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浦議ニュース2017 03/03  15:08

浦和レッズがタイトルを取るために。方向性と結果、大勝の中にも見られた2つのベクトルの重なり【河治良幸による浦議コラム】

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今回は精密な分析・圧倒的な知識量で広く知られる気鋭のライター、河治良幸さんによる浦議コラム特別編をお届けします。




▼縦への意識の強さが大量得点に繋がった
ACL2連勝、しかも14年アジア王者のウェスタン・シドニーと前回ベスト4のFCソウルを相手に2試合で9得点を奪う"爆発ぶり"で、失点も2とまずまず安定している。ソウル戦はアウェイでも積極的に仕掛けてくる相手にも主導権を奪わせず、いつも以上に縦に速いパスを織り交ぜてソウルが形成する4-1-4-1の中盤スペースを起点にチャンスを作り出した。

浦和の裏への意識が象徴的に表れたのが前半9分の先制点のシーン。自陣のリスタートから、ソウルが前からプレッシャーをかけてきたところをこの日はボランチで起用された駒井がかいくぐり、クサビを李忠成が引いて受けに行く。予想したよりボールが少しズレたのか、李が上半身におさめることはできなかったが、前に抜けたボールの目測をソウルのDFがあやまる。そのボールを鋭い出足でかっさらった興梠が右ワイドに持ち出すと、李が元の位置から一気にゴール方向へ走り、残りのDFを引き付けたファーサイドで武藤雄樹がヘッドを合わせた。

似た様な状況で、普段ならば駒井が右ワイドの関根貴大につなぐか、中央から少し左にスライドしていた遠藤航に展開することで、全体を押し上げて高い位置に起点を作ろうとしても悪くない。しかし、相手のプレスの背後にわずかでも隙を見出せば、そこを利用してチャンスにつなげようという意識がプレーに表れていた。2点目を奪った後にパク・チュヨンの直接FKで失点したが、前半21分に4点目を取るまでこの流れが続いた。

そこから一時的に引いて5バック気味になったところで、手前のスペースを起点に何度か危険なシーンを迎えたが、前半の終盤に再びラインを上げると、宇賀神友弥による高い位置のボール奪取から武藤、興梠、李が前線で粘り強くつなぎ、最後は中盤からするすると抜けてきた駒井善成がゴールに流し込んだ。

▼臨機応変は浦和のコンセプトではない
「点差が大きくあいた中で受け身になったらよくない」とミハイロ・ペトロヴィッチ監督の指示を受けて入った後半は全体的に高いポジションを取り、間延びした相手の合間でボールをつなぎ、リズムよくゲームを進めた。ソウルのファン・ソノン監督が攻撃的な交替カードを切ってきたこと、10日間で4試合目という疲労が出たこともあるが、終盤に動きが落ちたところで押し込まれ、アディショナルタイムにショートクロスから交代出場のデヤン・ダムヤノビッチに決められ5-2となった。

「開始20分で試合を決定付けるパフォーマンス。ただ70分過ぎまで非常に素晴らしい内容だった。そのあとは連戦の疲れが徐々に出た内容だったが全体を見ても素晴らしい」

ペトロヴィッチ監督がそう振り返る試合は強敵と見られた相手に対して、積極的な姿勢でゴールを狙い、大量リードを奪うまでその意識を続け、引いた時間帯こそあったものの、明らかに疲れが出る終盤まで浦和らしい戦いを見せた。"自分たちのサッカー"というのは状況に応じた柔軟性が無いことと同意で使われることもしばしばあるが、この日の浦和は自分たちからアクションを起こしていきながら、その中でソウルの隙を抜け目無く突き、強みを封じるなど適度な柔軟性は見られた。

試合後、武藤に「"自分たちのサッカー"と言うが、タイトルを目指すためには状況に応じた臨機応変の戦い方も必要になる時があると思う。その兼ね合いはどう考えているのか?」という質問をしたところ「それは難しいところですね。やはり、できるだけ高い位置でボールを支配して試合を進めていこうというのはある」と語っていた。つまり戦前から意図的に"プランA""プランB"といった明確に戦い方を使い分ける様なリアリズムは浦和のコンセプトではないということだ。

▼相手から逃げるためのものではない
ただ、この日のソウル戦ではベースのパスワークは崩さない中でも縦パスやプレッシングの裏を狙う意識が強かったし、苦しい時間帯ではゴール前で個が粘り強く守り切るシーンもあった。ペトロヴィッチ監督が就任した2012年から高めてきたチームの基本スタイルを押し出す中でも、攻守の切り替えや球際の強さといったタイトル獲得のために足りなかった部分を伸ばす意識はチームで共有されている。

「今日の試合に勝利したもう1つのポイントは日本ではよく韓国のチームと対戦すると技術はあるけれどフィジカルで劣ると言われてきた。そうではないことを証明しろと選手に言った。球際、運動量で負けていないと。韓国に対してそういう烙印を押されて来たことを払拭しろと。それを選手が証明してくれた」

ペトロヴィッチ監督はそう語った。自分たちから意図的にガツガツと当たりにいっていたわけではない。素早く正確にボールをつなぎ、流れの中で生じるスペースを突いていくが、いざコンタクトが起こるところでは逃げることなく当たり、勝利する。浦和のパスサッカーは相手から逃げるためのものではないことを証明する様なパフォーマンスだったことは確かだ。

J1開幕戦の横浜F・マリノス戦では2-2で迎えた終盤に関根がビッグチャンスを決められず、直後に決勝点を決められたことに関して「サッカーには良くあることだが、大きなチャンスを逃すと罰を受けるというものだ。ただ、私たちが2-2からも勝ちに行って、その流れでカウンターからゴールされた。それよりも(CKからの)2失点目が問題だった」と語り、下を向かずにソウル戦に準備していくことの大事さを強調していた。

引いた時間帯にピンチを迎えたことや終盤の失点など、大勝の中にも課題はあったし、完璧なゲーム運びだったわけではない。だが、浦和の進むべき方向性とタイトル獲得のために結果を残していくこと。その大きな2本のベクトルが少し重なった様に見えた試合だった。



河治良幸(かわじ よしゆき)

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCFF』で手がけた選手カードは6,000枚を超える。著書は『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『日本代表ベスト8』(ガイドワークス)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。サッカーを軸としながら、五輪競技なども精力的にチェック。

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