浦和レッズについて議論するページ

▼クラブ全体が力を尽くし最高の舞台に結実
相手にボールを持たれていても、集中力が途切れた不用意な失点をする気配は全くなかった。仕事の性質上、プレーごとに埼玉スタジアムのオーロラビジョンの横にある90分計をチェックはするものの、「時間の進みが遅い」とか「早く終わってくれ」という感覚にもならなかった。それくらい、浦和レッズがアル・ヒラル(サウジアラビア)を相手にした25日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦は、見ていて頼もしいチームの姿があった。

堀孝史監督がミハイロ・ペトロヴィッチ前監督の後を受けて構成してきたチームは、確かに守備面の整理やスカウティングを元にした分析を反映するという点で、様変わりしてきた。ペトロヴィッチ監督は「個に頼らないチーム作り」を言葉でも強調してきたが、それは堀監督も方向性が少し違うだけで同じだ。その組織力やコンビネーションという側面が、マイボールの時に多く現れるか、相手ボールの時に表れやすいかというだけだ。

それと同時に、クラブも10年前の優勝で得たノウハウを武器に、アウェーでの初戦にはUAEでの直前合宿を組んだ。分析担当の山田コーチは、アル・ヒラルのゲームを単身観戦して必死に情報を仕入れた。遠征に向けて、早くから手を打って渡航のスムーズさを確保した。野崎信之アスレティックトレーナーは、初戦の負傷で帰国後に別メニュー調整になったラファエル・シルバとコミュニケーションを取りながら復帰に導いた。そうしたクラブのバックアップがあり、それをコーチングスタッフが生かして、選手たちがピッチで表現する。そして、第1戦で得た感触を選手たちがフィードバックして第2戦に生かした。

槙野智章は「コーチングスタッフからオーダーされたことだけやるのではなく、スタッフと選手が良いディスカッションをできた。みんなで準備して、みんなで作り上げた」と話していたが、クラブ全体で一つのタイトル、2試合の決勝戦を勝ち取るために全力を尽くした結果が、6万人が勝利を願って後押しした最高のスタジアムに結実した。

▼短いようで長い10年間
10年ひと昔と言われるが、その間に世界のサッカー情勢は大きく変わり、Jリーグのクラブにとって国際大会は困難の度合いを増した。欧州がより世界の中心であることが明確になり、年俸額や必要な移籍金の額はテレビ放映権料によって大きく上昇した。一方で、アジアや他の地域から欧州に移籍するハードルは下がり、Jリーグで違いを生み出せるレベルの日本人選手は次々に欧州へと移籍していく。中東のクラブや中国のクラブはその豊富な資金力を武器に世界トップレベルの選手まで獲得するようになった。相対的に、JリーグのチームがACLを勝ち抜いていくことには、困難が伴うようになっている。事実、浦和の翌年に優勝したガンバ大阪以来、Jリーグ勢は優勝していなかった。

今、浦和が当時のロブソン・ポンテのように、年齢的に全盛期でありブンデスリーガの欧州チャンピオンズリーグに出るチームのレギュラーでプレーする選手を獲得しようとしたら、どれほどの資金が必要になるのか。そうしたことを、例えばグループステージと準決勝で対戦した上海上港などは実現してきたわけだ。そうした意味では、2007年より上とか下ではなく、違った価値がこの優勝にはある。

試合後、10年前のピッチでトロフィーを掲げた鈴木啓太さんとスタジアム内で偶然にお会いすると「いいね、優勝はいい!何がいいって、サポーターが喜んでくれているのが本当にいいよね!」と、満面の笑みで話していた。10年という月日は、啓太さんのように現役を離れていく選手を多く出すのだと、改めて感じさせられた。それと同時に、10年が経っても埼玉スタジアムは浦和の勝利を願うサポーターで埋まるということが変わらないのだという思いもあった。

だからこそ、その10年前を知る阿部勇樹や平川忠亮、そして、優勝の翌年に加入して「10年かかったけど」と笑顔を見せた梅崎司がアジア王者に輝いた喜びを味わっている姿を見られたのが、嬉しかった。梅崎がピッチに送り込まれたのは試合終了間際だったが「その時に少しでも立てたのが嬉しかった。去年のルヴァン杯は怪我をしていてピッチに立てなかったですから。10年間、頑張ってきた良かった」と、しみじみと話していた。

▼ホームゲームはそのクラブのものであるべき
一つだけ、決勝について浦和に100パーセントの関係があるわけでないことを記したい。例えば試合前、決勝戦に関してはアジアサッカー連盟(AFC)が完全な管轄下に置いたゲームになったため、色々な部分で勝手の違うこともあった。それはこちらに対するルールであるから良いのだが、延々と続くオープニングセレモニーとパフォーマンスには少し辟易した。欧州チャンピオンズリーグの決勝などでも当たり前のようにセレモニーやショーのようなものがあるが、中立地での一発勝負が持つ”お祭り感”と、ホーム&アウェーの決勝戦が持つ”決戦の空気”を同様に扱ってほしくなかったというのが本音だ。

