浦和レッズについて議論するページ

▼サイドにボールを動かしたいという共通の狙い
浦和レッズはサガン鳥栖との一戦を2-2で引き分けた。2度のビハインドを追いついての引き分けではあるものの、試合の90分のうち約80分間にわたって鳥栖が1点をリードするというゲーム展開だった。

鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督は、試合後の記者会見で「tatticamente la partita era perfetta(戦術的には完璧な試合だった)」という表現を、多少のニュアンスの違いはあるにせよ3回繰り返した。確かに、前半の開始40秒で先制された上に、4度のピンチと2回のゴールポスト直撃という試合展開からも、鳥栖がチャンスをしっかり決めていたら前半のうちにゲームは終わってしまっていただろう。

イタリア人監督のチームというと、「守備的」というイメージが付きまとうかもしれないが、イタリア人のサッカーに関する考え方は「効率よく相手に勝利する」というものの方が強い面がある。それは、フィッカデンティ監督の「鳥栖がみんなで攻撃的に浦和に対して臨んだところで、こちらが3点を取れるとは思わないし、彼らがカウンターで3点を奪う方が早いでしょう」という言葉からも伺われる。戦術はエンターテインメント性や自分たちのサッカーを表現するものではなく、勝つための工夫であるという考え方が強いお国柄と言える。

浦和は4-1-4-1(4-3-3でも4-1-5でも)のシステムに変更してから、両サイドの高い位置にいるアタッカーを生かすボールの動かし方が増えている。以前の1トップ、2シャドーの関係性とは違い、矢島慎也と武藤雄樹が務めたポジションの選手が最終ラインからボールを引き出す役割の多くを担うだけに、興梠慎三の近くに構えてコンビネーションで中央突破という場面は作りづらくなる。その一方で、後方に専任のサイドバックが構えるようになった駒井善成と高木俊幸の位置に入る選手は、クロスなりドリブル突破なり、よりその選手の武器を攻撃的に発揮しやすくなっている。そのため、今の浦和の攻撃はセンターバックの2人を起点にしながらも、サイドへボールを流していく傾向にある。

その一方で、鳥栖の守備の作り方は、最終ラインが4枚から5枚に状況に応じて変化しつつも、1トップのビクトル・イバルボを頂点にフィールドに大きなピラミッドを描くようにして、浦和の選手が順当に近くの浮いている選手を使うとボールがサイドに流れていくように設計されていた。森脇良太や槙野智章の位置にボールが入ると、両サイドのアタッカーがインサイドに戻って、縦にボールを逃がすのは良いけど、中には入れさせないという斜めのブロックを形成する場面が目についた。つまり、サイドから攻めたい浦和とサイドに追い込みたい鳥栖で攻守の狙いが噛み合ってしまい、延々とリプレーを見ているような状況に陥った。

▼噛み合った状態を長く過ごし過ぎたか
ところが、こういう場合の難しさは、浦和の側も上手くいっていないと感じにくいことだ。特に、高木は追い込まれた最後の地点にある選手でありながら、何本もクロスを中央に入れているし、そのボールに対して4人がペナルティーエリア内に入り込む場面もあった。十分に得点が入り得るシチュエーションであるし、こうなると噛み合った状態からゲームは動きにくくなってしまう。

浦和の攻撃で最初のボールホルダーになる場面の多い遠藤航は「サイドが空いているから、サイドにつけないとなると真ん中は空かないというのがあるし、前半は我慢してボールを動かすことにフォーカスせざるを得なくなったかなと。横、横だけではダメだし、強引に中に入れてガチャガチャっとなったところを、前で何とかしてくれというボールを入れることも必要になるので。リスクがあるので、そこには精度が必要になるんですけど」と、難しさを感じながらプレーしていたことを話した。結局、1-1の同点以降のスコアが動いたのは浦和が中央に人を増やすために3バックにしてからということもあり、ピッチ上のどこでどのような変化をつけるかという部分で、鳥栖の狙いと噛み合っている時間を長く過ごし過ぎたという見方もできるだろう。

▼選手とシステムと収支計算
ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督とは長く3バックと4バックに可変するチームでの時間を過ごしてきただけに、その間に獲得した、あるいはチームに残してきた選手たちも、その特性にマッチする選手が多いのは間違いない。システムというのは、システムそのものには優劣がなくて、どのような選手たちがそのシステムでプレーするか、相手がどのようなシステムと戦術でプレーするかによって、相性と力関係が決まる面を持つ。そういう意味では、多少なりとも能力をスポイルされる選手たちが浦和に多く出るのは自然なことで、それを補うのはトレーニングでの徹底や選手の組み合わせ、相手に応じた対応ということになる。

結局のところ、監督交代にまで発展した問題点が再浮上することを厭わずに、今いる選手たちの能力を発揮しやすくすることを重視するのか。あるいは痛みと非効率性に少し目をつぶりながら、再構築により前者の場合を越えるチーム力を発揮するところまでチームを持っていくのか。例えば、この日ベンチまで戻った宇賀神友弥は「新しいシステムだと、ワイド、ワイドで2枚いるので、前にいる選手を生かすプレーをサイドバックはしないといけない」と話していたが、サイドバックの選手が攻撃参加を自重する方が良いシステムを選択することで、その選手のポテンシャルから出るマイナス面と、チーム全体で得られるプラスのどちらかが大きいのかという収支計算をしていくことも必要な要素だ。

