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▼7回に1回くらいは決めておきたい試合だった
浦和レッズは5日のリーグ第13節、鹿島アントラーズ戦にアウェーで0-1の敗戦を喫した。勝利すれば中位グループの中でも上位をうかがうことが可能なラインまで勝ち点を伸ばせていただけに、残念な結果になった。

 

とはいえ、この試合に関していえば浦和は、私の感性で言える決定機を4回は作り出していた。このほかに、得点が入っても驚かないようなシュートチャンスが3回はあった。この決定機という言葉は見る人によって範囲が違うものだが、私の場合はそのシュートシーンを相手選手が抱え込んで潰したらレッドカードが出るようなもの、いわゆる競技規則で言う「決定的な得点機会」と捉えている。そうした意味では、決めるべき場面で得点を奪えなかったことが敗因と考えた方が良いのではないかという試合に見えた。

 

選手たちも、そういった決定機を作り出す回数の多かった試合に手応えを感じていた面を見せていた。同じ0-1の敗戦でも、ゴール前でのチャンスを見つけることが難しかった湘南ベルマーレ戦とは質が違う。もちろん、サッカーの世界ではどちらも「勝ち点ゼロ」には変わらないのだが、負けたら終わりのトーナメント戦ではないので、負けるなら手応えのある負け方の方が、その後のチームを考えればだいぶ良いと言える。

 

▼槙野のクリアより、むしろ周囲にできることが
浦和の失点シーンはPKだった。浦和の右サイドから、相手選手が逆足クロスでゴール前にボールを入れてきたが、このボールはフワッとしたスピードの無いものだった。槙野智章は相手がボールを持った時点で永木亮太のマークについていたが、永木は意図が合わなかったのかゴール前に入れずストップ。結果、槙野だけが素早くボールの落下点に入る形になった。

 

槙野はほぼスタンディングに近いジャンプでヘディングでのクリアをしたため、大きな距離は稼げなかった。結果、そのボールを土居聖真に拾われ、パスを受けた永木を青木拓矢が倒してしまったことでPK判定となった。槙野はこのプレーについて「まだ映像で見ていないので」とした上で「改善点は多くあるはず」という言葉に留めた。

 

ここで槙野の立場からプレーを見てみれば、まず想定されるのは永木がゴール前に勢いよく入ってくること、あるいは宇賀神友弥との間、槙野の背後に走り込んでくることなので、ボールを触らずに流す選択は、よほど早い段階で周囲からの声が掛からなければ取りづらいだろう。特にジャンプの体勢に入っていた以上、中途半端なことをするとゴール前にボールを落としてしまう可能性もある。ベストなのは真上に近くボールを上げてGKにキャッチしてもらうことだっただろうか。クリアにもっと距離を出せと言うのは、クロスボールに勢いがなさ過ぎるので無茶な要求だろう。クリアの角度もサイド方向で斜め前方と、セオリーに沿ったものではあった。

 

そうした意味では、むしろ周囲の選手の方ができることがあった。宇賀神は「まずはボールが上がった時点で、大外はフリーだと声を掛けられれば良かった」と、その早い段階でのコーチングの声が出なかったことを悔やんでいた。

 

「大外がフリーということを伝えられれば、GKに返すこともできたかもしれないし、ハッキリすれば流すこともできたかもしれない。多くの選択肢があったはずで、自分のコーチング次第だっただろうと思います。槙野はあの状況だと、非常に判断は難しいと思うので。クリアした瞬間にセカンドボールへの距離を詰めることは考えたんですが、その後に青木のところが後手になってしまった。非常に悔やまれるものだった」

 

▼永木のプレーと「マリーシア」
ここで少し注目したいのは、槙野がクリアの体勢に入った時の鹿島の選手のアクションだった。ゴール前に入り込むことを失敗した永木は、槙野のクリアがどの方向にどのくらいの距離で飛ぶのか、槙野だけを見て予測をしようとしていた。馬鹿正直に、遅れたのが分かっていてゴール前に形だけ入っていくようなことはしない。ある意味では、そこでプレーの「損切り」は済ませている。こぼれ球を拾った土居に加え、西大伍も同様に槙野の体の向きをしっかりと観察している。その結果、クリアボールが宇賀神の頭を越えた瞬間に土居はボールへのアプローチに成功しているし、永木に関しては1回膨らむようなアクションを起こしてコースロスした青木よりも無駄なく体の向きを作ってボールを受けている。ここのちょっとしたロスの差が、最終的には遅れて体にぶつかるかボールを触れるどうかを分けることになった。

