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浦議ニュース09/10   9:47 PM

『堀カラーが濃さを増した柏戦 今後は対応力や柔軟性が焦点に』Jリーグ浦和vs柏【轡田哲朗のレッズレビュー】

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▼マイボール時の形で守ろうというシステム
浦和レッズが柏レイソルに1-2で敗れた9日の試合前、スタメン発表がされるとプレスルームはどんな並びになるのかと、かなりの話題になった。というのも、堀孝史監督に体制が変更されて以降、基本的に試合前の2日間は非公開練習になっている。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の指揮下で4バックに取り組んだゲームや、普通なら多少のサプライズ感があるメンバー起用をされた際も、直前のトレーニングがオープンであったために全くの予想外になることは少なかった。要は、それだけ読みづらかったということであり、対戦相手の柏からしても事前の報道が全くないこともあって、メンバー表を見た時に正確な布陣は掴めなかっただろう。

この日のシステムは、4列表記を試みるなら4-1-4-1が良いだろうか。人によって4-1-2-3と捉える人も、4-1-5と考える人も、4-3-3と見る人もいるのではないかと思うが、私自身はそこの細かいシステム表記の差異にこだわりがない。大まかにそのような選手の配置であったが、これまでに"4枚回し"と呼ばれたボランチの阿部勇樹をマイボール時に最終ラインに降ろす形のまま相手ボール時もプレーしようという流れだ。武藤雄樹も「それほど新しいことにチャレンジしたという感覚はない」と捉えていた。攻撃時の形に変化がない以上、システム変更の狙いは相手ボール時の機能性にあると考えるのが自然だ。

配置の中での大きなサプライズが、ラファエル・シルバの右アウトサイドでの起用だったのではないだろうか。特に前半、彼の位置では少し興味深い現象があった。

シルバは対面する相手サイドバックのユン・ソギョンが遅攻で上がってこない限りは、それほど守備に積極的に参加していないように見えた。結果的に、柏からすればサイドバックを上げれば数的優位でチャンスを作りやすい反面、そこで失えばシルバのところからカウンターを受けるという二択が迫られる形になっていた。海の向こうではレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドや、バルセロナのメッシがサイドに張り出してプレーする時に、同じような選択が相手に付きつけられることがある。その結果、柏は左サイドバックに高い位置を取らせる場面が少なく、結果的にシルバは守備に参加しないことで守備をするという現象が生まれていた。これもまた、サッカーの面白さの一つだ。

その一方で、柏の前線の選手がシルバの裏側に流れた時には、武藤がサイドに流れてカバーするという状態が多かった。武藤と矢島慎也には、相手の最終ラインにボールがある際には興梠と逆のセンターバックにプレスをかけるために飛び出すというタスクもあった。アンカーの青木拓矢や阿部勇樹など、強く負担の掛かる選手がハッキリと生まれた面もある。サッカーにおいて11人が均等に負担を配分できるというのはあり得ないが、それが極端なのはバランスの悪さと表現される。阿部も「後半はスペースが空いてきてしまった」という言葉を残しているだけに、改善点があるのは事実だ。

▼相手への柔軟性や対応を重視するのが"堀カラー"の一つ
前任のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、基本的に自分たちの形を強く確立させるタイプで、ゲームを支配することで相手を自分たちに合わせさせる、あるいは相手の対策を上回るだけのクオリティーを作り上げることに主眼を置くタイプの指揮官だった。それに比べると、堀監督は相手のシステムや戦術に対応する要素をチームの中に増やそうとしていることが見えてきている。

今回も6月4日の前回対戦でかなり振り回されたことが念頭にあり、「前回のレイソル戦はつなげなかったですし、その反省を生かした面はあると思う。守備は守りやすく整理されたと感じます。試合前の確認で、相手のやり方やシステムを見ながら自分たちが柔軟に対応する準備をしているので、それはハッキリしていると思う。GKから見ても、守りやすくなっているとは感じますね」と、西川周作も話した。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督ほど極端ではないにしても、そうした柔軟性や対応力をチームに加えようとしているのが一つの"堀カラー"だと言えるだろう。

その上で、この試合を単体で見れば両ゴール前での勝負強さに欠けるという課題が最終的なスコアに反映された面が強い。ゲームを支配することや、優位に運ぶための戦術や戦略も、最終的にそれを得点と失点で表現しなければ試合には勝利できない。それは、堀監督になる前からの課題として横たわり続けている。

いずれにせよ、今季の開幕前のオフはペトロヴィッチ監督の指揮下で過ごしていただけに、堀監督が本当に求める選手構成になっていないのは事実だろう。その一方で、ペトロヴィッチ体制と同じことをするのが目的ならば、監督交代の意味はない。そこのアンバランスさとも戦わなければいけないのが、シーズン途中での監督交代で就任した指揮官の宿命だ。配置やコンセプトを取るか、選手構成に合わせたものを取るか、それも含めて難しい状況なのは現実だろう。

堀監督の指揮下で柔軟性や対応力といった戦術的な要素を増やすことは、ほぼ1つのシステムでマイナーチェンジを繰り返してきたペトロヴィッチ監督時代を長く経験した選手たちにとって簡単なことではないはずだ。しかし、来季に堀監督が継続するにせよ、違う決断がされるにせよ、そうしたものを選手たちが身に着ける環境にあるのはポジティブなことが多いだろう。リーグ戦での優勝や3位以内(ACL圏内)が現実味を失ってきている中、そうしたチャレンジやトライを続けるのは悪くないことではないだろうか。

※関連リンク
次が出場停止だからこそ 武藤雄樹でなければ成り立たなかったポジション【轡田哲朗レッズレビュー/明治安田生命Jリーグ第25節柏戦】(浦レポ)


轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。

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