試合数を重ねることで、相手のスカウティングもしっかりとしたものになり、堀孝史監督になってからの浦和の分析をしっかりとした上で臨んでくるようになっている。それによって、問題点を炙り出されるのは仕方のない自然な流れだ。だからこそ、次は対策の上を行く対策、あるいは対策の上を行くチーム進化のスピードを実現していくことが求められてくる。

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轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。

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  1. 3 匿名(IP:203.165.253.204 )

    1000人のサイドバックがいたら混乱しちゃうね

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    2017年09月26日 09:21

  2. 4 匿名(IP:122.213.201.194 )

    ボールを取られた後に、相手のボールホルダーに最初にアタックするファーストディフェンスが機能してないから裏を簡単にとられる。攻守の切り替えをもっと早くしないとダメだよ。昨年のいい時のレッズは超早かったじゃないか。それをやろうよ。

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    2017年09月26日 12:37

  3. 5 匿名(IP:126.237.50.57 )

    完成度を高めていくときに、宇賀神、柏木、ラファ、李と怪我人続出してるので、仕方ない。
    リーグ戦はターンオーバーしたレイソル戦しか負けてないし。
    上海戦はラファ、柏木復帰するみたいだし、なんとかアウェイゴールを取って勝ち点を持ち帰って来てくれ!

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    2017年09月26日 13:46

  4. 6 匿名(IP:126.205.208.129 )

    男性
    浦和の現状は、過密日程の中でメンバー補強も無くチームを再構築しながら結果を出すしかない。南アフリカW杯直前の岡田ジャパンに似通っている。だから、堀監督にはリアルリストとして目の前の試合にベストと思うメンバーと戦略で戦ってもらう。サポーターはそれを後押しするのみだと思う。

    このコメントに返信

    2017年09月26日 14:19

  5. 7 匿名(IP:125.200.30.38 )

    おいおいまたしろーとのサッカー評論家がでできたよ。

    このコメントに返信

    2017年09月26日 18:13

  6. 8 匿名(IP:126.177.166.33 )

    全く関係ないですがフッキ怪我したそうですね。ソースはツイッター

    このコメントに返信

    2017年09月26日 19:32

  7. 9 匿名(IP:58.89.65.50 )

    過密日程、過密日程って、何処のチームも同じだろう、浦和だけ過密日程なのかい?

    このコメントに返信

    2017年09月26日 21:29

  8. 10 匿名(IP:49.97.107.65 )

    チームにとって槇野は守備専してればプラス、攻撃参加したらマイナス。そんな計算の必要ない。

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    2017年09月26日 21:44

  9. 12 匿名(IP:126.75.189.71 )

    明日の上海戦を携帯で見る方法わかりますか? 日テレ関連の何かでみれるってどこかの板でみたのですが

    このコメントに返信

    2017年09月26日 22:49

  10. 13 匿名(IP:182.167.164.196 )

    今さらセルジオに言われなくても、槙野裏ザルの話なんて、誰でも知っとるわい。

    このコメントに返信

    2017年09月26日 23:02

  11. 14 匿名(IP:111.102.186.1 )

    単純に槙野のいないレッズが見てみたい。

    このコメントに返信

    2017年09月26日 23:37

  12. 15 匿名(IP:219.105.5.163 )

    5番は、NACK5の自分の番組で、秋はハングラーダーを楽しむとかなんとか言って、チームメイトを誘ってるが、止めとけと言われているとか、チームがこういう時期に自分から喋るような者だ。ほんとうに情けなくなるね。

    このコメントに返信

    2017年09月27日 16:16

  13. 17 匿名(IP:126.254.132.63 )

    前任もそうだか監督のコメントなんか本音を言わないしそれをマトモに分析されても。毎回ベンチ裏で見てるが今回はシステム云々以前、局面個で負けていたことに尽きるでしょうに。

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    2017年09月27日 18:54

  14. 18 匿名(IP:49.98.131.185 )

    21
    くやしいのだったらキミも365日浦議にへばり付くのをやめて外に出たらどうかな。
    引きこもってるから性根が腐るんだよ。

    このコメントに返信

    2017年09月28日 02:55

  15. 19 匿名(IP:163.49.207.179 )

    現状、相手からしたら怖いの興梠だけだもんね。ボールは持たせて中をしっかり守ればいいって。矢島、長澤がこれから怖い存在になっていけばいいけど。そして、他の選手にはない特徴を持った強力な外国人も絶対必要。前監督のやり方ではスケールの大きなチームにはならない。前監督の為に取った選手達には悪いが入れ替えはしていかなければいけない。  前に出ても下がってもダメ、周りをカバーするどころか混乱させる、SBでもCBでもない前監督専用の人は放出あるのみ。 監督の前にフロントが重要。

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    2017年09月29日 21:52

  16. 20 匿名(IP:218.42.170.50 )

    26 君も何もわかってないね。コオロキ君自身も言ってる通り、彼は自分だけでどうにかできる選手じゃないんだよ。川崎ホーム戦の初点に象徴されるように、矢島くんや長澤くんのような質の高いパサーがいないとそれまでの選手なのだよ。だから、2人ともコオロキ君を活かすと同時に自分でも飛び出して行ける選手であればいいわけで、その資質十分にありの片鱗は既に魅せているではないか。このこと以外は同意だよ。

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    2017年09月30日 09:30

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