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浦議ニュース2014 07/01  10:25

「We Were REDS」と「We Are REDS!」「JAPANESE ONLY」横断幕から考えるサポーターとクラブの適正距離(『サッカー批評』特集一部抜粋)

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現在、発売中の『サッカー批評68』では、「差別問題を考える」という特集が組まれている。3月8日に埼玉スタジアムで起きた、差別的横断幕掲出から多くのレッズサポーターがこの問題について考えてきた。ワールドカップ中断から明けて、7月19日から再開されるJリーグを前に、今一度考えておきたい内容となっている。特集記事の1本である"「We Were REDS」と「We Are REDS!」(取材・文/竹田聡一郎)"を一部抜粋して紹介する。

クラブ主導の「サポーターグループの解散の申し出」に齟齬

 3月13日、JFAハウスで村井チェアマンの会見および無観客試合の発表に続き、淵田社長の記者会見が開かれた。

 記者にはクラブが事前に用意した資料(クラブ公式HP内の「Jリーグ浦和レッズ対サガン鳥栖におけるサポーターによるコンコース入場ゲートでの横断幕掲出について」と同じもの)が配られた。

 これによると「JAPANESE ONLY」が掲出されたのはキックオフの60~90分ほど前で、ハータイムにサポーターから「これは差別と捉えられる可能性がある」という指摘をされた警備スタッフが警備本部に連絡。ソーシャルメディアからも情報を得たクラブ運営本部の指示で後半開始後、警備責任者がスタンドに入り掲出者に横断幕の撤去を要求すると「試合中だから無理」という旨の回答で、試合終了後にも本人たちの手による自主的な撤去がないので、18時過ぎに警備スタッフによって撤去した、といういきさつが書かれている。

 なぜ撤去に時間がかかったかについて、淵田社長は「サポーターとのトラブル回避のため、横断幕を掲出した当事者との合意の上で取り外すルール」と弁明しているが、過去には新潟や横浜FM、大宮などのアウェイでサポーターが掲げた横断幕をクラブスタッフが撤去した例はある。

 ただ、それらの事例の場合、差別ではなく掲出してはいけない場所に横断幕を貼ったという、いわば白黒のはっきりしたものだった。つまりクラブとしてはサポーターとのトラブル回避のほうが、差別的メッセージの掲出より優先度が高かったと認めたことになる。ここでも差別に対する意識の甘さが浮き彫りになっている。

 それでも浦和サポーターはアウェイの広島に2000人近くが向かい、チームは王者相手に勝利を収める。コールリーダーの男性は「この勝利は一生忘れない。みんな、ありがとう。もちろんこれで終わりじゃない。みんなついてきてください」とサポーターを前に号泣したという。

 しかし、次節の無観客試合をはさんだ、第5節のアウェイ神戸戦前日の3月28日、公式HPの「ファン・サポーターの皆さんへ」というリリースが配信される。

「(前略)昨晩(3月27日)サポーターグループ11チームよりチームを解散するとの申し出がありました。 当該チームより『過去のトラブル及び今回の事案について、当事者としての責任を認識し、全員で解散を決めました。今後は、差別撲滅に向けた取り組みを含め浦和レッズのために行動していきます』とのコメントがありました」

 コールリーディングチームである11チームの名前も併記されていた。

「どうなるんだろう、が最初の気持ちです。これで浦和のゴール裏は解散なんだ、と続いてぼんやり思いましたね」(30代/男性)

「11チームのメンバーは『以後、スタジアムでグループを形成しないこと』をクラブと約束したと聞いてます。グループって何だよ、って話ですけど、特に何人とかは定められていないみたいですね。だから今でも普通にゴール裏に来ている人も多いですよ。中心になって声も出してるし、スタンドも煽ってるし。じゃあ、解散のする意味って何だったの?とはちょっと思いますけど」(40代/女性)

「解散したグループのリーダーは署名もしたとか。ただ、その書類はクラブが用意した、とも聞いています。それって本当に『自主的に解散』なんですかね?」(40代/男性)

 広島で号泣したコールリーダーの男性をはじめ、このリリースを境にゴール裏から"自粛"したままのサポーターもいまだ多いらしい。彼らはどんな思いでレッズのゲームを観ているのだろうか。あるいはレッズから、サッカーから気持ちが離れてしまったのだろうか。


4月のレッズが描く「レッズワンダーランド」とは?


