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浦議ニュース2016 11/06  22:08

『齋藤学のコメントからわかる浦和が強い理由』浦和vs横浜FM【清水英斗の「観戦力」が高まるレッズコラム】

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▼横浜FMの素早い修正で膠着状態となった前半
試合開始時に横浜FMが敷いたシステムは、4-1-4-1だった。

このシステムは1トップなので、浦和のセンターバックにプレッシャーをかけ切れず、フリーでボールを運ばれやすい。また、そのようなプレーを、浦和のDF陣は全員が得意とする。そして中盤に目を移すと、アンカーに入った喜田拓也の両脇にスペースが空きやすい。この2つが弱点となる。

キックオフ直後から、浦和の攻撃がうまく機能する気配があった。ボールを受ける森脇良太に対し、横浜FMは左インサイドハーフの天野純が前に出て寄せたが、森脇はワンタッチで縦へ蹴る。そして、横浜FMのアンカー脇のスペースで、武藤雄樹がフリーでボールを受け取った。

このスタートプレーに勢いを得たかのように、序盤の浦和は、次々と中央のバイタルエリアを攻略して行く。

すると、前半11分くらいに、横浜FMは守備を4-4-2にチェンジ。最初は兵藤慎剛が2トップの位置に出たが、しばらくすると、天野が前に出て富樫敬真と並ぶ形に変わった。一方、ダブルボランチは兵藤と喜田に落ち着いている。

横浜FMが4-1-4-1で試合に入ったのは、おそらくサイドアタッカー、関根貴大と駒井善成への警戒ではないだろうか。サイドに速くプレスをかけられるように、中盤の横幅を広く取り、齋藤学と前田直輝、逆サイドのウイングが下がってサイドチェンジに備えていた。

ところが、浦和が中央のアンカー脇にどんどんボールを通してきたので、4-4-2に変え、中央を締めざるを得ない。横浜FMの素早いシステム修正の後、ゲームは落ち着き、浦和はなかなかチャンスを作れなくなった。

もちろん、それはそれで、浦和はサイドにボールを振り、関根と駒井が仕掛けてチャンスメークするし、カウンタープレスも効いていた。しかし、横浜FMは低くブロックを下げ、身体を張った守備でしっかりと跳ね返したため、試合はこう着した。

序盤の流れは、こんなところだろう。

横浜FMのシステム修正により、浦和は攻撃が詰まりやすくなったが、一方、横浜FMにとっても問題があった。ボールを奪う位置が低くなってしまい、ゴールへの距離が遠すぎる。ロングボールを蹴っても、富樫は遠藤航にほとんど競り負け、天野も起点になれない。横浜FMは時間と共にビルドアップして攻撃に出る回数を増やすようになったが、チームとして目標とする攻撃のスピード、つまりカウンターに出るのが困難な状況だった。

そして前半44分、またもロングボールを収められず、空を切る様子を見て、モンバエルツ監督が動く。ベンチ脇でウォーミングアップ中の伊藤翔を呼び寄せ、手をクルクルと回した。アップを早めろ、という意味だろう。ハーフタイムで交代するようだ。

▼リズムの変化で不意を突かれる
「伊藤を入れて、パワーのある選手を使った。ボールを前に当てることが必要だった」と、試合後の会見で説明したモンバエルツ監督。

パワーが生きたかどうかはわからないが、富樫との違いは明確だった。ポストプレーでボールに近づく傾向が強かった富樫とは異なり、伊藤はあまり近付かない。ボールから離れた位置へ行き、あまり中盤に関わらず、一発でゴールに向かうポジションを取り続けた。

後半40分の失点シーンも、伊藤と富樫のプレーの違いが表れた。

スローインで始まり、タッチライン際でごちゃっとした場面で、伊藤が阿部勇樹の裏を取って前へ動き出した。ボールが狭いところを抜けると、遠藤が伊藤の対応に出たが、伊藤はボールを足下に収めず、振り向きながらダイレクトスルーパスを送る。

「微妙なラインの高さ、行く行かないの判断、そこは難しかったけど、ハッキリさせなきゃいけなかった。どちらかと言うと、一度見て、後ろにパスを出させる守備が多かったので、あそこも(伊藤が)ワンタッチで前に出してくるのは、今日みたいなゲーム展開だと予想してなかったというか、ちょっと不意を突かれた感じはありました」(遠藤航)

