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浦議ニュース2017 03/20  10:41

『相手の良さを消す戦術を導入したペトロヴィッチ監督 遠藤保仁対策と攻撃力低下の功罪』JリーグG大阪vs浦和【轡田哲朗のレッズレビュー】

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▼「相手がどうこうというのは今までなかった」(槙野)
槙野智章は「ペトロヴィッチ監督と長く仕事をしてきていますけど・・・」と、選手たちにとってもやや"サプライズ"な戦術だったことを語った。3月19日にガンバ大阪と1-1で引き分けたゲームでは、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督には珍しく相手のストロングポイントを消す戦術で臨んでいた。

ガンバ大阪は、今季から3バックシステムを導入している。そのキープレーヤーになるのは、アンカーの位置に構える遠藤保仁だ。ビルドアップのキーマンとして彼が構えることで、3バックでありながら後ろに重くなることなく全体を前に進めていくサッカーを実現している。

そこに対し、ペトロヴィッチ監督は柏木陽介を"見張り番"としてぶつけた。2シャドーの一角や1トップが守備時にズレるのではなく、2トップの下に構えるトップ下とアンカーの関係でマッチアップさせた。

「ヤットさん(遠藤保仁)にボールを持たせることがチームとしては一番危険だと。今日はほとんどボールを触らせなかったと思う」(柏木)

「相手がどうこうというのは今までなかった。今まで、自分たちがどうこうと考えていた監督が、今日は相手の良さを消すために2トップにして、後ろも3バックでの回しにしてと、相手の良さを消す策を練った」(槙野)

▼ユベントスが導入していたシステムに近いガンバ大阪
ガンバの3-1-4-2と表記されるシステムは、現在イングランド・プレミアリーグのチェルシーで指揮を執っているアントニオ・コンテ監督が、イタリア・セリエAのユベントスを率いていた当時に多用していたシステムだ。遠藤保仁のポジションを務めていたのは、イタリア代表でもプレーメーカーとして活躍していたアンドレア・ピルロだった。「ピルロ・システム」とも呼ばれた形であるだけに、ある意味では「遠藤・システム」なのだろう。

そこに対して、柏木を"見張り番"としてぶつけた。結果的に、遠藤はゲームから消えていく結果になった。通常の1トップ2シャドーで相手のGKを含めた5人のビルドアップに対抗すると、2人が余ることになる。うまく追ったとしても、1人くらいは空いてしまうだろう。柏木は、少し声を小さくして「ガンバの3バックには持たせてもいいというのがあったから」と話した。その余る1人が遠藤になる瞬間を作られるよりは、1対1で消す場所を作ってしまい、残りは2対4で良いという守備の設計を組んでいた。

AFCチャンピオンズリーグのFCソウル戦では、同様にアンカーを抑え込むために1トップの興梠慎三が守備時にだけ下がる対策を取った。しかし、リーグ戦ではスタメンの1トップが多いラファエル・シルバに同じことをさせれば、能力をスポイルする可能性が高い守備時の負担増加を招く。それよりも自分たちが変化することで抑え込みに掛かった。この辺りは、浦和の監督に就任して以来、キーになるゲームでことごとく敗れてきたガンバ戦に懸ける指揮官の思いだったのだろう。

その一方で、ユベントスもピルロにハッキリとしたマーカーを付けられることは少なからずあった。そうした時にも、ビルドアップは崩壊しなかった。その理由は、3バックの選手たちがセンターバックとしては屈指のビルドアップ能力を持っていたからに他ならない。この時点でのガンバ大阪に関していえば、遠藤保仁を消された場合の対応策は持っていなかった。

▼攻撃面での減退も見られたシステム調整
守備に関していえば、スカウティングを生かして練ってきた策をしっかりとハメることができ、相手を十分以上に苦しませることができた。それは、5-2で勝利したFCソウル戦も同じだ。だが、この試合で浦和の攻撃陣はその時ほどに質の高いチャンスは作れていない。それもまた、自分たちが変化したことに起因した面が大きい。

この試合では、守備時に5バックで構えるガンバの最終ラインを後ろに向けて走らせる場面が多く作れなかった。興梠慎三は「(柏木)陽介のところに入れば裏に良いボールが出てくるから」と話していたが、逆に言えば柏木のところまでボールが入らなければ相手を裏返せなかった。普段の1トップ・2シャドーでは、誰かが下りて最終ラインを食いつかせれば、誰かが裏に抜けるという関係がスムーズだった。その結果、ボランチや最終ラインから相手の背後を脅かすロングボールが入り、今度はその牽制が利いて手前のスペースを使いやすくなるという好循環があった。その関係は、このゲームでは少し崩れてしまっていた。

とはいえ、リーグ開幕戦となった横浜F・マリノス戦では途中交代により相手のキーマンを抑えるための"3+1バック"という形も取った。そして、この日はスタートから相手に応じたシステムを組んだ。6シーズン目の指揮になるペトロヴィッチ監督だが、その変化は過去の5シーズンよりも今季に入って強く感じられる。

チームは生き物であるから、こうやって新たな刺激や形をとることでもう一段成長する可能性は大いにある。もちろん、それはガンバ大阪にも言えることで、遠藤保仁を消された場合の一手を次の対戦までに作り上げている可能性も十分だ。だからこそ、この引き分けがもったいなかったという言い方もできる。

後半終了間際に敵地で追いつくという試合展開も十分にスリリングなものだったが、遠藤航が3バックの修正に手ごたえを感じていたことなど、ゲーム内容の面でも多くの見どころがある一戦だった。

※関連リンク
【轡田哲朗レッズレビュー/Jリーグ第4節G大阪戦】最終ラインの修正に手応えの遠藤航、槙野智章はJ1通算250試合出場にさらなる活躍を誓う。(浦レポ)


轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。


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