 13:12
2.1 匿名の浦和サポ(IP:114.166.3.149 )
ミシャがいなくてもミシャサッカーができると思い込んだのが間違い。ミシャサッカーのノウハウの核はたぶん、ミシャが誰にも明かさないと思う。それを形だけマネできると思い込んでしまって首切ったのが間違い。
それと、優勝一歩手前でpkでやられたことがあった。これは運が悪いだけだった。それから負けが込んで大騒ぎしてバス取り囲んだのも大きな間違い。なんやかんやいっても、結果見れば、今サッポコは浦和より上位にいる。これはまぎれもない事実。メンバー全員換えても勝てる戦術を持っている証拠。それにくらべ間違った判断をした浦和は今、残留争いにいる。
2019年08月27日 16:47
2.2 匿名の浦和サポ(IP:126.245.141.241 )
優勝できない監督はいらない
確かに札幌は浦和よりも上位にいるし、今後もそこそこ安定した成績を出し続けると思う
でもミシャが優勝できないのは、偶然でもなんでもなく必然。勝ちが近づけば近づくほど、(そんなサッカーをしてきていないのに)確実さを求めて失敗する
いつもこの繰り返し
現に札幌は去年も最後の最後でACLの出場枠から外れたし、広島時代も優勝できなかった
むしろ浦和で1冠を獲ったことのほうが、ただ運が良かった事のように思える。あれもPKだったし
2019年08月27日 17:35
3 匿名の浦和サポ(IP:218.223.145.76 )
途中で2トップにして攻勢に出てくるのは試合前から読めていたのに、敵将の動きに対しこちらの動きが遅すぎた。タッチラインで交代投入を待つ青木の目の前で、阪野に同点ゴールを決められてしまった。交代カードはまだ2枚残っていたので、柏木のアクシデント云々は言い訳にすぎない。
2019年08月27日 13:21
4 匿名の浦和サポ(IP:116.91.195.240 )
やっぱり走れないサッカーは現代では通用しない。
どの監督にも浦和は後半足が止まるって言われる。これってかなり屈辱的だし、ただただ恥ずかしいよ。
ミシャサッカーの攻撃部分だけは無くさないでほしい。
積極的な仕掛けに運動量が加わるとマンCに似たサッカーになる。
良いサッカーになるよ。
ミシャサッカーのダメな部分は足が止まることだと思う。
そうなるとただの地蔵が5レーンの頭を占めるだけの閉塞感に満ちた状態になる。
何度も上下に相手のDFとMFの隙間、DFの裏を狙い続ける仕掛けがあると良いサッカーになる。
2019年08月27日 13:29
5 匿名の浦和サポ(IP:126.245.198.77 )
もう柏木のコメント全部まじで癪に触るわ
2019年08月27日 14:07
5.1 匿名の浦和サポ(IP:36.12.54.69 )
自分で責任放棄してバツ出して下がっておいて、俺がいないと駄目だな、みたいな顔してるしね
2019年08月27日 19:24
6 匿名の浦和サポ(IP:49.98.161.131 )
2014年の優勝逃した時点でミシャを切らなかったツケがずっと残ってるかなと思います。優勝出来ない監督を5年も残す意味はない。2017年のオジェックも然り。中々難しい決断とは思いますけど。
大槻監督は類稀な才能がある方だと思うので、監督を降ろすとしても絶対にコーチで残すべき。それには実績抜群の圧倒的な監督を連れてくる。設備投資が出来たわけだから、そこに大金をつぎ込んで欲しい。
2019年08月27日 14:58
7 匿名の浦和サポ(IP:49.98.161.131 )
2007年の間違いです。
2019年08月27日 14:59
8 匿名の浦和サポ(IP:106.132.175.106 )
来年曹貴裁を監督にむかえ入れよう
2019年08月27日 15:12
8.1 匿名の浦和サポ(IP:126.247.132.190 )
今の浦和に足りないのは、厳しい練習と、90分走りきれる若手の登用だと思う。
その2つを両立できるのはチョウさんだけ。
今の腑抜けたメンタルのベテランには、パワハラくらいが丁度いいよ。チョウさん監督に賛成。
大槻さんは分析コーチでチームに残ってもらいたい。
2019年08月27日 17:06
9 匿名の浦和サポ(IP:106.132.175.106 )
ニュースを見て頭に北半球
青島健太が埼スタを多目的競技場にしろとヌケヌケといい
しかもその主張を大宮でやってやがった
落選&一秒当時なくてよかったぜ
2019年08月27日 15:14
9.1 匿名の浦和サポ(IP:1.66.103.230 )
所詮野球人だからね…
2019年08月27日 17:41
10 匿名の浦和サポ(IP:203.160.71.43 )
柏木が居た時間は柏木が活きてると思った。
やっぱり浦和に必要な選手だよ。頑張って欲しい。
2019年08月27日 16:00
11 匿名の浦和サポ(IP:1.75.214.36 )
柏木に関しては色々あると思うが、今の状態ではルヴァンと天皇杯で調整して頂きたい。コンディションが完全に戻るまでは迷惑かけないでほしい。
2019年08月27日 17:46
12 匿名の浦和サポ(IP:39.111.81.223 )
森脇をシャドーで見たい‼化けるかも。
2019年08月27日 19:13
13 匿名の浦和サポ(IP:126.245.72.96 )
ミシャサッカーってそんな簡単に出来るものじゃないと思うよ。5トップなんてリスクのある戦い方で一時期のように最少失点達成なんて普通出来ない。余程押し込んでボール奪取を素早くしないと無理でしょ。
2019年08月27日 19:32
14 匿名の浦和サポ(IP:111.102.186.1 )
ミシャサッカー、ハマれば爽快で本当に面白かった。
一時期みたいに3バックが上がりすぎず、ダブルボランチは中盤に構えて、前のトライアングルとワイドのコンビネーションで点が取れてバランスよく戦えていたところをベースにできればと良かった。
より攻撃的にシフトしてバランスを崩していったのが残念。
ミシャの欠点は修正できないところと、選手が固定されてしまうところ。
2019年08月27日 21:31
15 匿名の浦和サポ(IP:126.159.204.195 )
ミシャサッカーは、ミシャしかできない。
広島だって、森保は守備は可変3バックでなく、オーソドックスな3バックにした。
また、タイトルはないが、良いサッカーではある。
だからこそ、ミシャ後をきっちり考えておかないとならんかったんだがね。
森保の器ではない堀、浦和を見ていない織部、ユースから引き上げた大槻。どれも後手すぎる。
2019年08月28日 07:24
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