この遠藤の話には膝を打った。なぜなら、見ていた僕自身も、伊藤のタイミングに不意を突かれたからだ。浦和にとって全体的にうまく運んでいるゲームだからこそ、この伊藤のリズム変化が不意打ちとなり、効いてしまったのではないか。そこに自慢の快速でマルティノスが飛び出し、同点ゴールを決められた。

正直に言って、このまま1-0で終われば、伊藤もマルティノスも"空回り"で終わったと思う。伊藤はボールタッチが多くなかったし、マルティノスは試合から浮いていた。しかし、それでも、試合の流れにかかわらず、このような一瞬のプレーで結果を残す可能性が、この異物2人には残されていた。そういうことだろう。

改めて、サッカーは最後まで何が起こるかわからないと、思い知った同点ゴールだった。

▼齋藤学が浦和のサッカーの強さを語る
......と、相手の状況を踏まえて失点を振り返ったが、もちろん、ゲームの大勢を支配したのは浦和である。それは間違いない。

ビルドアップのミスの少なさ、仕掛けパターンの豊富さ、カウンタープレスの激しさ、ロングボールへのDF陣の寄せなど、どれもクオリティーが高く、改めてこの最終節で、浦和というチームの完成度を確認した。

後半の先制ゴールも見事だ。4-4-2で安定していた横浜FMに対し、柏木陽介がキーマンとなって相手ダブルボランチの間を走り抜け、スペースを作ったら、関根が入れ替わってカットイン。最後は関根のシュートのこぼれ球に、再び柏木が詰めた。

非常にクオリティーの高い連係プレー、浦和らしいゴールだ。修正した横浜FMの守備を、中央からストレートに割って決めたことで、改めて浦和は、自分たちのサッカーに自信を深めたのではないだろうか。

同じ引き分けでも、この試合の0-0と1-1は、意味が異なるだろう。横浜FMの守備にハマったまま、0-0で終えていたら、同じ年間優勝でも後味が悪い。「通じなかった」「破れなかった」というイメージが残る。チャンピオンシップと天皇杯に臨むことを踏まえても、柏木のゴールは大きな価値があった。

齋藤学も、浦和のサッカーを称賛した。

「目の前で優勝は見たくなかったし、追いついたことは大事です。ただ、(他競技場の)結果次第でもレッズが優勝したのは、やっぱりレッズが強かったということ。
やっていて強かったですし、首位に立つチームの強さというものを、僕らは肌で感じることができました。これを次に生かすのは天皇杯しかないので、次に向かってやって行ければ。レッズ相手に0-1から追いついたのは、自信を持っていいと思います」
「個の能力が高いのは当然なんですけど、チームとしてやることが徹底されている。あとはルーズボールとか微妙なボールを、マイボールにするのが、すごく上手いかなと。それから、味方同士がすごく近くにいるぶん、敵陣と自陣の微妙な境い目くらいの場所でミスをすることが、すごく少ない。(レッズが)奥まで来てから、僕らがカウンターをねらう形が多かったので、そこは見習わなければいけない。ただ、僕らがやってきたこと、普通に戦えたところは、自信を持ちたいなと思います」

そして齋藤は、「......いけないこと言っちゃったかな。レッズの強さばかり挙げて(笑)。ま、いいか。ありがとうございます」と言って、立ち去った。

Jリーグは来季から1シーズン制に戻る。チャンピオンシップや2ステージ制も、興行的には成功したようだから、とりあえず良かった。ただ、やはり年間のリーグ戦で決めたチャンピオンというのは、齋藤学の話に見られるように、手放しに他チームからリスペクトされる特徴がある。それはやっぱりいいなと、改めて思った。


清水英斗(しみず・ひでと)

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。雑誌『ストライカーDX』、ウェブサイト『Goal.com』の編集長を経て、現在はフリーランスとして活動。著書には「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「だれでもわかる居酒屋サッカー論 日本代表戦の観戦力が上がる本」「あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本」「サッカー守備ディフェンス&ゴールキーパー練習メニュー100 (池田書店のスポーツ練習メニューシリーズ)」「セットプレー戦術120」「ストライカー練習メニュー100」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

新著です

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