 

永木が倒れたプレーを「マリーシア」と表現する人もいるのではないだろうか。確かに、青木の足が入るコースを見越してうまく倒れたようには見える。ただ、サッカーの競技規則は、倒したかったどうか、要は意図の有無を腕や手を使った反則以外の判断基準には含めない。「不用意に」永木の体を太もものあたりで蹴ってしまった形になったため、ファウルの判定はやむを得ない。

 

ただし、もっと重要なのは転ぶ間際のアクションよりも、槙野のクリアがどこに飛ぶかというところに瞬時にプレーを切り替えていたことだろう。こちらの方が「マリーシア」という言葉の本質には近い。つまり「賢くプレーすること」「状況判断をしっかりすること」であり、その延長線上に「ルールを上手に利用すること」だとか「相手の嫌がるようなことをすること」というものがある。つまりは、その瞬間、瞬間においてゲームを有利に運ぶために最善のプレーが何かを考えて選ぶのが「マリーシア」だ。結果的には、そうしたが凝縮されたのが、鹿島がPKを取った1プレーだったとも言える。

 

浦和で最もそういった部分を持ち合わせているのが興梠慎三だろう。そして、それをチームに植え付けられるのがオズワルド・オリヴェイラ監督であるとも感じる。この鹿島戦は、試合全体の結果や内容だけでなく、浦和に足りない部分と伸びしろを見せられたような気持ちになる試合だった。


※関連リンク

右サイドの攻防と、オリヴェイラ監督が仕掛けた「数の暴力」【轡田哲朗ゲームレビュー/明治安田生命Jリーグ第12節鹿島戦】(浦レポ)

 


轡田哲朗

1981年10月30日生まれ、埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。

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  1. 1 匿名の浦和サポ(IP:210.224.233.55 )

    サッカーは色々な見方があり、個人個人で感じることが違うから面白い。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 13:55

  2. 2 匿名の浦和サポ(IP:124.208.111.200 )

    まあ鹿島戦は人も多くてコーチングの声が届くかも怪しかったから。現に解説陣もそこは少し触れてたし。
    あのプレーは相手のしたたかさを褒めるしかない

    このコメントに返信

    2018年05月08日 14:09

  3. 3 匿名の浦和サポ(IP:61.205.104.152 )

    同じ賢さにもスマートとクレバーがある
    レッズの選手しかり日本人にはクレバーさが足りないと思う

    このコメントに返信

    2018年05月08日 15:28

  4. 4 匿名の浦和サポ(IP:123.230.120.51 )

    「マリーシア」の本質はあくまで「ずる」賢くプレーすること。勝手に拡大解釈されては困る。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 16:15

  5. 5 匿名の浦和サポ(IP:126.245.131.103 )

    審判の判断ミスだと思うなら、主審も負い目を感じているわけだし、相手のペナルティエリアで同じような転び方をしてPKをもらおうとするのが、本当のマリーシア。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 17:13

  6. 6 匿名の浦和サポ(IP:106.158.136.27 )

    オリベイラさんになって早い段階で鹿島と対戦できた。浦和はツイてる、と捉えましょう。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 20:50

  7. 7 匿名の浦和サポ(IP:60.67.151.212 )

    オリベイラが監督だからといって
    鹿島のようなチームになったらったらすべてが終わり。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 21:15

  8. 8 匿名の浦和サポ(IP:153.135.202.211 )

    闘莉王だったら、瞬時に胸トラップに切り替えてる。

    このコメントに返信

    2018年05月08日 22:49

  9. 9 匿名の浦和サポ(IP:114.185.90.216 )

    いやいや…
    フリーでしょ。蹴り出せたかと。

    このコメントに返信

    2018年05月09日 07:59

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