 浦和レッズは、3月31日にリリースを公式HPにて発信した。クラブ内の徹底した改革を宣言しつつ、差別的発言・行為、暴力行為、ピッチ等への物の投げ込み、器物損壊、立ち入り禁止エリアへの侵入、指定エリア以外での喫煙の「重点禁止6項目」の遵守を促すもので、「浦和レッズに関わる全ての人の情熱を結集し、新しいレッズワンダーランンドを一緒に作りあげていきましょう」と結んでいる。

 これ以降、ナビスコ杯2戦2勝。リーグ戦5戦4勝。ホームでは全勝と好調を維持している。

 スタンドでの喫煙はほぼゼロとなり、厳重かつ執拗な警備で通路で応援する人もほぼ皆無である。

「煙草を吸わなくなったから、それだけで嬉しい」(10代/女性)

 自動発生的な応援に対しても、

「コールリーダーがいないのはさみしいけど、惜しいシュートには頭を抱えて嘆き、いいプレーには拍手を贈る。サッカーってシンプルだな、と知りました」(60代/男性)

 こういったポジティブな意見も多い。

 確かに鳴りもののない応援も悪くない。それどころか「ああ、人の声って強くて響くんだな」と改めて教えてくれる。その声に合わせてゴール裏の黒と赤が蠢く様は、意思を持った大きな絨毯のようで不思議な迫力が宿る。李のユニホームも順調に売れ行きは伸び、チーム2位の3得点を挙げフィットしてきた。

 ただ、実際にスタンドに足を運んでみると、やはり課題のほうが積まれているのが現状だ。

 3月15日以降、ゲーム中にもスタッフがスタンドに常駐し、通路での応援を禁止すべくサポーターに声をかけ続けた。その結果、例えばアウェイの柏(日立台柏サッカー場)では注意されたサポーターが「去年まではここで観てて、誰にも文句を言われなかった」などと主張し、小競り合いになった。

 埼玉スタジアムでも、試合中にトイレに行っていた女性が戻ってきたら浦和のCKだったのでゲート付近からしばらく観ていたら「自席でご観戦ください」と促され、「1プレーだけなのに!」と文句を言っていた。

 

また、象徴的なシーンがあった。第10節の後半、原口元気が左サイドを駆け上がり、CKを獲得した。長い距離を走ってきたこと、数的不利でもCKを奪ったことが評価できる気持ちの入った好プレーだった。この直後、原口は左手を下から振り上げる動作を見せ、スタンドを煽った。それを受けたゴール裏前列のサポーターを中心にすぐさま原口のチャント「アーレー元気アレー」が歌われた。

 しかし、レッズのゴール裏はコーナーキックの時に「We are Reds、We are Reds、We are We are We are Reds」と繰り返しながら上下に跳躍する。

 誰が悪いわけでもないが、原口の煽りによる自然発生と定型の応援が重なってしまい、一体感が損なわれてしまう結果となった。

 この例が端的に現しているようにコールリーダー不在での応援は、チャントの伝達と伝染と伝播に、ほんの1秒程度かもしれないが時間を要し、そのタイムラグがかつての迫力や美しさ、狂喜や侠気とのギャップと感じる人もいる。

「正直、誰を見たらいいか迷いますね。選手より仲間とアイコンタクトしてるかも」(20代/男性)