浦和のサポーターたちは終わるまで待ち切れずにコールをして歌い出したが、仕方のないことだろう。ブーイングをしたわけでも、何かを投げ込んだわけでもないのだから、それはAFCが特に”ロングパフォーマンスショー”に意義があったのか、あれほどの長さが必要だったのかという観点で振り返ってほしい。試合前の選手紹介だって、そのクラブが持つ戦いへの大事なルーティーンだ。来季に浦和が出られないのは決まっているが、その決勝戦があくまでも戦う両クラブのものであってほしいし、そうあるべきだ。それでこそのホーム&アウェーなのではないだろうか。

そうしたパフォーマンスは、スタジアムに広がった圧倒的なビジュアルの前には完全にかすんだ。他媒体でも記したが、優勝したからこそ、この日のビジュアルもクラブや大会の歴史に残っていく。きっと、海外メディアもスタジアムやサポーターを題材にした特集を組む時にはこぞって取り上げるだろう。もちろん、アル・ヒラルの初戦でのコレオグラフィーも素晴らしかったし、こうやって両チームが発信したものが、ホーム&アウェーの醍醐味を示しているはずだ。

リーグ戦の2試合を大事に戦った後は、12月のクラブワールドカップが待っている。浦和らしく「日本からアジアへ、アジアから世界へ」という思いを胸に戦ってほしい。

動画:【公式】ハイライト:浦和レッズvsアルヒラル AFCチャンピオンズリー
グ 決勝 第2戦 2017/11/25

※関連リンク
「今日ダメなら浦和にいられない・・・」 宇賀神友弥の思いと覚悟【轡田哲朗レッズレビュー/ACL決勝第2戦アル・ヒラル戦】(浦レポ)


轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。

【守備のツボ】をおさえれば、どんなチームも絶対に強くなる!
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  1. 1 匿名(IP:114.158.233.150 )

    10年ぶりにACL優勝!
    10年前のキャプテン暢久に恩赦を!

    このコメントに返信

    2017年11月28日 01:23

  2. 4 匿名(IP:183.74.207.81 )

    ※1
    啓太じゃなかったんだぁ、そうなんだぁ、ふ~ん

    このコメントに返信

    2017年11月28日 04:09

  3. 5 匿名(IP:153.205.10.206 )

    10年前を思い起こすと、強かったことよりそのあとだんだん弱くなっていったことを思い出す。やばい時何とかしてくれた堀監督、今回は優勝監督でよかった。ミシャと違って優勝できる監督だから来季が楽しみ。AFCがないのが残念だけど

    このコメントに返信

    2017年11月28日 04:44

  4. 6 匿名(IP:27.143.73.181 )

    試合前のセレモニーは長いと感じたが、いつもと違うルーティンにACLの決勝戦だと感じる事が出来たし、より気持ちも高ぶったけどね。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 05:24

  5. 7 匿名(IP:182.250.253.235 )

    ラファのゴール、記憶に残るなぁ。カモシカのように走り、ヒョウのように決めた‼︎

    このコメントに返信

    2017年11月28日 07:25

  6. 8 匿名(IP:49.98.10.72 )

    ベスト11に浦和からゼロ、は、んん?だけど、それだけチームの総合力で勝ったということだよね。スタンドも含めて。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 07:40

  7. 9 匿名(IP:126.233.72.83 )

    〉4.
    ヤマは決勝を怪我で出場できず、ゲームキャプテンを啓太が務めた形です。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 08:26

  8. 11 匿名(IP:182.251.247.14 )

    AFCはACL決勝を世界最高の舞台のひとつとして盛り上げるため色々と工夫。おかげで世界中にUrawaの名が轟いた。こういう記事を書くなら、広いアジア圏の文化の違いを受け入れてAFCの努力を賞賛するなどもっと高い視点で書いて欲しい。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 08:52

  9. 12 匿名(IP:153.221.163.79 )

    ところで、ご存じの方がいたら教えてほしのですが、そもそもタルイさん(暢久)は

    何をやらかしたの?

    このコメントに返信

    2017年11月28日 11:48

  10. 13 匿名(IP:163.49.210.88 )

    唐突に始まったメンバー紹介もイマイチだった。テンポも速すぎ。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 12:28

  11. 15 匿名(IP:203.165.229.215 )

    ミラン戦のノブヒサ、凄かったよー!
    ヤマだけはミランにも通用したと思った。
    あの時もしヤマがトップコンディションで先発、ポンテも怪我せず出れていたらなー!

    このコメントに返信

    2017年11月28日 14:25

  12. 16 匿名(IP:126.212.147.241 )

    これほど優越感に浸りながらシーズン終えるのは2006年以来だ。
    2007も2016も最後は転げ落ちたからな。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 16:43

  13. 17 匿名(IP:14.9.43.128 )

    オイルマネーでズブズブのAFCの努力などどうでもいい。

    このコメントに返信

    2017年11月28日 20:02

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