 ピッチに対しても少し寛容になっているきらいもある。悪くもかつてはレッズの不要とも思えるバックパスに、ゴール裏はブーイングを浴びせることも少なくなかった。しかし、4月のゴール裏は自分のチームの選手にブーイングをする場面がほぼなかった。サポーターはクラブのイエスマンであってはならないとばかりに、自分のチームにも厳しくダメ出しをするのがレッズサポーターの明確な色だったはずだ。現段階では、良いのか悪いのか判断できないが、ここにも変化は生まれている。

 最大の懸念はまだ差別の可能性のある言動が残っていることだ。サポーターを注視していると、「ただなり!」のコールだけに参加しない人が少数だが、確かに存在する。だからといって、それを差別と断言してしまうのも短絡だが、見たまんまの事実ではある。

「悲しいことだけど、李選手を認めていないコアサポは少しだけいます。でも、チュンソンはあれだけチームのために走ってるから減っている気もしています。私?大好きです。『We are Reds』って言ってくれるし、何より今日、点を獲りましたし」(30代/女性)

差別には規制よりも自主性を求めるのは、甘い見解だろうか


 昔、鹿島アントラーズのサポーターに浦和ってどんな存在ですか、という質問をしたことがある。


「クソ忌々しいぶっ倒したい相手の一番手だけど、降格しろ、とかは思わない。ひとつ下の順位に常にいてほしいチームかな」


 ガンバのサポはこんなことも言っていた。

「ガンバにとって最高のシーズンは08年なんやけど、クラブW杯でマンUから点を取ったときより、埼玉スタジアムで浦和に勝ったほうが嬉しかったわ。あの年はリーグ戦とACL、両方勝ったんちゃうか。アンチ巨人みたいなもんでな、『We are Reds』を黙らせる気持ち良さはJのサポーター全員の"あるある"やで」


 確かにレッズのサポーターは問題を起こすし、クラブは制裁を何度も科されている。

 それでもあの圧倒的な声量と滾りまくる赤のスタンドは、敵味方関係なく陶酔させてくれる力強さを持つ。そして、そこには「レッズに勝つ」という大きなカタルシスがある。

 FIFAは「SAY NO TO RACISM」(人種差別反対)というキャンペーンををはじめ、人種差別撲滅に尽力している。選手やサポーターによる差別的発言に対しては厳しい処分が科されるのはスポーツ界共通のルールで、ダニエウ・アウベスもマリオ・バロテッリもロベルト・レヴァンドフスキも長友佑都もバナナを食べた。


 差別はあってはならないことなのだ。その1点からして、今回の浦和のサポーターが起こした問題は由々しきものである。厳しく罰せられて当然で、それに伴い、スタンド内での禁煙を徹底し、「通路・階段での観戦禁止」を周到に課し、席数と観客数が一致しないエリアについてはキックオフ前に「席詰め」を実施したレッズの対応は概ね間違っていないと思う。


 ただ、規制や制約、管理で縛られたピッチやスタンドの何が面白いのか。と思う気持ちも少しだけ残っているのは僕だけだろうか。


 しばらくレッズを含め、Jリーグは現状のようないわば厳戒体制下におかれるだろう。そしてそれはいつまで続くのだろうか。無観客試合による浦和の経済的損失は3億円とも、ブランド失墜を鑑みるとそれ以上、なんていう見解もある。


 その損失とリスクをふまえ、さらに無観客試合を終えた際の清水、ゴトビ監督の「試合を楽しむことはできませんでした。ファンがいなかったから楽しめませんでした。(中略)無観客試合になるのは、これが最後になることを願っています」という痛みを共有して、何年かかってももう一度、自由なスタンドを取り戻すことは我々にはできないのだろうか。そこまで我々のJリーグのモラルと見識は低下しているだろうか、すべての選手、クラブ関係者、メディア、そしてサポーターに問いたい。


 浦和だけに限ったことではない。今回の件の対応とその後のリーグ戦の運営と盛り上がりが、今後のJリーグを左右する。同じようなことがおきたら、もうそれはスポーツではない。今回を糧にあらたな水準の高い強いJリーグに生まれ変わることを期待する。(一部抜粋)


『サッカー批評68』(双葉社)

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